「アル・ヒューマ!!」
レムが創り出した巨大な氷柱が分身した白鯨の内一体を突き刺す。それによって白鯨は大きな悲鳴を上げるが高度が落ちる気配はない。
「やはり見た目程効いていませんね・・・恐らく白鯨の体毛がマナを散らして魔法攻撃を軽減しているのでしょう」
「魔力攻撃はほぼ無駄って事か」
「それだけではありません。あの分厚い肌は物理攻撃も弾きます。生半可な攻撃では無意味でしょう。でも・・・」
レムの説明を聞いた後メリオダスは直ぐに氷柱が突き刺さった白鯨に飛び掛る。そして半端に刺さった氷柱を蹴りによって更に奥へと抉り込ませ、そのまま白鯨の体をロストヴェインで切り刻みながら駆け回る。
「メリオダス君には関係ありませんね」
その言葉の直後メリオダスは胸鰭、眼球を落とし、最後に自慢の角を拳で叩き折って地面に着地する。しかし着地した瞬間を狙ってか二体目の白鯨がメリオダスに向かって咆哮を上げながら突進して来た。
「はああっ!!」
瞬時に鬼化したレムがモーニングスターで白鯨の眼球を潰し軌道を逸らした。
「メリオダス君、これからどうします?」
「レムは弱ってる方の白鯨をやれ。オレはもう一体と上空にいる奴をやる」
「それではメリオダスが白鯨を二体相手取る事になります!」
「大丈夫だ。多分、三体に増えた事でその分弱くなってる。オレの実像分身と同じ仕組みだ」
先程の攻撃でメリオダスはそう確信した。レムも納得したらしく再び鬼化しモーニングスターを構える。
「分かりました・・・それでは、ご武運を!」
レムは重傷の白鯨にモーニングスターを振り回しながら向かって行った。メリオダスはそんなレムを尻目にもう一度白鯨の方へ向き直る。
「さてさてさーて、スバルの事もあるしーー」
迫り来る白鯨を前に一呼吸置き、メリオダスは意識を集中させ魔神の力を行使する。
「一気にけりをつけるか!」
そこからは早かった。魔神化したメリオダスは即座に白鯨を一刀両断し、それに気づいた二体の白鯨は瞬時に霧を発生させ姿を隠した。しかしメリオダスは難無く霧を剣撃による衝撃波で払う。白鯨も負けじと霧を放出し続けるので中々霧は晴れないがとうとう見つかってしまい二体目の白鯨も一撃で真っ二つに斬られた。
「あと一体だな」
三体目の白鯨を探すためにもう一度霧を払うが完全に霧が晴れた頃には空中に居たであろう白鯨は姿を消し、地上に転がっていた筈の死体はいつの間に跡形もなく消え去っていた。
「逃げたか・・・ま、とりあえずさっさと屋敷に戻らねぇとな!」
その頃にはもう既に朝になっており戦いの爪痕の残るブリューゲルの大樹周辺を後にした。その後メリオダスはメイザース領に入りアーラム村周辺まで来たところでメラスキュラに捕まり数時間囚われることになった。