艦これすとーりーず ―僕が異世界版艦これの提督になった件について― 作:謎のks
──異能部隊の一員として働いていたある日、提督から呼び出しがあった…。
執務室に呼び出された私たちは、整然と並び提督の言葉を待った。提督は私たちの顔を見回して、程なく話を切り出した。
「皆、お疲れ様。急に呼び出して悪かったな? 実はな…君たちに「とある場所」に行ってもらいたいと思ってな」
「とある場所とは?」
私の問いかけに答える前に、執務室の机に向かう提督。徐に海域の地図を広げるとあるポイントを指差した。
「ほらここ、アサヤケ本島から北東方向の。この場所に違法な機械設備を造っている輩が居ると聞いてな? 調べて来てほしいんだ」
「っえ、ここは…"シルシウム島"ですか? 樹海の広がる無人の小島ですね。何故こんな処に?」
「ぁあ、俺のところに怪しげな機械が見えたという報告が相次いでな、この南木鎮守府の管轄内に如何にもなモノを建てるなんて…度胸のある迷惑犯を見つけてとっちめてほしい」
「…変ですね? こんな場所にそんなモノを造るなんて。まるで挑発しているみたい」
「だねぇ。反乱分子の仕業だとしたら、こういうとこに目立つモノ建てるヤツなんて普通居なくない? ウチらにすぐバレて御用のリスクもあるだろうし…何かきな臭いなぁ?」
シスターと瑞鶴はそう言って、この場所に居るであろう何モノかの不可解な行動を訝しんだ。
確かに。何の目的か分からないが南木鎮守府の前に、そんな目立つような施設を建てるということは、どうぞ捕まえて下さいと言っているようなものだ。反乱分子と一口で言っても、私たち異能部隊の存在もあって馬鹿みたいな真似をする輩は少ない。それこそこんな風に「一発でバレる犯罪行為」を何も考えずにするとは思えない。
…罠か? 口には出さないが私はそう解釈した。
「…罠の可能性は?」
私と同じ考えに至った瑞鶴が鋭い切り口で質問する、提督も真剣な表情を崩さずに答える。
「まぁそう思うよな。でも…ナベさんが言うにはこの機械設備が何らかの「軍事施設」の可能性があるらしいんだ。俺たちの鎮守府を攻略するためのな? 反乱分子がこれを造ったんだったら、猶更放っておけない」
「…それこそ罠かも知れないじゃん、軍事施設つって私たちに興味を引かせて…とか?」
「そうだな瑞鶴。ナベさんもその可能性も大いにあると言っていた、だからこそ百戦錬磨の君たちなら不測の事態にも対応出来るだろ? ナベさんも君たちならと言ってくれた、もし危険だと感じたら、この機械が何なのか偵察するだけで良い。…どうかな?」
提督は私たちにそう言って聞かせるが…シスターも瑞鶴も渋った顔を崩さない、他の娘たちもただ黙って賛成も反対もしない。
…怪しい部分はあった、この任務の危険性を感づいている部分はあったことは否定出来ない。でも…私は──
「──やりましょう皆! 提督は私たちを信頼して下さっているからこの任務を与えてくれたのよ? 彼の期待に応えないと…異能部隊の艦娘の名折れよ?」
そう言って沈黙する仲間たちに呼びかける。提督を慕っている──今思えば盲信だったが──気持ちが視野を狭めていたのは言うまでもない。
すると──鶴の一声とでも言うのか、彼女たちも徐々に表情が明るくなっていく。
「まぁ…何かあってもワタシたちなら対応出来るか!」
「そうですね。翔鶴の言う通りでもありますし」
「うぅ…皆がやるなら私も!」
「ぴゃあ~! 酒匂もやる~~!」
「うふふ…皆で一緒に、ね?」
皆のやる気を確認すると、私は満面の笑みを浮かべた。
──もし、私があの時あんなことを言ってなければ…あんなことには…っ!
・・・・・
提督から新たな任務を伝えられた後、私たちはそれぞれ準備をするため一夜を鎮守府宿舎で過ごしていた。
私は明日の準備を万全にし、廊下を歩きながら段取りを頭でイメージしながら確認していた。
「先ず目的のポイントに向かって…そこから機械が見えるはずだから周辺に…敵の動向にも注意しなくちゃ。……あら?」
私がそう呟いていると、廊下の向こう側から早歩きでこちらに近づいてくる「瑞鶴」が見て取れた。
「瑞鶴、どうしたの?」
私がそう尋ねても応えず、心底腹正しそうにズンズンと足音を響かせてその場を立ち去る瑞鶴。…すれ違い様に彼女が私を一瞥する。怒りに塗れた…というより「悲しそうな」表情で私を見ていた。
「瑞鶴…?」
「瑞鶴、待って下さい!」
瑞鶴を追って来たのか、シスターが小走りで瑞鶴に近づこうとする、呼び止めても本人には止まる気はないようだ。
「シスター、瑞鶴に何かあったの?」
「あぁ翔鶴。…い、いえ。何でもないんです」
「…? まぁいいわ、どうせまた短気を起こしたんでしょう? 私がきっちり言い聞かせて来ますから、大丈夫よ」
「す、すみません…お願い出来ますか?」
「勿論。それじゃあ」
どうやら瑞鶴がまたトラブルを起こしたようだ、全く…後で文句言われるのは私なのに。言い淀むシスターに追求しても仕方ないし、とにかく様子を見に行くためにその場を離れる私。
「………」
シスターは…何故か「悲しそうな顔」で遠ざかる私を見ている気がした。
・・・・・
宿舎のベランダで腕を重ね置いて、夜の風景を眺めている瑞鶴を見つける。
「やっぱりここに居たのね瑞鶴、また何かいらないこと言って提督やシスターを困らせたんでしょ?」
私が慣れたことと親しげに毒突きながら近づくと、彼女は振り向きもせず話を振って来た。
「──聞いた?」
「…? 何を?」
「…んーん、何でもない」
瑞鶴の短い問いかけの真意が掴めない私、そんな私を見て瑞鶴は穏やかな笑みを浮かべると、ぽつりぽつりと話し始めた。
「翔鶴姐は…怖くない? もし…明日皆が「沈んで」目の前から消えちゃったらさ…?」
「…何、突然? また悪い病気なの?」
「あは、心配してくれてる?」
「当たり前よ、貴女とは長い付き合いだし。何より…私も貴女のことはもう他人じゃないって思っているわ」
「…ん、ありがとう」
瑞鶴がこんな風に黄昏るようになるのは、今に始まったことではない。
彼女は任務帰りになると途端に気分が落ち込むことがある、それは決まって仲間の内のダレかが「損傷」した時だった。そんな時の彼女の行動は──宿舎のベランダでこうしてヒトリで居るのだ、まるで…”後悔”を反芻するように。
心配した私に彼女は無理して作り笑いして「ちょっとした病気だよ、大丈夫!」…なんて強がり言って。
それにしても今回は落ち込みの度合いが酷い気がする、何があったのかは「聞けない」けど…私に出来ることはないだろうか?
そんな私の気持ちを知ってか、瑞鶴は言葉を区切りながらも彼女の思いを吐露した。
「私…怖いんだ。もし私や翔鶴姐、他の仲間たちが沈んで、シんで…私の目の前から全部居なくなっちゃうのが…怖いんだ」
「馬鹿言わないの。私たちは兵器なのよ、シんで沈んでなんて戦場では当たり前なの。貴女がそんなことでどうするの? 私より戦歴あるんでしょ、私なんてこの前まで護衛艦任務だったのよ」
「そうかもだけどさぁ。兵器だって…シぬのを怖がっちゃ駄目なの?」
「瑞鶴…」
「私…嫌なんだ。翔鶴姐や仲間たち、提督やあの憎たらしい年配指揮官さえ…居なくなってほしくない。私の日常が、フッて息をそっと吹きかけて終わるロウソクの灯みたいにさ…終わったら……っ」
…彼女の顔を覗き込むと、眼からはじんわりと涙が浮かんで来て、身体は震えているのが分かった。
彼女はただ怖いだけ、私たちが消えるのが…突然沈んで全てが終わってしまうのが。
「瑞鶴…貴女」
「ちょっと待って。…アレ、おっかしいな? 何で…涙……ぁあもう!」
感傷に浸っている自分にムキになった瑞鶴は涙を拭うと、懐から煙草とポケットライターを取り出し煙草の先に灯をつける。
「…ん」
「ん。」
瑞鶴は何も言わず私に煙草を差し出す。私も煙草を黙って受け取り瑞鶴に灯をつけてもらう。
「…ぷはぁー」
「あ、輪っかになった」
「へへ、上手いでしょ♪」
「器用ねぇ、私は吸えるだけで十分よ。…ふぅ~っ」
私がそんな風に言いながら一息ついていると、横で瑞鶴がニヤニヤしながら見つめてくる。…言わなくても解る「一昔前はまともに吸う事すら出来なかったのに、成長したねぇ?」…このにやけ顔にはそう書いてある。
「…元気出た?」
「うん、サンキュ。…まぁ私にも色々あったから、翔鶴姐たち守るためにはどうしたらいいかな~…なんて?」
そんならしくないこと言って、本当にどうしたの? …などと軽口を言える雰囲気ではないわね。
私は少し考えると…瑞鶴に向かって今の自分が言える「答え」を提示した。
「守る、なんて言っても仕方ないんじゃないかしら。どんなに守ろうと頑張っても、戦いは…あっという間に奪えるモノを奪い去っていくわ。酷い言い方だけど、戦場ではどうしようもないことよ」
「…解ってるよ」
「そう、なら話は簡単よ。全て守るなんて土台無理な話、シぬのが怖いとか言うんだったら…お互いを守り合って、守り切れなかったら「お互いシぬ」…そのぐらいの覚悟がないと、いけないんじゃない?」
「っ! …物騒だね?」
瑞鶴は心底驚いたように、目を丸くして私に向かって呆けた顔を晒していた。
「貴女が言いたいことってそういうことじゃないの? 私も貴女を守るように努力するから…瑞鶴、貴女も私を守って。もし…どちらか片方でも沈んでしまったら、その時は…一緒にシにましょう?」
「翔鶴姐…」
私は真っ直ぐと瑞鶴の眼を見つめてそう言い切った。…私なりの覚悟を感じ取ったのか、瑞鶴は意を決したように呟く。
「…うん、ありがとう…翔鶴姐?」
「良いのよ? …さぁ、もう寝ましょう。明日は早いわよ」
「うん! …あ、ゴメン。もうちょっとここでゆっくりしてく。直ぐ寝るからさ?」
「解ったわ。…あ、シスターには明日謝っておいてね。すごく心配そうにしてたから」
「あはは、りょーかい!」
「うん、それじゃ…お休み」
「…お休み」
私は煙草の灯を脚で踏みつけて消すと、そのままベランダを後にした。
「………」
──絶対に守るよ、貴女だけは…。
・・・・・
──翌日。
私たちはアサヤケ島より北東に位置する「シルシウム島」へ向かった。
しかし──いつも通りという訳ではない。今回のメンバーは「5隻」…由良が居ないのだ。
「ユージン、由良は何処ですか? 呼んで下さいねとお願いしましたよね?」
「それが…何処にも見当たらなくって。由良の部屋も覗いたけど居なかったんだ…」
「ぴゅ〜…酒匂も匂いを嗅いだけど、全然分からなかった」
酒匂は他の誰よりも鼻が利く、おそらく「モデル」のおかげだが彼女の鼻を以ってしても見つからない。…何か引っかかるが、居ないものはどうしようもない。
「仕方ないわ。彼女を待っているわけにもいかないし、シルシウム島の機械設備の偵察だけだから…まぁ、何があるかは分からないから、慎重にね?」
私はプリンツたちにそう言い聞かせると、彼女たちも頷く。
「………」
「………」
シスターと瑞鶴は…険しい表情を崩さなかったが、それでも任務は滞りなく進み、島に辿り着くと海から川へと入り込み、マングローブの樹海をひたすら抜けていく。…ふと、樹海を見上げると木々の間から、自然あふれるこの地に似つかわしくない「天高く聳え立つ機械の塔」が目に付いた。
「あれね?」
頷く皆を一瞥し、私たちは見つからないよう静かに、そして素早く移動し機械の塔へ近づいて行く。
「…大きいわね。あんなモノを建てるなんて、一体何の目的が?」
私は視線の先にある鉄塔を見据えて呟く。
…辺りに人の気配は無い、流石に何かがおかしい。しかしこのまま帰るのもどうか……私がそう思考を巡らせていると、瑞鶴が口を開いた。
「…翔鶴姐、もう帰ろう」
「っ! 瑞鶴…?」
「此処に謎の鉄塔があるのは分かったし、犯人の姿は見えないけど情報としては充分だよ。…一旦鎮守府に戻ろう? こんな大胆な行動をしているヤツが何も仕掛けていないとは限らない。罠の可能性がある以上深追いは禁物だよ」
瑞鶴もまた、この状況の異質さを察知していた。
…そう、この時彼女の言うことを素直に聞いて、素早くこの場所を去っていることが出来ていれば…。
──でも、私はまた…。
「瑞鶴、貴女の言いたいことは解る。でもこの鉄塔に謎が多いのも事実でしょう? これが何なのか分かるまで…もう少しここで調べてみない?」
「…っ、それは…」
「翔鶴、言いたいことは解りますが瑞鶴にも一理あります。ここは一旦退くべきだと」
「シスター。この島はアサヤケ本島とも南木鎮守府とも近い距離にあります、もし仮に敵がこの装置を使って何らかの敵対行動を取った場合…これが何なのか知っておくのとそうじゃないのとでは、迅速な対応対策にも違いが出てくる。…そうじゃない?」
「そ、そうですが…」
私はここで「見栄」を張っていたのかもしれない。
瑞鶴やシスターが正しいことを言っていることを、私はどこかで理解していた。でも…提督の役に少しでも立ちたかった、その思いが焦りとなっていた。
「…ふぅ、由良が居てくれたらこれが何なのか、この位置でも解るでしょうに。仕方ないわね…とにかく奥に行って特徴だけでも」
「…っ! 駄目!!」
私が鉄塔の側まで行こうと背を向けた時、瑞鶴は私の腕を乱暴に掴んだ。
「…っ? 何、どうしたの瑞鶴?」
「この先は…危ないんだよ絶対。お願い…もう私を置いて…行かないで…っ!」
「瑞鶴…?」
彼女のこの異様な──差し迫った危機を前にしたような──表情を見て、思わず立ち止まり彼女を心配して見つめる。
「…ん?」
「ぴゃ? どうしたのプリンちゃん??」
ここで、プリンツの「聴覚」が何かを捉えたようだ。モデルとなった猫の耳に手を当てて訝しげに辺りを見回す。
「──…っ、何か聞こえる…これ……っ! 皆伏せて!!」
そして、遂に上を見上げると声を張り上げて危険を知らせる。プリンツの怒声にも似た声に、理解が追いつかない私だったが──瞬間。
──ズドオォォォオン!!
「…きゃあ!?」
どこからともなく飛来した「爆撃」が轟音となり響き、私たちの辺りに巨大な水柱となって現れた。
「うわあ!?」
「…っ! やっぱりこうなったか!」
「ず、瑞鶴! これは一体……っ! 何…?」
「…くんくん、ヴゥ…嫌な感じ…!」
酒匂が嗅覚で何かを感じ取ったようだ、私の方にもさっきから「泥水や腐ったタマゴ」のような匂いが嗅ぎ取れた。
そして──私たちの前に初めて「脅威」が現れたの。
『──■■■■■---ッ!!』
「な、何…アレ……!?」
巨大なナニカは海中より姿を見せ、黒光りする胴の長い身体と剥き出しの歯を嫌でも私たちに焼き付けた。
轟く叫びは猛獣とも亡霊とも取れ、丸く虚ろな眼は…確かに私たちに「敵意」を向けていた。
私たちが恐れ戦いていると、黒い化け物はそんなことお構いなしに次々と海上に現れ…気づけば百は優に超える化け物の群勢が私たちの周りを囲んでいたのだ。
不味い、そう思いながら辺りを見回す。周りはすっかり黒一色に染められていたが…その後ろからは「灰色の肌をした謎の女性」も見て取れた。
『………』
どうやら黒い化け物たちのリーダー格のようだ、黒い化け物の大群の中の仄白い肌は一際目立った。しかし謎の女性は虚ろな眼をこちらに向けてはいるが、ただ私たちを呆と見ているようだった。
灰色の肌にノースリーブワンピース、その袖やらに装飾を施している。一見艦娘と見間違えるが額に生えた「一角」と左右の巨大な爪が、彼女が化け物であるという証となっていた。
『ケケケケケッ!』
角の生えた女性の周りを白い球のようなナニかが、ケタケタ嗤いながら飛んでいた、どうやら先ほどの爆撃はアレの仕業のようだが、艦載機とでも言いたいのか…あんな「怪物」が…!?
──その時、私は漸く理解した。
あの鉄塔は「
「翔鶴姐! これで分かったでしょう、早く逃げないとやられちゃう!」
「そんな…こんな……こんな怪物見たことない。どうして…?」
私はあまりの突然の出来事に、茫然自失として動けなかった。恐怖、不可解、そして──諦め。私が抱いた負の感情だった。
「翔鶴姐っ!」
瑞鶴は私の肩を掴むと、私の顔をジッと覗き込み言い聞かせるように話した。
「落ち着いて聞いてね? …コイツらは「深海棲艦」って言って、最近になって確認された怪物なの」
「…っ、何ですって…!?」
「この場所に、この鉄塔造った黒幕ってヤツが居るって言って、提督は私たちにソイツの捕縛を命じたよね? …この怪物も、その黒幕が操っているかも知れないんだ!」
「っ! そんな…提督はそのことを知っていたの? こんな…怪物たちがいることを、私たちがこんな状況になることも…全部!?」
「そう、それでもここに黒幕が居る可能性は十分高いからって言って、私たちを送り出した。…っクソ、全然見当たんないじゃん。やっぱり「罠」だったんだ! そのぐらい分かるでしょうに!!」
瑞鶴がそう吐き捨てるように声を荒げるのを聞き、私は瑞鶴が任務前夜に「何故怒っていたのか」も理解した。次々と押し寄せる衝撃と情報に頭がどうにかなりそうだった。
ただ一つ言えることは…この殺伐とした状況から察するに提督は私たちを──見捨てた、ということ。
「そんな…あの提督が? …信じられない…!」
「翔鶴姐、皆! ここはとにかく逃げよう、幸いあの黒い化け物たちには私たちの攻撃は有効らしいから、強行突破で逃げるしか…!」
「…っ! 瑞鶴!!」
シスターの叫び声が木霊する、慌てて上を見上げる私たちの眼に映ったのは──
『ケケケケケーーーッ!!』
──"敵"から発艦したであろう謎の白い飛行物体が、取り付けられた「生々しい装いの魚雷」を、今まさに撃たんとしている場面…標的は明らかに"瑞鶴"であった…!
「瑞鶴!!」
「…っ!」
私はこの時──前夜に彼女と交わした言葉を思い起こす。
『── どんなに守ろうと頑張っても、運命は…あっという間に奪えるモノを奪い去っていくわ』
「違う…私……そんなつもりじゃ……瑞鶴ぅーーー!!」
瑞鶴に向けられた凶弾は──静かに彼女に向けられ放たれた。
──ズウゥウン!!
酷く耳の鼓膜を揺らす爆音と、身体を震わす振動は…業火と共に彼女を沈めさせたと、確かに決定づけるものだった。
──そう絶望に暮れていた。
しかし…火が小さく硝煙も晴れ、彼女の無惨な姿が見えるとダレもが考えた──そんな状況を「防いだ」モノが居た…!
「──大事ないか?」
低く冷たい声色でそう彼女を見やるモノ──瑞鶴の前に立ち塞がる「巨大な壁」のような彼女…。
「あ、アレは…?」
「な…"長門"…!?」
「…っ! 何ですって…彼女が…選ばれし艦娘最強の存在…!?」
シスターの言葉に、私も驚きを隠せず狼狽する。
何故彼女が此処に? …そんな私たちのことは露知らず、灰と黒の脅威は依然私たちに殺意を向けていた…!
──To be continued …