艦これすとーりーず ―僕が異世界版艦これの提督になった件について―   作:謎のks

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 ──ここで雑なお知らせ。

 艦これ、"六周年"ですよ?

 おめでとうございます!

 …早いね?


幽霊などいない! (そして中に人などry)

 僕らは今、ボウレイ海域の境界付近に近づいていた。

 

 奥には、晴天の日光が降り注ぐ空とは対照的な「曇天の霧」が出迎えに見えた。

 遠目から見ても違和感しかない深い霧だ…濃い灰色の大気が視界を完全に遮断している。…これじゃ探索なんて出来ない。

 

「この辺りは本来なら「シズマリ海域」って言われてんだ。ボウレイのくだりは、あの奥の霧がかかってるエリアを指してんだが…」

 

 望月は説明が面倒だと思ったのか、頭を掻きながら続けた。

 

「あの霧の海域を抜けた更に奥は、かつての海魔大戦の主戦場跡地の海域に繋がっている。まぁそこは今もマナの穢れが凄くて、とても立ち入れる環境にはないが。その影響か分からないが、あの霧の海域には「怨霊」が潜んでるって話だ」

「怨霊…!?」

 

 怨霊のワードに動揺を隠せない僕、しかし…そんな僕より酷いのが。

 

「幽霊などいない幽霊などいない幽霊などいない幽霊などいないいるはずない幽霊などいない幽霊などいない幽霊などいない幽霊などいないそんなのまやかしだ幽霊などいない幽霊などいない…!」

 

 ガチガチと歯を震わせながら耳を塞いでいる野分。…ガチビビリすぎでしょ!?

 

「(望月)最近ソイツを見たってヤツらがいてな? 何でも海魔大戦で死んでいったヤツらが、"幽霊騎士"になって今も彷徨っている…ってな?」

「ひいぃ!?」

「落ち着いて野分。…よくある心霊現象のようだね」

「あぁ…まぁ先天的恐怖の心理ってヤツで、科学的な根拠はねぇ」

「…っほ」

「…"昔は"な?」

「ひぃっ!?」

 

 野分のリアクションを見ながら、望月はニヤついていた。

 

「おおかた奥のヤベー海域から流れてきた、深海棲艦を見間違えたんだろ。だからこの辺りの島のヤツらは、故意にこの霧の海域に近づかねーようにしてんだ」

「…ま、まことでしょうか?」

「野分、さっきから怖がりすぎだよ」

「コマンダンは恐ろしくはないのですか? あのいるかもと思った時の独特の緊張感、背筋に広がる冷たい肌触りが!」

 

 そう言われたら怖いかもだけど、なんか実感湧かないしなぁ…。

 

「さて、話を進めるぞ」

 

 望月の一言に、僕らは再び緊張の面持ちで耳を傾ける。

 

「とにかくよ、幽霊騎士だの深海棲艦だの、危険がごまんとあるのはバカでも分かるわけだ。それても霧の海域に近づかなけりゃ、今までは何も実害はなかった。」

「でも…今は違うんだね?」

「あぁ大将、最近では霧の外にいるニンゲンが突然死ぬっつぅ怪奇現象が多発してる、それも何の持病もねぇ「健康体そのもの」のヤツらがだ」

「それは…何か共通点とか、気になるところはない?」

「ない。老若男女平等に死んでる、奇声を発して、のたうち回って、そして…程なく死ぬ」

 

 望月の、被害者たちの仔細な死に様を聞いて…その場の誰もが「呪い」の二文字を頭に思い浮かべる。

 

「今のところこのシズマリ海域以外に被害は報告されていない、だが…いつ他の海域に害が出るか定かじゃない。っつーことで、アタシらはその怪奇現象の出所を調べるのが、今回の任務なわけだ」

「謎が解けたその時、TW機関の研究員がいるはず。ソイツから黒幕…ドラウニーアの情報を聞き出す」

 

 望月と僕の整理した情報に、金剛たちは頷く。

 

「早速行動開始、といきたいけど…ねぇ、あの霧の中に入るの?」

 

 僕の指差す方向に、青空を覆い隠す分厚い雲と、灰色の霧が。望月はその意図を察して頷く。

 

「あぁ、霧の中は研究員が隠れるにはうってつけだろ? まだソイツの仕業と決まったワケじゃねぇが、大将の言うこと信じるならほぼ確実だろ」

「信じてくれるのは嬉しいけど…霧が晴れてからでもいいんじゃ?」

「いや大将、あの霧は滅多に晴れねぇ。何故かあの周辺だけ霧がかかったままなんだ」

「うわぁ…なんでまた?」

「非科学的だが呪われてるだの言われてる、だからこその「ボウレイ海域」なんだろうぜ」

 

なるほど。しかし…うーむ、細かい設定が違うみたい。"シズマリ"なんて聞いたことないし。これからもこんな感じの違いが出てくるんだろうか?

いやいやそんなことより、僕が言いたいのは「このままだとなにも見えなくて身動き取れないんだけど!?」ってこと、望月にそんな感じで伝える。

 

「だから待ってんだろ? アイツを」

「…あ、そっか。だから海域前で待ってたんだ」

 

「──そういうことだね?」

 

「…っ!?」

「そうか。んーでも遅すぎじゃない? 結構待ったと思ったけど」

「そうなんだ?」

「そうなんだ、って…ん?」

 

 …なんか、言葉使いの聞き慣れない感じが…金剛はもっとテンション高いし、天龍は鋭い感じだし、望月はラフなヤツだし、野分は敬語、翔鶴はちょっとトゲがあるし、綾波は口数少ないし…?

 なんか皆僕の後ろを凝視してるし、この声も…静かで儚げな、それでいて芯の強さを感じる口調は…どこかで……?

 

「ねぇ○ーミン、こっち向いて?」

 

 なんて言いながら、僕がセルフ振り返りすると、そこに居たのは…可憐な美少女。

 

「やぁ」

 

 犬耳みたいな左右の髪、頭上のはねっ毛。

 

 黒基調の制服。

 

 唯一の違いは…無地の布の目隠し。

 

 気さくに手を上げて挨拶する彼女を、僕は知っている。そう…彼女は。

 

「”時雨”…!?」

 

 気配もなく、突然現れた彼女に驚嘆する僕。同時に彼女も僕の反応に驚いている様子だった。

 

「そうか、やっぱり君は僕を知ってるんだね? カイトも言っていたから理解していたけど、いざ初対面の人に名前を呼ばれると、不思議だね」

「そ、それはまぁ仕方ないよね?」

「あはっ、じゃあ君は本当に異世界から来たんだ。ねぇ、向こうの僕はどんな感じ?」

 

 彼女は白露型二番艦「時雨」という、僕の居た世界のゲームキャラクター、しかもその中でも「1,2を争う(主観)」ほどの大人気ぶり。

 ボクっ娘、史実に基づいた儚げな雰囲気、素直クールからのデレは破格の可愛さである(迫真)。

 

「えっと、とても可愛らしくて人気のある娘だよ? その…目隠しは流石になかったけどね」

「そっか…ごめんね。目が見えないわけじゃないけど、こっちの方が「見えやすい」から」

 

 時雨は目隠しに触れながら意味深に呟く、うわぁおこの見るからの強キャラ感、好きですねぇ〜?

 

「じゃあ改めて自己紹介。僕は「選ばれし艦娘」の一人の時雨、これからよろしくね?」

 

 時雨が手を差し伸べてくれたので、その手を取り握手。

 例によって改二姿の時雨だけど、カイトさんの話だとこの海域の捜索には、彼女の能力はうってつけのようだ。果たしてその力とは?

 

「よろしくね、時雨」

「ん〜…君は僕を「しぐしぐ」って呼びたいんじゃない?」

「っえ」

 

 いきなりまるで脈絡のない言葉を投げる時雨、あながちっていうか僕の中での時雨の愛称だけど……ん? なんだよ、気持ち悪いって言うな!

 

「な、なんでそんな…」

「あぁ大将、時雨に嘘つかねぇ方がいいぜ。コイツは「心の中」を見てるんだからよ」

「…はい?」

「正確には人体に流れる体液の状態を見て、今考えていることを推理することが出来るんだよ。例えば君の血中のアドレナリンが、僕の顔を見た途端に急速に濃くなった、これは僕に会えて嬉しいから、それから髄液を通して脳内や心を読んだら「しぐしぐ」というワードが飛び出した。合ってるかな?」

 

 …うっわぁ、また僕の心丸わかりパターン?

 その後の望月の説明によると…彼女は「水」に関する能力の持ち主らしく、対峙した相手の体液の動きを感じ取り、そこから間接的に心を読むことが出来る、更に海という広いフィールド上なら、遠くの相手がどこにいるか分かる、もちろん水そのものを操ることも可能。

 

「(拓人)…なんやこのチートぉ!?」

「いやぁ、僕なんか他の娘に比べたらどうとも言えないよ。もし戦っても勝てないだろうね、加賀さんなんて僕の操る水を「蒸発」すれば済む話だし」

 

 加賀さんの炎も大概だった、ポ○モンも真っ青。

 なるほど、相性の問題もあるのか。そもそも彼女の能力は「支援向き」のようだ。

 

「だからこういう特定の状況じゃねぇと出撃させづらいのさ、まぁ下手な深海棲艦よりは強えけど、能力を活かせねぇと意味ねえだろ?」

「そうか、時雨たちは特別な能力を持ってるし、出撃も限られてるんだ」

「そ、選ばれし艦娘って出来ることが多いからな。普通の出撃やら搜索やらはそこらのヤツらでも替えが効くからなぁ、言い方悪いけど」

「そういうものなんだねぇ…」

 

 望月の説明に感慨深くなっていると、時雨が話しかけてくる。

 

「ねぇ、しぐしぐって呼んでみて?」

「ぶふぉあ!? …な、何を言い出すのだね君は?!」

「あ、ごめん。君の心には僕らに対する「不信感」というか、嫌な感情が一切ないんだよね。そんな人…僕はカイト以外に会ったことないから」

 

 あ、そっか…彼女は選ばれし艦娘、そんな彼女なら連合の幹部とか、上位の人と交流する機会も多いはず。コバヤシさんも言ってたもの「艦娘をモノみたいに見ている人もいる」って、時雨の場合は心が読める分、辛かったんだろうなぁ…。

 

「僕を心配してくれてるの?」

「あっ、バレた? うぅ…妖精さんならまだしも時雨とはそういうやり取りはやりづらいよ…」

「遠慮しないで。君の心は本当に澄んでいて、僕も嬉しいんだから。そういうニンゲンには滅多に会わないし、だから…君が元いた世界の僕と同じように、親しくしてほしい」

「そ、そう? じゃあ。…し、しぐしぐ〜?」

「はーい♪ うふふ…!」

 

「ぐっはああああ! 可愛すぎかぁああああああああああああ」

 

 大天使的微笑みに、大量の鼻血を噴き出す僕。金剛たちは目を丸くしていた。

 

「テエエトクゥウウウウウ!?」

「うっへぇ、大将をここまでにしたのお前が初めてかもだぜ、時雨?」

「ふむ…血圧の上昇が限界に達したみたいだね。こんなに喜んでくれるなんて、本当に不思議な人だね」

「こっちはこっちで平静っつうか…;」

 

 望月と時雨の会話をよそに、金剛は僕を庇うように抱きしめながら抗議。

 

「テートクに色仕掛けしないでくだサーイ! 今度やったら選ばれし艦娘とか関係なしに怒りマースよ!!」

「ご、ごめんごめん。やり過ぎたね」

「まぁそう怒るな金剛、タクトにとって俺たちは「踊り子(アイドル的な意味で)」のようなものであるだろうから」

「テンリューは黙ってくだサーイ###」

 

 天龍が諌めるも全く効力なし、金剛の腕に力が入る。

 

「ぐ、ぐる"じい"……」

「…死ぬわね」

「現実的で不吉なこと仰らないでください、マドモアゼルショーカク!?」

「…っふふ」

「マドモアゼルアヤナミが笑った!?」

「やれやれ〜これは先がどうなることやら?」

 

 

 

 

 

・・・・・

 

 さて、いつものようにぐだぐだした感じになったとこで、先に進むとしようか。

 時雨に頼んで霧の先…「ボウレイ海域」の中の様子を見てもらう。

 

「…随分と広範囲の霧のようだね。正に海域を覆い隠しているけど、それでいて大きな島はないようだ。小島がぽつぽつと点在してる」

「霧の範囲も分かるんだ?」

「まぁ大体だけどね? …海の上に居れば一発で分かるんだけど、どうやらそれらしい者は居ないようだ、それ以外の何者かはいるみたいだけど」

「…どういう意味?」

「ふむ…」

 

 神経を集中している様子の時雨、手を前にかざし沈黙を保っていると…程なく口を開く。

 

「…水中に一人、水上に二人、随分水に重さを感じる。恐らく艤装だから十中八九「艦娘」だろう」

「おお…ん? この深い霧の中に艦娘? 見えなくないの?」

「そうだね、航路がジグザグしている。回避運動ということでもないのだろう、まるで何かを探しているようだ」

「…まさか」

 

 時雨の説明に、望月がある意味「お決まり」の台詞を。

 

「知ってるのか○電?」

「誰だよ。いや…さっき言った幽霊騎士の類かと思ってな?」

「でもそれは「あくまで噂」なんでしょ?」

「うーん、確か幽霊騎士は「霧の中をあてもなく彷徨い、近づいた迷い人を殺す」って聞いてな?」

「確かに同じ場所を行ったり来たりしているし、強ち間違いじゃないかも?」

「うえぇ…;」

 

 望月と時雨によってフラグがどんどん立てられていく…。

 

「…いや、でもこう言うと非科学的だよな。悪い、今のは忘れてくれ」

「もう遅いと思うよ…?」

「とにかく、用心に越したことはないね。研究員は小島に居を構えている可能性が高い、そこを調べれば僕の力でなんとでもなるけど」

「うーん、艦娘か深海棲艦か、はたまた幽霊騎士か。どちらにせよ近づかないに越したことないね」

「では、その一団には近づかないようにしながら、我々は研究員捜索に尽力しましょう〜!」

「イェーア!」

「おー!」

 

 妖精さんの声がけに、僕らは一致団結するよう各々高らかに叫ぶ。

 

 …一人を除いて。

 

「幽霊などいない幽霊などいない幽霊などいない幽霊などいない幽霊などいない」

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