艦これすとーりーず ―僕が異世界版艦これの提督になった件について― 作:謎のks
TW機関の元研究員を探す途中、霧の中で出会ったのは綾波の元同僚たち「艦娘騎士団」のメンバーだった。
近くの小島にて休息を取り、改めてウォースパイトたちの話を聞く。…その前に。
「…なんか、一人増えてる?」
そこに居たのは、潜水艦娘の「伊26」通称ニムだ。
「やっほ〜! 私ニムって言うの、よろしくね☆」
天真爛漫に手を振るニム、その度に彼女の胸部装甲がばるんばるん揺れる…んー、ロリ巨乳を地でいくタイプか。僕的には別に?
ウォースパイトが彼女の説明を入れる。
「彼女は私たちが雇った傭兵艦娘です、この霧の中では万が一ということもあるので、護衛として私たちを守ってくれていたのです」
「そっか。時雨の言っていた水中の艦娘は君だったんだね」
「そーそー! まぁこの霧の中の護衛だから「それなりに」値は張りますがね〜ウェヘヘ〜♪」
げ、下衆い笑いだ…同じ傭兵の天龍とはまた違うタイプだな。
「まぁ、傭兵なんてそんなものだぞ」
「僕は艦娘に夢を見たいのに…」
「こればかりは諦めろ、としか言えんな」
「…? 貴女ってもしかして「独眼龍」!? わぁ〜! 同業者に会えるなんて! しかもちょーつよのちょーレアだよぉ!」
どう考えても天龍のことだろうけど、ニムの言うことが分からないので聞いてみる。
「え、どういう意味?」
「なになになに? 知らないの?? 独眼龍は各国のトップがこぞって欲しがる戦闘のプロ、彼女が個人に契約してるとこなんて滅多に見ないんだよぉ? 貴方雇い主のくせにモグリね!」
「うるさいよ!? さっきから態度がウザい…え、天龍はなんで僕と契約したの?」
僕らが鳳翔さんのところで仲間を探していた時、何故天龍は僕について来てくれたのか…改めて聞いてみる。
「あの時は依頼を粗方片付けて、ちょうど暇だったからな。暇つぶし…と言えば聞こえは悪いが、気分転換のつもりだったんだがな? まさかここまで長い付き合いになるとは」
「あぁーなんかごめんね? あ、契約金払おうか?」
「お前にそんな金がないことぐらい理解出来る。まぁ心配しなくても、俺はもう誰に大金を積まれても、お前の下を離れたりしないさ」
「天龍…男前(キュン)」
「ふっ、お前の戦いが終わるまで、俺はお前だけの剣だ」
「んむあぁー! テンリュー! 抜け駆けはダメデース! テートクはワタシのデーース!! (ほーるど)」
「こ、金剛…分かったから離して…今度こそ死ぬ…」
僕らがそんなコントじみたことをやってると、ふと綾波に目が行く。
彼女の視線の先は分からないけど、彼女に対し敵意を露わにした鋭い眼光を向けるのは…不知火。
「…フン」
「……」
あからさまに嫌悪の眼差しを受けているにも関わらず、綾波はまるで動じていない様子、凄いなぁ僕だったら絶対に萎縮しちゃうのに。
「…綾波、大丈夫?」
「…大丈夫です、ありがとうございます」
綾波は気丈に振る舞い微笑む、でも僕には…無理しているように見える。
「無理はしないで? なにかあったらいけないし、君はもう後ろに…」
「いえ、彼女たちの話を聞くなら…私もそろそろ、素性を明かそうと思います」
「それって…」
「よろしいですか、皆さん?」
その場に凛とした声が響く。ウォースパイトが皆に呼びかけている、僕らはウォースパイトの方を向く。
「先ずは我々のことを話させて下さい。私たちは「艦娘騎士団」かつて世にその名を馳せた、平和を尊ぶ一団です」
「艦娘騎士団か…知ってる皆?」
僕の問いに頷く皆、天龍が説明を加えた。
「あぁ、かつての海魔大戦では様々な勢力が世界を守るため連合と共に戦った。その中には亡国の騎士団もあったと聞く」
「その騎士団の勢力も連合の一部に組み込まれたが…世の中が平和になって、新しい国を創りたいってんで、艦娘を含めた連合の勢力の四分の一を掻っ攫ってったんだ、ヒヒッ傲慢だねぇ」
「ボクも聞いたことがあります。騎士の伝統を絶やさないため発起された正義の集団、国に仕えるだけでなく、各国の戦いに積極的に介入して、戦争の早期終結とそれらを繰り返させない抑止力として存在し続けた…と、実に美しいですね!」
天龍、望月、野分の順に説明を聞いていく。なるほど…この世界では知名度は高いみたいだね? 次に妖精さんが説明。
「はい、ですが…艦娘騎士団は「ある日」を境に、事実上の崩壊をしてしまったみたいですねぇ」
「不知火が言っていたこと?」
「…貴方に気安く名指しされる謂れはないはずですが?」
「に、睨まないでよ…;」
「そうですね、拠点となっていたお城も崩落して、艦娘騎士の生き残りも少ないでしょう」
「そうか…大変でしたね? こんなこと言われてもなんにもならないだろうけど」
「いえ、お気遣いありがとうございます、そう言って頂けると同胞たちも喜びます」
ウォースパイトはどこか寂しそうに言うと、気持ちを切り替えるように笑う。
「改めまして、私は「Warspite」と申します。艦娘騎士団において副団長を任されています」
「あの、ウォースパイトさん? もしかして貴女ってどこかのお姫様…ということでしょうか?」
僕の質問の意図に気づいてか、ウォースパイトは気恥ずかしそうにしていた。
「すみません、皆さんが勝手にそう呼び始めて。私自身はいたって変わりない艦娘ですよ?」
「姫様は艦娘騎士団の発起人であります、なので艦娘騎士の殆どは、姫様に忠誠を誓ったモノばかり…あまり彼女に粗相の無きよう」
「ひぃ…!」
「止めなさい不知火。…はぁ、この娘は「不知火」と言います、少し真面目すぎるところがありますが、根は優しい娘だと保証させて下さい」
「あ、もう一回言うけど、私ニムだよ! よろしくね〜♪」
向こうの自己紹介も終わったみたいだし、僕らもそれぞれ自己紹介していく。一通り終わるとウォースパイトが口を開く。
「…なるほど、連合の幹部の方でしたか。その若さで幹部だなんて…とても優秀な方とお見受けします」
「あはは、僕なんてまだまだ青二才ですよ」
「ぷっ!」
「…誰だ今笑ったの? ていうか分かるけど、もっちー!」
「だって…大将が連合幹部って、未だに…っひひ、信じらんねぇっつうか、うひひ!」
「信用ないなぁ…」
「まぁ俺たちはお前を信頼してる、それで良いじゃないか?」
「まぁ天龍がそう言ってくれるなら…」
「…しかし、まさか選ばれし艦娘まで居るとは思いませんでしたが?」
不知火が棘のある言い方をする。その意味は「あの程度の状況の対応も出来ないの?」という風にも聞こえる(僕のネガティブ思考が、そう歪めさせてるのかもだけど)。
「あはは、面目ないね?」
「(拓人)わぁ、まるで相手にしていないって感じ?」
「…っち」
「そう怒らないで? 僕も驚いているんだよ、あんな風に気配を一瞬で消してしまえるなんて…余程の訓練を積んだ証、なのかな?」
「…別に大したことではありません、気配を一瞬消し、霧に紛れて不意打ちを浴びせたまで」
「えっ、騎士なのに不意打ちってアリなの?」
僕の(揚げ足取り的な)意見に、不知火は顔を顰めた。
「…意地が悪いですね? 私に落ち度はありませんよ。そもそも我々は兵器、騎士道の誉れはあれ任務によってはそれは枷でしかない。我々に敗北は許されない、あらゆる状況を利用して勝利しなければ抑止力足り得ないのです」
「むっ、そこまで言われる筋合いはないでしょ。大体君が一方的に僕らを襲って来たんでしょう?」
「…それが何か?」
不知火の戦艦級の鋭い眼差し、いや冗談抜きで威圧が凄い…。
僕が思わず言葉に詰まると、綾波が付け加える。
「司令官、それが彼女の戦闘スタイルなんです。どんな強敵にも臆さず戦い、磨き抜かれた技で鮮やかに勝利し、結果を出して来た…彼女の意思の強さに、どれだけ助けられたことか」
「…綾波がそこまで人を誉めるなんて」
「フン、裏切り者に何を言われても構いませんが、仲間扱いは止めてください。私は…まだ許していませんから」
「…はい」
綾波の次に、ウォースパイトが説明する。
「あの時は不知火が動く影が見えたと言って、敵なのかどうか調べるにいくと聞かず、私たちを残して一人で行ってしまったのです。貴方たちにご迷惑をおかけしたのは、私の監督不足でした。すみませんでした…」
「そんな、ウォースパイトさんは彼女を止めてくれたんですから、何も悪くありませんよ」
「そうだな、敵の判別はこの霧もあるから仕方ないにしても、だからと言って単独行動、しかも不意打ちを仕掛けてくるとは…兵器云々を語るにしても、いささか行き過ぎではないか?」
天龍の指摘するも、不知火は悪びれもしない。
「斬れば敵かどうか理解出来ると思っていました、手心は加えたつもりですが、貴方がたに不快な思いをさせたのなら失礼をしました」
なんとも気持ちの入らない謝罪だが、またもウォースパイトが代弁する。
「すみません、まさか霧の中に連合の方々がいらっしゃるとは思いにも及ばず。それに…言い方は悪くなりますが、我々がここにいる目的は「交戦」にこそあるのです」
「それは…どういう意味でしょうか?」
僕の問いかけに、ウォースパイトは表情を引き締め直すと、逆に僕らに質問を投げる。
「では、貴方たちがこの霧の海に来た理由は?」
「えっと…僕らはただ、ある人物を捜しているだけです」
「それは最近出没の噂が立った「幽霊騎士」ではありませんか?」
「いえ、それとは別に…望月?」
「アタシに振るな…まぁこっちの重要機密ってヤツだから答えられんが、幽霊騎士を捜しているわけじゃあないぜ」
望月の回答に納得した表情を見せるウォースパイト。
「I see .分かりました。やはり彼らは違うようですね、不知火?」
「どうでしょうか…?」
不知火が依然として怪訝な目を向けている、僕らも聞いてみよう。
「もしかして、貴女たちは幽霊騎士を捜している…と?」
「Yes. そのためにわざと霧の中を彷徨っていたのです。彼女の噂が本当なら、私たちに気づいて攻撃してくると思って」
「っな?! ちょいちょい待てよ! 居るかも分からねえんだぞ? 何のために…」
「いえ、必ず居ます。必ず…居るはずなんです」
不知火が先ほどの威圧的な態度と打って変わって、焦燥感に駆られたような不安な表情を浮かべた。
「…どうして幽霊騎士を?」
「はい、幽霊騎士の特徴が、我々のかつての同胞と酷似している…そう感じました」
それはつまり…彼女たちのかつての仲間…艦娘騎士が幽霊騎士になってしまった…ってこと?
「我々が得た情報では…幽霊騎士は肌、髪、服装などの何もかもが「白一色」で、隣には砲塔を模したような化け物を引き連れている…と?」
「…うーん、僕の勘違いじゃなきゃいいけど、その特徴って「深海の姫」みたいだよね?」
深海棲艦を率いるボスキャラクター、黒い見た目が多い雑魚級のとは違い、一見美しささえ感じる白い肌…その儚げな美しい白の深海棲艦を一律に「姫」と呼ぶ。
姫の中には、艦娘に似た容姿を持ったモノもいる、これが僕が前に言った「艦娘と深海棲艦の関連性」の話になるんだよね。
「はい、仰る通りです。幽霊騎士であれ深海の姫であれ、彼女が我々の知る人物で、人々に害を与えているというなら、せめて…我々の手で楽にしようと思ったのです」
「っ! そんな…それは」
「貴方が言わんとしていること、よく分かります。貴方は…優しいですね? ですがだからこそ、我々は彼女を放っておけないのです」
「…何故そこまで幽霊騎士に拘る? ソイツは一体…?」
天龍の言葉に、ウォースパイトは重い口を開けた。
「…幽霊騎士が手にしている得物、それは身の丈ほどの「大剣」だと」
「っ! 姫様! その騎士というのは…まさか!?」
「あ、綾波…? (綾波がこんなに感情的になったの、初めてだ…)」
「えぇ、その騎士はおそらく…」
「お前が殺した「団長」だ…!」
「…っ!?」
不知火が呪いの言葉のように呟いた一言は…綾波だけでなく僕らにも充分すぎるほどの重い衝撃…。
「そんな…そんなはず、何かの間違いです、そんなこと…」
「この期に及んでまだ世迷い言を吐くか。いい加減にしろ! 貴様はただ罪に向き合わない愚か者だ、誰のせいで団長がこんなことになったと思う!?」
「そんな…!」
「待ってよ」
不知火が鬼の首を取ったように騒いでいる…言い方が悪くなったけど、とにかく僕は気に入らない。
「全部綾波が悪いみたいに言ってるけど、僕にはそう思えない」
「司令官…?」
「そもそもさ、まだ亡霊騎士が君たちの団長だとは限らないでしょ? 確かめるためにここにいるわけでしょ? 事実確認してもいないのに一方的に避難するなんて、そういう光景を嫌というほど見た僕でも、どうかしてると思う」
「部外者が口を挟むな! これは我々の問題だ!」
「じゃあ部外者だから? 客観的事実を言わせてもらうけど。今の君は冷静じゃない、君だって分かっているだろ? 本当に綾波だけに責任があるのか、もう一度よく考えてみなよ」
「黙れ! 何も知らないくせに、お前は団長を殺した女を庇うというのか!?」
「そうだよ。君らにとって裏切り者でも、綾波は僕らの仲間だもん」
「…っ!」
「彼女は心優しい性格をしていることを、僕らは知ってる。きっと…なにか事情があったんだ、それを僕らは知らないけど…綾波はそんな残酷なこと、絶対にしないよ」
「司令官…」
「テートクの言う通りデース!」
「だな…」
「っひ、アタシは皮肉屋だから上手いこと言えないけど、全くいい壁役だよコイツは?」
「ウィ! マドモアゼルアヤナミは、僕らの太陽ですとも!」
「そういうことよ、この娘を悪くいうなら、私は貴女を許さないから」
「皆さん…」
僕らの反論に歯噛みしている不知火、ウォースパイトは不知火の前にそっと腕を伸ばし、制止する。
「…貴女の負けよ不知火。彼らの言う通り、我々は本当に幽霊騎士が彼女なのか確かめるためにここにいる、ここで綾波を糾弾しても何も変わらないわ」
「…っ」
「すみません、不知火も悪気があるわけではないんです。艦娘騎士団にとって団長は…かけがえのない存在でした。だから…彼女がどうしても不安になる気持ちを、どうか理解してあげてください」
「…いえ、僕の方こそ言い過ぎました。ごめんね?」
「……っ」
不知火が流れる涙を抑えていたことを、僕は見逃していなかった…。
・・・・・
こうして僕らは、艦娘騎士団の面々と一時的に別れを告げる。
彼女たちは幽霊騎士を、僕らは研究員を捜す。もし互いに違う目標を見かけたら連絡を入れると約束する。
──そして。
「…司令官、先程はありがとうございました」
「綾波…良いんだよ。僕の悪い癖だから」
「それでも…嬉しかった。そして…やっぱり、黙ったままには出来ません」
「綾波…」
「まだ、心構えが出来ませんが…それでも、聞いてほしいんです。私たちの拠点が、騎士団が崩壊したあの日、なにがあったのか…」
「…うん、君の気持ちの整理がついてからで良い。ゆっくりと…ね?」
「はい…!」
綾波との距離が、少し縮まった気がした…。
「…いえ本当に好感度が「3」になってますよ! 良かったですね拓人さん!」
「妖精さん、空気」
「アッ…ハイ…ガチでごめんなさい…;」
○艦娘騎士団
海魔大戦の時、海魔に滅ぼされた国々の生き残りが一致団結して、イソロクさんの下で軍隊を結束して海魔に立ち向かいました〜。そんな中には「亡国の騎士団」もいたそうですが、それが「艦娘騎士団」のルーツに繋がるんですねぇ?
連合発足後、海魔たちとの戦いが終わったすぐに「騎士の伝統を絶やしてはならない!」と当時の騎士団の生き残りとそれに感化された艦娘たち(当時の連合の勢力の四分の一)が、連合の派生組織として離れて行きました、それこそが艦娘騎士団だったんですねぇ?
連合本部と同じく、騎士団の本部も国を運営しながら、艦娘たちを戦争の終結のため参戦させたり、争いの抑止力となったりと「より積極的に戦争に介入していた」わけですね〜?
そのせいか恨みも買うことももちろんありましたが、規模が規模だけにそう簡単に落城することはなかったわけです。あの日…騎士団の拠点が何者かによって「火の海」にされるまでは。
一体誰が、何のために…その答えを知っているのは…?