艦これすとーりーず ―僕が異世界版艦これの提督になった件について―   作:謎のks

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人と艦娘のどこに違いがあるの?

「あはははは!」

「うふふふふ!」

 

 …開幕お花畑の抱き合い、失礼します。

 

 野分と彼女の友達「舞風」が抱き合いながらくるくる回っている。つまりは絶対聖域構築…YU☆RI☆DA☆

 

 まぁ野分はこの世界じゃ下手な男優よりカッコいいし、元々まいのわは人気だし? いやいやそんなんじゃなくて、今取り込み中だってば!?

 

「あらぁ良いじゃなぁい! 運命的な再会ってことね? 胸が温まるわぁ〜!」

「コバヤシさんそうじゃなくて…もうマイちゃん早く片付けないと! 伊良湖ちゃんに怒られるよ!?」

 

 マユミちゃんが諭すが、二人は自分たちの世界で立て込んでいてまるで聞いていない。

 

「マイマドレーヌ、お久しぶりです! ボクは貴女のひまわりのような笑顔がなくて心細かった!」

「ノワツスキー! また会えてアタシも嬉しい! こんな時は踊るに限るよ〜!」

 

 あはははは〜うふふふふ〜あはははは〜

 

「キラキラしてやがるぜ…ふっ」

「テートクが力無く笑ってマース!?」

「昇天しかけてますね〜?」

「…おい、お前らは付き合っているのか?」

「天龍、時々君が天然に見えるよ…;」

「マドモアゼルテンリュー、ボクらはあの日に別れてから、長く険しい旅をして、再び相見えることが出来た唯一無二の親友(とも)の間柄です。それ以外の何者でもありません」

「だから長いよ…要するに長い間会えてなかった親友ってこと?」

「ウィ!」

「えぇ〜? アタシはそれ以上だけどな〜?」

「舞風待って、それ以上言ったらほんっとうにR-15圏内だからね?」

 

 僕に名前を呼ばれて、少し驚いた様子の舞風。

 

「ほぇ? アタシを知ってるの? いやぁアタシも有名になったか〜☆」

「うん…よく知ってる。君や早霜、金剛たちも…艦娘のことなら、僕はよく知ってる」

「…貴方、面白いオーラをしてますね?」

 

 囁くような声で、神秘的な雰囲気の彼女…早霜が話す。

 

「オーラって?」

「私は占術を嗜んでいます…だから少し「見える」のです、貴方の人柄が」

 

 占いか、何とも早霜らしい特技だが…僕ただでさえ妖精さんに考えが筒抜けなのに、これ以上丸裸にされちゃうの?

 

「貴方は…ある日突然大いなる使命を背負わされた、しかし貴方自身それを実感出来ない傾向にある…違いますか?」

「…え?」

 

 彼女の言っていること、僕は理解している…ただ一つ、理解できないとすれば。

 

「そうだね、僕はこの世界でやるべきことがある。でもそれが実感出来ていないわけでもないよ?」

「…なるほど。失礼しました、出過ぎた真似でしたね?」

「そ、そんなことはないけど?」

「ですが…やはり少しだけ、助言させてください」

 

 早霜はそう言うと、ゆっくりと…まるで僕の「奥」まで伝わるように、彼女に見えている真実を話す。

 

「あなたのそのオーラは、おそらく過酷な環境とは真逆の世界で培われたものでしょう…それは貴方の「優しさ(よさ)」しかしそのオーラは、この先の貴方の運命に立ち向かうにあたっては「枷」となるでしょう」

「…?」

「もし本当に、貴方にこの世界で自身の命運と向き合う覚悟がおありなら…”変わる”ことです、今までの貴方の全てを投げ捨ててでも」

「…あ、うん…ありがとう……?」

 

 早霜がニコリと笑う、すると舞風が早霜の後ろから抱きついてきた。

 

「はやしー、そんな暗いことばっかり言ってちゃダメだよぉ? 皆に改めて自己紹介しなくちゃ!」

「…そうですね? では…私は”早霜”と言います、どうぞよしなに」

「アタシは舞風―よろしっくぅ!」

「金剛デース! それからこっちはテンリューと」

 

 舞風たちと金剛たちが自己紹介をし合っていると、突然ドアが開く。

 

「いらっしゃ…っあ!?」

 

 マユミちゃんが対応しようとすると、驚きの声が上がる。それはドアから入ってきた人物も同じだったようで?

 

「……」

 

 呆然とした様子で僕らを…いや、”後ろ”を見つめると、持っていたビニール袋を床に手放した。…力なくなり落としたって具合かな? あぁ…彼女を見れば僕も解るよ「間宮さんと同じ立ち位置」の彼女だから…。

 

「……っう」

 

 見る見るうちに泣き顔に変わっていく、あ…(察し)。

 

「い、伊良湖ちゃん泣かないで!? すぐ、すぐに片付けるからあぁ~~~!?」

 

 マユミちゃん主導の元、もくもくと黒煙が立ち上るキッチンの片づけが行われる、もちろん僕らも。まぁ…しょうがないよね?

 

 

 

 

 

・・・・・

 

「すみません…気が動転してしまって…;」

「良いんだよ…僕らこそごめん、つい話し込んじゃって…」

「いえ…私は伊良湖と言います、このレストランマーミヤンで「店長代理」をさせてもらっています」

「うん、間宮さんは今居ないんだよね?」

「よくご存じで。…間宮さんから任されたこのレストランは私の…誇りのような……ぅう」

「ご、ごめんね本当。僕は色崎拓人、よろしくね伊良湖ちゃん?」

「…っはい、ごめんなさい。私のことは気にせず、ゆっくりしていってください」

 

 マユミちゃんが泣きそうになる伊良湖ちゃんを見ながら、元凶二人に呼びかけた。

 

「…二人とも、伊良湖ちゃんにごめんなさいして」

「マジメンゴー!」

「失礼しました…」

「あぁ私が頼んだからだけど、反省してよね! 特にマイちゃん!! ホントに反省してる!?」

「ダイジョビダイジョビ〜! ちょっと手が滑ったからだから、次はなんとかなるよん♪」

「なんとかなるわけあるかぁーっ!?」

 

 力強く叫ぶマユミちゃん、是非もなし。

 

「…ここのニンゲンは艦娘に対して、思うことはないのか?」

 

 天龍が当然の質問をぶつける、コバヤシさんは涼しげな態度を崩さず、優しく言葉を返した。

 

「あら、おかしいかしら? 私たちには普通の娘に見えたから…不快に思ったらごめんなさいね? そこの耳長ちゃんも、綺麗なお顔が台無しよ♥︎」

 

 コバヤシさんが眉間にしわを寄せる翔鶴に呼びかけてみるが、翔鶴は言葉を返さず代わりにコバヤシさんを睨みつけた。

 

「ご、ごめんなさい…翔鶴も悪気があるわけじゃないんだけど」

「良いのよ? 女の子は少しくらい気が強い位が丁度いいんだから、ね♪」

「……ふん」

 

 わざとらしく目線を逸らす翔鶴。頼むよ…ただでさえアウェーな状況なんだから、下手に問題起こさないでね?

 そんなこんなで僕が考え込んでいると、早霜たちがここにいる理由を教えてくれた。

 

「私たちは旅の途中で、天候不良に遭いまして。要塞に受け入れられたはいいものの、ご存知の通りあまり住民の反応は芳しくなく」

「だから、泊まるとこもないアタシたちを住み込みさせてくれたいらこっちやまゆみんにはちょー感謝しててさ! だからアタシたちも可能な限りでお手伝いしてるってワケ!」

「そっか…じゃあ伊良湖ちゃんは?」

「私は戦闘向きではないので、艦娘だとは思われてないんです。ここに住んでから、艤装も人前で見せたことありませんし」

 

 なるほど、言うほど迫害されているわけでもないんだ。仕方ない事情がある艦娘たちは受け入れている…か。

 

「良かった…」

「あらん? 貴方って艦娘が好きみたいね?」

「え? …あはは、すみません」

「謝らないで? いいことなんだから。…噂ではね、鎮守府連合の提督の中には、彼女たちをモノのようにしか見てない輩もいるって話だから」

「っ! …そんなの」

「…本当に艦娘を愛してるのね? 良かった、その怒り方は信頼できるわ」

 

 コバヤシさんは僕を試していたみたいだ。僕に謝るとコバヤシさんは僕らに「この要塞で起きている事柄」について話してくれた。

 

「実はね…この要塞の住人たちが、艦娘に襲われたみたいなのよ」

「っ! (情報で聞いた通りだ…!)」

「最近のことよね…鎮守府連合から来たって言う艦娘たちがこっちに挨拶しに来てね? 深海棲艦が急に増えた…というかどこかしこにも現れるようになった要因、かしらね? 彼女たちはそれを調査しに来たと言ってたわ」

「単刀直入に聞くがよ…その調査隊は今どこにいる?」

 

 望月が尋ねると、コバヤシさんは申し訳なさそうにしながら。

 

「…海の上」

「え?」

「海の上で…その調査隊らしい艦娘たちが、海を渡る人を襲うようになったらしいの」

「!?」

「まぁ、幸いまだこの要塞内に被害は出ていないわ。でも私たちも非力な人間、いつ艦娘たちがこの要塞に牙を向けるか気が気じゃないの」

「だから艦娘たちを目の敵にしてるってことですか?」

「それだけじゃないけどねぇ? …ここの住人は行く当てもない難民たちばかり、そして自分たちが難民になった原因である艦娘が目の前にいる、それどころか今度はこの要塞にまで危害が及ぼうとしている。…これだけ聞いたら、誰だっていい気分にはならないわよね」

「………」

 

 艦娘たちは揃って口を噤む。コバヤシさんは少し心配した表情になり訂正する。

 

「…でもね? 誰しもが艦娘を憎んでいる訳じゃないの。…本当は皆分かってるの、私たちと姿形が何も変わらない貴女たちを恨んでも、何も変わらないことは」

「…うん」

「言い訳にしか聞こえないでしょうけど、今はこれで我慢して頂戴ね? …でも、貴女たちのことを頭ごなしに軽蔑するどうしようもないヤツもいるけど」

「え? それって…?」

「…艦娘たちを「悪」と決めつける差別者…アレが事態をややこしくしてるのかもね?」

「…!?」

 

 僕らがコバヤシさんから聞いた言葉は、平和な世界に居た僕からは到底信じられないことだった…。

 

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