青と白の調査員   作:むしゅーだ

1 / 1
あまりにも酷すぎたためもう一度書き直しましたm(_ _)m


第一捜査 前編

[僕はもう耐えきれません、さようなら ドン! ドサッ]

 

カセットテープにはそう記録されていた

 

今回亡くなった アドルフ・マーフィー の最期の言葉だ

 

「これは、拳銃を使った自殺ってことか」

 

少し年齢より老けた顔の捜査官オルオ・ボザドはそう言った

 

「ああ、そうなるな」

 

後ろで髪をまとめている捜査官エルド・ジンは答えた

 

 

オイ!エレン!トマレ!

 

「またハンネスさん何かやらかしたのか?」

 

オルオが呆れている声で言っていると

 

ガチャ!

 

「おい!君はなんだ!!」

 

急に一人の少年が入ってきてエルドの声に耳も貸さずにアドルフの事件現場の写真を眺めてテープを巻き戻し、そして再生した

 

「このテープを初めて再生したときはここからスタートしたのか?」

 

緑色の瞳をした少年は真剣な顔でエルドに聞いた

 

「そんなこと...

 

「いいから答えろ」

 

「ハア...そうだよそれがどうした」

 

エルドはため息交じりで答えた

 

「それで判断は?」

 

「なんで君に教えないと...

 

「判断は?」

 

ハンネスさんの友人の可能性もあったが何より目が真剣だった

 

「拳銃による自殺だよ」

 

「いや違うな、これは他殺だ」

 

「は?」

 

オルオとエルドは思ったことが素直に口に出てしまった

 

「気が付かないのか?」

 

少年は写真を机に並べた

 

一枚目の写真には地面に自ら頭を打ちぬいたときにできたとみられる大量の血痕が付いていた

 

そしてテープの後半を流した

 

[ ..なら ドン! ドサッ]

 

「このテープを聞く限り、撃った後に倒れたように聞こえる」

 

「だがそうなるとこの血痕の形はおかしい」

 

「この血痕の形だと寝ながら撃たなければいけない」

 

「それだとこのテープの音と一致しない」

 

「そしてもし自殺だったとしても誰が巻き戻したんだ?」

 

誰も何も言えないぐらいの完璧な他殺の根拠だった

 

「エレン、また勝手なことを...俺が話すから帰れって言ったろ」

 

ハンネスがやっと口を開いた

 

「ハンネスさんが言うより俺が言ったほうが速いだろ」

 

「すまんな、こいつはエレン・イェーガーってんだ学校が詰まんないとか言ってここに来ちまってよ」

 

それを聞いたオルオは怒鳴った

 

「お前どこの学校だ?どうせ大したところじゃないくせに調子に乗んなよ?」

 

「ローゼ大学だけど」

 

「は!?」

 

ローゼ大学は世界で見てもトップクラスの超エリート大学だ

 

「ったく警察のあんたらは何を見て何を聞いてたんだよなんの役にも立たないんだったら早く警察辞めちまえ、この税金泥棒が」

 

「おいエレン、お前の口の悪さは昔から知ってたけど相手は警察だぞ、普通に法に触れるだろ」

 

「そうだ、警察にもなれてねぇんだったら逮捕す...

 

「じゃあ警察の手伝いさせてくれよ」

 

エレンが真面目な顔で言い放つと

 

「テメェ人の話をろくに聞かない上に手伝いだと!?警察なめん...

 

「部屋空いてたかな?どうせアルミンやミカサ達も来るんだろ?実は俺も前からエルヴィンさんと話してたんだよお前らのその優秀な脳を少し借りたいってな」

 

「本当か!やったぜ!」 

 

そう言ってエレンは足早に部屋から出ていった

 

「ちょっと待って下さいよ!お前らってどういうことですか!それにそんなこと許されるんですか!?」

 

「まぁな、エレンみたいなのがあと4人来るからな」

 

「俺は認めませんよ!」

 

「だが今回のアドルフの件、お前らは気づいてなかったのにあいつは初見で気づいたぞ?それにあいつらは俺や下手したらハンジよりも優秀なんだよ」

 

「!?」

 

ハンジ・ゾエ、警視庁の中での警部補に入っている人だ

 

二人はその場でただ唖然としていた

 

ーーーーーー

 

ーーーー

 

ーー

 

 

ー警視庁旧第四研究室ー

 

「ここは自由にしていいんだな?」

 

「あぁ、許可はちゃんと貰ってある、だからといって窓割ったりはすんなよ?」

 

「そんなこと大学2年になってするわけねぇだろ」

 

「お前らもここに入れば警察だからな、こんなこと特例だからな」

 

「うん、分かってるよ」

 

そう答えたのは一瞬女かと見間違うような容姿をした少年だ、名前はアルミン・アルレルト

 

「これでつまんない学校生活から開放されるかもねー」

 

体を伸ばしながら天使のような顔立ちをした少女は少し眠そうに呟いた、クリスタ・レンズだ

 

「そうなればいいな」

 

馬面の少年は自分の携帯を見ながら気だるそうに答えたジャン・キルシュタイン、このメンバーの中のいじられ役だ

 

「...ジャンが少し心配」

 

綺麗な黒髪を少し揺らしながら窓の外を眺めながら茶化したのはミカサ・アッカーマン、エレンと幼い頃からずっと共に行動しているがお互い恋仲では無いと言っている

 

「何もしねぇよ!」

 

「そんな事より機材とかはどうするんだ?」

 

「私は家から運んでもらうけど」

 

クリスタは机に上半身を倒しながら眠そうに答えた

 

「私も」

 

ミカサは相変わらず無愛想に答えた

 

「俺は基本ノートパソコンしか使わないからいいや」

 

「僕も家から送ってもらうよ」

 

ジャンとアルミンは机を移動させながら答えた

 

「俺は本とかパソコンとかしかないからもう持ってきた」

 

「やる気満々だな」

 

ハンネスが茶化したように言った

 

この5人は各々家が裕福な家庭で育っている

その為警察が使う機材などは基本家に揃っているらしい

 

 

「あいつらがそんなに優秀には見えないけどな」 

 

部屋を覗き込んでいるエルドが呟くと

 

「そう?これでも一応大学生なんだけど」

 

クリスタは部屋の奥で大声で答えた

 

エルドは驚いた様子で自分の体を探った

 

「なんだエルドか、大丈夫だよ、お前の体に盗聴機はついてない」

 

「...はぁ」

 

エルドはハンネスに少し疑った様子で曖昧に答えた

 

「ちょうどいいし紹介するわ」

 

「は、はい」

 

「まず、エレンだ。コイツは法医学のプロ顔負けの技術と知識を持ってるし医者の免許も持ってる、それに鋭い観察力と推理力、いろんな格闘術とポリグラフも少しかじっている」

 

「よろしく」

 

「慣れ親しむつもりはない」

 

エルドは腹が立ったが前回の事もあり抑え込んだ

 

「次にアルミン・アルレルト、コイツは筆跡鑑定、プロファイリング能力、ポリグラフに長けてる、中学の時に海外に学びに行ったそうだ、まずコイツに嘘をつくのは無理だと思え」

 

エルドはその綺麗な容姿に一瞬困惑したがすぐに挨拶をした

 

「よろしく」

 

「うん、よろしくね」

 

「次にクリスタ・レンズ、物理学の専門だ、さっきの事もあったがコイツは異常なくらい耳が発達してる、あの距離の声だったら聞こえるから陰口はできないな」

 

幼い体に天使のような顔立ち、大学生には見えないと内心思っていた

 

「よろしく」

 

「よろしくね〜」

 

「次はこの馬面、ジャン・キルシュタインだ。天才的なシューターで拳銃の腕前は多分SATレベルだろうな、コイツは法医学以外のいろんな分野をこなせる」

 

その悪人のような目に違和感を覚えたが挨拶をした

 

「よろしく」

 

「馬面って言うのは解せねぇがいいや、よろしく」

 

「最後はミカサ・アッカーマンだ。毒物鑑定などの知識が豊富で嗅覚が犬並みに優れている。それに7ヶ国語を話せる。沢山の格闘術を極めているからいくら警察だろうと一対一でこいつには勝てねぇな」

 

その綺麗な顔立ちとはかけ離れた格闘術、あまり信頼していなかったが

 

「よろしく」

 

「よろしく」ギュ

 

握手をした時の手の感触は男の手と近かった

それも格闘家の手だ

 

「俺はエルド・ジン、一応先輩だからな、よろしく」

 

「よろしくね〜」

 

クリスタは適当に答えた

 

エレンはやはり興味ないという顔をしている

 

「事件現場の写真と記録されたカセットテープ持ってこい。それと被害者の身元を教えろ」

 

こいつは絶対に学習しない、そう悟った

 

「分かったよちょっと待っててくれ」

 

同時に本当に念を押すほど優秀なのか彼らを審査してみたくなった

 

「そうだ、私達は捜査しにここに来たんだった」

 

クリスタの顔から眠気が消えた

 

 

「被害者はアドルフ・マーフィー32歳、午前9時36分に彼の自宅の居間で現場写真のように見つかった。死亡推定時刻はおそらく2時から3時だ。彼はシーナ市のレストランに勤めている

そしてアドルフにはヤーコプ・マーフィーという双子の弟がいて、それ以外交際相手などはいない」

 

そう言ってホワイトボードにアドルフ、ヤーコプの写真を貼った

 

「わぁお、瓜ふたつだね」

 

「遺体は彼の部屋から発見された、喉元に銃で撃たれた形跡とあのカセットテープから銃殺と判断した」

 

エルドはエレンの方をちらりと見たが何も言わずにただ事件現場を眺めていた

 

「聞き込み調査はどこまで進んでるんだ?」

 

「今聞き込み中だが聞いたのは1ヶ月ほど前から双子揃ってジムに通っている事と事件の一週間前に交際相手と破局したことだ」

 

「その人の名前は?」

 

「アデーレ・ヒッツフェルト32歳、勤務先で出会ったが、アデーレの転職で来週ドイツを離れるのをきっかけに別れたらしい」

 

「勤め先で何かトラブルがあったとかは?」

 

アルミンの質問の答えに少し間が空いた

 

まだその容姿に慣れていないらしい

 

「まだ聞いていない」

 

「遺体の解剖は」

 

「まだだ」

 

「なら俺がやる」

 

「おい、魚の解剖とかとはわけが違うんだぞ人の解剖なんかはした事あるのか?」

 

心配そうな口調でエレンに言ったが

 

「さっきハンネスが言ってただろ、俺は医師免許を持ってる、手術なんかもした事ある」

 

「そうだったな」

 

「出来れば早めにやりたい」

 

「任せろ、手配する」

 

 

〜一時間後〜

 

「準備ができた、ついてこい」

 

「よし、わかったミカサ行くぞ」

 

「なぜアッカーマンも連れて行くんだ?」

 

「後々話す」

 

「俺もついて行っていいか?」

 

少し髭を蓄えた男性がエレンに尋ねた

 

「あんた誰だ」

 

「俺はナイル・ドーク、いつも解剖は俺がしてるが少しお前達に興味があってな」

 

「そうか、勝手にしろ」

 

ナイルは少し右の口角を上げてエレンについて行った

 

 

「ミカサ、どうだ?」

 

ナイルは謎の光景を目の当たりにしていた

 

目の前で綺麗な女性が遺体に顔を近づけて臭いを嗅いでいた

 

ミカサは顔を静かにあげると

 

「シアン化カリウムに似た臭い」

 

と答えた、それに対してエレンは

 

「そうか、じゃあもう行っていいぞ、ありがとな」

 

そう言うとミカサは部屋を後にした

 

ナイルは不思議に思っていたが、これから始まる現役大学生の解剖に興味津々だった

 

エレンは遺体を見るとまず眼を確認した。

 

「目の白濁が始まっている、死後6から7時間、死亡推定時刻との矛盾はない。死斑は鮮紅色。よって死因は青酸中毒だ」

 

そして次は首をじっくりと見ていた。

 

その後に腕、肩、太ももなどを入念に観察した。

 

そこから首にメスを入れ始めた、そして首に残っていた弾丸を取り出し、メスを入れた場所を縫い付けた。

 

そこまで見事なまでの手際の良さで、ナイルは感心した様子で部屋を出るエレンを追った。

 

「見事だったな」

 

ナイルが脱帽していると、エレンはそっけなく答えた

 

「まぁな」

 

 

 

ー旧第四研究室ー

 

「まず報告だ」

 

そう言ってエレンは資料を大学生の4人と同席しているエルド、ナイルに渡した

 

「まず死因は青酸中毒、死斑が鮮紅色で、ミカサがシアン化カリウムの臭いがすると言っていた」

 

エルドががっつくように聞いているのを横目にエレンは淡々と続けた

 

「死因と遺体の状況を見ると明らかに矛盾している、よって他殺だ」

 

エルドとナイルは真剣に聞いていたが、大学生4人は無関心に見えた

 

「死亡推定時刻も間違いは無い、2時から3時の間だ」

 

エルドの姿勢が少し前のめりになったのを見て、クリスタは少し笑みをこぼした

 

「そこでだ、元交際相手と双子の弟を中心に徹底的に調べろ」

 

エレンが資料を見返しながら言った、それに対してエルドは当たり前の質問をする

 

「なんでその2人なんだ?」

 

「被害者の身体にいくつかあざがあった、きっと抵抗もできないくらいに弱っていたんだろう、だが主に腕周りの筋肉が付いていた、ジムの影響もあるだろうが多分被害者はレストランで厨房を担当していたんだろう、その身体つきで普通の女性に抵抗できなくなるまで暴力を振るわれることはほぼないに等しい、だが2人がかりだと話は別だ。どちらにしろ2人は被害者に一番近い人物だしな」

 

エルドは驚いていた、自分の想像を遥かに凌ぐ推理力だ

 

ちゃんとした根拠もあり、信憑性も高かった

 

「わかった、捜査本部に報告してくる」

 

エルドが立とうとしたところをエレンが止めた

 

「あともう一つ頼みたいことがある」

 

「なんだ?」

 

「俺たちの警察手帳だ」

 

「は?なんでそんなもの」

 

「当たり前だろ、今の俺らが聞き込みに言ったって誰も相手にしてくれねぇよ」

 

「それもそうだな、ハンネスさんに聞いてみる」

 

「頼んだ」

 

この一言でエルドはエレンが心を開き始めていると感じた

 




次回から本格的な捜査に入っていきます

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10についてはそれぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。