転移したら進化した件 作:循環
その日は休日で、食堂であのシュークリームを食べる事が出来る様になったと聞いて向かっていた。
そうした中で、何やら揉め事があったみたいだ。様子を見に行くと、どうやら抜けた感じのゴブゾウに冤罪を掛けられた様だ。ギャルのような少女が訴えていて、その近くに2人の青年が助長しているとゴブタ直ぐにやってきて謝罪したようで
「やってないんすよね?でも、そんなの関係ないっすよ。疑われた時点で負けなんす。リムル様も『痴漢冤罪は恐ろしい』と言っておられたっすからね」
とゴブゾウに言っているのを見て、よくそこまで教えているなと思っていると
「ちょっと、なんなワケ?もしかしてウチが嘘を吐いてるって言いたいワケ?」
「え、そう聞こえなかったっすか?そもそもゴブゾウはシオンさん狙いなんで、アンタみたいな小娘を触ろうとする訳がないっすから」
いちゃもんをつけてきたギャルにゴブタがバッサリと切り、ついでにゴブゾウの好きな人をばらした。まあ、よくシオンさんを見つめていたりしたからそうなのかなと思っていたが、こんなところでばらされるとは…
「ふざっけんなよ、クソ共がぁ‼︎ウチを舐めてんじゃねーぞ!お前らみんな"死んじまえ"」
とギャルがキレて言った。ただの逆ギレかと思ったが、何かをレジストした感覚がし、攻撃されたのだと判断し、警戒すると
「なるほど…これは声を利用して、脳波に干渉するスキルなのですね。とても恐ろしい力ですので、我が国での使用は禁止させて頂きます」
とシュナさんが言った。どうやら、事態の解決にきたようで、シオンさんが護衛についている。周りの人達に効かなかったのは、シュナさんが防いでくれたようだ。
「貴方達は、この国には相応しくないようです。お引き取り下さい」
ギャルにとってはさっきのスキルを頼りにしてきたようで、ヘナヘナと座り込んだ。
「ふーん。あっそ、そういう態度を取るんだ。いいぜ、そっちがその気ならよ、俺も本気で相手をしてやらあ!」
だが他の二人は違う様で攻撃的な体勢をしたのを見て、シオンさんが一歩前に出る。
一応、加勢できる様に自分も準備すると。いきなり結界が現れ周りにある魔法具が動かなくなった。空気中の魔素が少なくなっている様で、周りにいる魔物達が地面に伏せた。
そんな所を好機と見て、二人は周りの人達を攻撃し始めた。
「おい、やめろ!なんでこんなことをする!」
とりあえず、周りにいる人たちの被害を抑える為に、相手の注意を吸引者で引き寄せる。
「ああ、なんだよ。魔物が俺様よりも裕福な暮らしをしてるんじゃねぇよ」
もともと暴力的な性格なのか、黒髪の青年が殴りかかってくるのを躱しもう一人も見ると
「折角の機会なんだ。この力を存分に試して見たかったんだ、せいぜいサンドバッグにでもなってくれよ」
と言い剣を持った青年が切り掛かってきた。避けると、いきなり背中を斬られた。後ろを見ても誰もいなくどういう事だと思うと
「チッ、こいつ頑丈なヤツだな。さっさとやられれば苦しまずに済んだのに、今度こそ楽にしてやるよ」
と掛かって来た。どうやらさっきの斬撃は剣士の様だ、相手を殺してしまうのは不味いと思っているのに対して、相手は思いっきり此方を殺しに掛かってくる。
逃げたい気持ちに押されるが、ここで逃げたら他に過ごしていける場所があるか、それよりもここで逃げたという後悔に押し潰されそうな気がしてならない。
せめて、避難が終わるまでは時間を稼がないとと考えて、相手に近づかれくでも追ってこられる位置を確保しつつ投擲をする。しかし遠距離にもできる様で今度は肩の辺りを斬られた、だがさっきよりも浅く精度は落ちている様だ。
そうやって時間稼ぎをしていると、吸引者のスキルも限界を迎えたて気づいたのか
「へー、時間稼ぎが目的か。なら、他の奴を狙うまでだ」
と言って、避難をしている人達に向かっていった。避難している人達の前に立ち塞がろうとすると、相手は振り返って
「馬鹿が、引っかかったな。あんな奴ら見捨てたらよかったのに」
と言われて首を斬られたのに気づく。
首が飛んでも、走馬灯の様に世界がゆっくりと見えてくる。逃げる子供を庇いやられるシオンさんの姿、シュナさんを守るため自らを盾にしたゴブゾウの姿、急いで此方に駆けつけて来ているハクロウさんやソウエイの姿。
人の命はこんなにも呆気無く、消えていくのだと思い。この世界はやはり残酷なものなんだなと感じて、ゆっくりと瞳を閉じていく。
色々やり残した事が頭によぎる。ヒポクテ草について調べたかった、魔素はどんなものか知りたかった、進化や転移はどうして起きたのか、シュークリームを最後に食べたかった。
主人公が死んでしまった。はい、と言うわけで今作は終わりです。現実は非情と言うわけですね。
嘘です。まあ、基本この作品読んでいる人はwebとか読んでいるだろうし、大凡の展開は知ってるでしょうね。
次回はリムル視点をやってみたいと考えています。