艦これすとーりーず ―僕が異世界版艦これの提督になった件について―   作:謎のks

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 あなたのハート、ブチ折るZO☆

 …はい。

 今回も例のごとく展開早いかもです、すみません…。


それでも、絶望は押し寄せる。

『コノモウジャタチヲウンダ、ソモソモノゲンインハ…トクイテン! オマエガコノセカイニコナケレバ、コンナコトニハナラナカッタ! オマエガ、オマエジシンガ! ココニイルスベテノモノヲ…コロシタ!』

「……っ!」

 

 その言葉から、僕の脳裏に過去の僕自身の言葉が再生される──

 

 

 

『──だって何十年も前の話だよ? 彼女たちは「ゲームのヒロイン」で現実に疲れきった僕たちに癒しを与えてくれるんだよ? それで良いではないですか。他にどう解釈しろって?』

 

『あぁ、こんな過去のしがらみだらけの世界なんて、もういい加減頭がおかしくなりそうで…もういっそ「別の世界」に…』

 

『過去のしがらみがない、超ファンタジーチックな「ザ・異世界」で! あ、ちゃんと艦これ要素を取り入れて下さいね? 秘書艦は金剛で!』

 

 

 

「………そ…そんな…」

 

 あまりの恐ろしい真実に、僕は膝をつき…絶望する。

 

 僕が…僕がこの世界に……来なければ…! 皆……ここにいる皆を…僕が………っ!?

 

「テートク!? しっかりしてくだサイ! …お願い、しっかり!」

 

 金剛が必死に呼びかけるも、僕は魂が抜けたようにその場から立ち上がれなかった。

 

「………」

「テートク…」

『フン、リカイシタカ。オノレガザイニンデアルコトヲ。オマエハ…オマエトカンムスハ、コノセカイニヒツヨウナイ、ガラクタドウゼンノソンザイヨ!』

「…っ! 黙りなさい!」

 

 金剛は立ち上がり、僕を庇うように黒幕に啖呵を切る。

 

「どんなことがあっても、世界にいらない存在なんてない! 私は…私たちは守るために生まれた。愛する人を…世界中の力のない人たちの代わりに、私たちは戦うの!」

 

 金剛の信念が込もった言葉。しかし黒幕はまるで意に介さないような言葉を返した。

 

『…ソウダ、イカレ。"イカリ"コソガ…オマエヲ、オマエタラシメル"シルベ"トナル』

「えっ…?」

『ソォラ…ソノイカリヲ……モットカイホウシロ』

 

 まるで誘うような口調で囁くと、ロボットの胸部が開き…紅く爛々と光る鉱石が露出する。

 

「! 海魔石…っ!?」

「姐さん、対抗策Aだ!」

 

 望月が叫ぶと、金剛たちは懐からサングラスのような黒塗りの眼鏡を取り出し、狂光を防いでみせた。

 

「アタシ特製の魔光遮断メガネさ! 目に入りさえしなきゃこっちのモンだ!」

『ホウ…タダ"コケツ"ニハイッタワケデハナイカ』

「へっ! 切り札を切ったテメェを呪いな! …ベベ!」

『ゴアァーーッ!!』

 

 ベベの虚をついた強力な一撃、巨腕が黒幕の腹部に向かい殴り抜け、吹き飛ばす。

 

『…ヌゥ!?』

「タダじゃ済まさねぇ。お前は…お前だけは……っ!」

 

 望月、金剛が臨戦態勢で黒幕と対峙する。…しかし。

 

『……フ、フフフ………フハハハハ!!』

「!?」

『"有智高才(ザ・ジーニアス)"! ミゴトダ…オマエハホカノガラクタヨリヨホド"ユウヨウ"ダ。サスガニミトメヨウ』

「テメェ…!」

『ダガ…タトエキサマダロウト、コレカラオコル”ジョウキョウ”ヲクツガエセルカナ…?』

「何…?」

『キリフダトイッタカ…フッ、キリフダトハ、サイゴマデミセナイモノダ…!』

 

 黒幕はそう言うと、真ん中が開けた手のひらから何かを取り出す…石?

 その時の僕は、意識も朧気だったからはっきり覚えていないはずなんだけど…そのちいさなちいさな石は不気味なほど明るい「緑色」だったことを覚えている…。

 

「…っ! なんだそれは…?」

『フッ…マダシサクダンカイ、ダガ』

 

 その石を握りしめると、石から妙な霧が…黒い霧……これは…まさか。

 

「…っ! 皆逃げて!!」

 

 まるで弾かれるように意識を無理やり呼び覚まし、僕は無意識に叫んだ。…しかし虚しいかな、霧はどんどん空間に広がっていく…。

 

「…っ!? こいつは……っ! っげほ、げほ…!」

「なにコレ…力が……抜ける…!?」

 

 霧に侵された艦娘たちは、力を奪われて…さっきまで力強く立ち上がっていたのに、膝をつくか、立つのもやっとといった虚脱状態に陥ってしまった。

 

『ゴ…ゴ、ガ……』

 

 ベベまでもが行動不能となり、目から光が消えその場に棒立ちとなる。…この霧は、簡単に言うと艦娘を無力化する効果があるんだ。まさかこんなところで…!?

 

『…ドウヤラ、セイコウノヨウダナ? デハ…サラニダメオシダ』

 

 ここぞとばかりに、黒幕は胸部を開けると…海魔石を露出させる。

 

『サァカイマセキヨ。ゴチソウダ…ゾウオヲクライ、ソノセンコウデ”シンジツ”ヲ…テラセ!』

 

 海魔石が周りに漂う黒い霧を吸収。その紅い光は、石炭をくべた炎のように煌々と強い光を放つ。

 

「…っぐ!?」

 

 ──なんだ…?

 

 視界が…ぐらつく…意識が…遠のく……何かが…僕の知らない……ナ…ニ…カガ…!?

 

「…ぐ、っぐぁあああ!!?」

「っ! テートク!!」

「大将! 予備のメガネ渡しただろ?! 早く着けろぉ!!」

 

 望月に渡されたメガネ…僕はかき混ぜられた頭で思考しながら、懐からメガネを取り出しかけようとする…!

 

『フンッ』

 

 しかし黒幕がそれを許さない。ロボットから発射されたレーザーが…手元のメガネを壊した…っく、だ、駄目だ…本当ニ…いシキが…!?

 

「テートク!?」

『ドウスル? ハヤクシナイト…オマエノテイトクハ、コノママクルイシヌゾ?』

「…っ!?」

「ッガ!? …ッァアアアアア!!?」

 

 ──強力な海魔石の光は、人間である拓人の心まで蝕もうとしていた。

 

 金剛は考える、拓人の下に駆け付けたいが、後ろでもがき苦しむ拓人に近づくだけの「力」が、今の彼女にはない。…震える手で、彼女が行った行動は…。

 

「…これを…っ!」

 

 自らがかけていたサングラスを拓人に向かい投げる。無我夢中でそれを手に取る拓人。…段々と、意識がはっきりとしていく。息を整える拓人を見て、一安心する金剛。

 

「良かった…」

…ハズシタナ?

「!?」

『マッテイタゾ…コノトキヲ!』

 

 黒幕は金剛の隙を突いて近づくと…ゼロ距離で海魔石の光を浴びせた。

 

「しまった、姐さん!?」

『サァアイカレ! オマエノシンノチカラヲ…トキハナテ!!』

「…っ!」

 

 心臓が一際強く跳ねる音が鼓膜に響く。

 

 しまった…金剛はそれだけ思うと、強制的に意識を手放した。

 

「ぐ……ぐぉおああああああああああああ」

 

 その天を衝く狂声は、その場にいた彼女の仲間たちに絶望を与えるものだった。

 

「あ…アが……ガァアアアアアアアアア!!」

『フ…フ、フフフ……フハハハハハ! ツイニテニイレタ…”器の乙女”ヨ、オマエハ…ワタシノモノダアアアアアアアア!!!』

「金剛…そんな……!」

 

 …拓人の心の中には、様々な感情が入り乱れていた。

 

 絶望、恐怖、罪の意識、怒り、悲しみ、神に祈るほどの意志の放棄。

 

 それらは確かに拓人たちから立ち向かう覚悟を奪っていた。目の前で吠え猛る獣に成り果てた金剛が、それを象徴するように存在する。

 黒幕は、海魔石の光により怒りに囚われた、もしくは意思を無くした艦娘を操れるようだった。それがどのような方法によるものかは分からないが…あの時狂った翔鶴のように、獣となった金剛に、自分たちを殺すように黒幕に命じられれば、それこそ打つ手がない。…もはや、成す術はなかった……。

 

「…どうしてこんなことに…誰か……助けてよ…っ!」

 

 拓人には、天を仰ぎひたすらに祈ることしか、出来なかった……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──任務、開始。

 

 

 

 

 

「…ガッ!?」

 

 天から獲物を刈り取る猛禽類の如く、暗闇の空中から急降下する…二刀の牙を携えた無法者。

 

「…シッ」

 

 バツの字に構えた得物を切り払うが、瞬時に気配を嗅ぎ取った金剛には即座に避けられた。

 

『ッ! キサマ…カクレテイタトイウノカ』

 

 黒幕が憎らし気にいうも、「天龍」は…獣と化した金剛に目を向け、視線を一切逸らさない。

 

「ぐうぅぅうううう…!」

「………」

 

 拓人は…九死に一生を得た気分だった。天龍なら…彼女ならこの状況をなんとかしてくれる。そう思っていたが。

 

「なるほど、これがお前の目的か。用心して物陰でやり過ごして正解だったようだ」

「…天龍?」

 

 天龍の様子がおかしいことを感じ取る拓人、発せられた声は低く冷たく、いつもの温かで人間味ある彼女ではなく、まるで鋭い爪を研ぎ澄ます"獣"のようだ。

 対峙する黒幕も別の意味で異変に気づき、天龍に対し抱く疑問をぶつける。

 

『キサマ…ナゼヘイゼントシテイル? コノカイマセキノヒカリハジュウライノ「ゴバイ」ノノウドノハズ、ニンゲンデモクルウトイウノニ…』

「それは誤算だったな。俺は…()()()()()()()

『ナニ…ッ!?』

「さて…これより任務を遂行する。ターゲットは金剛…目的は生け捕り、もしくは…」

 

 ──抹殺。

 

「…っ!? そんな…天龍」

 

 拓人は今しがた聞き取った言葉が天龍のものとは思えない、信じられないでいた。

 仲間を第一に考える彼女、その行動に一切の矛盾もなかった…義に篤い戦士だと信じていた彼女の衝撃の一言に、ただでさえ絶望に打ち拉がれている拓人には受け入れ難いものだった。

 だが…拓人の声に反応した天龍は振り返ると…今までの彼女からは見たことのない、冷たい視線と無情の顔で彼を睨みつけていた。

 

「…っ!?」

「邪魔をするな。…任務の遂行の障害は、誰であろうと容赦しない」

「…天龍」

「分かったら失せろ。…そこの役立たずと一緒にな」

「…っ! …分かった……」

 

 拓人は言われるまま、望月に近づく。…()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 全身が虚脱していた彼女を抱えると、そのまま背を向ける。

 

「大将…駄目だ、戻れ…!」

「………」

 

 望月の制止を無視して、拓人は駆け出していく。…最愛の人と最高の相棒を残して……。

 

 

 

 ──それは、彼の"世界"が崩れ去る間際のことだった。

 

 

 

 ──To be continued …

 

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