艦これすとーりーず ―僕が異世界版艦これの提督になった件について― 作:謎のks
「僕が提督になれないって…?」
僕が困惑していると、妖精さんが言い直す。
「ああ、すみません。そういうことでなくて…「正式な手順が無ければ」なれない。ということです~」
「え? どういう事? 僕提督になれたんだよね??」
「えっと、順を追って説明しますね? この世界には「鎮守府連合」なる提督たちの連盟があるのですよ~」
「は!? 何それ!!?」
「先程話した通りこの世界でも争いがありました。その名残として提督たちは団結して世界を守っていこうと…連合を結成し、イソロクさんに代わって艦娘たちを率いることとなりました」
「それは何となく分かるけど…?」
「しかし、海魔が強大だったのか艦娘を造る技術が尋常でなかったのか…とにかく数多の艦娘は世に溢れ、人々の生活に様々な影響を与える存在となりました」
「うんうん」
「それによってどこの誰とも知れない輩が「提督」を名乗るようになり、一時期は「提督詐欺」なる国規模の詐欺まで起こりそれはもう大惨事でした」
マジか、ってか提督詐欺って何? 守ってやるから金寄越せみたいな!?
「そこで「必要な手続きが無い限り提督を名乗ることを禁ずる」…と鎮守府連合よりお達しがあったようで~?」
「はぁ、なるほど?」
「それを破ったら連合により拘束され、様々な罰則が科せられます、最悪…」
「…最悪?」
「いえ、これ以上は私の口からは…とにかく連合に逆らわずに提督になる必要があります」
「おっそろしいことは分かったけど…その鎮守府連合って何なんですか? 提督はイソロク様…? なのでしょう?」
「元々は海魔に滅ぼされた王国の王族や騎士団などが、イソロクさんの下に就き共同で海魔を打倒した…それらがイソロクさんが死んだ後「提督」を名乗ったのが始まりらしいです、もう七十年も前の話らしいですが?」
「え? そんな最近なんだ? …話の内容からてっきり数百年前~とか想像しましたが?」
「そうなりますよねー? まぁ艦娘たちはどんなに歳をとっても、容姿はそのままなのでご心配なく〜?」
「はぁ…(それっておb…おっとこれ以上はいけない)」
「それで何はさておき、艦娘が居ないと話になりません。先ずは艦娘を…と言いたいのですが、もう一つ驚くことが」
「え、まだあるの?」
「はい、艦娘の建造ですが…禁止、というより出来ないそうで?」
「ふぁ!!? なぜにWHY!?」
「艦娘の建造を提案したのがイソロクさんらしいのですが…彼が海魔大戦以降に艦娘建造を禁止されたみたいで、連合の絶対のルールとなっているのですよ~」
「え? え?? じゃあどうやって艦娘を…仲間、にすればいいの?!」
「それは…」
「ハイハイha-i! それならワタシにもわかりマース!!」
ブンブンと手を振って主張する金剛さん、可愛い。
「何かいい方法が?」
「ハイ! 善はハリアーップデース! 早速行きまショー!」
金剛は僕の手を掴み何処かへ連れて行こうとする、何なの? もしかしてデート!?
「…なわけないか」
「テートク! 早くはやくぅ!!」
仕方なく僕は金剛に連れられ…って何か嫌な予感が…?
・・・・・
「ひいぃぃぃ〜〜〜!?」
金剛にしがみつく僕、そこは「海の上」、艤装を付けた金剛にへばり付き移動しているのだ。
「確かにあそこ無人島だけど!? 何も無かったはずだからこうなるって分かってたけど!! ってか僕泳げないんですけどぉ!!?」
「Hahaha! テートクは今日も元気デース!」
「そんな暢気な!?」
「心配ナッシング! ワタシに任せて下サーイ! さぁレッツゴー!」
いやあああああ!? 死ぬ!しぬぅ!! あ今サメが…いぃやあああああああああ!!?
「…あのぉ、拓人さん?」
「何妖精さん!? 今それどころじゃ」
「異世界転生には「特典」がありまして…転生する世界によってそれもまちまちですが…」
「はいはい後でね?! 後で聞くk」
「この世界で提督になりたい、ということだったので…勝手ながら"艦娘と同じ能力"を付けさせて頂きましたぁ」
…え? それって海を歩けるって (´・Д・)」??
「おそるおそる…(ぴちゃ)」
…あ、ホントだ。水が床みたいだ、いやおかしな日本語だけど? 思い切って金剛から海に飛び移る僕。
「よっ…ほ、良かったぁ…このまま島が見えるまで怒りのデスロードかと」
「言いたいことは分かりますが、話が分かりづらくなるので控えて下さい?」
「アッハイ」
「ワーォ! テートクも海を滑れるのデスね! お揃いデース!」
「いやこれは違うんじゃ…というか、一体どこへ行くというのですか? 金剛さん??」
「んー? 「ホーショーズバー」デースよ?」
…は? ホーショー? …あぁ「鳳翔」さんか! 彼女の酒場? ということは「ル○ーダ」みたいな?
「テートク! オーシャンデートもいいけど? 時間と場所を弁えないと! 今は急ぎまショー!!」
「(ガシッ)うわわ!? ち、ちょっと待っ…ひぃ! サメがぁ!? いぃやあああ!!?」
不慣れな海上移動(歩き)をしながら、僕たちは鳳翔さんのお店へ…。
・・・・・
「コッチデース!」
島に上陸した僕らは、そのまま「いかにも人が多い」都会に…西洋の街並み、イギリスとかあの辺り? とにかく石造りに広々とした人の活気に賑わう広場へ。
妖精さん曰くここは「鎮守府連合総本部」の城下町みたいなところで、この広場は様々な国から渡って来た行商人たちが、異国の海域から持って来た食べ物やアイテム等を卸して各海域に流しているらしい。経済のことは分からないけど、役割的には「アメリカ」みたいなことしているのかな?
確かに向こうに山みたいな建物が見える、アレが鎮守府連合? だとしたら尋常じゃないデカさだぞ…!
行き交う人々、露天商が叩き売りしてる、見たことない動物も。とにかくここは「異世界なんだ」と実感出来た…いや、訂正しよう。
「久々のしっかりした大地の感触…生きててよ"がっ"だ!」
僕にとってはコッチが大事、慣れないと生きた心地しないよ、アレ?
「テートク、早くぅ!」
「…あ! う、うん!」
金剛に誘われるままに、僕はあるお店の中へ…。
・・・・・
広々とした店内、そこには大勢の客で溢れていた、イメージはまんま「ル○ーダ」。店の真ん中にカウンター、カウンターの後ろには様々なお酒。手前の空間にお客用の丸テーブル数台、奥に階段がありそこから二階に行けるようだ。
「! アソコデース!」
金剛が手を振ると、カウンターでお客を見守る、西洋風の店内に場違いな和風美人が。
「…いらっしゃいませ、初めての方ですね?」
うおお! 凄い、本物の鳳翔さんだ!
艦隊のお母さん、日本で初めて造られた国産空母、その見た目から「艦これ三大カーチャン」に数えられる癒し枠、しかし…見れば見るほど綺麗な人だ、それでいて柔らかな雰囲気。流石しばふ氏の描く日本の古き良き母親キャラ、存在感が違う! …って皆ついて来てる? 僕のフィーリング伝わってるかなぁ!?
「ハーイ! ホーショー! 今日も良い天気ネー!」
「…! 貴女……」
「…? あの……?」
「…いえ。(見間違い? …"あの人"はもうここには……)」
「? 金剛、知り合いじゃなかったの?」
「初対面デース!」
おいおい;
「…すみません、改めて…鳳翔の艦娘ギルドへようこそ。新しい提督の方ですか?」
やっぱり艦娘の斡旋所で合ってるみたいだ、言葉を返そうとする僕だったが?
「あ、えっと…いや」
くうぅ! こんな時に僕のコミュ障部分が!? 頑張れ僕! 何とか要点だけでも!!
「…艦娘を探していて、あ、僕はまだ…」
「そうですか。大丈夫ですよ? 私にお任せ下さい?」
…これ伝わったかな? 鳳翔さんはカウンターから取り出した用紙の束をめくり始めた、あの束は面接用紙みたいなヤツかな? 個人の情報が書かれてる感じの?
「(ペラッ)…ふむ、良い娘たちが居ました。では先ずはあちらの階段から二階へ登り「待合室」と書かれた部屋でお待ち下さい」
と、鳳翔さんは丁寧に説明してくれた。僕たちは言われたとおり二階に上がって直ぐの待合室で待つことにした…。
・・・・・
金剛や妖精さんと適当に喋っていると、ガチャリとドアは開いた、隙間から鳳翔さんが顔を出す。
「お待たせしました。初めてということで、私の方で「5人」集めておきました。これでそちらの彼女を含め6隻編成…鎮守府基準を満たしています、きっと合格出来ますよ?」
あ、伝わってた。よかった…ん? でも「鎮守府基準」って何?
「艦これの最大編成人数を思い浮かべてもらえたら〜。最低でも一隊6隻を揃えないといけない決まりなんですぅ」
あぁ、鎮守府を運営するにあたって最低人数揃えてね? ってことかな?
「では、早速面接を開始して下さい」
「はい…え? 面接?」
「こちらに呼んで参りましたので、ご自分の目で判断して頂ければと、もしお気に召さなければもう一度私が選び直しますので、ご心配なく」
あ、僕らが面接官役なのか…さて、どんな娘が来るのか? うぅ…誰でも良いけど、霞ちゃんみたいな口の悪い子だったら胃がキツイなあ…;
「このクズがぁ! アンタって本当に最低の屑ね!!」
ひいぃ! 生きててごめんなさいぃ!? …ん? 最後? いや罵りといえばこれかと?
「ではこちらにお入れ致しますので、後はよろしくお願いします」
「は、はい…あ、ありがとうございます…!」
「うふふ、いいえ? …さぁ、入って下さい?」
鳳翔さんの声をきっかけに、続々と入って来る…ん?
「ワーォ!」
「あらら〜?」
「………………は?」
これは……
○鎮守府連合
鎮守府連合は、この世界に現れた深海棲艦の前身「海魔」を打倒すべく結成された、イソロクさんを中心とした提督たちの集まりです〜。
元々は、海魔に滅ぼされた王国に所属する王族や騎士団の団員がイソロクさんに師事したことで、向こうの世界における「海軍」のような規律の整った軍団になり、彼らがイソロクさんの死後に役目を受け継ぎ、艦娘たちと共に世界の均衡を保つために戦い続けている…というのが始まりだと言われています〜。
彼らの使命は世界の治安維持、海魔と入れ替わるように現れた脅威「深海棲艦」を駆逐することです〜、その為次世代を担う提督たちの育成にも余念がなく、艦娘ギルドの設立、提督育成学校の創設、各海域の鎮守府との綿密な連携などなど…色々頑張ってますねぇ〜♪