艦これすとーりーず ―僕が異世界版艦これの提督になった件について―   作:謎のks

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運命に抗う…それはきっと単純じゃない

 研究員の示した二つの道。

 僕はそれの意図を考えあぐねていた。…その議論はもう決したはず? 少なくとも僕の中では、そう帰結していた。

 

「僕は…お前たちを捕まえる。その考えは変わらないんだけど?」

『それは君自身が為すべきこと、だろう? このレーンの終着点…そうだな? この物語の終わりが見えた時、君はこの世界をどう変えるのか。…私が言いたいのはそういうことだ』

「何…?」

『"特異点"とはそういうモノだ。君は自分が思うよりもこの世界の「影響力」は強い、君自身の行動が…様々な事象事柄を容易く変える』

 

 まるで妖精さんのようなことを言ってのけた研究員。

 つまり…どう足掻いても僕は、この先に進めば何をしなくても「世界」を変えてしまうようだ。…実感はないが、漠然とした「そうなんだろう」といった考えはある。

 

『だが、何も君の意図しない形に全てが様変わりする訳ではない。…君の考えはどうなんだ? 愚かな争いを繰り返す人類に、艦娘に、救う価値があると思うか?』

 

 …僕にそれを問うのか? つい最近まで普通の大学生で、自分のセカイに引きこもっていた、この僕に? …何とも重い話だな。

 

「…またそうやって禅問答を繰り返して。いい加減聞き飽きたわ」

「大将、今更コイツの言うことに耳貸す必要ないぜ?」

 

 翔鶴と望月がいたって正論をぶつける。…ただ、惑わせようとしているだけかもしれない、分かっている…でも。

 

「それこそ今更…か」

『何…?』

 

 思わず肩の力が抜け、自然な笑みがこぼれる。

 僕の答えはもう出てる。しかし…対等に話をするなら「相手」の考えも知らなくっちゃいけない、そう…だから。

 

「じゃあ逆に聞くけど…貴方はどう変えたいの? この世界を」

『ッ!? ……そんなこと…』

 

 研究員はあからさまに狼狽した様子を見せる。

 

「貴方が僕たちにわざと隙を作っているのは、貴方自身が…今の自分に「疑問を抱いているから」…違いますか?」

『ッ、黙れ…!』

「今の質問だって、まるで自らに問い質しているように見えた。…貴方は本当は「優しい人」だ、こんなことは…間違っているってきっと思っている」

『……!』

「本当にそう思っているなら…貴方と僕たちは手を取り合える。まだ…間に合いますよ」

 

『黙れえぇ!!』

 

 僕の歩み寄る姿勢を、研究員は一喝して払いのけた。

 …やっぱり思っているんだ、自分の行いが間違っているって。彼は止めてほしかったんだ…僕たちに、自分自身の過ちを。

 

「タクト…君は彼を"仲間"にするつもりなのかい? 分かっていると思うけど…彼は…」

 

 ぼそりと僕の耳元で呟く時雨。そんなつもりはないんだけど、時雨は僕の心を読んだ上で発言している。…そういう気持ちが奥底にはあるんだろう。

 

「うん、でも無理に戦う必要がないのに敵対するのも、僕は納得いかない…かな?」

「…そうか。ホントに君はお人好しだね」

 

 時雨は答えが解っていても、それでも聞き入れてくれた。…僕のワガママだけど、許してね?

 

『…もういい、そこまでして進みたいのなら…君はここで消えていろ!』

 

 そう言いながら背中の得物に手を取る白き姫。合わせてウォースパイトと不知火も戦闘態勢に入る。

 …頑固な人だ、盲目的になっている以上戦うことしか、彼の目を覚まさせる道はない。

 

「…って、どうしようか?」

 

 しかし僕らは思わず戦うことを躊躇ってしまう。研究員の取り憑いたのが綾波たちの団長なら…彼女たち三人を相手にするのは…綾波の仲間を…っ。

 

「……」

 

 そんな僕らを他所に、綾波は徐に前に出た。…そして。

 

「…っ」

 

 自らの斧に手をかけ、目前の「敵」に臨戦態勢を取った…。

 

「綾波…」

「皆さん、私が彼女たちを足止めします。その隙に研究員の所へ」

「何を言い出すんだ、お前は!」

 

 天龍が声を上げて綾波の愚行を非難した。

 

「ソイツはお前の仲間だろう、共に同じ道を歩んだ友なのだろう! それを…」

 

「だから、私は"私の手で"彼女たちを止めたいのです」

 

「…っ」

「…ごめんなさい。それでも私たちは…同じ志を持つ仲間が、自分の意思に反することを…過ちを犯す前に、止めたいのです」

 

 綾波の言葉の意図を、僕は理解していた。

 彼女たちはヒトとして生きたかったんだ…意味もなく力を振るわされる「怪物」になり果てる前に…その後悔を断ち切りたいんだ。それが彼女たちなりの「騎士道」なんだ。

 

「私が操られたとしても、姫様も不知火ちゃんも…きっと同じことをする。だから…心配しないでください」

「…っち、埒が開かない。解った、だが…ヤツの本体を確保したら必ず戻る、それまでは無理をするな」

「…了承」

 

 渋々彼女の考えを受け入れた天龍を、綾波は静かに肯定し、しかしその目はかつての同朋から逸らさない。

 

「…しょうがないなぁ」

 

 僕はそう言って綾波の隣まで進み出て、同じ目線で綾波の視線の先を見据えた。

 

「司令官…!?」

「僕もサポートするよ。君ヒトリじゃ何があるか分からないしね?」

 

 僕の言葉に周りは「そう来たか」といった安堵したような表情になる。勿論当人は…。

 

「っ、なりません! 貴方に何かあれば…私は今度こそ自分が許せなくなる」

「だったら…守ってよ? 後悔のないように全力で。僕は綾波を…信じているから、さ?」

 

 …少しの沈黙の後、綾波は根負けしたようにため息を吐く。

 

「…必ず私のお側に、決して一人で行動なさらないよう」

「それ、君が言うんだね?」

「…イジワルです、司令官」

 

 ごめんごめん、と謝りながら僕らは対峙する…綾波の「過去」に。

 

『…ふん、いいだろう。どうせ無駄なことだ』

 

 どうやら彼は天龍たちを見逃すようだ。余裕…なのかは分からないが?

 

「…大将、一応これ渡しとく」

 

 そう言って望月が僕に手渡したのは、蒼く光る小さな鉱石…これは「艦鉱石」…!

 

「隙を見てソイツを不知火らにかざしな? そうすりゃ勝手に事が運ぶだろうよ」

「あの時みたいに、ウォースパイトたちを助けるんだね? …ありがとう望月」

「ヒッ、そんくらいしか出来ねーけど、まぁ頑張んな?」

 

 天龍たちは僕と綾波を残して、先に研究員の下へ急ぐ…しかし天龍は気がかりと言わんばかりに後ろを振り返る。

 

「大丈夫だよ。…僕たちも後から行くよ」

「…っ、絶対に無茶はするなよ!」

 

 天龍はそう叫ぶと、それ以降彼女たちは振り返らず奥へ進んでいった。

 

「さてと…」

 

 今この場には、僕以外には「艦娘騎士団」の面々が揃っている。

 

 彼女たちの「呪い」を断ち切る。…もし僕に、本当に何もかもを変えられる程の「力」があるなら…!

 

「行くよ…綾波!」

「了承…!」

 

 綾波と共に、僕は立ち向かう。…そこにどんな結果が待っているか、まだ知らない…。

 

 

 

 

 

・・・・・

 

 金剛と呼ばれていた「ナニモノか」は自身の内なる力に「戦う理由」を問われる。しかし絶望に沈む彼女にそのような気概はない。途方に暮れていた…その時。

 

『マドモアゼル、少しよろしいでしょうか?』

 

 部屋の向こうから声がする…彼女は。

 

「野分…!?」

 

 彼女のことは、記憶が戻ってからもよく覚えている。

 誰よりも美しいものを愛する、人の生きる意志こそ麗しいと豪語する。…野分とはそういう人物だ。

 

「…っ、は、ハーイ! どうしまシター野分〜? というか他の皆はどこデース!」

 

 思わず取り繕うように、自身をあたかも「金剛」のように振る舞う。

 別に隠すつもりはないが、それでも心の準備も出来ていないし、何よりこの現状を「逃避」したかった。…そんな情けない自分がいる。

 

 まるで強く美しいヒロインのように振る舞わなければ、彼女は自分を保てなくなっていた。

 

『…コマンダンたちはボウレイ海域へと赴きました。あの研究員と決着をつけにいくご様子でした』

「っ! 皆が…?」

『ええ、自分は…残念ながら待機を命じられましたが。マドモアゼルもそうなのですね?』

「えっ…いや、ワタシは寝過ごしてしまったみたいデース! アハハ…」

『そうですか…ならばお早くご用意を。貴女が居れば千人…いえ万人の力となります、コマンダンたちもそれを望んでいるはず』

「そ、それは………」

 

 野分の話では、拓人たちはあのボウレイ海域へと向かったようだ。

 ここでいつもの金剛なら「ワタシに任せてくだサーイ!」と嬉々として拓人たちの居る戦場へ馳せ参じることだろう。…しかし。

 

「…ッ」

 

 今この場に居るのは、艦娘を憎む一人の少女。

 

 彼女たちの戦いが、戦争を肥大化させ…更なる被害、悲劇を生んだ。それを考える度、感じるたび…薄暗い気持ちになる。

 

「……ねぇ、どうして貴女たちは戦うの?」

 

 …思わず少女としての本音が飛び出す。それを聞いて戸惑いの色を隠せない野分。

 

『…何故、とは? マドモアゼル、それは…もう戦いたくない、と?』

 

 野分としては、艦娘の端くれとして「戦わない」という考えは有り得なかった。

 勿論、艦娘としての役割を放棄してでも平和な日常を過ごしたいと願う娘も居た。そういったモノは遅かれ早かれ前線から離れていった、しかし大半は「兵器」としての道を良しとした。

 

 何故なら…それが彼女たちの「存在意義」だからだ。

 

 迫り来る脅威から人々を守る為に戦う、戦場に身を投じる。…他に役割が出来たなら未だしも、自棄になって戦いから降りる、その思考は彼女たちには(少なくとも"この世界"では)自らの命を絶つも同義だった。

 

『マドモアゼル…如何なされたのですか? 貴女らしくない、貴女は…』

 

「どうしてっ!?」

 

 思わず声を荒げる少女、そのあまりの変わりように、野分は面喰らったように慄いた。

 

『マドモアゼル…?』

「戦うことが怖くないの? 死んじゃうかもしれないんだよ!! 知らない他人(だれか)を傷つけているんだよ?!! 何で止まろうとしないの? 貴女たちの所為で多くの人が死んだ、帰るべき居場所を失った、その自覚はあるの!?」

 

 堰を切ったよう自らの感情が溢れ出した。

 それは、他の艦娘にはない…ただの少女であった彼女だからこその考え、人間的「生の価値観」…ニンゲン独自の存在意義。

 

 今、お互いの価値観の違い、存在意義の相違がぶつかり合っていた。

 

『……』

 

 野分もまた、その意図を理解し顔を引き締める。

 彼女の考えが分からないわけではない、だが…自身もそれなりの「覚悟」…彼女でいうところの「美学」がある。

 

『…ごもっともな意見です。しかし…我々にはそれが、それだけは出来ない理由があります』

「人を殺してるんだよ、それでも止まれない理由って何!? 戦場が自分たちの居場所だから? ふざけないで! そんなことで…っ」

 

『確かに存在証明のためかもしれない。しかし我々は止まれないだけでなく「進みたい」のです、その先へ…ニンゲンたちと一緒に、我々も美しく「平和な世界」を歩みたいのです』

 

「…っ!?」

 

「戦いは残酷です、無辜の民が犠牲になってしまうこともある。それでも…ボクは彼らの死を無駄にしないためにも、進むべきだと考えます」

 

 彼女の言葉に嘘はない…それは理解出来た。

 

 しかしながら矢張りそう簡単に納得は出来ない、ましてや平和な世界にするべく戦い続けるなど…矛盾をしていないか? 彼女たちが戦いを「止めれば」いいだけだろう? …そう思うことさえ出来てしまった少女。

 

「どうして…怖くないの? 戦いの中で…沈んでしまうかもしれないんだよ!?」

 

 声を震わせながら、尚も反論弁舌を絶やさない、そんな少女にも野分は誠実に対応する。

 

『我々も戦いを恐れていないわけではありません。しかし…世界中に戦いがある限り、人が誤ちを繰り返す限り、争いは…決して無くならない』

「…っ!」

 

 そう、例え艦娘が全ての戦いを放棄したとして…人類は、果たしてそれに倣って得物を棄てるだろうか?

 

 ──答えは「否」。

 

 少女が艦娘に見ていたものは、人の隠しきれない「欲望、負の感情」そのものだった。

 

 それは、領土を拡げるための争いだっただろう。

 

 それは、自国の防衛手段だっただろう。

 

 それは、内戦を鎮圧する道具だっただろう。

 

 誰が始めたのかは分からない、しかし人は生きる上で「欲すること」を止めない、抑えることの出来ない望みは…やがて身を滅ぼし、周りを巻き込み、国や世界すら蹂躙する。

 

「…人間たちが、悪いと言うの?」

 

『…どうなのでしょう? 少なくとも我々はニンゲンが望む限り、その力を振るうことを辞めないでしょうね』

 

「っ、人間が悪かったとしても、貴女たちは程よく利用されているんだよ。それが解らないわけじゃないでしょう!」

『…マドモアゼル、やはり貴女は』

「答えて。…その先に何が待っているか分からなくても、何故貴女たちは戦い続けるの? どうしてそんなこと出来るの、貴女たちは…戦いの先に一体何を見てるの?」

 

 …野分は目先の違和感に目を瞑り、一人の少女に…答えを出す。

 

『…ココロ、ですかね』

 

「心…?」

『はい。ヒトはそれが誤ちだと解っていたとしても、それをせずにはいられない「脆弱」な存在でしょう。それでも…ヒトには己と向き合い、正しくあろうとする美しい「ココロ」があります』

「…っ!」

『ボクはそんなヒトのココロを守りたい。そんな美しいヒトビトを支えていきたい、例えそれが罪に繋がるとしても…彼らの内の「ココロ」を、信じているのです』

 

 彼女たちの原点とは、近しい誰かに寄り添い、守り、その幸せを願うこと。

 それは、弱さに囚われ力に溺れたニンゲンであっても、彼女たちの守るべき対象…ニンゲンの「正義を尊ぶココロ」を、彼女たちは信じているのだ。

 

「…何て、馬鹿なの…そんなこと…」

 

 だが、人の価値観ほど強固なものはない。それこそ国が違えばその考えも千差万別。…この憎しみに囚われた少女もまた、堅牢な檻に閉じ込められた哀れな獣なのだ。

 

『…マドモアゼル、ボクには何が真実なのか図りかねます。それでも…今の貴女は「美しくない」。それだけは言えます』

 

「っ!?」

 

『しかし…度重なる戦いでお互い疲弊しているのも事実。ああは言いましたがボクも貴女に無理をしてほしくない…まずはゆっくりお休みを。それからどうするか…考えていきましょう』

 

 そう言うと、扉の向こうの野分はその場を立ち去る。足音が段々と遠ざかっていく…。

 

「………」

 

 野分の言葉を頭の中で反芻する…。

 

 "美しくない"…その意図は理解出来た、だが…この気持ちを、憎しみをどう受け止めれば良いのか、少女にはまだ整理がつかない。

 

「…タクト」

 

 その名前を口にする、すると今度は彼の言葉が。

 

『金剛ーっ、頑張れー!!』

『これ以上やるなら僕は…”君を嫌いになる”!!』

『君なら大丈夫だよ、金剛』

 

『金剛っ!』

 

 まるで最初から「金剛」を知っていた、優しく不可思議な人。

 

 彼の言葉が、私を奮い立たせた。

 

 彼の存在そのものが、私に勇気をくれた。

 

 彼が居たから、私は金剛でいられた。

 

 

 …同時に、罪悪感もある。

 

 

 自分は彼を騙してきたのではないのだろうか? …彼の純粋な好意を踏みにじってしまったのでは? …自分はただの人間であり、金剛ではなかったのだから…。

 

「私…もう彼に会わせる顔がない」

 

 涙を滲ませ唇を噛みしめる、悔しさが自然と溢れてくる。

 守ると約束したのに、その私は「ワタシ」ではない。…取り留めのない思いが彼女の頭を埋め尽くす。

 

「無理だよ…こんな私が金剛になんて……なれるわけないよ…っ!」

 

 悲しみに暮れる彼女を救うモノは、果たしているのか…?

 

 

 

『──やれやれ、仕方がないですねぇ?』

 

 

 

 部屋の中で響く声、この声は彼女の内のモノではなかった。

 ゆったりとした口調で彼女を導こうとする声…少女は困惑した。

 

「…この声…貴女は…?」

『貴女にはまだ彼を守ってもらわなければなりません。まだ悲しむには早すぎます〜、なので…特別ですよ?』

 

 その瞬間、少女の周りを白く淡い光が包み込む。

 

「…っ! これは…」

 

 

 

 ──彼女が金剛じゃなくても関係ない。

 

 僕の手を取ってくれたのは、"あの"金剛だ…だったら、僕は彼女を信じる!

 

 

「…あ」

 

 

 転生までして金剛に会いに来たというのに…その彼女に戦わせ、何も出来ないまま終わる。…そんなの!

 

 

「……あぁ」

 

 

 彼女がニセモノだろうと、もう関係ない。…金剛は「金剛」だ、僕はそう信じる…信じたいんだ。

 

 

「………っ!!」

 

 

 

 突如、彼女の頭の中に響く声…拓人の抱く思い、願い、信じる心。全てを知覚する。

 

「タクト……タク、ト…ッ! ぅう〜〜〜!!!」

 

 彼は自分を信じてくれていた…たとえニセモノだろうと、自身を「金剛」だと思っていてくれた。その純真な思いが、彼女を絶望の淵から救い出す。

 

「──分かったよ、タクト」

 

 溢れ出す涙を抑えながら、少女は決意する…己の罪と真実に向き合うと。…そのためには。

 

「……!」

 

 徐ろに立ち上がった少女は、部屋に置いてあった姿見鏡を頼りに、ボサボサの髪をしっかりと整えて、左右両端の髪をお団子状に結っていく。

 

『…決まりまシタ?』

 

 ふと、耳元で囁くように呟く「あの声」が。

 蛇足だろうと関係ない、自身の内に潜む「ナニカ」にとって、戦う覚悟を表した言葉を聞き届けることが重要なのだ。

 

「…貴女たちのこと、簡単に許せそうにない。それでも…タクトが私を信じてくれる限り、私も戦う!」

『それは戦うことで誰かが傷ついても構わない…のデスね?』

「違うよ。戦うことで誰かが傷つくのは見過ごせない、だから私は…大切な人が傷つかないように守リ抜くの」

『っ! …アッハッハッハ! いいでショウ! 中々に矛盾してマスが、その矛盾に立ち向かってこその貴女デス!』

 

 少女の言葉を聞き終えると、内なるナニカは満足したようにその存在感を薄らいでいった…。

 

「…いかなきゃ」

 

 静かな決意を秘めた少女は、人知れず扉を開けて何処かへ向かう。…その先に待ち受けるものとは…?

 

 ただ一つ言えることは──

 

 

 ──少女は再び「戦士」となった。

 

 

 

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