艦これすとーりーず ―僕が異世界版艦これの提督になった件について― 作:謎のks
あの日から三日…。
僕たちはあの無人島鎮守府へと帰っていた(名前はまだない)、鳳翔さんの所に集まった艦娘たちを引き連れて…あ、因みに最初に面接した娘を全員雇いました(もう一回やっても嫌な予感しかしないので…)。
あそこは結構有名な所らしく、様々な経歴の艦娘たちが訪れて、新しい雇い先を探している…それは理解出来た。
確かにここは僕の知ってる艦これと違うと、肌で感じることが出来る、Rpgさながらの世界観、鎮守府連合、どこかSFチックだった原作とはかけ離れた世界だと…まぁ願ったのは僕ですが。でも──
──これは…どうなんだろうね?
・・・・
・・
・
「…ふぅ」
僕は執務室の掃除、整理整頓をしていた。何故ならこの鎮守府に連合から「監査官」なるお方が来訪するからだ、もちろん提督に相応しいか僕たちを査定するために。
鳳翔さんが頼んでくれたらしいが、誰が来るかは秘密♪ と言われた…とりあえずいつ来てもいいように鎮守府は掃除しておきなさい? との助言のもと、僕らは大掃除作戦を発動した! …艦これっぽくしたかったんだ、ごめん。
ここは昔起こった「海魔大戦」の拠点の一つであったようで、海魔が居なくなってからは比較的に安全海域だったこの場所は放棄されて、以降誰にも使われていないらしい…金剛といい、なんて都合の良い。
「都合は合うものでなく、合わせるものですよ〜(むふん)」
「あ、そっか。妖精さんが用意してくれたんだ」
「はい〜。良さげな土地があったので、それとなく見繕わせてもらいましたぁ」
…つまりここは妖精さんが作ったってこと? ん? いやでもここは戦争の跡地でそれ…ああ、もういいや、ややこしい。神様だし都合を「作れる」んだろう多分。
「よし、執務室はこれで良いかな? 後は…」
その時、掃除のために開けておいた扉から顔を出す人影。
「…おい」
「!? は、はひっ?!!」
冷たく鋭く低い音程に思わず竦みあがる僕。その磨かれた血を求める狼のような金眼、身体中に刻まれた傷跡、ボロボロのマント。
だが共通点として黒のセーターに女子制服、片目には眼帯(何か眼帯からも傷が飛び出してるぅ)、腰には刀…二本あるのは気のせいか? とにかく容姿以外の雰囲気が段違い、フフフ、怖いです。
── 彼女は天龍型一番艦「天龍」。
「(びぎゅ)…コイツは?」
短い言葉で質問する天龍、手には古くズタボロな人形が。
「あ、あぁ…そこに」
「………」
僕が指し示したのは「捨てるもの☆」と書かれたダンボール箱、そこには人形と同じような古くなったものが。天龍はそこに押し込むように人形を詰め込む。
「あ、ぁりがと…」
「………」
こ、怖い…めっちゃ睨んでる;
彼女は金剛とは違い戦場を渡り歩く「傭兵」。身体につけた傷はその証なんだろう…でも原作とここまで様変わりするものかなぁ? 原作はもっと明るくて可愛げのあるふふ怖さんだったのに…どうしてこうなった?
「……おい」
「はぃ!? な、何でしょう?」
「…他の奴らは見に行かないのか?」
「…はい?」
「お前は提督なのだろう? ならば…艦娘たちの様子を見ていってやれ。特にここは新しく出来上がる拠点、他の奴らと少しでも親交を深めておけ」
彼女はまさかとは思うが、僕を心配して助言してくれているのか?? だとしたら…
「…ちょっと、嬉しい……」
「…何?」
ひぃ!? 食べないでください!!? (か○んちゃん感)
「わ、分かりました…見に行きます」
「よし…では清掃任務を続行する。次は…食堂か?」
そういうと天龍(ガチ怖)は外へ出ていった…。
「心臓バックバクしてる…し、死ぬかと思った…;」
とりあえず彼女の言う通り、一通り艦娘たちの様子を見に行くか。ついでに片付けは進んでるか……!
「…これ、提督っぽい」
…く、くふふふふ! そうか…僕は提督なんだ…やっと実感が湧いて来た!
「…よぉし!」
僕は意気揚々と出て行こうとするが…あ。
「どうやって話しかけよう…;」
「拓人さん…ちなみに私は手伝いませんので、あしからず〜♪」
「えー…」
・・・・・
仕方ないので、比較的話しかけやすい駆逐艦の艦娘から見に行くことに、ちなみに駆逐艦は五人のうち三人、性格は五人全員「違う」…天龍を見て何のことか察してください。
廊下を歩いていると、床を掃除する第1村人…じゃなくて駆逐艦娘発見。
いや更に訂正します、床を拭いてるのは彼女じゃなく…。
『………(ズズズ、ズズズ)』
石の擦れる重い音を響かせながら、大きなそれは小ちゃい雑巾を前後左右に動かし床を濡らしていた。
「…ん? お〜大将! どしたぁ? アタシの実験台になりに来た?」
ニヤリと嗤う彼女、幼い顔はまるで邪悪に歪んだ…これ、某○ーカードのキャラみたいなニヒルな笑いだよ、何考えてるか分からない恐いヤツ。
ロリポップキャンディをタバコみたいに咥え、白衣を着る姿は「科学者」という言葉が似合う、しかしその眼鏡をかけた少女は原作の面影が。
── 彼女は睦月型駆逐艦「望月」。
「い、いや…大丈夫かなって?」
「アン? 心配するなよ? アタシは天才だからさー? 自分で言うのもアレだけど?」
そだよね? こんなデカイの造るぐらいだからね、分かるわ。
てかゴーレムなんて初めて見た、いや前世でも見れるものじゃないけど、とりあえず君はどこのア○ィケブロンだと。
「ホントはさー、ここを爆破してアタシが作り変えた方がまだ楽かもだけど?」
「いや駄目だから!?」
「はっはっは! んじゃしょうがない、古典的なやり方でいくわーめんどいけど」
耳をほじりながらぼやく望月、原作ではもっとゆるーい感じのニートキャラなのに…どうしてこうなった??
「…じゃあ僕はこれで」
「えぇいいーじゃんもっと話そうぜ?」
いやいやなんか不安になって来たもんこんなの見せられたら。他が何かやらかす前に釘を刺しに行かないと…いや目の前の君もどうかとは思うけど!
「忙しいから…あ、君もやらないと……」
「えーー? ………っち、分かったよ? 提督命令だ」
ゆーっくりと立ち上がった望月は、ゆーっくりと雑巾を絞り、ゆーーっっくりと床を拭き始めた。こういうとこはもっちーなんだけどな?
不安だけどしょうがない、僕は他の三人を見るために走る…あ、ここからは巻きでオナシャス!!
・・・・・
「司令官、清掃任務、遂行率50%…残る行程は窓拭き…です」
なんかロボットみたいな喋り方の子は、小さめだがゴツい鎧を着てる。騎士なんだろうか? 虚ろな眼は原作のつぶらな目を見た後だと罪悪感のような心の重さを感じる。
―― 彼女は綾波型駆逐艦「綾波」。
「そ、そう…頑張って?」
「了承、任務続行します」
静かに呟くと綾波は窓に布巾をあてがう。外側から内へ直角に拭き始めた。キュッキュッと気持ちの良い音がする。
…よし、彼女は比較的真面目そうだ、大丈夫! でもこれじゃまるでエ〇ァの方の綾波だよ! ほんとどうしてこうなった???
・・・・・
「…あぁ、美しい……」
開口一番ナルシシストなセリフ、そう彼女……彼女? はナルシシストだ。
玄関で掃き掃除してる彼女、確かに砂埃が大分払われているけど、彼女が言うと違う意味に聞こえる。
どれぐらいナルシシストか、まずなんかキラキラしてる、あとただでさえエメラルドな髪色にツヤがあって眩しい、それを長く伸ばし結って、後ろから前へ掛けて見せびらかす、あと男装、基本女子制服の艦娘のコスチュームを改造してる、陽炎型のだから余計に見栄えがいい。あとキラキラしてる。
―― 彼女は陽炎型駆逐艦「野分」。
正直あの雰囲気は無理、ナルシシストが嫌いとか野分がイヤとかそんなんじゃなくて「明らかなネタキャラ臭」がして近づきがたい、だって幻○水滸伝のフランス被れキャラみたいだもん。自分の世界に他人を引きずりこむタイプと見た。何度でも言おう、どうしてこうなった????
「…ふ、この澄んだ空気、小鳥のさえずり、そして優しい波の音…正にボクの鎮守府に相応しい……bravo」
恍惚とした表情で語る野分、どうやらここが気に入ってくれたようだ、うんよし、じゃあな! (逃走)
「Commandant、貴方もそう思うでしょう…? ん? 逃げたか? ふふっ、照れ屋さんだな? (歯茎きらーん)」
・・・・・
そして僕は一番心配な彼女を見に行く…そこには。
「……(埃をはたいている)」
白銀に輝く長髪、胸当て、どう見ても"彼女"だが一つ相違点が、それは…何故か横に伸びた「耳」いわゆるエルフ耳だ。
―― 彼女は翔鶴型空母「翔鶴」。
無言で廊下の隅に溜まったホコリをはたいている、それだけなら可愛らしいが彼女にはまだ原作と違う点が、それが問題点。正直「一番苦手」なんじゃないかとさえ思う。理由は──
「あの…翔鶴さん?」
「………(ギロッ)」
ひぃ!? これだよ? 少し声を掛けただけなのにこの「養豚場のブタを見る眼」! 明らかな敵意と侮蔑の感情が感じ取れた、耳からして正に「エルフ」って感じ、どうしたらこうなるの?????
「そ、掃除どうかな〜って? あの…」
「…見て分かりませんか? 貴方の仰る通りに掃除の真っ最中、気に入らないなら私はやめさせてもらいますが?」
「い、いえ! あの、どうぞ続きを……」
「…フン」
彼女はそのまま壁際に向き直り掃除を再開した…原作のあのほんわかした翔鶴姉はどこにも居ない、こんなの翔鶴の皮を被った曙だよ! 詐欺だ! 横暴だ!!
「…まだ何か?」
「はいぃ!? し、失礼しましたー…」
僕は言われるまま彼女に背を向けてその場を離れた。
・・・・・
見事に金剛以外原作とかけ離れた彼女たち、これから彼女たちを率いなければならないと思うと…。
「不安だ…;」
しかし現実は甘くない、そうこうしている内に監査官がやって来る…。
艦これでも有名な「彼女」が…!