艦これすとーりーず ―僕が異世界版艦これの提督になった件について―   作:謎のks

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 もしもし私作者。今アニメカ○ジ見てるの。
 クズな性格の主人公が、それ以上のクズや邪悪を超越した存在たちがひしめき合っているおかげでまともに見える、不思議!

 …あ、次の投稿は暫く間が空くと思われます、"宿毛"があるので…。



追憶─ 風声鶴唳 ─ ①

 ──名も無き鎮守府、艦娘自室。

 

 僕は翔鶴の部屋へ招かれ、今彼女の部屋のベッドに座っている。

 こういうシチュエーションに憧れがないって言ったら嘘になるけど…いや駄目だな、真面目にやろう。

 ここに呼ばれた理由は、彼女が自身の過去を僕に聞いてほしい…とお願いをして来たから。随分と鎮痛な顔持ちで僕を見つめる彼女は、まるで路上に捨てられて鳴いている仔猫のようだった。

 

「…ふぅ」

 

 僕の隣に翔鶴が腰掛けた。

 最初に出会った頃は、誰も近づけさせまいと刺々しい態度を取り続けていた彼女、でも…僕や他の艦娘たち、任務中に出会った様々な人と接する内に、大分丸くなったと思う。…そんな彼女の過去、それはあの態度に裏打ちされる「辛い過去」であると予想出来る。

 それを証明するように、彼女は今も辛そうな表情を浮かべ中々口を開かない。

 

「…翔鶴?」

 

 僕は翔鶴を落ち着かせるため、彼女の背中を摩ってみた。ちょっとカッコ悪いかな? こういう時気の利いた言葉を掛けられたら良いんだけど、僕には…これしか思い浮かばない。

 彼女は少し驚いた様子だったけど、僕に向けた表情は段々と「安堵」に変わっていき…そして──

 

 ──ぽふっ

 

「…っ!?」

 

 翔鶴は徐に距離を詰めると、自分と僕の身体を密着させた。

 

「しょ、翔鶴?」

「こうした方が落ち着くと思ったの、不快なら止めるわ」

「…いや、別に嫌とかじゃ……」

「…良かった」

 

 僕らはそのまま肩を寄せ合う形で、何も言わず静かにしていた。

 

「………」

 

「…………」

 

「…聞かないの?」

「いや、翔鶴から言うものだと思って? あんまり強引に聞くのもちょっと…」

 

 翔鶴は「はぁ…」と溜息を一つ吐くと、僕の甲斐性の無さを詰る。

 

「あのねぇ…私がこうして呼んで、それでも何も話さないなら…切っ掛けを与えようとか、そんな優しさはないの?」

「いやいや、話したくないことを無理に話させるわけにはいかないでしょ!?」

「だから、話さないとっ! …私が…どうにかなりそうだから」

 

 一瞬口ゲンカになりそうな雰囲気だったが、翔鶴は語尾から消沈していく。

 …確かに彼女の言う通りだ。これから赴く海域はほぼ間違いなく、彼女と「因縁浅からぬ」場所。彼女の過去…アンダーカルマと関係していることは確実だ、気持ちの整理も込めて彼女の不安を吐き出しておかなくては、何にも向き合えない。

 

「…ごめん、配慮が足りなかったよ」

「いいのよ、私の方こそ…面倒くさいオンナで、ごめんなさい」

「…ははっ、君がそこまで殊勝な態度になるなんてね?」

「揶揄わないでよ、もう…」

「ははは…じゃあさ、ちょっと昔話しようよ。君が話しやすくなるように…僕らの出会いを、少しだけさ?」

「…いいわ」

 

 僕の提案に、小さく頷く翔鶴。

 こうして僕らは、ハジマリ海域での出会いを振り返る。

 

「最初は…鳳翔さんの店で紹介されたんだよね?」

「ええ…私は南木鎮守府が無くなった後、深海棲艦を撃退する部隊に編成されていたの。でも最近はアレらが下手に襲撃しなくなったから、部隊が一時解体されて、手持ち無沙汰で…だから、少しでも「戦い」の中に入られるように、最近深海棲艦が出始めたという「ハジマリ海域」を訪れたの」

「えっ、じゃあ君があの場に居たのって…偶然?」

「そうかもしれないわね? 残念だけど貴方のところに赴いたのは、鳳翔さんがあんまりにもしつこくってね、私もあの時は戦うことが出来ればどこでも良かったの」

「うぅ、地味にショック…;」

「下手に慰めて嘘を言ってもいけないでしょ? それに…最初の頃は貴方があまりにもニヤけた顔ばかりするから、私「気持ち悪い」とさえ思ってたわよ」

 

 第一印象は最悪、か。…まぁ仕方ないよね、自他共に認める「気色悪いにわかオタク」だし僕。

 

「それから君は僕の所に来て、加賀さんとの演習を…あ、気になってたんだけどさ、あの時加賀さんが言ってた「適合体」って何のこと?」

 

 僕の言葉に翔鶴は、一瞬暗い表情になるが説明してくれた。

 

「…遥か昔に存在した「三大異種族」の因子を特定の艦娘に移植する、それにより特異な能力を宿した艦娘を適合体と呼ぶわ」

「…えっと、それって君の場合は「エルフ」の力を持ってるってこと?」

「あら、知ってるの?」

 

 何だか意外そうな反応をした翔鶴に、僕の世界にもそういった存在が伝わっていることを簡単に伝えた。翔鶴は不思議そうな顔をして頷いた。

 

「そうね…かつて森の民と呼ばれていた「エルフ」は、体内にマナを蓄積出来て魔法を自在に操っていたわ。土の民の「ドワーフ」は手先が器用で、装備開発に長けていた。獣がそのまま人になったような「ワービースト」は、高い知性と身体能力を有していると聞くわ」

「成る程、適合体はその能力を受け継いでいる…ってことか?」

「そうなるわね」

 

 翔鶴の肯定に、僕は──

 

「…カッコいい!」

 

「…えぇ?」

「あぁごめん、不謹慎かもしれないけどさ? やっぱりいいじゃない。かつて存在した太古の異能を宿した艦娘、特撮によくあるヒーロー像みたいで良いね〜って思って! 大きな力に振り回されながらも苦悩して、他者を守るために全力で身を捧げる、ちょっと妄想入ってるけど、そういう在り方は…僕は好きだな?」

 

 眼をキラキラさせながらの僕の熱弁に、翔鶴は困惑した様子を見せたが…程なくして彼女は──

 

「…っぷ、うふふ!」

 

 思わず笑いが溢れている、それまで不安な表情だった彼女は何処か吹っ切れたような面持ちになった。

 

「…翔鶴、もう大丈夫?」

「えぇ、心配かけてごめんなさい? …っふぅ、そうよね? 貴方が認めてくれるなら…」

 

 彼女は僕の方へ向き直ると、彼女自身の過去について話し始めた。

 

「あれは数年前、私たちの鎮守府がまだ健在だった頃…」

 

 

 

 

・・・・・

 

 ──南木鎮守府、会議室。

 

「よぉし、皆いるな? 早速会議を…と言いたいんだが、実は新しく配属された艦娘が居てな? 先に紹介するぞー」

 

 数十人の艦娘を前にそう呼びかけているのは、私たちの…かつての「提督」。

 彼は連合の中でも作戦指揮能力、有事の際の行動力、責任感があり、私たち艦娘にも分け隔てなく接していた。とても…優しい人だった。

 そんな彼を信頼する艦娘は多い、より強い感情…愛情を持つモノも少なくなかった。かつての私も…そうだった。

 私は…昔は貴方が言っていたような「性格」だったと思う、不平不満が無かった訳じゃないけど…そんな「悪し」をココロの奥に押し込んで、誰にでも好かれるように振る舞っていたわ。優しい笑顔に穏やかな声色、怒りの感情なんて無いと自分で「思い込んでいた」。

 それというのも、提督に振り向いてほしかったから。彼のような出来過ぎたニンゲンに、ずっと必要にされたら…どれだけ嬉しいだろう、そう思ったから。

 

「提督、その新しい艦娘とは?」

「おぉ、聞くところによると最近方々の戦いで随分な功績を上げた武勲艦らしいぞ? 艦種は空母、因みにソイツも「適合体」のようだ。どうだ翔鶴? 同じ空母として気になるだろ、良かったら面倒見てやってくれ?」

「は、はい…」

 

 戸惑いを隠せなかった私だが、提督の頼みを無下にするつもりはない。寧ろこの新人教育を上手くやれば、彼の気を引くことが出来るかもしれない。そんな下心があった。

 

「さて…おーい、早く入って来い! 皆にご挨拶だー!」

 

 提督がそう言うと、部屋の扉が開いた。

 少し力んでたのか、開いた時の勢いが強い気がした。扉が開いたと同時に足早に部屋に入ると、提督の隣、私たちの前で止まる。

 ──その娘は私たちの方に向き直ると、溌剌とした声で自己紹介した。

 

「初めまして! 連合から派遣されました空母「瑞鶴」と言いますっ! 皆さんのご迷惑にならないよう…えっと……頑張りますっ!!」

 

 緊張の面持ちで手を額の前に持って行き敬礼をする、灰色染みた黒色のツインテールが目を引く、何処か勝気なイメージだが服装は目立たない配色の胴着と、胸当てには迷彩色が施されている。

 よく見ると彼女の耳は、確かに私と同じように長く、それに…顔も何処か私に似ている気がする。

 

「ははは、そう力むな瑞鶴。皆お前と同じ艦娘だし、お前も連合から派遣された以上艦娘の中でも一際強いということ、もっと威張ってもいいんだぞ? ん〜?」

「いやぁ、だからこそワタシも初心を忘れないようにしないと、それにワタシそんなに強くないし、運が良いだけですよ?」

「謙遜するな? あんまり自意識過失だと戦闘パフォーマンスにも関わる、君は充分強い。それはこの場の誰もが分かってるさ? なぁ皆!」

 

 提督の声かけに、私たちも頷く。

 聞いたことはある。確かどんな窮地でも生き抜いて見せる百戦錬磨の艦娘だとか、成る程…だったらこの鎮守府には「お誂え向き」ね?

 この南木鎮守府は鎮守府連合を中心とした主要鎮守府の一つ、それ故にその任務の種類は多岐に渡る。その中では特に、不要な争いの鎮圧や各海域の異変調査などがあった。

 それだけ重要な立ち位置であるから、自然と優秀な艦娘が集まってくる。彼女もそういった理由で召集されたのだろう。

 

「よし、じゃあ翔鶴。瑞鶴にこの鎮守府を案内してやってくれ、それからここでの過ごし方もな?」

「承知しました。…じゃあこれからよろしくお願いしますね、瑞鶴さん?」

「あっ、はい! よろしくお願いしますっ!」

 

 こうして私は、瑞鶴の教育係に任命され暫く彼女と行動を共にした。

 

「…ん〜? お前らやっぱり顔似てるな?」

「っえ? …あ、ホントだ」

 

 ふと、提督が私たちの顔を交互に見回しながらの台詞に、瑞鶴は私を見やると同意していた。

 

「名前も「ショウカク、ズイカク」だから似てるな。よし、今日からお前らは姉妹だ! 翔鶴が姉だろ、となると瑞鶴が妹だなぁ!」

「て、提督…あまり新人さんを困らせない方が?」

「いーじゃん! じゃあこれからよろしくね、翔鶴姐?」

「えぇ…;」

 

 瑞鶴は先ほどの緊張した様子は露と消えて、フランクな態度で私の肩に手を回して来る。私は…彼女のことが分からなくて反応に困った。

 

 

 ──これが、私と瑞鶴の初めての出会いだった…。

 

 

 

 

 

・・・・・

 

 それから一か月後──

 新人である瑞鶴も、この場所に馴染み始めていた。私の教えが良いとかそういう話でなく、彼女の適応力が高いのだ。

 私は教育係として、瑞鶴にこの鎮守府の規則を教える。彼女も理解したと思う。…が、口伝だけでは矢張り限界はある。

 彼女は見た目通りの性格で、血気盛んでそれでいて明るく素直だった。だが…時折寂しそうに俯いては、"煙草"を持ち出して吹かしている。駄目だと言ってもそれだけは聞かなかった。

 

「こうやってタバコ吸わないとやってらんなくってさぁ。っあ、翔鶴姐もどう? おいしいよ?」

「やめなさいってば、もう…」

 

 彼女の型破りな行動はこれだけではない、この鎮守府は提督の他に多くの指揮官を有しているが、嫌味のある者を陰で平然と罵倒したり、香水をつけたり、同じ艦娘でも嫌いなモノをキライと言う。何処かニンゲンのように振る舞う彼女。

 

 私は──そんな彼女に、心底"腹立だしさ"を感じた。

 

 …いいえ、今思えば「羨ましかった」のかも。私と同じ空母で、適合体で、顔も何処か似ていて…そんな私たちの決定的な違いは「自分に正直であるか、ないか」だった。

 艦娘にも「ジン徳」というものがあるかは分からないけど、アウトローのような行動ばかり取る彼女だが、それでも周りは彼女に心を開いて親身に接していた。提督も…そうだった。

 規律を守っているのも、真面目に仕事に打ち込んでいるのも、私なのに…彼女にばかり視線が集まることを、納得出来ない自分が居た。

 でも向き合わないことは許されない、此処は軍隊である以上ルールがある。それを逸脱した行為を看過してると、それこそ教育係である私の責任になってしまう。

 だからと言って、怒りに任せて注意を促すのもあまり得策ではない。下手すれば関係の悪化もあるし、私もイメージの問題があるので、おいそれと言えなかった。

 …先ずは様子見、あまりにも目につくなら言ってしまおう。そんな風にドライな考えになっていた──ある日。

 

「…翔鶴君、これはどういうことかね?」

 

 廊下を歩いていた私に声を掛けて来たのは、提督の部下であり彼より年配の「指揮官」だった。才能はあるがニンゲン性に難がある、というよく居るようなヒトだ。

 彼は瑞鶴の陰口を知り、教育係の私に野次を飛ばしに来たのだ。遅かったみたいね…私は努めて笑顔でいる、反抗すればどうなるか分からないから。

 

「すみません、その事については私から瑞鶴にキッチリ言って聞かせますので?」

「フンッ、どうだかな? どうせ怒るときもそんなヘラヘラ笑っているのだろう、そんなことで更生すると思うか!」

「は、はい。仰る通りです、しかし…」

「しかし、なんだ? それ以上に何をすると言うのだ、全く煩わしい。道具であるなら黙って私の言うことだけ聞いていれば良いのだ、そんな簡単なことも解らんのか!!」

「…っ」

 

 彼もまた、私を含めた艦娘を「道具」として見ている偏見の持ち主だった。

 …どうしたの? っえ…ぁあ、怒ってくれるの? ありがとうタクト。でもね…ここからが面白いのよ?

 

「大体新人の教育も出来ぬとは、監督不行届きも甚だしい! これだから適合体(ばけもの)は!」

「…っ!!」

 

 思わず睨み返す私。

 適合体は、かつての異種族たちの力をその身に宿す艦娘たち。ただでさえ強力な艦娘がそんな異能を身につければ、誰であれ「畏怖」するものだ。

 

「なんだその眼はっ! 上官に対してその態度とは、これは提督に具申する必要があるなぁ? 君もどうなるか…最悪何処ぞの僻地に飛ばされるかもな?」

「っ!! お願いです、それだけは…それだけはっ!」

 

「──ちょっとオッサン」

 

 私たちが言い合いになっていたその時、廊下の曲がり角から姿を見せたのは「瑞鶴」だった。真剣な表情で年配指揮官を、静かに睨み付けていた。

 

「き、君はっ!?」

「瑞鶴…!」

「翔鶴姐はいつもアタシに気遣って、アタシの非行にも眼を瞑ってくれてんの。問題はアタシにあるんだからアタシに直接言ってよ、翔鶴姐を巻き込まないで」

「何だと!? き、貴様なんだその口の利き方は!! 仮にも上官の私に向かって、これだから艦娘は」

 

「あん…?」

 

 ギラリ、と眼を光らせる。瑞鶴の歴戦の強者の証たる眼光に、指揮官は口を思わず引っ込める。

 

「ひっ…!?」

「…じゃあ良いよ、アタシが提督に「指揮官が翔鶴姐を虐めてました」って言うから、こういうのは言ったもの勝ちだものね?」

「っな!? そんな話が通る筈がない! そんなことしてみろ、貴様らただでは」

 

()()()()()()?」

 

「っ!? ず、瑞鶴やめなさい!」

 

 私はすかさず暴言を吐き続ける瑞鶴を止めに入る、それでも彼女は言葉を絶やさない。

 

「翔鶴姐、コイツここで止めないとずっと虐め続けるよ。ちょっとしたミスで怒り続けるよ、コイツはアタシらを程の良いサンドバックとしか思ってない、翔鶴姐はそれでいいの? 嫌ならイヤって言わないと…終わりは来ないよ?」

「っ! 瑞鶴…」

 

 彼女は目の前のニンゲンが嫌いだとか、そんなことを言っているわけではない。

 タニンに左右される人生が嫌なら、それを意見として発信しなければならない、そうしなければ「彼ら」は理解しない。それは私でも分かりきっている、でも…それは果たして「道具」に適用されることなのか、そう思った私は今まで異を唱えることなど、許されないと考えていた。

 

 だから…彼女の考え方は正に「目から鱗」だった。

 

「き、貴様…道具の分際で…っ!」

「アタシら道具であることは認めるとこだけどさ、そのアタシたちがイノチ預ける指揮官が、小心者の陰湿ヤローなんて冗談じゃないってぇの。何なら一緒に提督に掛け合って見る? いびり易い翔鶴姐に言い寄った以上、どっちが悪いかなんて火を見るより明らかだけどさ!」

「ぐぐぐ……っ!」

「…まぁ、クビになりたくなかったら、これからはもう注意する相手を間違えないでね? アタシたちもそんなこと言うつもりないし。だからこれからは仲良くしよう? …オ・ジ・サ・ン?」

 

 瑞鶴の一見無茶苦茶な意見だが、これ以上反発したら本当にどうなるか、何を仕出かすか判らない。それを理解していたのか、指揮官は苦虫を噛み潰したように顔を歪める。

 

「…仕方ない、今日はこれまでにしておこう。ッフン、何だ貴様ら…顔が似とるからって姉妹の真似事かっ、全く馬鹿馬鹿しい…っ!」

 

 捨て台詞を吐きながら、指揮官は背を向けてその場を逃げるように後にした。

 

「…瑞鶴?」

「うっ、翔鶴姐ごめん…我慢出来なくってさ? 一応提督には今回のこと伝えとくからさ、もし何かあったらアタシに言ってね。罰として掃除! とかなら手伝えるし?」

 

 頭を抱えて困った顔をする彼女を見ていると…何だか怒ることも阿呆らしくなってしまった。

 

「…っふぅ、もう良いわよ。貴女がどうしようもない「馬鹿」だってことは、よく分かったわよ」

「あはは、言うねぇ。…んじゃ、一本やっとく?」

 

 瑞鶴は懐から煙草の箱を取り出すと、煙草を一本差し出してきた。

 全く…私はそう呆れたが、興味本位で煙草を受け取り、瑞鶴のポケットライターの灯で煙草に火を着ける。

 

「…けほっ、けほ!? …思ったより美味しくないわね」

「そのうち慣れるよ。ぁあ、これからは勤務中は吸わないようにするから…ごめんね?」

「それだけの話じゃないんだけど…まぁ、いいわ」

「そうそう、細かいことは気にしな~い♪」

「もうっ…ふふっ」

 

 この一件から、私は彼女の見方が変わり始めていた。

 お互いにない個性に惹かれ合い、どちらかが失敗すればそれを補い合う。…そう、それこそ「本当の姉妹」のような関係になりつつあった…。

 

 ──To be continued …

 




○三大異種族

 遥か昔に存在したと言われる、人間のような姿をした異能を持つ種族、その内訳として──

 ・エルフ:森の民と呼ばれた魔法を得意とする種族、森の動物を狩猟するための弓を得物とし、特徴的な長耳がある。

 ・ドワーフ:土の民と呼ばれた鍛治を得意とする種族、穴蔵の中で土埃の舞う中、鉄を叩く音を響かせていたのでその通称で呼ばれた。髭や髪の毛といった体毛が長い。

 ・ワービースト:獣が人に近づいた種族、高い戦闘能力と知性を誇り、一部では人間と一番友好的な関係を築いたとされる。

 奇跡の少女の時代に、その存在が確認されている。一説では彼女の仲間の中にも三大異種族の姿が在ったと言われている。
 奇跡の少女が消えた後、時代の流れによりそれぞれの理由で「絶滅」した。

・・・

○適合体

 上記の三大異種族の特異な能力を、艦娘に持たせるように建造された、より強力な力を有した艦娘たちを示す。
 主に主要鎮守府群にで姿が見られる、その能力故により過酷な任務を任せられることが多いので、彼女たちは主要鎮守府において「エリートの象徴」として見られている。
 …が、その力のため周囲から「化け物」として蔑んだ視線を送られている。ただでさえ扱いの酷い艦娘たちの中でもより確かな差別がある、それが適合体だ。
 適合体自体は海魔大戦時に建造され、海魔の大元を倒すのに一役買ったが、平和な時代には彼女たちの力は大きすぎた…という訳か。なんと残酷なことか…そうと解っていれは…。
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