艦これすとーりーず ―僕が異世界版艦これの提督になった件について― 作:謎のks
○金剛・好感度4
○天龍・好感度5(最大値)
○翔鶴・好感度3
○望月・好感度4
○野分・好感度3
○綾波・好感度5 (最大値)
綾波がすごい上がり幅(?)になった、まぁ終盤近くだしこんなものか。
…ホントにいつ終わるんだろ(淀んだ瞳)
会議室に乱入してきたのは翔鶴だった。
頑なにカイトさんたちと会おうとしなかった彼女が、ここに来てどういう心境の変化だろうか? ユリウスさんは翔鶴の突然の登場に少し驚いている様子だった。
「君は…確か翔鶴君だったか?」
「…翔鶴さん、この話は貴女の過去に関わることよ。それでも…良いのね?」
加賀さんの問いかけに、翔鶴は浅く頷く。
「このまま私だけ過去から逃げても、もうどうにもならない所まで来てしまった。…それに、
「っ! 翔鶴…今初めて名前で呼んでくれたっ!」
感極まった僕に、周りは思わずスッこけた(新○劇みたいに)。翔鶴だけは静かに微笑んでくれていた。…本当に、原作の面影が出てきたなぁ。最初は本当に…ねぇ?
「…ん”んっ! それで翔鶴君、君はクロギリ海域とどういう繋がりがあるのかな?」
気を取り直して、咳を一つするとユリウスさんは翔鶴から詳しい事情を聞き出そうとする。
「…昔、あの海域が「アサヤケ海域」と呼ばれていた頃、その海域の事件を取り締まる「南木鎮守府」に所属していたの」
「…っ!?」
南木鎮守府…! そういえばクロギリと南木ってこれからの戦いの場の名前だったっけ…やっぱりこの二つのワードは変わらないみたいだな。…ん、そういえば?
「カイトさん、この際だからお聞きしたいんですが…綾波から「深海棲艦の台頭のせいで殆どの鎮守府が機能してない」って聞いたんですが?」
「…あぁ、確かに君の言う通りだ。……ふぅ、仕方ないな。ややこしくなるからあまり言及したくはなかったが、この際だからね」
カイトさんは「さてどこから話そうか?」と頭を掻いて話の手順を思案していた。
「先ず深海棲艦の出現は「数年前」に遡る。それまで海魔の脅威もなく、各国の小競り合いはあるものの比較的平和だったこの世界に、突如として現れた灰色の怪物たち。彼女たちは海の底から出でては様々な国や武装勢力を破壊し、我々が反撃に転じようとした矢先に蒸発したように「掻き消えた」んだ。奇襲の形になるね、彼女たちはこの広い「海」というフィールドを利用して、姿を見せては奇襲を仕掛け、音も無く消えるを繰り返していた。その度に何処かの国や重要拠点が犠牲になった。出現パターンにあまりに法則性もなかったから、対応は遅れ、被害は拡大するばかりだった、加賀さんたちにもその都度防衛に当たって貰ったが、結果は変わらなかった」
「……っ!」
加賀さんは少しだけ下を向くと、顔色を変えずに身体を強張らせて震えて怒りを表した。
「彼女たち深海棲艦とのファーストコンタクト、それが「鎮守府崩壊事件」として語られる、主要鎮守府の同時多発テロによる機能停止だ。あの時は大変だったよ…僕以外の提督や指揮官の大部分は鎮守府務めで、崩壊により軒並み殉職でさ…周りが混乱しきってるから悲しんでもいられなくって? 状況を治めるのに必死だった」
「そんなことが…でもここの深海棲艦は「人類転覆めいたことはしてない」って天龍が?」
「そうだねぇ、そうなりかけてはいるけど「今の所は」まだ余裕はある方かな? 最初こそ悲惨だったが現在は深海棲艦も大人しくなっていて、こちらから仕掛けなければ襲って来ることはないだろう。仮にそういった意図があるなら、僕らは既に海の藻屑だからね」
「…触らぬ神に祟りなし、か。人類側が下手に深海棲艦を刺激してないから、現状が成り立っているのか」
「そうとも言えるし「それが出来る態勢ではない」とも言えるね。掃討作戦をする場合艦娘も兵器であるから、指揮する立場の人間が居なければどうにもならないんだ。もしドラウニーアがゼロ号計画を強行しようものなら、最早我々に深海棲艦を止める手立ては無いだろうね?」
艦娘のおかげで深海棲艦を止められているけど、それだけの切羽詰まった状況なら、いつ均衡が破られてもおかしくない。もしゼロ号計画で艦娘たちが全て機能停止になってしまったら、それこそ大惨事になることは目に見えている。
「南木鎮守府は海魔大戦時にも主要拠点として存在していた、大戦終結後も秩序を守るための要石として活動していて、連合からの提督や指揮官が数多く配属されていた。だが鎮守府崩壊事件であっさり壊滅してしまった。…防衛も隙は無かったはずなんだけどね、今では無人の鎮守府跡地があるのだと考えてた。…だが、事実は違うようだね?」
カイトさんはユリウスさんに視線を送ると、ユリウスさんは解説し始める。
「…連合は何故あの鎮守府を放置しているのか、発言は可能か?」
「…そうか、タクト君の報告から嫌な予感がしていたが…矢張り」
「あぁ…ドラウニーアは南木鎮守府跡地を「全艦娘停止装置」開発のため利用している」
「っえ!? じゃあ…南木鎮守府を襲撃したのって…!」
僕は一連の話から連想される事を口にする、ユリウスさんも肯定の意を示した。
「私も、その場に居た訳ではないから分からないが、当時ドラウニーアが例の如く雲隠れをした後、鎮守府崩壊事件発生と
「…っ!」
翔鶴は顔に憤りを浮かべ眉を顰めた。無理もない…彼女が勤めていた鎮守府を崩壊させた張本人がアイツだったのだ。
…思えば、カイトさんの言う通りになっている。アイツは…関わった人、艦娘、全てを不幸にした。
金剛も、望月も、綾波も、翔鶴も…アイツさえ居なければ、辛い過去を背負わずに済んだかもしれないのに…っ!!
「ドラウニーアは南木鎮守府周辺に「黒い霧」を散布し、自身の研究所を守る隠れ蓑とした。黒い霧はマナの穢れによって艦娘、ひいては人間の肉体に悪影響を及ぼす、下手に近づくことは出来ない…そういった算段だろう」
「だろうね、実際僕らもあの海域周辺を「関係者以外立ち入り禁止」にしていた。してやられたな…」
ユリウスさんとカイトさんの会話は、ドラウニーアの狡猾さを嫌というほど解らせた。どうやってそんな危険地帯に出入り出来るのかは、まだ分からないけど?
「黒い霧の対処法は様々あるが、アイツは魔術も扱えるので「魔術防膜」で対応している次第だ、それでも短時間の間だがな。施設内では黒い霧の影響はないが、どちらにしても我々も南木鎮守府へ赴くなら、黒い霧を対策しておかなければならない」
「…んー、黒い霧…魔術防膜が有用なら望月が使える…よね?」
「ヒッ、まぁなぁ? だがよ大将、ユリウスが言ったようにソイツは短時間しか保たねぇ。ヤツが道中に何を仕掛けてるかも分からねぇ、アタシらにもたもた時間を無駄にさせて、防膜が効かなくなるのを待つってことも出来ちまうだろうぜ?」
あーそうか、障害を避けながらっていうのも手だけど、敵陣の真っ只中だしなぁ、難しいか?
「…っあ、でも天龍たちによると「改二艦は黒い霧が効かない」らしいですよ、機獣クラーケンでしたっけ? アレの墨が黒い霧だったらしいんですけど、天龍たちは平然としていて…だよね?」
天龍と時雨は僕に向かって頷きを返した。
「そうか。じゃあタクト君、今この場にカイニはどのぐらい居るかな?」
「えっと…天龍に綾波に、選ばれし艦娘の加古と時雨でしょ? 今はそのぐらいですかね?」
その話を聞いたカイトさんは…ハッと何かに気づいた様子を見せると「まさか」と零した。
「カイトさん…?」
「加賀さん…海魔の大元との戦いで「覚醒」した娘は?」
「…金剛、加古、時雨……っ! まさか…っ!!」
「嘘だろオイ…それがホントなら、アイツも生きてるかもしれねーってのか!?」
「でも…金剛ほどじゃないけど彼女も大概だったから、もしかしたら…!」
「うん、僕も…そう思いたいよ」
ん…? カイトさんや選ばれし艦娘たちがざわつき始めたけど、一体…?
「…封鎖された南木鎮守府周辺には、選ばれし艦娘の一人が残っているとされているの。タクトの話が本当なら、彼女もカイニになっているはず。生き残っている可能性はあるわね?」
「…っ!」
翔鶴の説明に、僕は何処か納得していた。選ばれし艦娘は金剛を除けば「5人」で一人足りなかったんだけど、居なかったのはそういう理由か。確かメタ的には「南木鎮守府周辺で戦っている艦娘がいる」とシナリオにも…書いてた…気がする?
「そう、彼女はよく南木鎮守府に出入りしていたからね。南木鎮守府襲撃時にも自身は黒い霧の影響で凶暴化した深海棲艦を止めるため、霧の中で力尽きるまで戦った。…そう結論づけていたが、そうか…生きているかもしれないのか…っ!」
カイトさんは嬉しそうに、最後の選ばれし艦娘の生存の可能性を喜んだ。そんなカイトさんをユリウスさんが窘める。
「待て。南木鎮守府にはドラウニーアがいる、アイツが選ばれし艦娘を捨て置くはずはない。生き残っているなら何らかの手段で始末しようとするはずだ、君たちに水を差すわけではないが、本当に助けたいなら油断は禁物だ」
「…っ、そうだね。…っはは、僕もまだまだだな、済まないユリウス殿。彼女は加賀と共に幼い頃から僕の面倒を見てくれていた。…叶うなら助けたいんだ」
「…そうか、ならば救おうじゃないか? タクト君もそれで良いね?」
ユリウスさんに問われると、僕は頷きながら席を立つと会議室を見渡し、改めて目的を定める。
「はい、最後の選ばれし艦娘を必ず救出し…ドラウニーアの野望を打ち砕きます!」
僕の宣言に、仲間たちは力強く頷き肯定の意を返してくれた。
「よぉーっし! 私も頑張るよぉ、って…今更だけど私たちここまで大事な話聞いて大丈夫なの?」
マユミちゃんはやる気になってくれてるけど、確かに(言い方悪いけど)部外者に重大な話聞かせすぎじゃない? などと思っていたら、ユリウスさんとカイトさんが付け加えた。
「マユミ君だったね? 君は奇しくもドラウニーアと二度も関わっている。粛清の夜は事実上の失敗だったが、アイツが代替案を立ててないとは考えにくい。もしこの最終決戦でアイツを逃せば、君も狙われる可能性が高い。私としては連合の保護下に居てもらえれば一先ずは安心だが?」
「連合としても君を放置するわけにはいかないな? そもそもアレが何の目星も無しに、君やエリ君たちの乗った馬車を襲ったとは考えにくい。何らかの適正があったことを調べていた可能性がある。ユリウス殿も否定出来ないと言っている以上、君には我々の下に来てもらえたら有難いのだが?」
「ふえぇ!? でも私マーミヤンで伊良湖ちゃんを手伝わないとだし…?!」
マユミちゃんは突然の申し出に困惑していた。…しかし、隣に居たコバヤシさんは柔らかな微笑みを浮かべて諭すように言った。
「いいじゃない、この際だからタクトちゃんたちのお世話になっちゃいなさい?」
「こ、コバヤシさぁん!?」
「タクトちゃん聞いてぇ? マユミちゃんってば最近は口を開くと「タクトたちどうしてるかな、金剛元気かな? 皆大丈夫かな〜?」って私に愚痴ってくるのぉ。そんなに心配なら一緒に居れば良いのよ!」
「そうなんだ、僕らは全然大丈夫だけど?」
「ほら、タクトちゃんもこう言ってるし、行って来なさい? 伊良湖ちゃんには私から言っておくから…ねぇ?」
コバヤシさんの説得は、マユミちゃんを大いに悩ませているようで「うぅ〜」と可愛らしい唸り声を上げていた。そんな彼女にトドメをサしたのはエリだった。
「マユミ、私も貴女が来てくれたら嬉しい! 記憶が戻ってからずっと気掛かりだったから、またお話しよ♪」
「エリちゃん……ん〜っ、分かったっ! 私も皆と一緒に戦う!!」
「待ってまって!? マユミちゃんは戦わなくて良いんだよ、ね?」
「ふふふ…タクト分かってない! 女の戦いは「料理」と「家事手伝い」だよ! 私の取り柄ってそのぐらいしかないけど、私に出来ることでタクトたちをサポートしたい!」
ま、マユミちゃんが燃えている…;
こうして、要塞食堂の看板娘「マユミ」は一時的に僕らの鎮守府の…家政婦? 間宮さんみたいな立ち位置か。とにかく仲間になってくれた、これは心強い。正に──
「"補給艦マユミ"、爆誕…(ボソッ)」
「っ!!? し、時雨さ〜ん…?」
「あはは、冗談だよ。……ねぇ?」
う〜っわ、悪い笑顔! でも何だか賑やかになってきたことは確かだ、僕も素直に嬉しい。
「はは、良かったじゃないかタクト君?」
「あはは…おっとっと、それでユリウスさん、具体的にはどう動けば良いですか?」
ユリウスさんは僕の疑問を受けると、これからの考えを伝えた。
「先ずは、南木鎮守府の現状を把握したい。現地に行って調査を行ってほしい、ぁあ、黒い霧自体は南木鎮守府周辺に漂っているだろうが、決して無闇に近づこうとするなよ? 天龍君たちに霧の耐性はあるかもしれないが、霧の中には凶暴化した深海棲艦が居るからな、大規模な艦隊行動が望ましい。望月の力を借りて私の方で「霧対策の装備」を造ろう。時間は掛かるがその間にクロギリ海域周辺で異変が起こっていないか、調べて報告してほしい」
「装備開発に、海域周辺の調査、そして大規模艦隊の編成、時間は無いから早急にお願いしたい。準備が出来次第…南木鎮守府突入を敢行する!!」
「はいっ!」
僕はカイトさんの宣言に力強く頷きを返した。
いよいよ決戦だ…クロギリ海域にどんな光景が広がっているのかまだ分からないけど…僕らは出来ることをやらなくちゃ…!
「…タクト」
僕が人知れず意気込んでいると、翔鶴が近寄って来た。言い知れぬ不安の表情を浮かべて僕を見つめていた。
「どうしたの、翔鶴?」
「…先に話しておこうと思うの、私の過去に…南木鎮守府に何があったのかを」
「…っ!」
翔鶴の不安の色に隠れた決意を感じ取り、僕は彼女を見つめ返し、無言で頷いた…。
「…(コマンダン、ボクは……)」
──その裏で、野分が恐怖に震え圧し潰されそうになっているとは、知らずに…。
・・・・・
──クロギリ海域、デイジー島。
色鮮やかな花が咲き乱れる木々の間から、こぢんまりとした木造の小屋の姿が見えた。
人の気配がする、窓の外側から中を覗くと女性が本を片手に何かを言い聞かせるように語りかけていた。
「魔王は言いました、"勇者よ、貴様如き小さな存在が我に歯向かうか!" 魔王の言葉に勇者の仲間は怖気付いたように後退りします。しかし…可憐な勇者は前に進み出て高らかに宣言します。"えぇ、貴方を倒してこの世界に光を取り戻す。それが私の使命だから!" …勇者のどんな相手にも物怖じしない凛とした言葉は、仲間たちを励まし勇気付けました」
床に座った女性は絵本を読み聞かせているようだ、彼女の前にはボロボロの布に包まった二人の少女。彼女たちの目蓋は重く今にも閉じそうであった。
「激しい戦いが続きました、それでも勇者は諦めなかった。長いながい戦いの果てに…遂に勇者は魔王を打倒し世界に平和を取り戻したのです」
お終い──パタンと絵本を閉じて柔らかな笑みを浮かべる女性。
二人の少女の内一人はすやすやと眠りについたようだ、もう一人も薄く目を閉じていたが、中々眠らなかった。
「…眠れない?」
女性が静かに問いかけるが、少女は気になることがあるようで、うつらうつらしながらも尋ね返した。
「…シスター、私たち帰れるかな? あの霧全然晴れそうにないし…私…提督や皆に……会いたいよ…」
少女の不安を垣間見て、シスターと呼ばれた女性は表情を一瞬曇らせる。しかし努めて笑顔を作るとこう言った。
「大丈夫、"彼女"があの霧の中で戦っている、彼女は強い…誰よりも。だから…彼女があの霧を何とかするまで、私たちは信じて待ちましょう?」
「……うん、分かった。…ふあぁ…おやすみシスター」
「はい、おやすみなさい」
少女は欠伸を一つすると、目蓋を閉じて寝息を立て始めた。
「………」
シスターは少女たちの就寝を確認すると、立ち上がって窓に移動する。そのまま窓越しに外の景色を見る。
空一面を暗雲が覆い隠し、強風が吹き荒れる。正に闇が支配する世界…その渦中で戦う戦士を思い出すと、不安が襲って来た。
「…大丈夫、約束ですもの。私は…信じています」
自分に言い聞かせるように、彼女は黒い空を見上げながらそう呟いた。
荒んだ世界に取り残された少女たち、彼女たちを救う手は、伸ばされるのか──
○ 鎮守府崩壊事件
各海域の治安維持に努める艦娘たち、彼女たちの拠点であった鎮守府が、数年前の深海棲艦のテロによって壊滅した。
深海棲艦が現れるまで、脅威らしいモノも居なかったので警戒心が緩んでいたのだろう。その緩みが現在の状況…主要鎮守府群の崩壊を招いたのだろうな? …何処かで聞いた話だな、耳が痛い。
その中には翔鶴の居た南木鎮守府も含まれていた、このまま深海棲艦が世界を…と思っていたら、彼女たちの攻勢はある日を境にパッタリと無くなった。
連合は彼女たちを脅威とみなし、劣勢を覆そうとするが…矢張り人手不足が祟り、今まで反撃も出来ずただ傍観する他なかった。
更にドラウニーアたちの反旗により、この問題は「有耶無耶にせざるを得ない」状態と相成った。
おそらく彼(ドラウニーア)が計画の一部として実行したのだろう、彼には深海棲艦を操る術があるからな? 鎮守府という数多の障害は排除しておきたかったと見える。
この深海棲艦を中心とした問題は、ゼロ号計画を阻止したとしても変わらないだろう。先ずは大元を断つことだが…この先の彼らには課題が山積みだろうな?