艦これすとーりーず ―僕が異世界版艦これの提督になった件について― 作:謎のks
結構長く「4分割ぐらい」になりましたが、楽しんで頂ければ幸いです。
…色々詰め込みすぎちゃったかな? テンポの早さを売りにしようと思ってるのに(本音)。
でもボスは巨大な怪獣悪魔って決まってるよね! (迫真)
「コイツはなにがどうなってんだ!?」
突如現れた天空に舞う巨大な何かを見つめる少女たち、それは、かつて少女たちが対峙した「機械仕掛けの怪獣」であった…。
『Kieeeーーーッ!!』
鉄翼を羽ばたかせながら、空を飛ぶ機獣と呼ばれる獣。その羽根とはねの間から、なにかが落ちた。…キラキラと輝く光の玉、その正体は。
──ブゥンッ!!
空間を破壊する「圧縮エネルギー式破壊弾」が雨あられと降り注ぐ。
球体型のエネルギーがふわりと下りたかと思えば、建物や地上に付着した途端に巨大なエネルギーフィールドを発生させ、そこにあったナニモノをも飲み込み、後には何も残らない。穴だらけとなった百門要塞の街は正に「凄惨の極み」であった。
そんな変わり果てた街並みを見つめる望月たちは、空中を我が物顔で飛び回る機獣を捉えていた。
「あの機獣…地下から出やがったか? っく、大将たちは無事だろうな?」
「望月さん…貴女はもう少し休まれた方が」
よろよろと体を起こしながら空を睨む望月に、早霜が提言する。
「ばっかやろう、こんな時に休んでられないよ。…っ」
「…休息」
言いながらふらつく望月の身体を支える綾波。
早霜と綾波は地下でレ級と激闘を繰り広げていたが、レ級が後退したと思いきや、そのまま身を翻し逃走した。
何事かと勘繰っていると、地下から地上に向けて大きな地響きがする。その衝撃で跳ね起きた望月に急かされ様子を見に地上へ赴くと、まさに地獄絵図が広がっていた…ということ。
「すまねぇ、だがもう寝てられねぇ。大将たちがアタシの分まで頑張ってんだ、こんなとこでカッコ悪いとこ、見せらんねぇと思ってさ」
「気概は理解しますが、あの奥で何事かに巻き込まれたのは事実。貴女は十分役目を果たしたと、私は考えますが?」
「…同意」
望月のやる気を制し、早霜と綾波は彼女に無理はするなと言う。…と、その時である。
「(ヒュッ)そんな気概があるとは、お前らしくないな、望月?」
「いやアタシだって空気ぐらい読め…は?」
「なっ!?」
「…!」
声のする方角に振り向く三人、そこには「いつの間にか」天龍と拓人がいた。
「て、天龍?! いつからそこに、っていうかどうしたその格好?」
三人はそのシルエットから天龍と分かったが、いつもと違う服装、何より雰囲気もどこか柔らかで、少し戸惑いが隠せなかった。しかし天龍は。
「"いめちぇん"だ」
「…えぇ」
真顔でいつもとはまた違った回答(ボケ)をする。思わず言葉が止まる望月だったが…不意に拓人の方を見る。
「……」
天龍に"お姫様抱っこ"される拓人、両手で顔を隠して羞恥心を表す。
「…大将どした」
「何も聞かないで…」
「(天龍)この方が早かったからな」
「何も言わないで…」
「消え入りそうな声で何言ってんだ? …ってか姐さんどうした?」
「金剛なら、近くの木陰で休ませてある。大分ボロボロだったからな」
「そっか…」
言いながら拓人を下ろしている天龍を見つめる望月。望月の顔は怪訝であったが、その実は納得していた。
どこか張り詰めた空気を纏っていた天龍であるが、目の前の彼女はそれが薄れている。この短期間でこの変わりようは…彼女が耳にしていた「特異点の能力」と合致していた。
「…やっぱスゲェな、大将」
「…?」
「いんや。…それよかあれ、どうする?」
「放ってはおけん。ヤツをこのままにすれば住人に被害が出る」
「…そうだね、でも…」
拓人は空を仰ぎ機獣…「セイレーン」と呼ばれた怪獣の様子を見る。
セイレーンは辺りを旋回しながら所かまわずエネルギー爆弾を落としている。一見ファンタジーチックだが、見方を変えれば(言い方が悪いかもしれないが)「拓人の元居た世界」の空襲もあんな感じだったのだろうか…。恐ろしいことだ、拓人は胸中でそう呟いた。
そして、破壊され尽くした地上はもはや悠長にしていられる時間は限られている、住民の安全を考えなければならない。
「ヤツが攻撃を加えているあの区画は、幸い人通りの少ない無人地帯のはず。だが…ヤツがそれに気づくのも時間の問題か」
「よし、先ずは翔鶴たちに連絡を取ろう、住人を安全な場所まで避難させないと…僕たちは、あのセイレーンってヤツを止めないと」
「分かった、早霜。頼めるか?」
「承知しました、通信機で舞風さんたちに呼びかけてみます」
拓人の指示を天龍が滞りなく回す。二人の迅速な行動が、別行動をとっていた翔鶴たちにも伝わった(ついでに地下で起こったことも全て伝えた)。
『了解。なんとかしてみるわ』
『住民の避難を最優先ですね、流石ですコマンダン! ボクもやってやります!』
『住人の説得はまゆみーたちに手伝ってもらうから、こっちは任せて! ダイジョブだよー多分!』
「よろしくね皆、それから…マユミちゃんに「約束を果たせなくてごめん」って伝えてくれる?」
『うん? まぁいいよーりょーk…っわ!?』
『タクト? 私マユミだよ! 皆のために頑張ってくれてありがとう!』
「マユミちゃん…でも聞いてたでしょ、神隠しの被害者たちは、もう…」
『タクトは何も悪いことしてないもの、悪いのは全部黒幕だよ! いい?』
「…っはは、ありがとうマユミちゃん」
『ううん! 住民の避難だよね、任せといて! コバヤシさんも呼んでくる!』
マユミの朗らかな声を最後に、通信は終了した。翔鶴たちの連絡は取れたとして、後は…頭上を飛び回る怪鳥をどうにかするだけ。
「さて…でどうしようか? 相手空飛んでるけど?」
「どーにかして地上に降ろさにゃならんだろ」
「しかし…方法が見当たりません」
「…難航」
上空を飛ぶセイレーンを打破するには、自分たちも空を飛ぶか、はたまた対空攻撃が出来る人物を連れてくるしかない。…しかし今のメンバーでは該当者がいない。砲撃という手段もあるが、遥か彼方の敵に対しては射程が届かなかった。
金剛だったら、跳躍一つでセイレーンに近づき、拳一つで大人しくさせるのだろうが…今はその彼女が居ない、拓人は頭を悩ませた。
「俺がなんとかしよう」
…と、ここで声をあげる天龍。もちろんその自信のある回答は、その場のメンバーを驚かせた。
「…いやいや、どうすんだよ?」
「あのぐらいの高さなら、俺が跳躍して近づけるだろう。そしてヤツに迫れば…俺の剣でヤツの首にあるコアを切り取ることが出来る…筈だ」
「はずって…天龍アンタそんな当てずっぽうなこと今まで言ってたか?」
セイレーンの首元に見える球体型のコアを指しながら言う天龍だが、あまりのざっくばらんとした話に、望月が思わず突っ込んだ…が。
「…うん、いいね。やろう」
拓人は天龍の提案に賛成した。
「大将まで…」
「天龍は本当に強くなった。それこそあの逃げ回る黒幕に一矢報いたほどに」
「そ、それって、あのしぶといロボットを倒したっつーことか!?」
「なんと…」
「…流石、ですね? ふふ」
「(望月)えっ、綾波?」
「そうでしょ? だから…僕らは天龍が立ち回りやすいように、サポートしたら良いと思うんだけど、どう?」
「…それしかなさそうですね、分かりました」
「了承」
「え、おいおい。何なんだよこれ、アタシが眠ってた間に何が!?」
拓人たちの語らずとも分かるといった具合の自然なやり取りに、その間に倒れていた望月は混乱していた。
「…信じてるよ、天龍」
「ああ…だが金剛みたいな強さは、流石に期待するなよ? 跳躍は可能だが問題はそこからだ」
「分かってるよ。へへ…」
「ふ…」
談笑しながらお互いの信頼を確かめる二人…だがして、時はそこまで迫っていた。
遠くの方で爆発音と怪鳥の鳴き声が聞こえる、そして…住人の悲鳴らしき声が聞こえた瞬間、拓人たちは誰ともいわず走り出す。
「…行くよ、皆! 海の上じゃないけど…抜錨だ!」
「応!」
「はい!」
「了承!」
「ま、待てよ! …っくそ、べべをとりあえず呼び戻して…ついでにアイツらにも連絡…っあ、おい! ぁあー! アタシの出番残しとけよなー!?」
望月の誰とも言わない要求は、果たして聞き届けられるのか…現時点では、誰にも分らないことだった…。
・・・・・
「…っ!」
街から離れた、要塞内に根付いた唯一の自然。森林が生い茂る小高い丘の上、巨大な樹木の下で眠っていた金剛。
目を覚ますと、遠くの方に見慣れない怪物が暴れ回っているのが見えた。
自分は眠っていたのか、確か拓人たちと一緒に黒幕と対峙して…そして?
「……行かなきゃ」
頭が理解を完了するより先に、金剛は体を動かしその場へ向かおうとしていた。朦朧とする思考で考える、きっとあそこに拓人たちがいるはず、そう信じていた…だが。
「…っあ!?」
力なく茂みに身を倒した金剛。
体に力が入らない。そういえば格好が傷だらけのボロボロになっている、なにかがあったことは間違いないが…しかしこの体では、いかに金剛といえど戦うのは難しかった。
「っ! …くそ……っ!」
倒れたまま拳で草を握りしめ、空を睨みながら歯を食いしばる金剛。自分が行かないといけない、彼女はそんな意識に駆られる。
皆を助けたい、助けなければならない、私が行かなければ…皆「死ぬ」そんな根拠のない考えが、金剛を支配していく…。
「これこれ、そんなとこで寝そべってどうした?」
後ろから声が聞こえる、チラリと見やると「一人の老人」が立っていた。
だが金剛はその質問に回答しなかった。体力のない今、自分に残された力のありったけを、あの飛び回る怪獣にぶつけなければならない。そう考える彼女は、這ってでも街に向かう意思で、草を掻き分けながら体を滑らせ無理矢理進んでいく。
「…やめなさい」
老人は傷だらけの、それでもなお戦おうとする金剛に、優しく諭すように言いながら彼女の頭にそっと手を置く。
「…っ!」
「そう睨むな。なんの因果か分からんが…ここはもうお主の戦うべき場所ではない。ワシらは「過去の亡霊」じゃ、この時代の未来は…あの子たちに任せるべきじゃ」
金剛には、その言葉が何を意味しているのか理解できなかった。それどころか意識が遂に暗闇に沈みそうになる。
「…い…と……」
静かに愛する人の名前を呟くと、彼女はそのまま意識を手放した──
──ように思えた。
「──……」
再び意識を取り戻したかと思うと、あれだけ死に体だったのに何事もないようにすっくと立ちあがる。
「相変わらずデスね、シゲ」
老人…シゲさんをまるで知己のように呼ぶ彼女、シゲさんは特に驚きもせず納得している様子だった。
「懐かしい呼び名じゃ…やはりお主か」
「Yeah…と言いたいのデスが、事は貴方が思っているほど Too easy というワケではありまセン」
「ほう…?」
「今彼女は「眠っている」のデス、こうして貴方と話せるのも、少しの間だけでショウ」
「…そうか、そういうことか」
改めて合点のいったシゲさんだったが、金剛ではない謎の人物になおも追及する。
「ならばお主は、このまま皆を助けに行くのか?」
…その問いから少し間が空き、思案顔だった女性の答えは。
「止めておきまショウ。貴方の言う通り、今の時代に我々が出る幕はないデス。頼もしい「後輩」もいることデスしね?」
「そうか…ちなみにその娘には、何も言うとらんのか?」
「…いずれ彼女たち自身が答えを導くはずデス。それまでは…ワタシは彼女たちの障害であり続けマス」
女性の横顔を見つめるシゲさんは、どこか満足げだった。
「相変わらずの自己犠牲じゃな、安心したわい。カッカッカ!」
豪快に笑うシゲさん、女性も変わらない老人に対し微笑みを向ける…いや。
「少し老けたせいか、いらない貫禄が出てマスねぇ? あの少年特有の初々しい感じが良かったデスのに」
「誰だって年とりゃこのぐらいは変わるわい、亀の甲より年の劫とな? カッカッカ!」
「ふふっ…!」
まるで長年共に戦場を渡り歩いた「戦友」のような、温かな会話を交えながら、かつての英雄たちは次代の戦いを傍観する。
「さぁ共に見守ろうではないか、あの戦いでワシらが守ったものが、間違いではなかったことをな」
「ええ…」
果してこの百門要塞の戦いの行方とは…?