メリオダスside
ここは森の中、いつ何処からウルガルムが襲って来てもおかしくない魔獣の群生地帯。空はまだオレンジ色、だがもう少しすれば完全に暗闇になり、頼れるのは月明かりのみ。そんな中オレはレムとスバルを探し、そして自分にかけられた呪いを解く為にこの森まで来たのだが・・・
「何でお前までいるんだ?・・・ラム。」
オレの隣に立つ桃色の髪のメイド、ラム。彼女はオレの問に対して両腕を組み、鼻を鳴らした。
「あら、ラムが無しでどうやってレムを探すつもりだったの?ラムには波長が合う生物と視界を共有する事が出来るの。」
「確かにその眼があれば簡単に見つける事が出来るだろうな。・・・そういえばレムが鬼って事はラムも鬼なのか?」
「ラムがレムと同じくらい戦えると期待しているのなら残念。ラムは鬼化出来ないわ・・・角無しだから・・・」
ラムは少し暗い顔をして自分に角が無い事を言った。ラムとレムの過去に何かあったのは確かだが今は気にしている場合では無い。
「もしかして、ラムが足でまといになると思っているの?だとしたら・・・」
オレはまったくそんな事を思っていなかったのだが少しの間、黙り込んでいたらラムに誤解されてしまったようだ。
そしてラムは右側から迫っていたウルガルムをラムの風魔法で真っ二つに切り裂いた。
「・・・その考えは浅はかで愚かよ、メリオダス。」
「なるほど、自分の身は自分で守れるか・・・わかった!それじゃあ話もまとまった事だし、行くか!」
オレとラムは襲い掛かって来るウルガルムの軍勢を薙ぎ払い、ラムの千里眼でスバル達の居場所を探した。途中でラムのマナが尽きたらしく、動けないラムを背負って捜索を続けた。
空の色が完全に黒くなり、月明かりに照らされている。レム達が遠くにいたので探すのに手こずったが見つけ出せた。少し広めの場所でスバルはボロボロになりながら折れた剣を持ちウルガルムと交戦していた。レムは鬼化しており、スバルに迫り来るウルガルムを次々とミンチにしていく。
「レム・・・また・・・」
「ラム・・・?」
「ラムは・・・レムがあんなにボロボロになっていく姿を・・・もう見たくないわ・・・」
ラムはオレの背中で悲しげな目で小さく呟いた。その声には深い愛情があり、哀れみもあった様に思えた。
「・・・レムを正気に戻す方法はあるのか?」
「・・・ある事にはある・・・レムの額にある角に強烈な一撃を与えれば・・・元に戻る・・・多分・・・きっと・・・」
曖昧だがこれしか方法がねぇんならこれに掛けるしかねぇな。オレは背負っていたラムを地面に下ろし、まずスバルの元に向かった。
「スバル!!」
「っ!!・・・メリオダス!お前、もう怪我はいいのかよ!」
「あぁ、問題ねぇ。それよりも、レムを正気に戻すからスバルはラムの所に行ってやってくれ。」
「わ、わかった!死ぬんじゃねぇぞ!」
スバルは急いでラムがいる方向に向かって行った。そしてレムは周りにいたウルガルム達を全滅させてこちらを見た。
「ああぁぁあぁああ・・・!!」
オレは魔神化を使ってレムを戻そうと考えた。普段なら魔神化しなくても済むが、今のレムは鬼化の上に自分を制御出来ずに暴走しているらしい。なので、早期解決の為に魔神化したのだ、レムを背後をいる禿げた子犬の事を気になるしな。
「うああぁああぁあ!!!!」
レムのモーニングスターが右から高速で迫ってきたが、オレはそれをロストヴェインで弾き、接近した。
「はぁっ!!」
オレはレムの角に向かって拳を叩き込んだが、レムは咄嗟に両腕で防ぎ、角へのダメージを防いだ。
「っ・・・・・・!」
衝撃で遠くに吹っ飛ばされるレムに追撃しようと接近戦に持ち込み攻撃を続けた。身体へのダメージを最低限に抑えつつ角に強烈な一撃に中々難しい。
「そろそろお前とも最後にしたいもんだな・・・!!」
そんな声が聞こえて来たので見てみるとスバルと禿げた子犬が睨み合っていた。
そして子犬は唸り始め、巨大化していった。巨大なウルガルムとなった魔獣はスバルを見下ろし咆哮した。
「こっちには切り札があるんだ!覚悟しろよ!」
巨大なウルガルムはスバルを殺そうと牙を向けた。たが、それよりも早く、スバルは唯一の魔法を唱えた。
「シャマァァァク!!!」
黒い霧がスバルから放たれ、ウルガルムと近くにいたオレやレムを巻き込んだ。ウルガルムとレムは何も見えていないようだがオレには何故かまったく効果が無かった。
「うおぉぉぉぉぉぉ!!!」
スバルは視界を一時的に奪ったウルガルムの喉元に折れた剣を突き刺した。
「はぁ!!」
オレもこれはチャンスだと思い、目が見えなくなったレムの角にロストヴェインで峰打ちを叩き込んだ。
「ッ!!!」
レムは鬼化が解けたようで角が引っ込んでいき、気絶した。オレは倒れ込むレムを支え、魔神化を解除した。一方スバルの方はウルガルムに押さえつけられていたがスバルは喉元に突き立てた剣を抜き、ウルガルムの口を斬った。
「ッ・・・・・・!!!」
ウルガルムは痛さのあまりスバルの上に置いた手を退けた。
「どうした・・・!こいやボスガルム!!!」
ウルガルムは再び咆哮しスバルに襲い掛かったが、その瞬間・・・
「ウル・ゴーア!!」
突然降り注いだ炎がウルガルムに直撃し、全焼させていった。
「あははぁー、少し見ない間に随分な有様になったねぇーぇ。」
「ロズっち・・・来るの超遅せぇよ・・・」
スバルはロズワールに命を助けられて思わず座り込んでいる。
「スバル、大丈夫・・・じゃなさそうだな。」
「おぅよ!てかお前が来てくれなかったら俺死んでたわ、ありがとな!」
「こっちこそ、オレの為にサンキューな!」
「それにしても君達は良くやってくれたよ。私が不在の間よく村を守り抜いてくれた、君達がしてくれた事へのお礼は尽くそうじゃないか。」
その後は気絶したレムとマナを使い果たしたラムを抱え、アーラム村にいるエミリアと屋敷に戻り怪我の治療して眠りについた。
メリオダスside out