艦これすとーりーず ―僕が異世界版艦これの提督になった件について― 作:謎のks
見事百門要塞内部に潜入成功した僕らだったが…?
「………」
「っぷ」
アキちゃんたちと別れた後、僕らは露店が並ぶ場所で情報収集を行っていた。「旦那たちもあんまり無茶すんなよ!」とアキちゃん父に言われたけど…しばらくはあの商船が拠点になるかな?
「………」
で、僕らは怪しまれないよう普通の格好に着替えた、艦娘の皆は艤装を隠した状態だから、妖精さんの話が本当なら普通の人にしか見えない筈、だけど…それに対して僕は。
前の開いたチェックシャツ。
だぼだぼズボン。
ヘアバンダナ。
インナーはよれよれの白T。
ナニが入ってるであろうリュックサック。
そして極めつけは…眼鏡。
「っ〜〜〜〜っっ!!? っあははははははは!!!」
もっちー笑いすぎ、心は硝子だぞ?
「確かに普通だよ…僕らの世界ではだけど!」
「その格好がか…?」
「天龍さん、この格好は現実を逃避し続ける若者ファッションの代表的なもので、決して万人に受け入れられているわけではありません〜(あくまで個人的見解です。)」
「…そうか、触れてはいけないものだとは理解した」
酷い、皆ヒドイよ! オタクが何をしたんだよ!?
「というか妖精さん、それらしい格好って言ったよね? 全然目立つんだけど! ほらあの親子連れ絶対流し目で見たから!!」
「ままー、アレ何〜?」
「!? 見ちゃダメよ、あっち行きましょう、っね!!?」
「………」
「自ら傷を抉ったか」
「拓人さん、曲がりなりにもオタクなのですから、それらしい格好をしなければ〜」
「僕にわかだし、逆にオタクに失礼だよ!?」
「ワタシはテートクがどんな格好でも愛してマース!(ぎゅっ)」
「あはは…ありがと金剛;」
「いや~あつい暑い、よそでやれよなー」
「…ダサい」
「翔鶴聞こえてるよ!? …ん? 野分、どうしたの?」
さっきから野分が「んー」と唸りながらこっちを見つめている…徐に僕に近づく。
「…失礼」
先ずヘアバンダナを細長く折って…首元に巻く、ループノットってやつかな?
「…お?」
チェックのシャツを脱がし…よれよれインナーの上に、腰巻として着用。
「おぉ~」
だぼだぼズボンの裾を足首がちょっと見える所まで捲り上げ、懐から出した裁縫セットのボタンで固定する。
「…よし」
見事に3分コーデの出来上がり。見栄えは分からないけどさっきよりマシになったはず!
「うーん? やはり応急処置ですね。もう少しアイテムがあれば映えますが」
「いやいやこれで十分だから! ありがとう野分!」
「流石野分デース!」
「ああ、見直したぞ!」
仲間たちからの賛辞に、野分もまんざらではない様子だった。
「Merci. ビューティーデザイナーとして当然のこと」
あぁ、あのプロフィールの肩書きね? でもアレだけじゃいまいち何してたか分からないから、直接本人に経歴を尋ねてみる。
「…野分って、ここに来る前って何してたの?」
「ボクは各海域の鎮守府との連携と補佐を目的とした「泊地」を転々としていました。ボクと同じフリーの艦娘は大体泊地に所属しています」
「…金剛も?」
「…? そうですネー? そうかもしれまセン?」
「いやなにその曖昧な回答?」
「すみません…ワタシはテートクと会う前の記憶がフワフワしていて……何処の泊地に所属していたのかも覚えていません」
え、どういうこと? 妖精さん??
「原因は分かりませんが、金剛さんは何らかのショックを受け、記憶の一部が欠けた状態で、あの島に流れ着いたのかもしれません〜」
「記憶喪失…ということか?」
はい〜、といつものように答える妖精さん。流れでとんでもない情報が出て来たなぁ? でも…何かおかしいような気がする…。
「(…まいっか。妖精さんが嘘をつくとは思えないし?)」
「………」
天龍は僕を見据えながら、険しい表情を崩さなかった…。
・・・・・
露店に行き交う人々に話を聞いていくと、以下のことが分かった。
・艦娘が人を襲うようになったのは最近。
・それ以前から艦娘は「呪われた乙女」と言われ、この世界で忌み嫌われていた。
・更に輪をかけて、要塞内部で人が消失する「神隠し」が発生。
・何故か神隠しも艦娘のせいにされる(呪いだとかなんとか?)
…んー? 神隠しが気になるなぁ? でも皆どことなくよそよそしくて、話聞ける状態じゃないんだよなぁ?
「誰か協力的な人はいないのかなぁ…?」
僕が呟いていると、後ろから声を掛けてくる人物が。
「貴様、何故ここにいる!?」
後ろを振り返ると、深い皺が頑固な印象を与える初老の男性。この声って…まさか門番の人!?
しかし、お爺さんは他の艦娘には脇目も振らず、ある一点を睨みつける。
「何故貴様が…"独眼龍"!」
「……」
独眼龍って…もしかして天龍? 本人も肯定するように佇んでいた。
「何故そう思う?」
「しらばっくれるか! 我が輩の祖国を窮地に陥れた張本人が!!」
「え…どういうこと?」
「小僧、他の娘たちも! その悪魔から離れろ!! …其奴は我が祖国に雇われた身でありながら、反乱分子に寝返りよった! お陰で祖国は崩壊した…貴様さえおらなんだら!!」
「!? どういう意味…?」
僕は頭が真っ白になっていた、天龍がそんな酷いことする筈ない…!
「…そうだな?」
「!? 天龍!」
「アイツ…あの国の間者だったか。あの国は長く独裁政治が続いていた…貧富の差が激しく、反乱分子は貧民が大半を占めた国民たちだった」
「そんな…」
「それを知った俺は契約期限が切れたのを機に、反乱分子に加勢しあの国を崩壊させた。こう言っては非情だろうが、それでも自業自得だと思うがな?」
「貴様…言わせておけば!!」
僕たちだけじゃなく、話を聞いていた他の人たちも衝撃的な内容だったようだ。
「え…アイツらって艦娘じゃ?」
誰とも言えない一言が、お爺さんの目を開かせた。
「何!? ほかの娘たちもか! どおりで平然としておると思いよったら!!」
一気にアウェーな感じになってしまった…睨む群衆とお爺さん、その中心に立たされた僕たち。…まさか気付かれるなんて…潜入は悪手だったか…っ!
「──あらん? どうしたのぉ?」
…っ!? 背中に寒気が……!!?
振り向くと、そこには…?
2mはあろう巨体。
ガッシリとした四肢を露出した短いスパンコールドレス。
無駄に濃い化粧。
極めつけは…CV三宅。
「こ、コバヤシ殿…!?」
お爺さんの方を向く謎の大男「コバヤシ」。
「あらザキさん? こんにちは。ところで…私のお客様に何か?」
「!? き、客だと?!!」
「えぇ、ほら私ドレスコーデしてるでしょ? 最近流行りの「艦娘コーデ」試したいってお客様がね? だから要望に応えてそれなりに見栄えよくしたら「見せびらかしてくる」って聞かなくて…駄目じゃなぁい? あんまり遠くに行ったら危ないからってあれほど釘を刺したのに〜?」
コバヤシさんは舌先三寸と言わんばかりに嘘を真実のように言ってのけた。
「…いやいやアンタ、そりゃないでしょ!?」
「っはぁ、まぁコバヤシさんが嘘つくわけないし?」
「っもぉザキさん、アンタもとんだ早とちりして! 全く…」
民衆もコバヤシさんの人徳か、すんなりと信じていた。開いた口が塞がらないザキお爺さん。
「…コバヤシ殿、このような度が過ぎた悪戯はこれっきりにしてもらいたい! んむぅ、全くけしからん!」
お爺さんは悪態をつきながらその場を後にした。民衆の波もそれに合わせて引いていく…。
「…あ、あの?」
「ここじゃ立ち話も出来ないわ、さぁこっち!」
そう言って、コバヤシさんは僕の腕をムンズと掴むとどこかへ連れて行こうとする。
「わぁ!?」
「テートク!?」
金剛たちも続いていく。…一体なんなんだ?!
・・・・・
僕たちが無理やり引っ張られて、辿り着いた場所は…?
「マーミヤン……っは!?」
お店に出入り口に掲げられた看板「レストランマーミヤン」の文字を見て、はっとする僕。ここって…確か店主(間宮さん)の居ないレストランだった筈…?
「さぁ、入りましょ?」
優しく促され、マーミヤンへと入店する僕ら。出迎えてくれたのは?
「いらっしゃいませー! レストランマーミヤンへようこそ〜!」
可愛らしいフリルの制服に身を包んだウェイトレスさんだ。名札を付けてある…「マユミ」? あぁ! マーミヤンで働く女の子NPCだっけ? そういえばコバヤシさんも…?
なんだかわからないけど、彼らは悪い人たちではなさそうだ、良かった。
「…んー」
それはそれとして、僕にはもう一つ気になることが。
「…っあ、CV早見さん!」
「はい?」
「拓人さん…」
声もそうだけど、栗色の髪の毛に勝気そうな声…まんまレ○アだ! ぅわー好きだったんだよねぇ! 良いチョイス!
「…コバヤシさん、誰この人? 凄く気色悪い目で見てくるんだけど?」
「おっほぅ! (ご褒美)」
「あら? 人は見かけによらないわよ? 私はお客様選びには自信があるの! この子は良い子よ? 成長したらイイオトコになるわぁ〜(うっふん❤︎)」
「ひいぃ〜っ!?」
ウィンクするコバヤシさん、お、おえぇ…悍ましい。CV三宅さんのオカマはキツイって;
「…おい、お前は誰だ? 何故俺たちをここへ?」
天龍が問いかけると、コバヤシさんも軽やかに応じる。
「貴女たち艦娘ね?」
「っ! やっぱり駄目じゃん妖精さん!? さっきから普通にバレてるよ!」
「あれれぇ〜おかしい〜ぞぉ??」
「いや今回は笑いごとじゃ済まないからね!?」
「ううん違うの! …変装としてはまず見破られないんじゃないかしら? 艤装がなかったら普通の旅人にしか見えないし?」
「えっ? そうなんですか?」
「えぇ、でも…そこの眼帯ちゃんが思ってたより有名人だったみたいね? ザキさん悪い人じゃないけどどうにも頑固で…」
「あぁ…」
どうやら天龍が艦娘の中でも有名な部類だったらしいが、コバヤシさんはそれに気付いて、それでも僕らを助けてくれた…何でだろう?
「貴方たち何か聞き込みしてたみたいだけど、もしかして例の"神隠し"について?」
「えっ、いえ僕らは別の要件…というか…似たようなもの、なのかなぁ?」
「あらそ〜ぉ! 実は私たちも色々不審なことが続いてたから、調べてたのよ?」
「…それを手伝え、と言いたいのか?」
ギロリと睨みを利かす天龍だけど、コバヤシさんは怯まず僕たちへの好意を前面に出す。
「いやん❤︎ 怖い顔しないで? …そう言われても仕方ないけど、目的が同じなら私たちは協力できるわ! ねぇ?」
コバヤシさんの言葉に、マユミちゃんも納得した様子だ。
「…うーん? コバヤシさんがそこまで言うなら? それにそこの人…言動が気持ち悪いだげで、顔はカワイイし?」
「ふぁ!??」
「テートクはワタシのデース! ドロボーキャットはシャッタぅデース!!(ぎゅっ!!)」
「こ、金剛…分かったから離して……苦しい」
愛が重い…そんな僕らのやり取りを見たマユミちゃんが、一言呟いた。
「…貴女、何処かで?」
「え?」
「ううん、なんでもない! 気のせいだよねきっと…あはは」
マユミちゃんは自信なさげに言葉を置く、少ししてコバヤシさんが口を開く。
「…じゃ、同盟成立かしら? 提督さん?」
「えっ!? 僕は提督なんて一言も…」
「そこの巫女ちゃんが言ってたじゃなぁい? 私って耳も良いの! うっふふ」
「シーット!?」
「それに艦娘の中に男の子、なんて提督しか思い浮かばないわぁ…あっ、悪いことじゃないのよぉ? 下心見え見えの輩が多いってだけで」
「ギクッ!?」
「…アンタ占い師か何か? スゲェ観察眼だなぁ」
望月も舌を巻いたコバヤシさんの人を見る目、本人はいたって普通だった。
「あら? こんなの当たり前よ? 特に…ここに住むなら、自分で考えることをやらなくちゃ、やっていけないわぁ?」
「…そうなんだ」
「っあら! しんみりしちゃった? あは! ごめんなさい…改めて、私はコバヤシよ、ここでコーディネイト屋をやってるわ!」
「私はマユミだよ! レストランマーミヤンのウェイトレスです! …一人だけど? あはは…」
「ありがとうございます…僕は拓人です、とある事件を調査しに鎮守府連合から派遣されました」
「テートクの秘書艦の金剛デース! よろしくお願いしマース!!」
こうして、僕らは互いに自己紹介を済ませて…この要塞内の異変を調べるために、共同で捜査することになった。
「…あらん? マユミちゃん? あの娘たちは?」
「あぁ、奥で料理して貰ってる。伊良湖ちゃん急の買い出しがあるって二人に任せたみたい?」
「…大丈夫なの? 嫌な予感がするわぁん?」
「大丈夫だと思うけ(ボガァン!)…!? っへ?! 調理場から爆発!!?」
「あらぁん…」
奥からもくもくと煙が立ち上った、広がる煙に思わず咳き込む僕ら。
「…っけほ、いや〜失敗しちった〜☆」
「貴方に火を見ていて、と言った私が愚かでした…」
「いやーそれほどでも〜!」
「褒めていません」
煙が晴れていくと…漫才を披露していた二人の姿が見えた。
金髪の子と…黒髪ロングの子? もしかしなくても…!
「早霜、それにま」
「マイマドレーヌ!?」
まさか僕ら以外の艦娘が要塞内に居たとは驚きだけど…それ以上に。
「っ! ノワツスキー!」
野分にとって、切っても切り離せない娘が登場する…それにしても?
全員「…何て???」
野分の世界観…難読すぎる……;
野分コーデには正直自信ないです、作者はネットで調べただけでセンスあるか微妙です…。
突っ込みたくなったら、遠慮なく言って下さい! (ツッコミ待ち)