(祝・一周年)転生したらエボルトに乗っ取られて勝手に色々されてた件 作:スカーレット@エボルト憑依中
「…っ…!」
桐丈惣一。
それは確かに、俺の転生前の名前。
今と昔で、性格が違うのも知っている。
「…どこまで聞いた?」
誰にも話すことなく、杏と俺だけが知っている筈の過去。
その時の俺はどこまで話したのか。
『…安心しろ、お前の過去は話されてない。』
エボルトの声を聞く限り、本当のようだ。
父さん達も知らないという表情をしている。
『……それで、ここからが問題だ。
お前は8歳の頃から、IS学園一年の専用機持ち全員と更識姉、束と知り合ってた。』
「…は…?待てよ、束以外とは初対面だったぞ?」
俺が覚えている限りは、IS学園に入ってから知り合った筈。
本当に知り合っていたなら一夏達は知っているだろう。
『…お前はありえないと思うだろうが、全部真実だ。
お前は確かにその全員と仲を深めていってた。今のお前の彼女全員には特に。』
ここでその話を出すかと思ったが、ここは言わないでおこう。
「だったら尚更おかしいだろ。本音達は絶対忘れないだろうし。」
『…それには理由がある。
12歳の頃お前…桐丈惣一は俺達がそれまでの出来事を纏めたファイルを発見して、お前を乗っ取った誰かの存在を知った。
それから桐丈惣一は対抗手段を作ろうと思ったんだろうな。
異常なまでに地下で研究と開発を続けて、自身と専用機持ち達と束、織斑千冬の全員に自身で作り出したネビュラガスを投与した。束と織斑千冬には濃度の高いガスをな。』
「っ…!?」
俺が、開発したネビュラガスを全員に投与した。
今の俺なら俺だけに投与するだろうが、過去の俺はその道を選んだ。
束と織斑先生の能力全てがオーバースペックな所も、俺と一夏達の記憶が無い所もそこからと考えると全て納得がいく。
「…父さん達は……父さん達は、それを許したのか?」
父さん達がそれを許すとは思えない。
父さんなら殴っても仕方ない程だ。
「…俺達がそのガスの存在を知った時には、もうお前達が投与してた。」
父さんが怒りを含めた悲しげな表情を見せ呟く。
父さん達に黙って開発していたらしい。
『そしてお前が13歳になるとその人格を戦兎が封印して、お前が寝たきりになっている間戦兎と束が龍兎の為にボトルの成分を世界中を飛び回って取ってきた…って訳だ。
お前は13歳までその桐丈惣一として生きてきた。』
「……で、全ての準備が完了した時には俺が15歳になっていた…って訳か。」
『それだけじゃない。黒と白のエボルが現れる事になった事件がある。』
黒と白のエボルが現れる事になった事件。
俺が1歳の頃だ。
『……これは監視カメラに映っていた映像の内容だ。
…元々、織斑千冬と一夏の両親は戦兎と巧が働いている研究所の科学者だった。』
お前が1歳の頃、戦兎と巧と織斑家の両親は共同でライダーシステムを開発していた。
国の防衛システムとしてな。
「葛城さん、この部位の能力は…」
「そこはこっちのデータを使って、こっちのデータはここの部位にお願いします。」
「分かりました。」
「巧、そろそろ…」
「…もうこんな時間か。すみません、ちょっと行ってきます。」
「はい、お気をつけて。」
「ある程度のデータはこれに纏めてあるので、エボルシステムの方はこちらを見てください。」
開発しているシステムの中にはエボルドライバーのシステム…エボルシステムも含まれていた。
「分かりました。」
ある日、戦兎と巧がボトルのデータについて不在の時に起こった事だ。
「…ふぅ、一息ついたな。千冬、おいで。」
「うん。」
「ほら、これをパパ達が開発しているんだ。」
「わぁ…凄いね!」
「ふふ、そうでしょ。」
「これ、なんで二つあるの?」
「それはね…」
本来エボルドライバーは二つあったんだが、一つを今の龍兎にそっくりな人物が現れた。
「――――――――」
「っ、やめなさい!」
「――――――――――!!」
「うわぁっ!!」
そしてその人物がエボルドライバーを強奪、エボルに変身した人物が見学に来ていた約9歳の織斑千冬もろとも殺害しようとした。
「何!?どうしたの!?
……っ!」
「「千冬!!」」
その時織斑家の両親が織斑千冬を庇い、織斑千冬は助かった。
「…パパ…?ママ…?」
「―――――――――。」
見るに堪えない惨状を残して、そのエボルはどこかへと去っていった。
「……っ…!!」
『……恐らく、その頃から織斑千冬はエボルを憎み始めたんだろうな。』
「……エボルが、何千人もの人を殺した…か。」
まさか、そんな事になっていたなんて。
この世界のエボルは、正義の為にあると。
エボル含め、全てのライダーシステムは希望の為にあるんだと。
そう思って戦ってきた。
だが現状は、既に絶望の為に使われていた。
何千人もの命を奪い、悪の為に動いていた。
そうとも知らずに気楽に戦ってきた自分が憎く思えてくる。
気付けば俺はセブンをポケットに入れ、乾ききった服を手に取り、未だに大雨が降っている外へ出る為にドアを開けていた。
「…どこ行くんだ。」
背後から父さんの声が聞こえる。
「……」
俺はその質問に答えることなく、外へと走り出した。
自分でも何をしたいのか分からない。
ここから何をしていくのかも分からない。
ただ今の俺は、空っぽだという事だけが分かった。
「…龍兎君…」
葛城さんの口から心配する声が漏れる。
りゅーくんが走り去ったナシタの中には、静寂のみが残っている。
追いかけようとしたその時、私の端末に電話がかけられた。
登録していない名前、番号。
「……もしもし。」
『どうもこんばんは、束博士。少しお話があるのですが、指定する場所に来ていただけますか?』
女の声。大方亡国機業の人間だろう。
どうせ面白くもない話だろうけど、今の気分を晴らすにはちょうどいいかな。
そう思った私は、指定された地下レストランへと移動し始めた。
「うん、うん。この肉美味しいねぇ。あ、わいーん」
がつがつむしゃむしゃと、遠慮なく飲み食いしていく。これから暴れる為には欠かせない。
腹が減ってはなんとやら。
「お気に召しまして?束博士」
「んー?そうだねー。愛しの二人に作ってもらうご飯以外は全部ゴミかまぁまぁ。そこの睡眠薬入りのスープ以外はゴミだね〜」
今どき睡眠薬入りのスープなんて、考えが古いなぁ。
女は驚く様子もなくニコニコと私を見ている。
「それで、束博士。話は考えていただけたでしょうか?」
「んー?どの話ー?」
一応分かっているけど、確認の為に聞き返す。
「我々、『亡国機業』に新造ISを提供する話です。勿論、コア込みで」
「あっははー、いやだよー。めんどくさいしー。」
私は愛しのりゅーくんの強化武器やボトル集めで忙しいし、そんな暇はない。
まだまだコア作れるけど。
「そこをなんとかお願いします」
「お断りしまーす。あー、ケーキちょうだーい。あとね、ハンバーグとカレーと冷やし中華ー。」
スペアリブをがじがじとかじりながら、メニューを眺めて追加注文をする。
「ふぅ……どうしても、ですか?」
「うん。」
「では、これではどうかしら。」
女が指を鳴らすと、映画のような演出で拘束されたくーちゃんとその首筋にナイフを当てている別の女……めんどい、B女が現れた。
「なんなら、この子鹿ちゃんのステーキを用意しますけど?」
流石にイラッときた。
「……せ。」
「はい?」
「はーなーせ。」
にっこりと笑みを浮かべた私は、テーブルのナイフとフォークを全て同時にB女に投擲する。
「っ!?」
咄嗟に防御姿勢を取ったB女を踏みつけて飛ぶと、天井を蹴ってから女の懐に入り込む。
慌ててナイフを振るったB女の手首を折り曲げて、そのまま刃の先端を右の肺に刺した。
「なんっ…!」
さらに左肩、左胸、左腹と掌打を叩き込んでくーちゃんから遠ざける。
最後に蹴り飛ばされたB女は綺麗な音を鳴らしてワインセラーに突っ込んだ。
「くーちゃん、大丈夫かにゃー?」
「は、はい……束様」
くーちゃんの拘束具を素手でちぎってから微笑む。
「ここは危ないから、くーちゃんは先戻っておいてー。」
「でも、束様は…」
心配してくれてるくーちゃん…いい。
「安心しなよー、私には『アレ』があるから。」
「……分かりました、お気を付けて。」
「うん!」
装置のボタンを押して、強制送還させる。
「……さって、あのね、私ってば天才天才って言われちゃうけどねー、それって思考とか頭脳だけじゃないんだよー。
肉体も、細胞単位でオーバースペックなんだよ」
もちろん、元から何十倍も高くなってるけどね。
「ちーちゃんくらいなのさー、私に生身で挑めるのは」
そう言って、ここから去るかこいつらを始末するか考えた時。
「……動くな…」
やけに包帯だらけの女の子が銃を持って現れた。
なんかミイラみたいで面白い。
「ふぅん、織斑マドカちゃんかぁ」
ちょっと前までりゅーくんと戦闘してたし、包帯ぐるぐる巻きなのも分かる。
そもそもよく生きてられたなぁって思うけど。
「「っ!?」」
おーおー、驚いてる驚いてる。
「…でも、私の考えは変わらないよん。
まぁまぁ食べたしこれくらいで帰るねー。」
どうせ撃たれても大丈夫だし、背を向けて歩き出す。
帰ってりゅーくん探したいしー。
「まぁ待てよ。」
背後に聞こえてきたのは、りゅーくんの声。
振り返ると、りゅーくんがそこにはいた。
「…りゅーくん…?」
「ああ?…なるほどな、あの『俺と入れ替わった失敗作』の事か。」
嘲笑うようにそう呟くそいつは、すぐにりゅーくんじゃないと分かった。
「…お前、誰だ。」
「おーおー怖い怖い。優しい優しい束ちゃんはどこにいったのかなー。」
本気で低い声を出しても、ビクともしないそいつは二つの物を取り出した。
「俺は……そうだな、エボルとでも呼んでもらおうか。」
『エボルドライバー!』
エボルドライバーを巻き付けたそいつがどのような人物なのかが分かる。
黒と白のハザードトリガーのような物のボタンを押したのも、私は見逃さなかった。
『オーバー・ザ・エボリューション!』
「…そういう事、か。本気出すしかないかな。」
私もある物を取り出し、腰に当てる。
『ゲーマドライバー!』
ポケットからもう一つ物を取り出して右手に持ち、ボタンを押す。
『マイティアクションX!』
それから音声が流れると、私の背後にディスプレイが映し出されてそこからいくつものブロックが飛び出してくる。
右手で持っていたそれを薬指に引っ掛けて、顔の前に持ってくる。
「グレード2、変身。」
目の前の男も黒と白のハザードトリガーのようなものをエボルドライバーに差し込み、続けるように二つのボトルをスロットに装填した。
『コブラ!ライダーシステム!レボリューション!』
そいつがレバーを回し始めると、縦に銀色の円が現れその周りをパンドラボックスのような立方体が黒い竜巻に乗って飛び交う。
『Are you ready?』
音声が流れると、そいつは腕を交差させる。
「変身。」
私は右手の物をベルトに差し込み、レバーを開く。
『ガシャット!ガッチャーン!レベルアップ!
マイティジャンプ!マイティキック!マイティ~!アクショォ~ンッ!X!!』
正面に来たパネルを左手でタッチすると、粒子に包まれる。パネルが自動的にボディを通り抜け、紫色の仮面ライダーの姿になり変身を完了した。
一方、男は周りを飛び交うパンドラボックスのような立方体が合体して柱状になり暗黒空間内にのみこまれ空間が消滅、そこから変身後の姿が小型の黒い立方体を飛び散らせながら現れた。
『ブラックホール!』『ブラックホール!!』
『ブラックホール!!!』
『レボリューション!!!!』
『フッハッハッハッハッハッハ!』
【…さぁ、宴を始めようじゃないか。】
〖……〗
『ガシャコンバグヴァイザー…!』
禍々しく、不気味なオーラを出すそいつにガシャコンバグヴァイザーの銃口を向ける。
どうやら、まだ帰れそうになさそうだ。
あえて何も言いません。(ついに現れたブラックホールフォーム!そしてゲンムの正体!)
追記:ガシャットの持ち方を中指と薬指で、エボルトリガーの起動音を間違えていました。申し訳ありません。
これからの更新について
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特訓回を本編に入れる
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特訓回を番外編にして修学旅行編を更新
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なんでもいいから更新しろ♡