メリオダスside
オレ達がアーラム村に着くと、何やら村人達が騒いでいた。
「どうした!」
「あ、あなたは先程の!実は村の子供が数名、家に帰っていないので探し回っていたのです!」
「くそっ!遅かったか!・・・っ!あそこだ!!」
スバルは何かを思い出したようで、どこかへ走り出した。それについて行くオレと村人とレム。そして付いた先は村の端、近くに花畑があり、すぐそこに森と村を別ける柵があった。
「・・・そこ、結界が切れてる!」
「結界が切れてるとどうなる?」
「魔獣が境界線を越えて村に入ってきます。」
「魔獣?」
「魔獣は魔女が生み出した魔力を持った動物で人間の外敵で、森は魔獣の群生地帯です。」
「じゃあ、この奥には魔獣がうようよいんのかよ!」
「それだけじゃねぇぞ、ほらそこに足跡がある。ってことはガキどもは森の中だ。」
「本当だ!急いで村の皆に伝えてくれ!」
「はい!」
村人はこの事を伝えに村の住宅街へ向かって走っていった。スバルは柵を越えようとした時、レムが止めた。どうやらこの騒動が屋敷を狙った陽動だと考えているようだ。
「レム、屋敷にはラムやベアトリス、そしてオレの分身もいるから大丈夫だ。エミリアだって弱いわけじゃねぇんだろ?」
「それはそうですが・・・」
「それにもし、今屋敷に戻って守りを固めたら、ガキどもは死に、次の日には村人も全滅しているかもしれないぜ?何だったらレムは屋敷に戻っていてもいいぞ。スバルとガキどもは必ずオレが守るからよ!」
「俺も守られる対象かよ!!」
「・・・わかりました、今回はメリオダス君の口車に乗ってあげます。・・・ただし、私もついて行きます。二人だけでは心もとないので。」
「それでいい、じゃあ森の中に入るぞ!」
オレ達は森の中に入り、子ども達を捜索した。レムは鼻が利くらしくしばらく森の中を捜索しているとすぐに見つかった。しかし見つけた子ども達は衰弱が激しくスバル曰く、これは魔獣による呪術のようだ。
「レム、この子達を村まで運んでくれ!」
「一人じゃ大変だろうから、こいつも連れてけ。」
オレは三人目の分身を作り、レムの手伝いをするように仕向けた。
「二人だけで大丈夫ですか?スバル君は戦力外なのでどうしようもないですけど、メリオダス君の今の実力は本来の三分の一程度しかないんですよね?」
「問題ねぇ、それよりもこの子ども達を頼んだぞ。」
レムはそう言われてオレの分身と渋々子ども達を村に運び出した。後ろでレムに戦力外と言われて苦笑いしているスバルとさらに森の奥へ向かった。
「っ!・・・メリオダス!あそこにもう一人いたぞ!」
スバルが見つけた少女は地面に倒れている。すぐに駆け寄り介抱しようとした。
「よし、これで全員か?」
「あぁ、あの子で全員助ける事が出来たが・・・まだ呪いが・・・」
「スバル、呪いの解呪方法はあんのか?」
「それは、ベアトリスに解いてもらうか、術を掛けた魔獣を殺せば呪いは解呪される・・・っ!」
「どうやら、話してる暇は無さそうだな・・・」
いつの間にか数十体の魔獣〈ウルガルム〉がオレ達を取り囲んでいた。
「スバル!その子のそばにいろ!こいつらはオレが相手をする!」
「メリオダス!お前一人で大丈夫かよ!」
「まぁ見てなって・・・はぁ!!」
ドパァン!と言う音とともにオレに迫っていたウルガルムの首を蹴り飛ばし、続いて二体のウルガルムがスバルの方へ向かっていたので、一瞬で追いつき背後を取ってそのまま頭を掴んで後方へ飛ばした。
「つ、強ぇぇぇぇ!!!」
「だろ?・・・それよりもスバル、呪いの解呪方法は確か術者を殺すことだったよな?」
「あ、あぁ・・・メリオダス、まさか・・・!」
「こいつらを全滅させりゃ、呪いは解ける・・・簡単な解決方法だ・・・」
もしこいつらの中に術者がいなかったらベアトリスに頼めばなんとかなる。
「さてさてさーて・・・死にたい奴から前に出ろ・・・!」
ウルガルム達は天敵でも見るような目でオレを睨みつけ、一斉に飛び掛ってきた・・・だが、オレはその一斉攻撃を片手だけで応戦し、ウルガルム達は攻撃された部位を破壊され、悲鳴を挙げていた。
「次!」
メリオダスside out