転移したら進化した件   作:循環

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やりたい事はあっても、どれからやろうかと悩んでしまって時間を潰してしまう時があります。もっと自由な時間が欲しい。


第15話 覚醒

意識が朦朧とする。今がどんな状態かとか考え様とすれはする程意識が薄れていく様な感じがした。このままでは消える、と思ってからはただこれは夢だろうと考え呆然としていた。

しばらくすると薄っすらと何が見えて来たが、視界はかなりぼやけていて、そこに何かがあると言うことだけしか分からない。

恐らくあの形は人だと思う。大勢の人が横たわっている、そうして少し意識がはっきりした時に自分が死んだ事を思い出した。

 

(今の状態は幽霊みたいなものか?あの後はどうなった?この状態はいつまで続く?このまま自分は消えてしまうのか?そんなのは嫌だ!何も分からずに消えたくはない!)

 

と、強く消えたくないと考えれば意識が段々と戻って来ている気がしたので

 

(自分はまだ消えたくない、もっともっと生きていたいんだ!それが人に戻ることが出来なくなってしまっても!)

 

そうやって未練がましく考えていると次第に意識がはっきりとする。

 

《告。個体名:リムル=テンペストの魔王への進化が開始されます。その完了と同時に、系譜の魔物への祝福が配られます》

 

そうしていると、あの進化の時などに聞こえた、世界の言葉が届いた。

 

(まだまだ生きていた…え、リムルさんがどうしたって?魔王への進化?リムルさん魔王になるのか。つーか、系譜の魔物って自分も含まれるのか?)

 

混乱しつつ、考えていると眠気を感じた。

このまま眠ってしまったら消えるのではと考えて抗っていると

 

《告。安心して、眠りにつきなさい》

 

その言葉に何故か安心して意識を落としたのだった。

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なんだか周りが騒がしい。スッキリした気分で寝ていたのを、無理矢理起こされたかの様に感じ寝ぼけていると

 

「おお、リュウお前も生き返ったのであるな。後起きていないのはリムル様だけだぞ」

 

そうガビル先輩が抱きついてくる。そういえば死んでいたんだよな。と言うことはあの時見たのは、本当に魂みたいな状態だったのか。

 

その後、しっかりと説明を聞くと、あの結界はミュウランが貼った物でそれで、魔法や魔物達の力が減少した様だ。そして襲撃者が暴れた後にファルムス王国の正規騎士団100名が現れて襲って来たそうだ。

そして、自分達を蘇生させる為に魔王に進化する事に決めたらしい。一万人の魂を生贄にし、真なる魔王へとなった様だ。

そして、ミュウランは魔王クレイマンに脅されていたらしく、リムルさんが解除したと。あの結界とリムルさんの魔素で自分達は消滅しなくて済んだとも聞く。

 

あそこで死ぬ様な事をしなければ、リムルさんは魔王なんかにならなくても良かったんじゃないか。自分もこの世界で暮らして価値観が変化しているが、リムルさんは相手が外道だったが一万人もの相手を一気に殺しても平気だったのだろうか?

 

皆も魔王になった影響で、理性のない化け物になってしまうかと不安に思っている様でもあった。

 

そんなリムルさんは現在シオンさんに膝枕をして貰っている。スライム状態になっているから枕と言って良いのかよく分からないが…

一応理性があるかどうかの確認の為に合言葉を用意しているらしいが、それを話した時のベニマルは悪い顔をしていたのでロクでもない合言葉なのだろう。

 

「あ!リムル様、お目覚めになられたのですね!」

 

と言うシオンさんの声が聞こえる。記憶の中でシオンさんもやられていたが、自分以外も生き返っているのか、皆生き返って良かったと思いつつ、それだけ死なせてしまったのかと考える。

 

「シオン、無事に生き返ったんだな!」

 

「はい、リムル様!こうして無事に、我等一同、生き返る事が出来ました!」

 

そう言う言葉と共に自分もリムルさんの近くに行き跪き答える。

 

「「「我等一同、一名の欠落もなく無事に生還致しました‼︎」」」

 

そんな姿をリムルさんは感慨深く一人一人の顔を見る。しっかりと自分もいる事に気づいた様で嬉しそうに頷いている。

 

「リムル様、お目覚めですか。良かった、色々と問題が、っとその前に…。ちゃんと理性が残っているか確かめないと安心出来ません。打ち合わせの合言葉を勿論覚えておられますよね?では、確認させて頂きます。『シオンの料理は?』 どうぞ、お答えください」

 

そんな所にベニマルがニヤリと邪悪な笑みを浮かべて問い掛けた。うわぁ、これは酷い。メシマズで有名なシオンさんで、しかもそれを自覚していない。その本人の目の前で不味いなんて言わせるとは…

ベニマルも前にシオンさんの料理の監督を任せたが、どうやっても不可能かもしれないとこぼしていた。今回のはその報復かもしれない。

 

「え、私の料理がどうかしましたか?」

 

「ん?ああ、久々に食べてみたいんだろ?お前の日々の努力を確かめてくださるそうだ」

 

更にシオンさんの疑問に追い打ちを掛ける様にベニマルが答える。さて、リムルさんはどう返すのかなとみていると

 

「待ちたまえ、ベニマル君。合言葉だったね?勿論覚えているとも。ベニマルが決めた合言葉は確か『クソ不味い』だったかな?ちゃんと覚えていただろう?」

 

その言葉で、シオンさんがピシリと固まる。おお、上手い。これでベニマルに全て責任がいった。そして

 

「わかりました。貴方がそんなにも私の料理を食べたがっていたとは…。満腹になるまで堪能させて差し上げましょう!」

 

なんて笑顔のまま、去って行った。

まあ、ベニマルはご愁傷様と言うことで。




キャラを喋らせようとは思うんですけど、なんかコレジャナイ感が出てる気がして、結果こんな感じになってしまうんですよね。悩ましい。
追記
ちょっと主人公の意識を変化させました。主人公の意思が弱かった様に感じたので

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