艦これすとーりーず ―僕が異世界版艦これの提督になった件について― 作:謎のks
とりあえず、道中長いよ?(今更)
「…ん? 私を呼んだ?」
振り向き様にニカッと笑うその顔には「快活」という言葉がよく似合う。
長良型軽巡一番艦「長良」、艦これでも初期から実装されている艦娘だ、でも何で彼女が?
「…あ! 君もしかして特異点君? 加賀から話は聞いてたけど…私の事も知ってるみたいだね? すごいねぇ!」
朗らかに笑う長良、加賀さんの名前が出たということは…どうやら彼女は連合から派遣された艦娘のようだ、僕らの任務アシスト? に来てくれたのかな?
「…いえいえ拓人さん? アシストするのは寧ろ我々かと?」
「? どういう意味妖精さん?」
「はい、彼女こそ加賀さんのお仲間…連合親衛隊所属、選ばれし艦娘の一人「長良」さんです」
「へー……っうえぇ!?」
「カガの仲間…選ばれし艦娘?」
僕と金剛が驚きを隠せないでいると、長良が金剛を見て眉をひそめる。
「…そっか、貴女が金剛か。確かに私が知ってる金剛とは全然違うな?」
「え? それって…?」
「テートク! それよりテンリューたちを!」
金剛に言われてハッとする僕、不味い…今頃天龍がどうなっているか!?
「そうだった!? 急がないと」
「天龍ってあの眼帯の子でしょ? なら大丈夫、私の仲間が向かってたから」
「え…それって?」
「もち、私とおんなじ選ばれし艦娘…自分でこういうこと言うのは照れるけど、とにかく安心して!」
長良が胸を張って宣言する。良かった…でもどんな娘なんだろう?
・・・・・
「……ふぁ〜、ねむ…」
身体に稲妻を纏い、正に電光石火の速さで天龍の前に立ち、彼女を襲おうとした凶弾を焼き焦がした。
「…お前は?」
天龍が問いかけるが、重い瞼をこすりながらうつらうつらしているその艦娘は、まだ寝ぼけているのか耳が遠いようだ。
「ん〜? ……ふあぁ〜」
彼女が欠伸をしたその時、不意打ちと言わんばかりに深海共からの砲撃の嵐、またもや絶体絶命か?
「………あん?」
ギラリと目が光る。右手を左から右に払う動作、刹那に砲撃は電光により爆散相殺される。
「あらよ」
ヴンッ、と鈍い音がしたと思うと、彼女が消えた…そこから。
『■■■■■■■■■■ーーーッ!!?』
千切っては投げ。
『■■■■■■■■■■ーーーッ!!?』
千切っては投げ。
『■■■■■■■■■■ーーーッ!!?』
千切っては投げ。
『■■■■■■■■■■ーーーッ!!?』
もはや微塵も残らない。
『■■■■■■■■■■ーーーッ!!?』
次々とドミノ倒しの如く斃れていく深海群。
…まるで次元が違い過ぎて、むしろ笑いが込み上げて来た。
おそらく彼女は光速で空間を移動して、深海共に一発お見舞いした…としか思えない、速すぎて理解は追いつかないが?
「いっちょ上がりー♪」
天龍を包囲した深海共は、残らず全てノックダウン。海の上には無様に倒れた黒の怪物が揺蕩っていた。
「…その出鱈目な強さ…お前はまさか」
「…天龍ーーっ!!」
呆然とする天龍の下に、望月と拓人たちが駆け寄る。
「お前たち?」
「よかったー! 無事だったんだね!」
拓人が喜ぶが、天龍は彼の隣に居る見知らぬ艦娘を見やる。
「…ソイツも選ばれし艦娘か?」
「うん、私は長良だよ? よろしくね!」
…自分が招いた災厄を払ったのは、この二人…天龍は選ばれし艦娘の「強さ」に、壁を感じていた…自分一人だけでは辿り着けない頂きの高さを。
「………くそっ」
・・・・・
長良の言っていたもう一人の選ばれし艦娘は、なんと「加古」だった。
加古は重巡艦娘の一人で、長良と同じく最初期から実装されている艦娘、ねぼすけでお姉さんの古鷹にいつも世話焼かれているイメージ…あくまで主観だけど?
「…んーーー?」
僕は彼女の格好に着目する、片目は髪で隠れて頭上にアホ毛、身体には黒い包帯を巻いている…どうみても改二です本当にry
「分かりづらいですけど、改二という概念は無いんですが、彼女たち(選ばれし艦娘)はイソロク提督による大規模改装を行っているので、姿形は改二なんですねぇ〜?」
「えぇ…その設定絶対言葉だけじゃ分からないって;」
要するに、イソロク様の直属の部下だった彼女たちは「特別」…改二実装されている艦はもれなく改二仕様になっているってわけ。
「ふぁ〜…加古でぇす、よろしゅ………zzz」
「あぁまた寝た…改めまして、私は長良だよ! この海域には任務で来ているの」
そうか、だから僕をここに来させたんだ、彼女たちがいればひと安心…確かにアレを見せられちゃね?
「貴方たちのことは、カイト提督から聞いてるよ! 貴方たちが無事任務を遂行出来るように手伝ってほしいってね?」
「んまぁ〜アタシらが元々やってたヤツなんだけどな〜?」
「加古、余計なこと言わない」
「ふぇ〜い…ふぁ」
うーん? 側から見たら凸凹コンビって感じ? でも頼もしい味方がいてくれて助かった…と?
「…すまない皆、迷惑をかけた」
突然天龍が謝り始めた、いつも圧のすごい態度な彼女は、今は少しか細く儚げだ。申し訳ない気持ちでいっぱいといった具合だ。
…彼女が全面的に悪いわけではない、僕が…もっとしっかり出来ていたら。
「タクト、もし今回の件で俺を見限ったなら、今すぐお前との契約を切らせてほしい」
「!? て、天龍…」
「いや、切らせてくれ。お前を守ると言いながら暴走した俺に、お前の下につく資格は無い。…お前のためだと思ってくれ、頼む」
「…僕は」
「あぁーちょっといいかい?」
僕らが話していると横から割って入ったのは加古だった。
「アンタらの任務のサポートってことだけどさー? …こんなことになるんだったら、ぶっちゃけやめた方が良いよ?」
「加古!」
長良が止めるも、加古は自分の意見として僕らにクギを刺す。
「あの程度のヤツらに手こずってるようじゃ、アンタらこの先やってけないよ? アタシらの任務ってのは下手な強さじゃぜってー達成出来んから。…しかもアンタらのチームワークもバラバラ、終いにゃ空中分解か?」
「……っ!!」
「提督からはアタシが言っとくから、悪いことは言わん、鎮守府に帰った方がいい…無理に背伸びせんでも、ちょっとした任務からコツコツやった方が身の為だ。どんなに簡単だろうと大事な任務だし、そっちやっとくれた方が助かる」
…確かに今回のは僕の、提督としての力不足が浮き彫りになったせいだろう、でも……その言いぐさは。
「…待ってよ、それはあまりにも横暴じゃないか!」
僕が頭ごなしに怒りを叫ぶと、妖精さんや金剛たちは虚を衝かれた様子で目を丸くしていた、加古は黙って僕を見据える。
「僕らは君らの提督に言われてここまで来たんだ! それはあの人なりの信用だと思う、信頼されたからここまで来れた。それを踏まえてもそんなこと言うなら、君にそんなこと言う資格はない!」
「た、拓人さん!?」
流石の妖精さんも額に汗を浮かべるが、僕の「悪い癖」は、ここまで来ると自分でも止められない。加古は冷ややかな視線に似たような鋭い目つきで、僕を見つめながら言う。
「…じゃあアンタ、今の状態で任務を完遂出来るって? 誰か沈みでもしたら、アンタ責任取れるか」
「そんなの関係ないじゃん! アレは僕が居たから皆の力が十分発揮出来なかったんだ! 僕だけならまだしも、彼女たちの力量不足だと言うなら許さない、選ばれし艦娘だからってなんでもまかり通ると思うな!!」
「テートク…」
金剛は嬉しさ半分と言った具合に僕の動向を心配していた。
「もし僕が気に入らないんだったら、僕がこの場を離れれば済む話だろう! …お願いだからそんなこと言わないで、金剛たちは…」
「──甘ったれんな!!」
「…!?」
加古は腕組み仁王立ちしながら喝を入れる、あまりの迫力に目に涙を浮かべながら、心底ビクつく僕。
「誰もアンタが役立たずだとか、要らねぇとか言ってないだろ! …逆だよ、アンタが艦隊の要だから艦娘(アタシら)は死ぬ気でアンタを守るんだろうが」
「…っ!?」
加古の言葉にハッとする僕、加古は先程とは真逆に僕らを心から思う慈愛の眼差しで見つめる。
「アンタの艦娘たちは死ぬ気で誠意を見せた。そこの眼帯も、お前を守ろうとした金剛も、アンタに死んでほしくないからがむしゃらに戦ったんだろう。…ならアンタは? そんな艦娘たちに、死ぬ気で向き合う覚悟があるのかと聞いてんだよ、アタシは!!」
「…っ!!」
…言葉が出なかった、まるで頭がハンマーで殴られたような衝撃。
「……っぅ」
悔しい…嗚咽がこみ上げてくる、言葉が紡げない…感情が……制御出来ない………っ!
「ぅ…ぅううううああああああああああああああ!!!!!」
泣き叫びながら、僕はやっとの思いで思いの丈を吐き出す。
何も出来ない怒り、彼女たちに向き合わなかった事実…僕は違うと逃避するように、加古の問答に轟音で回答した。
「…なってやる」
「何…?」
加古は眉を上げながら疑問を口にする、僕は怒りを抑えきれず乱暴に、それでいて全力で続けて回答する。
「皆が認めるような…君らの提督よりも立派な提督になってやる!! …僕はもう、彼女たちに無理をさせるような戦いはさせない! させるもんか!」
「テートク…!」
「拓人さん…」
「意気込みは大したものだが、それだけでいけるとは思わないことだ、特異点だからって何もかも上手くいくと思うなよ?」
「五月蠅い! 特異点だからとか、そんなの関係ない!! …僕はもう失わないって決めたんだ! 何も出来ない自分はもうたくさんだ! だったら…僕は僕なりの「何かが出来る」自分になってやる!! 絶対に!!!」
「…っ!!」
天龍が目に潤いを貯め込みながら僕を見据える、彼女なりに何か思うところがあったのだろうか?
…それを聞いた加古は?
「よく言った!!」
僕に近づくと、僕の両肩をバンと叩く、痛みが伴ったが彼女の熱い気持ちが伝わってくるようだ。
「…え?」
僕はあまりにもの展開に、頭は真っ白になった…ぶん殴られるくらいの覚悟だったから、彼女の正反対の対応には開いた口が塞がらない。
「アンタの覚悟、確かに聞かせてもらった。いいよ、こうなりゃとことん付き合おうじゃないの! …アンタがカイト以上になるとこ、アタシも見てみたい!」
加古はニカッと嬉しそうに笑う…もしかしてさっきのは彼女なりに僕らを「試してた」のかな?
「加古さん…!」
「加古でいいよ、アタシらは今日から一心同体だ! これから頑張ろうぜ? な!」
加古は笑いながら肩をバンバン叩いてくる、僕も分かってもらえて嬉しいけど…。
「流石に痛いよ……いつっ!?」
「こらこら加古、特異点君が痛がってるよ?」
「おっと、ごめんよ?」
長良に言われて、加古はようやく手を放してくれた…うぅ、肩がジンジンする…;
「…あ、天龍」
僕は天龍に向き合う、彼女は少し俯いていたが目はこっちを向けてくれていた。
「さっきの話…君にはまだ辞めないでほしい」
「! しかし…」
「僕はこの通り非力だから、せめて護身術ぐらいは身につけたいって思うんだ。だから…天龍に教えてほしい、ちょっとキツくても大丈夫だと思う、身体は丈夫だから」
僕が朗らかに笑うと、天龍は少しためらい気味だったけど?
「…分かった」
無事了承してくれた。良かった…後は任務完遂を目指すだけ!
「…あの~、盛り上がってるとこ悪いんだけどさ…?」
長良が何か言いたそうにしている。すごく申し訳なさそうに? 何だろ?
「…この子がまだ
長良が抱えてる翔鶴を指さす………あ。
「「「「「完全に忘れてたーーーーーっ!!?」」」」」
僕らが渾身の
「………###(怒っている様だが気絶している)」