最強と言われた艦娘   作:猫又提督

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お久しぶりです
再開します


32話

3週間目。そろそろあいつらとの約束も期限が迫っている。

ノックがした。今週の秘書艦が来たらしい。

 

「どうぞ。」

『失礼します。』

 

どこか聞き覚えのあるような声。

 

『ガングートです。一週間どうぞよろしくお願いします、同志。』

「同志は止めなさい。私は提督。あと日本語で。」

「…わかりました、提督。」

 

今週の秘書艦はガングート。あの二人の内タシュケントじゃない方。いつもタシュケントばかり喋ってこいつは何も話さないからこいつがどういうやつなのか少し気になった。

 

「お、いつも何言ってんのか分からないやつ。」

「じゃない方よ、妖精さん。」

「あり?そうだったかな。」

「ほら、あなた全く話さいないから覚えてもらってないじゃない。」

「…すみません。」

 

内気だなぁこいつ。戦艦だろう?榛名でももう少し元気だぞ。

 

「その、私…オリジナルはあまり今回の計画についてはよく思ってないんです。」

「は?ちょ、ちょ、それ今ここで言っていいの?」

「心配しないでください。今はかなり祖国も優しくなりましたよ。」

「いやでも、流石に。あなた聞かれてるでしょう?」

「まあ、そうですね。でもせいぜい少し苦言を言われるだけですよ。」

「…かなり優しくなったのね。」

「何から何まで変わりましたからね。今もあまりこんなことを言うのは好ましくないでが、少なくともこれだけで消されることはありません。」

「計画ってなんだ?」

「同志…まだ言ってなかったのですか?」

「だから同志は止めてって…ああ、いい忘れてたわ。いいわ、今ここで言う。」

 

 

 

 

 

 

「はぁ、そんなことを。その、そんな国と戦えるのか?」

「正直言ってよくわからないわ。一度負けてるから。でも、今あの国が当時とどう程度の力を持っているかはわからない。深海棲艦にも襲われてるらしいしね。私の力を取り戻せば勝機は十分あるってことよ」

「でも、ガングートはあまり賛同してなさそうだが?」

「…現在、組織内でも大きく2つに分かれているのです。結局はあなたの力を戻すのに帰結するのですが、無理にでも早く取り戻させる派と、本人の意志で戻す派です。」

「じゃあ、あなたは後者な訳ね。」

「どちらかというとそうなりますが、オリジナルはどちらでもありません。オリジナルは、貴方に力を取り戻してほしくはない。」

「なんで。」

「…オリジナルの出身はあなたと一緒の孤児院なのです。」

「あらそう。それは奇遇ね。で、それがどう関係するの。」

「私を育ててくれた人たちはあなたと同世代です。なので、よくあなたの話を聞くことがありました。そのうちに、その、失礼ですが同情してしまいまして。」

「ほー、じゃあ暁は今……すまん、すいません。だからどうかその銃口をよそに向けてください。」

「…まあ別に気にしないけど…そう。そうね。私もできれば姉との約束を守りたいわ。でも、最終的には私はこの力を再び行使することを決めたわ。今週末よね。」

「はい。今週末出張と銘打って祖国へ行き数日でまたこちらに戻ります。」

「急ね。普通一週間かそれ以上調整とか色々するんじゃないの。」

「あまりここを離れるわけにも行かないのです。また暴れてもらっては困りますから。」

「…そうね。それは困るわ……話はおしまい?じゃあ、仕事をしましょう。あ、あと、次そのオリジナルの話をするときは『私』って言いなさい。そっちのほうが自然よ。」

「しかし…」

「自分はただのコピーとかって気にしないの。ここにガングートはあなたしかいないんだから。」

「……わかりました。」

「はい。じゃあ仕事仕事。もうすぐ遠征隊きちゃうから早くこっち来なさい。」

 

 

 

 

 

暁は報告書を眺めていた。昨日例の索敵で調べてもらった報告書だがここには南東方向に一直線に進んでいったと書いてある。深度は、ずっと30m未満。途中襲われることもなく夜間になるまで索敵は続行したと。そして新しい発見。途中別艦隊が合流したそうだ。同じく深度30m未満を保って合流した後一緒の方向を目指したと。

 

「輸送に注力しすぎね。護衛もつけないなんて。」

「でも深海棲艦は潜れるだろ。潜水艦とか駆逐艦に見つからないなら理にかなってるだろ。」

「それはそうだけど、なら輸送艦の数が少ないのがわからないわ。」

「……新造してないのでは。」

「どういうこと?」

「この鎮守府、もとい全国の鎮守府では輸送艦は空母に次ぐ重要目標でした。目についた輸送艦のほぼすべてを沈めています。逆に駆逐艦はそこまで重要視するものでもありません。今は以前よりかはレーダー技術が発達したので夜間もそこまで危険ではなくなりました。なので最近はよっぽどなことがなければ無視しています。」

「つまり新造する資材まで惜しんで尚且つ確実に資源を貯蓄してるってこと?」

「そういうことになるかと。」

「効率より確実性を取るとは相当慎重なことの進め方だな。」

「ええ、いかにもあいつが取りそうな方法ね。問題はここまでしといて何をしようとしてるのかってこと。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ちっ。どこもかしこも上は腐ってるわね。」

「おう。また断られたか。」

「即切りよ、即切り。何なのよ、呉の名前出しても適当にあしらわれるし。ここの提督なんかしたの。」

「彼は協力者でしたのでいやでも黒い噂が流れてしまったんですよ。」

「え、それだけ。」

「はい。この国は表向きは彼の国と仲がいいので、仲が悪いのは互いに裏の存在だけですね。」

「えぇー。なんかみみっちいわね。」

「安心してください。祖国ではいつでも決起する準備が整っています。開戦すれば即刻政府が立ちます。前みたいにコソコソした戦争じゃないですよ。」

「へぇ~…やる気出たわ。」

「お前のやる気は忙しいなぁ。」

「それはともかく、今はその話をしている場合じゃないの。どこの鎮守府も協力してくれないんじゃ出処が分からないわ。」

 

現在確認できているのは暁が調べた1本だけ。地図に示し、直線上に伸ばした先にあるのは太平洋のど真ん中。なんの島もない。これでは深海棲艦がどこに向かっているのかわからないので他の鎮守府に協力してもらおうとしたのだが結果は先述のとおりだ。

 

「はぁ、響に頼むしかないかしらねぇ。」

「でもそっからだと時間かかるぜ。」

「うーん、そうよねぇ。」

 

響は最高司令官の立場にあるがそれは艦娘にとってであって、提督とは違うのだ。響には大本営に指示をさせる権利を持っている。大本営を挟むので時間がかかるのだ。

 

「でも急いでるわけじゃないし…。あーでもそうしたらどれぐらいかかるかしら。」

 

響から大本営に伝わったとしてそれを実行するかどうかに……

 

「私いないわね。」

「だろうな。ま、本来の提督に続けてもらえばいいんじゃねえの。」

「でも結果気になるじゃない。ここまで嗅ぎつけたの私だし。」

「聞けばいいじゃねえか、呉の提督はお前の仲間なんだろ?」

「…あ、そっかぁ。」

「上に言ってみましょうか。私の上司ならもっと早くに指示を出せるでしょう。」

「え、じゃあそれならそうしてほしいわ。」

「失礼します!」

 

ノックのあと入ってきたのは駆逐艦朝潮だった。正義感がとても強い娘で駒にしやすい。そういえばもう遠征から帰ってくる時間か。しかし、朝潮の姿はところどころ制服が破けている。

 

「お帰り…あら、どうしたのそれ。戦闘でもあったの?」

「はっ。帰還の途中敵水雷戦隊と遭遇し、戦闘となりました。被害は軽傷、私が小破したのみです。資材にも損失はありません。戦果は駆逐艦一隻を撃沈2隻を中破ないし大破させました。」

「…もう少し詳しくお願いできるかしら。」

「はっ。時刻は定かではありませんが遠征から帰還中敵水雷戦隊と遭遇。構成はイロハ級がそれぞれ2隻ずつ、単縦陣でした。私達は物資に被害を出さないようにするため離れようとしましたが相手が砲撃を開始したためこちらも応戦。約10分ほど経過した頃、敵の砲撃が私に当たり小破。その直後大潮の砲撃が敵ハ級に直撃し大破。それにより敵が離脱を始めたため最後に魚雷を斉射し私達も距離を離しました。遠くから確認をし、1隻を撃沈更にもう一隻が中破したのが確認できました。」

「…ふむふむ。因みにその水雷戦隊は資源を輸送していたと思う?」

「は、はぁ…資源を輸送していたかどうかはわかりませんが、動きは鈍いように感じました。それに離脱を始めるタイミングも早すぎるように思いました。」

「どこで会ったか覚えてる?」

 

暁は地図を何枚か取り出した。朝潮が遠征に行っていた海域の地図は恐らくこれだったはず。朝潮は少し戸惑いながらもおおよその場所をさした。

 

「周りに目印がなかったので憶測になりますがだいたいこの辺かと、敵艦隊はこの方向に逃げていきました。」

「ありがとう。」

「延長線上には例の艦隊の進路が通ってます。」

「合流するにしてもやっぱり何もない場所になるわね。朝潮ありがとう、下がっていいわ。」

「はっ。」

「…朝潮が本来遭遇した場所とずれていると思います。」

「確かに何もない場所で合流するのもおかしいけど、深海棲艦だからこの地点の海底に何かあるのかもしれないし、途中で進路を変えたかもしれない。先入観は捨てるべきよ。でもどっちみちこれだけじゃどうとも言えないわ。お願いできるかしら。」

「了解しました。」

 

 

 

翌日、暁はガングートを待っていた。

 

「…どうだった?」

「それが…少し厄介なことに。」

「厄介って?」

「提案自体は乗ってくれました。しかし、あまり大掛かりなことはできないと。この国と祖国の関係は表面上ではあまり良くありません。特に政府同士が。当然鎮守府なんかとは、現状海軍はこの国にまさる国家はありません。下手に敵対すれば今後の行動が難しくなります。」

「…この国ってそんなに厄介なのね。響がもみ消したりできないの?」

「この国の海軍はかなりの権力を持っていますがシビリアンコントロールは保たれているようですね。流石に政府に見つかれば何もできません。彼の国の鉄砲玉みたいな立ち位置でしたが、今では鉄砲そのものですからね。それともう一つ懸念が。」

「なに?」

「先日スパイからの情報で、彼の国で艦娘の生産が始まっていると。」

「…は?」

「オリジナルの数はこの国ほどではないものの祖国の数を裕に越しています。いずれは総生産数でこの国すら越すでしょう。」

「ちっ、さすがは深海棲艦なんて量産兵器を軽々生み出すような国よね。」

「俺は通信すら自国内でしか使えない状況で他国から情報を飛ばせる技術がある祖国とやらのほうが怖いがな。」

「祖国にも艦娘はいますからね。北の方を通ればすぐにつきますよ。」

「…ふーん。ゴリ押しだなぁ。」

「これであいつの居所を抑える必要性が増したわね。」

「はい。上も尽力を尽して可及的速やかに成果を出すと。」

「そうね、これは秘密裏にやりましょう。他の鎮守府が見つけて殲滅でもされたら困るわ。」

 

その日の夕方、暁に一本の電話が届いた。

 

「はい呉鎮守府。」

「あ、もしもしお姉ちゃん?」

「響?どうしたの何かあった?」

 

かけてきたのは響だった。響が電話をかけてくるのは無礼にも他の鎮守府がここに知らせなかった情報を伝えるときだが。

 

「うん。今日佐世保の方から報告があったんだけどね、変なレ級を見たって。」

「レ級?」

「あ、レ級ってのはね戦艦の主砲を持ってて、魚雷も航空機も出せる何でもありな深海棲艦。」

 

なんだろう、何か聞き覚えのあるような構成なのだがいまいち思い出せない。

 

「…で?変ってのは。」

「レ級っていつもは艦娘を見るとすぐに襲い掛かってくるような、すっごい好戦的なのね。でも今日見たやつは動かないでただ艦娘の攻撃をずっと受けてたって。それで一番変なのがやけに耐久力があったってこと。」

「ふーん。それは変ね。でそれどこで出たの。」

「そうでしょ。出たのは太平洋上の大体真ん中らへんどこの諸島からも等しく離れてる感じってところ。だから今大本営で会議してるんだよね。その反応だと聞かされてなかったぽいね。まあ、特に今のところそれ以外に変わったことはないから一応気をつけてはいてね。」

「…分かったわ警戒はしておく。」

「何でしたか。」

「いや、なんか変なレ級ってのが出たらしいんだけど。」

「あ、それあれですよ。決戦兵器。」

「え、あれなの?」

「はい。」

「ええぇ…決戦兵器蔓延ってるの?しかも倒されてるじゃない。」

「ええ、私もあれが敵に回ってしまったときはこの星は終わったかもしれないと思いましたが、戦力をつぎ込めば案外やれてしまうものでして…艦娘というのは恐ろしいものです。」

「艦娘にやられるんなら意味ないじゃないの……。」

「お前んとこの決戦兵器ってレ級だったのかよ。通りでクソ強え訳だ。」

「あ、ところでその変なレ級というのは?」

「ただ突っ立ってやられるまで攻撃を受け続けたレ級がいたらしいの。」

「…威力偵察、ですかね。」

「かもね。このことはあっちがどうにかするっぽいし任せましょう。一応警戒はさせるけど、こっちはこっちの仕事。」

「そうですね。」

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