今はロズワール邸で晩飯をごちそうになっている。
見た事ない料理ばかりだが美味い、バンといい勝負だ。
この料理は確かレムって子が作ったらしい。
「メリオダス君、うちの使用人が作った料理の味は口に合うかな?」
「あぁ、こりゃあ美味い! 是非うちの店に来て欲しいくらいだぜ」
「それはよかった。 レムをあげることは出来ないけど、メリオダス君は店をやっているのかーぁね?」
「まぁな、《豚の帽子》亭っていう酒場のマスターをやってるんだ」
「ほぅ、君は酒場を経営しているのか。 まだ子供なのに立派な事だねーぇ」
「オレはガキじゃねぇぞ?」
「おっと、これは失敬。 いきなり子供扱いは失礼だったねーぇ」
完全に子供扱いしてやがるな・・・ロズワールが何歳かわからねぇが、オレよりも長生きしてる奴なんてそうそういねぇと思うんだけどな。
「それにしても不思議だーぁね。 君は、ルグニカ王国のメイザース辺境伯の邸宅まで来てなーぁんにも事情を知らないってーぇ言うんだから」
「今はまずい状況なのか?」
「穏当な状態ではないね。 なーぁにせ今のルグニカは王が不在なのだから。 まぁ、既に民衆にまで知れ渡った事実だーぁけどね」
今この国には王がいないのか、変な話だな。
普通は代わりの王がすぐに就任するもんだと思っていたが、この国では違うのか。 それとも何らかの事情で王が決まらない、もしくは決めている最中なのか・・・
「まぁ、この話は明日にでもしようかーぁあ。 そろそろ「あの方」が帰ってくる頃だろかーぁらね」
「あの方?」
ロズワールの言う「あの方」とは誰か聞こうとした瞬間、さっきから姿が見えなかった、レムって子が扉を開けて出てきた。
「ロズワール様、エミリア様がお帰りになりました。 怪我人を連れている模様です」
「そう、ならベアトリスに怪我人の治療をお願いしなさーぁい」
「かしこまりました。 ロズワール様」
水色の髪のメイドはお辞儀をして部屋を出て行った。
「さて、私も様子を見に行こうかーぁな」
*******
食事を終えたオレはロズワールと共に別室へとやって来た。
そこにはメイド二人は居らず、その代わりに耳が尖った銀髪の少女と金髪でツインドリルテールの幼女と重態の男がいた。
男は意識が無く気絶しているようで、幼女が男の怪我を直しているみたいだ。
「えっと・・・あなたはだれ?」
銀髪の少女が俺に話し掛けてきた。
「メリオダスだ」
「メリオダスね、私はエミリア、よろしくね!」
「おう、よろしくな!」
「あ、そっちにいる子はベアトリス。仲良くしてあげてね」
エミリアは奥にいる金髪の幼女の方を指して紹介した。
「別に、仲良くされる謂れなんて無いかしら」
「もう、ベアトリスはすぐにそんな事言うんだから! 気にしないでね、あの子あぁ見えてすごーくいい子なんだから」
「ふむふむ・・・んで、あいつは誰だ?」
「それがね、私にもよく分からないの。名前はナツキ・スバルって言うらしいんだけど、いきなり私を『嫉妬の魔女』の名で呼んだり、助けてくれたりでわからないの・・・」
嫉妬の魔女? またよくわからん単語が出てきたな。
それにしてもこの男の格好も見た事ないな。アーラム村の人達の服装とも違うし、共通性が無い。
「とりあえず治療は終わったのよ。 血までは戻らないけど」
「すごーくありがとう、ベアトリス」
「お前に感謝なんかされたくも無いかしら」
刺々しいベアトリスにエミリアはまだ心が折れていないようだ。
まさか、いつもこんなあしらわれ方されてんのか?
「とにかく怪我人の治療も終わった事だし、今日は皆眠るとしようかーぁあ。 明日彼が起きたら話しをすればいいだけだしね・・・」
ということで、オレ達は明日に備えて寝ることにした。