王選が始まり、広間には王候補を五人とメリオダス、アル、そして少数の貴族が残っていた。
「さっきは弁解してくれてありがとな。フェルトに嬢ちゃん達、おかげで助かったぜ」
「なに、気にするな。卿は"嘘"を言っていない、私がそう判断したまでだ」
「ほぉ〜、それが噂に聞く"風見の加護"やな」
「風見の加護?なんだそれ?」
メリオダスは3人に礼を言い、クルシュはあくまでも自分の意見に言っただけの様で腕を組みながら目を瞑った。そして嘘を言っていないと断言した事に対してアナスタシアが興味深そうに話した。そこで話しについていけてないフェルトが風見の加護について聞き出した。
「ウチも詳しくは知らんけど、風を読む性質と、風のように目に見えないものを見る性質を併せ持つ加護らしいんよ」
「そしてその加護を通して他者の感情の風向きを見て、嘘をついているかいないかを判断する。何を考えているかまでは分からんがな」
「ふむふむふーむ、それでオレが魔女教じゃないと分かったのか。それにしても嘘を見抜ける加護か・・・魔法とは違うのか?」
右手の人差し指を立てながら説明するアナスタシアにクルシュが補足しメリオダスは右手を顎に当て納得した。メリオダスはクルシュの加護について考え、魔法との違いが分からなかった。
「加護はね、生まれた時に世界から与えられる祝福って言われていて持ってる人はすごーく珍しいの。そして魔法は体の内や外のマナを使う事によって繰り出すことが出来るの・・・」
「・・・なるほどな・・つまり"恩寵"見てぇなもんか・・・」
加護と魔法の違いについて聞いたらエミリアが笑顔でそう答えてくれたが、エミリアの笑顔は空元気によるものだと誰もが察していた。
「まぁ難しい話しは分かんねぇけど、こいつが魔女教じゃないならそれで良いんじゃねぇの?」
「そも此奴が魔女教であろうとなかろうと妾にとってはただの石ころに等しい。その様な事で一々囀るな凡愚共」
「ッ!テメェは・・・」
メリオダスの魔女教である疑いが晴れ、丸く収まろうとした時今まで黙って聞いているだけだったプリシラが口を開いた。その様子を見たフェルトはプリシラを射殺する様な視線で睨みつけた。
「その目は何じゃ?雌犬。頭が高い、妾を誰と心得える・・・」
「姫さん、そいつぁ・・・」
プリシラがフェルトに向けて手に持っていた扇子を優雅に閉じて従者であるアルも止めようとしたがプリシラは聞かずフェルトに振り降ろそうとした瞬間、何者かに手首を掴まれその攻撃は不発に終わった。
「凡俗風情が妾に気安く触れるでない」
「悪いがそいつはオレの知り合いだ、黙って見殺しにするつもりわねぇ・・・それにお前にとってもフェルトを殺すのは得策じゃないだろ?」
「・・・得策では無い?何を言う、この世は妾の都合のいいように出来ておる。故に妾に不利益が起こることは無い」
プリシラの攻撃を止めたのはメリオダス、だがそれに怯むことなくプリシラは気安く触るなと言いメリオダスは手を放した。そしてこの世は妾の都合のいいように出来ておるも豪語する様を見て他の候補者は少々驚いていた。
「まぁ、そろそろこの余興にも飽きてきた所じゃ。ここは畏れ多くも妾を止めた貴様に免じて今回は引き下がってやろう。妾の寛大さにひれ伏すがよい」
「その傲慢さだけはどっかの髭面といい勝負だな・・・」
「報告致します!騎士 ユリウスとナツキ・スバル殿が木剣による模擬戦を行っております!」
プリシラの発言に呆れてかつての仲間と比べている時、一人の衛兵がユリウスとスバルが模擬戦をしている事を報告しに来た。どうやら模擬戦を持ち掛けたのはユリウスでスバルが受けたようだ。その事を聞いて、エミリア以外はやらせておけばいいと言ったがエミリアは直ぐに向かいメリオダスも少し遅れてスバルの所に向かった。しかし状況は酷くスバルが一方的に打ちのめされていた。
「スバル!!!」
「シャマァァァァァク!!!!」
スバルはエミリアの静止も聞かず陰魔法を詠唱した。動揺するユリウスを想像してチャンスと見るやいなやスバルはユリウスを倒そうと走る。
・・・だが・・・
「練度が低過ぎる。低級の魔法など、知能の無い獣でもない限り通用しない!」
スバルの切り札が呆気なくユリウスに破られてしまい、攻撃されてしまった。その間スバルは確かに聞いた。
「君は無力で、救い難い。あの方の傍にいるべきではない・・・」
胸を刺し心を抉る様な言葉を最後にスバルの意識は遠のき、そのまま気絶してしまった。