艦これすとーりーず ―僕が異世界版艦これの提督になった件について― 作:謎のks
配点、オナシャス!
僕らは、かつて魔鉱石採掘に使われていた坑道にて、天然の魔鉱石を見つけた。
魔鉱石の魔石への加工は単純なものらしく、放っておいたら危ない(それでも魔術を使えないとただの石と変わらないらしいが?)ので、僕らは坑道ごと魔鉱石の爆破、坑道の封鎖を決める。
しかし…ここから急展開、なんと坑道の奥で山のような巨大魔鉱石を見つける、それは僕らを襲った黒幕の所有物らしく、黒幕はロボットを差し向け、これを見た僕たちの抹殺を図る。
その中で、行方知れずだった調査隊の艦娘たちが姿を見せる…黒幕に操られた形で。
大混戦の中、僕らはなんとか調査隊を助けたんだけど…黒幕には、巨大魔鉱石を持ち去られ、逃してしまう。…でも、事態は進展した…と言っていいだろう。
・・・・・
僕たちは手近な小島で休憩を取りながら、鳥海たちに事情聴取を執り行う、ついでに加古たちとも情報交換する。
…本当は望月に聞きたいことがあるんだけど、今はそれどころじゃない、か。
「…あのヤローのシッポ掴んだってワケ?」
加古は単刀直入に結論を言う。間違っていない、僕らを幾度も襲って来た黒幕。その目的の一端を垣間見た。
「アイツは…金剛を狙っている、僕たちの金剛を」
「おおっと…」
「…正気なの?」
「まぁ選ばれしおふたりさんにも言いたいことがあるだろうが…先ずは大将の見解を聞こうぜ?」
望月に促される形で、僕は黒幕の動向を推察する。
「まず、ハジマリ海域でアイツがレ級やスキュラを差し向けた理由…やっぱり金剛を狙っていたんだ、ただ僕らは邪魔でしかないって言っていたから、金剛以外のメンバーの排除も兼ねていたみたいだ」
この辺りは天龍から聞いた情報と一致する、ヤツと戦って改めて認識した…あの巨大な魔鉱石が何を指しているのかは、まだ分からないけど。
「どういうことでしょうかコマンダン、マドモアゼルコンゴウは普通の艦娘…ではないのですか?」
「そっか、君たちには言ってなかったっけ? 簡単に言うと金剛には凄い力が眠っているんだ、ほら、スキュラを撃破したあの時の」
「つまり黒幕は、姐さんの力を狙ってる…つーことだぜ」
「! Oo…c'est incroyable……」
「………」
野分や綾波にも、金剛のことを共有する、流石に「ニセモノです」とは言わないけど?
「…あ」
「どうした大将?」
「今思い出したんだけど…黒幕はただ金剛の力を狙っているとは思えない、そうじゃなきゃ…「あの時の行動」に整合性がない」
「…あの時ってのは?」
「僕らがトモシビ海域に来た直後に、ヤツが金剛と翔鶴に海魔石の光を浴びせた。でも…何故か「金剛だけ」なんともなかったんだ…横で憎しみに囚われた翔鶴のようになるでもなく、鳥海たちみたいに気絶するでもなく…平然としていたんだ。それを見てアイツは「まだか」って?」
「!? 何でそれを早く言わねぇんだよ大将!」
「ごめん…すっかり忘れていて」
「…どういうこった、それって結構重要じゃねえか?」
「僕もそれが何を意味しているのか、正直分からないんだ。でも…これがアイツが金剛をつけ狙う理由に繋がる…かも?」
「かもってなぁ…」
「モヤモヤするなぁ〜」
「…そういえばよ、去り際にアイツが何か言ってたよな? …「世界の終わり」だとか何とか?」
望月の不意の一言に、僕らは戦慄する。…対峙したからこそ分かる「アイツならやりかねない」という確信に似た感情。
「…加古、この言葉の意味に心当たりは?」
「え? んー…すまん、だがカイトなら何か知ってるだろうぜ?」
「そっか…うーん、今のところの情報じゃこれが限界か…」
「しっかし、アンタも厄介ごとに縁があるねぇ?」
加古に言われて頭を掻く僕、否定できないしね?
「…そんで、今度はアンタたちだ」
加古が鳥海に向き直る。鳥海は…何かを覚悟した、ひどく緊張した面持ちだった。
「…この度の不祥事は、紛れもなく調査隊隊長の私の、不徳の致す所です」
「ほぉ…どんな罰も受ける…って?」
「はい…私だけならどんな処罰も受け入れます。ですが…あの娘たちには…!」
鳥海が言葉一つ一つを、歯を食いしばりながら綴る。後ろの吹雪たちも彼女を心配そうに見つめている。
「…ねぇ加古?」
「あん? …わーってるよ、ちょっと脅かしただけさ?」
僕が加古に問いかけると、はにかみながら笑顔になる。
「事情云々もあるし、今回のことはアタシたちがカイトによく言っとく。ただ…あんま期待すんなよ?」
「っ! …ありがとう……ございます…っ!」
感謝の言葉を口にする鳥海は涙に濡れていた。吹雪たちも涙目になりながら安堵の表情になっていた。
「…良かったね?」
「ありがとうございます…貴方たちには、感謝してもしきれません…!」
「良いんだよ。それより…操られた時のこと、覚えてる?」
僕は鳥海に、他に黒幕に繋がる情報がないか問うが…?
「…申し訳ありません。あの時の私たちには、意識と呼べる精神はなく、自分たちが何をさせられていたのかも…」
「そうか…」
「まぁ大方あのポイントに近づけさせねぇように、周辺の漁船を威嚇してたんだろ?」
「僕らはたまたま彼女たちに遭遇してなかったから、あの廃坑に近づけた…ってことか」
「あぁ…しかし、あのヤローがあのバカデケェ魔鉱石を何に使うか、それがアタシは気になるがね?」
何にしても、調査隊は無事に帰って来たし、黒幕の思惑も…少しだけ見えた、でも見える見えないじゃ結構な違いだし?
「あとは、要塞の皆の誤解を解ければ…」
「ソイツは諦めた方がいいぜ大将、あの要塞のヤツらは元から艦娘を忌み嫌っていた、それが今回の件でどうしようもないぐれぇ根深いものになっちまっただけだぜ」
「…そうか、こればかりは仕方ない……ん?」
まてよ…そういえばあの人……! まさか!?
「ん? どうした大将?」
「…戻ろう、要塞に」
「……ん、分かった。加古、長良、後頼むわ」
「あぁ、気をつけてな? …ところでタクト、少し見ない間に引き締まった顔になったな、ちょっと嬉しいぜ?」
「また何かあったら、いつでも呼んでね!」
「…タクトさん、本当に、ありがとうございました」
「うん、皆…またね?」
僕はある確信に似た感覚を要塞の皆に伝えるべく、加古、長良、鳥海たちと別れる…。
アキちゃんたちと合流し、僕らはマーミヤンへ急ぐ…。
・・・・・
マーミヤンで全員を集めた僕は、先ず廃坑で起こった出来事、その中で見つけた黒幕の目的…金剛のことを話す。
「…私が、狙われている?」
「…だろうな」
「貴女は知っていたのね、天龍?」
翔鶴の問いかけに頷く天龍。
「あぁ…ヤツの狙いは特異点…タクトと金剛だ、まだ推測の域でしかなかったが…答えが出たのだな?」
「うん。…それと、もう一つ分かったことがあるんだ」
「あら、何かしら?」
コバヤシさんたちが僕の回答を待つ、僕は…一息吐いて、重く口を開いた。
「黒幕は艦娘を忌み嫌っている、更に彼女たちを「ガラクタ」呼ばわりしていた」
「そんな…でも、それがどうしたの?」
「マユミちゃん、君たちの周りにいるでしょ? …もう一人、理由もなく艦娘たちを糾弾していた人物」
「っ! それって!!」
「神父…あの男がそうだということね、タクトちゃん?」
コバヤシさんはニッと口角を上げると、僕は肯定の頷きを返した。
その意図は…ローブの男、廃坑のロボット、そして神父。ヤツらが「同一人物」かもしれない…ということ。
「大将、ソイツは?」
「確証はない。でも…もしヤツに、まだ明らかになっていない何らかの目的があるとして、艦娘を隠れ蓑にして、住人たちの注意を逸らしているとしたら…?」
「ん、んん? んーー? アタシ馬鹿だからわっかんないよぉ???」
舞風の頭にクエスチョンマークが羅列する、他の娘も理解出来てない感じなので、順番に説明していく。
「神父がこの要塞に姿を見せたと同時期に、艦娘たちがおかしくなった。艦娘たちはあの廃坑に近づく者たちを攻撃するよう命令されていた…だとしたら、神父の言い分にも説得力が出来るでしょ?」
「神父は艦娘や連合を頭ごなしに否定して、それをさも真実のように語っている。…普通は信じない人が多いでしょうけど、人を襲う艦娘という事実を土台にした上で語ると、なんて慈悲深いお方、と賛同する声が多くなるでしょ?」
僕とコバヤシさんの推理に、舞風は得心のいった顔になる。
「なるほど! じゃあ黒幕は神父だったのか! アタシたちをナイガシロして自分の目的のために利用してたんだ! っつぁー! なんでヒドいヤツ!?」
「舞風さん、確かにそういうことなのですが、まだ不明な点があります」
早霜が舞風を諌めながら、この推理の問題点を指摘する。
「まず、黒幕が神父と仮定して、何故神父として要塞の住人たちを
「確かに…あの廃坑で何かしていたにせよ、住民たちも危なかったら近づかないようになるだけだし。わざわざ危険な存在だー! って言う必要あるかなぁ…?」
早霜の言葉に、マユミちゃんも賛同する。けど…僕はどうしてもそう思えない理由があった。
「じゃあ…そこに「神隠し」が加われば?」
「えっ!?」
「金剛たちの情報によれば…神隠しに遭った人たちは、皆神父の教会に通っていたんだ。だよね?」
「は、ハイ。皆さん神父を信じ切ってマシタけど、夜中に神隠しの被害者たちと神父が、一緒に出歩いている姿を見た、ッテ…」
「それは、私たちも聞いたけど…」
「これは完全に予想だけど…神父は被害者たちをどこかに連れ去って、艦娘たちを利用したみたいに、自分の思惑に加担させようとしているんじゃないかな?」
「つまり、艦娘を利用したプロバガンダは、神父に絶対的信頼を寄せた被害者たちを、何事かに利用するため…」
「…なるほど、筋書きとしちゃ上出来だ。しかし大将? やっぱ証拠ってヤツは必要だぜ? あのヤローが何をしているにせよ、そうだと言える確たる根拠がなきゃただの妄言だぜ?」
確かに…望月の言う通りだ、推測だけじゃ何を言っても仕方ない。
「そう、だから…
「…!?」
僕の衝撃の一言に、その場の全員が固まった。