艦これすとーりーず ―僕が異世界版艦これの提督になった件について― 作:謎のks
…漸く「一つ目」……ですかね?
僕らの前に現れた、加賀さんと同じ選ばれし艦娘の加古と長良。
彼女たちはとある任務を遂行中だったけど、カイトさんの命令で僕らのサポートに回ることになった。その間に紆余曲折あったけどね(主に僕のせいで…)
さて、そんな僕らは今後のことを話し合うために、近くの無人島の小島で休憩しながら情報交換することになる…翔鶴も目覚めないし、仕方ないよね?
「…なぁるほどな?」
加古は頷きながらひどく納得している様子だった。
「どうしたの? すごく頷いてるけど?」
「うむ、アンタの言ってた謎の男…実はアタシらも追ってんだわ」
「え!?」
まさかそこで接点が出来るとは…加古たちはあのローブの男が何なのかを知っているのだろうか?
「いや? 提督がなんか意味深に言ってたけど、アタシらはさっぱりだわ」
「…選ばれし艦娘でも分からないの?」
「そんな風に言われてるけど、私たちも普通の艦娘と扱い変わんないよ? ねぇ?」
長良の言葉にまたも強く頷く加古。
「うん、御大層な感じだけど、実際はアタシらも末端だからそんなもんじゃね?」
「軽く言うなぁ…;」
「私たちの中でも色々知ってるのって、提督が子どもの頃に世話役してた加賀だけじゃない?」
「だなぁ? 流石提督の懐刀だよなぁ?」
加賀さん、同僚からそんな風に思われてたんだ…? 今更だけど僕、とんでもない人に魅入られたんじゃ?
「拓人さん、すごい人と仲良くなれたからってあまり調子に乗らないように〜?」
「い、いやホントにそういう意味じゃ?」
「とにかくよ、アンタらとその男にゃ何らかの関係があると見ていいだろ、でなきゃ正体バレるっつーのにわざわざ姿現さないべ?」
「加古、ちょっと"砕けてる"よ?」
「いーじゃん、もう知らない仲じゃないんだしさ?」
なんか、さっきの彼女からは想像つかない変わりようだな? …まぁ、信用してくれたってことでいいのかな?
…でも、あの男と関係かぁ? ………んー? 分からないなぁ? アイツが僕を特異点だと理解していた点も未だに分からないままだし?
「まぁ〜それはいずれ分かるでしょう? 今は任務に集中した方がいいと思います〜!」
「そうだね…じゃあ二人とも、今の状況を」
「……タクト」
僕らが話し合っていると、後ろから消え入りそうな声が聞こえる。
「天龍? どうしたの?」
「……話がある」
それだけ言うと、天龍は背を向けて歩き始める。
「行っといで、アタシらは後でも構わねえよ?」
加古と長良は微笑み、僕らを待ってくれると言ってくれた。天龍が心配だし、僕はそのご厚意に甘えることにした…。
・・・・・
「天龍? 話って何?」
人気のない海岸沿い、僕が尋ねると彼女はまた言葉を選ぶように、考え込みながら海を見ていた。
「…天龍、どんなに不器用でもいい、君の思っていることを話して?」
彼女が言いたいことが分からない訳ではない。…おそらくあの「暴走」について関係があるのだろう、だったら…下手に言い繕うより自分の思いの丈をぶつけてもらった方が、こっちも嬉しい。
「…………すまん」
言われた天龍は、まず僕に振り返り謝る。そして…視線を泳がせながらも、ぽつぽつと話し始める。
「俺は…昔はお前のように、感情の赴くままに生きていた」
「…そっか」
その言葉から、僕は「僕の元いた世界の天龍」を思い起こした。最初から寡黙ってわけでもなかったんだ?
「海魔大戦終結時、連合の中でも下っ端だった俺はそのまま世に紛れ、世界中に蔓延る戦さ場を転々とする傭兵となった…その頃は、自分でもどうしようもないと思う馬鹿だったよ、自分は誰にも負けない、何でも出来ると…そう信じきっていた、愚かなほどにな?」
「………」
「だが…そんな俺にも支えてくれる相棒が居たんだ。ソイツは日頃から粗暴な俺の手綱を確りと握っていてくれていた」
「…龍田?」
僕が優しくその名前を口にすると、天龍はすぐさまこちらを見やるも、特に驚いた様子ではなかった。
「……そうか、そっちにも龍田が居るんだな?」
本当に嬉しそうに呟き目を細めると、天龍は彼女との話を続けた。
「俺に足りないものをアイツが、アイツに足りないものを俺が、そうやって俺たちは支え合って生きて来た。…今も目を瞑ると、アイツが笑いながら俺を呼ぶ姿が浮かんでくる…」
「大切な相棒なんだよね?」
「ああ、今もアイツに支えてもらってる。…俺は」
天龍の握り拳に力が入る。
「…俺は怖いんだ、もう「失う」のが…アイツのようにお前が、俺の前から消えていくのが…っ!!」
その時、僕は全てを察した。
天龍が身を呈してまで僕を守ろうとした理由。
彼女があの時、まるで何かに取り憑かれたようになった理由。
それは…僕と同じ………ん?
──『好感度上昇値、規定値以上検知』
『…「天龍」の"アンダーカルマ"が解放されました』
「……!?」
「…どうした?」
僕が急に現れたその光景に目を疑うも、天龍はまるで気づいていない様子…どうやらこの「インフォメーションポップ」は、僕にしか見えないようだ。もしかしなくても、これ妖精さんと一緒に見たプロフィール画面じゃ?
「どういうこと妖精さん………っていない!?」
僕は小声で妖精さんに呼びかけるも、また居なくなっていた。肝心なところでいっつもいないんだから!!
「…ええと?」
『アンダーカルマ、閲覧可能です。閲覧しますか?』
IPから催促の選択肢が、うーむ、何かは分からないけど絶対天龍の情報だよね? 目の前に本人が居るのに見ちゃうのは気が引けるのですが…?
「…ええい!」
ちょっと迷うけど、天龍を元気付けるヒントが少しでもほしい!
僕は「はい」のタップボタンを押す、すると画面が変わり……。
・・・・・
『【new】天龍のプロフィールに、新たな情報が追記されます』
◇
裏の使命(アンダーカルマ):??? → 『相棒』
──その運命が示す道…「喪失」
かつて、相棒と共に戦場を駆けた。今よりも無茶をし、乱雑で、暴走し…自分に足りないモノ全て「相棒」が担った。そしてその日々は永遠に続くものと思えた。
…だが、別れは唐突に訪れた。
自身の不注意を、いつものように拭うように…彼女は嬉々として「命を奪われた」。
絶望
咆哮
悲涙
そして…虚無
まるで彷徨うように、何かを贖罪するように、剣士はそれからもその刃を振るい続けた…。
そして…二度と繰り返さないと、命を奪う剣はいつしか「護る剣」へと変貌を遂げる。
喪失を恐れし修羅、彼のモノの誓いは……果たされるか、否か?
◆
「………」
これは…彼女の過去?
さっき天龍が言っていたことと照らし合わせても、これが彼女の過去の情報…いや「彼女が向き合うべき運命」ってことか?
相棒って…もしかしなくても龍田だよね? だとしたら…龍田はもう……。
「…俺は、お前が羨ましい」
天龍は僕を見てそう言う。何のことか分からず、首を傾げる僕。
「俺は諦めたんだ。もう二度と龍田のようなモノを、俺の手で出すまいと…自分に向き合う事から逃げていた。あの時の愚かだった俺の全てを、コイツに押し込んで」
そう言って、天龍は手に握りしめた一振りの刀を僕の前で見せる。元の彼女の刀とは違う、この世界の天龍のもう一つの……ん?
僕はその刀をジッと見つめる。鞘に収まっていない状態の剥き出しの刃、赤い刀……これ、どこかで………?
「天龍、これ…?」
「もう勘付いているか? …これはかつての龍田の武器…アイツの得物の穂先だ」
「…!?」
龍田の武器は「薙刀」、そんな…ずっと龍田の形見を肌身離さず持っていたなんて……。
過去を垣間見た分、彼女の悲壮感がひしひしと伝わってくる…言葉で言い表わしつくせないほどの「寂寥感」。
「天龍…」
「そんな顔をするな。…言っただろ? 俺はコイツに全てを押し込み、そして逃避した…死ぬまで戦うと思いながら、アイツの下に逝けることを、何度願ったか」
天龍は虚しさを秘めた眼で天を仰いだ。
「…だが」
彼女はその虚無の瞳に光を戻すと、僕を見つめる。
「お前はどんなに弱い自分からも投げ出さず、ひたむきに自らが出来ることを探している。…俺が恐れをなし逃げ出した過去(ことがら)に、お前は向き合っているんだ」
「そんな……僕は、君みたいに強くないよ」
「力だけが強さではない。…お前は「心」が強い、いや今はそうでなくとも、お前にはその素質がある」
天龍は僕をこれでもかと褒めてくれた、嬉しいけど…本当にそうじゃないんだ。
「…僕はもう、誰にも居なくなってほしくない。…ただ、それだけなんだ」
「そうか…お前にも「ある」んだな?」
天龍の言葉に頷く僕。
「僕は君と同じ…だから気持ちも分かる。…上手く言えないけど、僕は君に…悲しい顔をしてほしくないんだ」
「……すまない」
「ううん」
僕らの間に流れる、静かで、少し寂しい…さざ波と風が、そんな感情を一層際立たせた。
「タクト…俺はもう逃げない。お前がお前のまま変わろうとしているなら、俺も過去から逃げない。今更あの頃の自分には戻れないが…龍田に顔向け出来るようなモノでありたい…だから、二度とあのような愚行は犯さないと、約束する」
「…そっか、良かった」
僕が微笑むと、天龍は笑い返してくれた。
「改めて契約しよう……必ずお前を守り、そして強くしてみせよう」
「うん。よろしくね、天龍?」
天龍は僕の顔を、目を細め温かな笑みで見つめる…それはきっと、彼女の「決意」の表れ。
アンダーカルマを見たからか、天龍をより深く理解することが出来た。…彼女の身体の傷は、彼女の絶対の決心の形だったんだ。彼女の妹に起こった悲劇を、二度と繰り返しはしないという「誓い」…。
「天龍、君ならきっと出来る。君の妹がそうだったみたいに、僕も君を支えられるように頑張るよ」
「ああ、すまな………? 妹? 何のことだ?」
「え? いや龍田だよ? 君たち天龍型の二番艦だろ??」
「………???」
天龍が何故か訝しんでいると、又してもIPが目の前に。
『この世界の艦娘は、前世の記憶がない状態で召喚されています』
「えっ!?」
『よって彼女たちに前世の関係、立場、型番などは理解出来ないものとなります』
「…全く分からない?」
『顔が似ている、や何処かで会ったことがあるような…などの感覚はありますが、確信たるモノは感じることは出来ないでしょう』
「…なるほど、天龍? 加古とはどこかで会ったことある? (加古とは前世で一緒に戦った仲のはず)」
「ん? いや、初対面だ。…何故か会ったことがある気がするが?」
…どうやら間違いじゃないみたいだ。なんかどんどん分かりづらい設定が増えていってない? これ後で見返して「あっ! そういえばこういうのだった!? しまったーっ!!?」って作者が後悔するヤツじゃない?
「…タクト、俺に隠し事をしてないか?」
「ふぁ?! な、な、何にもナイデスヨーヤダナー」
「嘘つけ。…ここまでの仲になったんだ、今更隠し事はナシだ」
「い、いや…説明が難しいというか……?」
「…教えろ」
天龍が僕に近づき、僕のほっぺたの端と端をつねるとそのまま引き伸ばす。顔の皮が横に広がる、いわゆる変顔になってしまった…いや痛いし皮が伸びるからヤメテ!?
「お前が教えてくれるまで止めん」
「ひょ、ひょんなー…(´Д` )」
「…ッフフ♪」
…そのあと、観念して天龍の前世の活躍を教えることになった僕。談笑を交えながら前世の戦いを教えていると、金剛と翔鶴が駆け寄ってくる。
「テートク! ショーカクの目が覚めたノデ、早速作戦会議デース!」
「心配させてしまったわね? …何故かお礼は言いたくないけど」
「あはは…じゃあ行こっか? 天龍!」
「ああ…タクト」
僕と天龍の醸し出す柔らかな雰囲気に、金剛が敏感に反応する。
「む! テートクとテンリューの距離が近くないデスかー? …っは!? これはもしやUWAKIデースか!!?」
「え、いやそんなことは…;」
「むふふ、なんちゃって! テートクがワタシを嫌いになるはずないデスもんねー♪(ギュッ)」
「…む」
金剛が僕の腕に抱きつくと、何やら面白くなさそうな、不機嫌の表情になる天龍…すると?
「………(ぎゅ)」
「ひゅえ!!?!?」
天龍がもう片方の腕に抱きついてきた…何だこの展開!? 両手に花、と言えば良いんだろうけど嫌な予感しかしない…。
「テンリュー? テートクのハートを掴むのはワタシデース、だからさっさと離すデース###」
「俺はタクトを守ると契約した、これも仕事の内だ。そっちこそ仕事の邪魔だから離れろ(むすっ)」
「ひ、ひええぇぇ…」
僕を挟んで両者から火花が飛び散る…命がけのキャッツファイト開幕宣言? 僕の危険がアブナイ!!?
「しょ、翔鶴…タスケテ;;」
「……スケコマシ(チッ)」
「だよねー?! 君はそんな感じだよねえええええ!!?」
…さて、そんなこんなで僕らは任務のため加古たちに状況確認をすることに…果たしてこの先にどんなことが待っているのか?
「…それより僕次回まで生きれるの? (恐怖)」
アンダーカルマ閲覧時BGMは「全ての人の魂の詩」でオナシャス!