転移したら進化した件 作:循環
第1話 目覚め
気がつけば森の中にいた。これだけ見るとまだ何処かに誘拐などされたとまだ考えることも出来るが、ここが夢だと感じさせるものが目の前にある。それはおそらくドラゴンと呼べる翼を持った大きなトカゲの死体だった。
全く理解が出来ずに呆然としながら興味本位でドラゴン(仮)の死体に触っていると鱗が思ったよりも鋭かったようで、手から血が流れ始めた。切った所から流れる血を見ていると、痛みが走り熱を感じるようになってようやく、ここが夢ではないのでは?と考え始めた。
記憶を遡れば自分は溜め込んだ課題をやり終えてから安心して横になってそこからは覚えていない。
まさかとは思うが、最近のネット小説などである異世界転生したのではと考え、自分の体がどうなっているのか近くにあった水溜りで確認すると記憶と変わらないいつもの自分の顔を見た。
(つまり転生ではなく転移というものなのか。)
そうやって考えていると、だんだんと喉が渇いていると感じた。近くにある水といえば地面にある水溜りしか見当たらず。
「この水溜りとか増やせて飲むことができたらな、まあ森の中だし川の水とか綺麗そうな所を探すか」
と独り言をし、移動しようとすると何処からか
《確認しました。ユニークスキル『吸引者』を獲得・・・成功しました》
《確認しました。ユニークスキル『増加者』を獲得・・・成功しました》
と言う声がまるで直接脳内に届けたかの様に聞こえ近くに人がいるのかと思い咄嗟に
「誰かいるのか、ここは何処なんだ、これはなんなんだ。」
と周りを探しながらドラゴンの死体を指して待って声をかけて見るが、周りには木々とドラゴンの死体しか見つからず幻聴でも聞こえたのかと考え川を探そうとすると、ふと何かを増やす方法と吸引する方法が頭の中にあった。
もしやと好奇心を持って、水溜りに触れて増えろと考えると水が段々と増え始めた。
「おお、増えた!とはいっても、流石に水溜りの水は飲めないよな。…いや待てよ」
ちょっとした考えを思いついて、健康よりも能力のことに気を取り、水を吸い取れと考えると、どこか潤った感覚をし、地面には乾いた砂があることを見て
「もしかしてさっきの声を頼りにすると増加者というのが物を増やして、吸引者というのが水や液体を吸うものなのか」
と思いもっと他の物にも使ってみたいと考え何かないかと探すと
「ちょうど近くにいいのがあるじゃん。このドラゴン(仮)に使ってみよ」
と思いドラゴンに触れて増加者の能力を使ってみる。しかし、
(あれ?何も変わらない?)
ドラゴン(仮)にはしばらく触れ続けても特に変化を見られずに失敗したかなと考え、今度は吸引者の能力を使ってみるすると突然気分が悪くなり、眠気が来たと共に
《告。進化条件に必要な魔素を確認します・・・認識しました。
規定条件が満たされました。これより、進化が開始されます 》
先程聞こえた声がまた、頭に響いてくるが急激な眠気に疑問を考えている暇もなく眠気に負けてしまうのであった。
独自設定として、人は大量に魔素を取ると、適正があれば進化するという物です。適正がない人は亡くなってしまうという主人公はかなり危険な事をしでかしています。
増幅者では魔素を増加し、吸引者で魔素を吸収して許容量を超えて適正を持っていたため進化した流れです。