Re:魔神と始める異世界生活《旧》   作:銀の巨人

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第41話

死に戻りによってスバルはセーブ地点まで遡り、一度は全てを捨ててレムと逃亡する道を選ぼうとしたが、レム本人に勇気づけられ再びエミリア達を救出することに決めた。

 

 

 

******

 

 

 

「エミリア陣営とクルシュ陣営での対等な条件での同盟。その為に此方が差し出す物は白鯨の出現時間と場所、これが俺が切れる手札カードだ!」

 

昼間スバルが突然レムを連れてどこかへ行ってしまった後、オレはラインハルトと模擬戦をした。一応引き分けって形になったけど、あのまま続けていたらオレは倒されていた。

そこからカルステン家に帰る途中、スバル達と合流しある程度この商談の流れは聞いた。

にしても今朝から雰囲気がまるで違うな。淡々と話しを進めるスバルを横目で見てそう思った。

 

これは、何かを決意した目だ。

 

「なるほど。にわかには信じがたいが、そのミーティアで白鯨の出現時間が分かると」

 

「信じてくれんのはありがたいけど、そんな簡単に信用して良いのか?」

 

「クルシュには風見の加護があるから嘘は通用しないらしいぜ?スバル」

 

「そ、そうなのか・・・」

 

やっぱオレと話す時少しぎこちないな。前はそんな事無かったんだが。

 

「んでクルシュ、同盟を認めてくれるのか?」

 

「同盟を結ぶかどうかとその情報を信じる信じないかは別個の問題だ」

 

だろうな、これはこの国の未来を左右する判断だ。そう簡単に上手くは行かない。

 

「そのお話し。ウチらも聞かせてもらってええ?」

 

扉を開けて出てきたのは王候補の一人アナスタシア・ホーシンとラッセル・フェローだ。手筈通りさっきから扉の前で機会を伺っていたらしい。

 

「卿等を呼んだのはナツキ・スバルか?」

 

「正確言えばそっちの青髪の子とメリオダス君やね。大まかにしか聞いてへんけど白鯨討伐の話しが本当なら大いに期待するわ。白鯨の居る居ないは商人にとって死活問題やから。あぁもちろんウチの傭兵団も手ぇ貸すよ」

 

「私は白鯨討伐はもちろん、ナツキ殿に提案された魔鉱石の採掘に興味がありまして。もし同盟が成立すればクルシュ様を通じて手付かずの魔石が大量に王都に流れる事になります」

 

アナスタシアとラッセルがそれぞれ経緯を話し終えるとオレはスバルに代わって前に出た。

 

「オレ達が差し出せるのは魔石の採掘権の一部と白鯨の出現時間と場所の情報。それでも足りなけりゃ、今後クルシュ陣営で困った事があれば”オレ”が手を貸すぜ」

 

「メ、メリオダス!?」

 

そんな話し聞いてないと言いたげな目でオレを見てくるスバル。

 

「まぁもちろんエミリア陣営の都合を優先するけど。後これはエミリア陣営としてじゃなく、オレが個人的にする盟約だ」

 

といってもオレが出来ることなんて限られているけどな。今回みたいな討伐依頼なら大歓迎だ。それよりもスバルがずっとオレの方を見ているんだが、何かあったのか?

 

「ほら、スバル。後はお前の役目だろ?」

 

固まったまま動かないスバルの背中を力強く叩き激励を送る。

 

「ということでクルシュ、俺達の言ってる事が的外れなら切り捨てて構わない。でも、俺達のとお前の思惑がほんの少しでもかち合うなら一緒に白鯨を討伐しよう」

 

「一狩りいこうぜ!」

 

盟約を結ばんとクルシュの前に手を出す。

 

「・・・疑念も懸念も多く残る。即座に頷くのは難しい。だが卿らが此方の思惑を見抜いた事をそして・・・この目を信じる事にしよう」

 

差し伸べられたスバルの手を取る。それは盟約成立の証だった。そして緊張が解けたようにスバルは椅子に腰を下ろす。

 

「何度かひやひやさせられましたが何よりです。交渉前の約束は確かに」

 

「あぁ助かったよラッセルさん。ミーティアはあんたに譲るよ」

 

二人のやり取りを見てしてやれらたなという表情で微笑むクルシュ。

 

「それにしてもメリオダスが何かしらの手助けをしてくれるのはありがたい。また何を討伐しに計画を企てるか分からんからな」

 

「自慢じゃないがうちのメリオダスは強ぇぞ? もしかしたらあのラインハルトよりも強いんじゃ・・・」

 

「すまん、さっきそのラインハルトに負けた」

 

「負けたのかよ! てか戦ったのかよ!? 昼間の地震の原因はお前らか!」

 

スバルの絶叫はさておき白鯨討伐の準備は夜遅くまで続いていた。白鯨の出現時間を考えたら急いでもぎりぎりらしい。

 

皆各々準備を進めている中、オレは特にすることも無いので歩きながら何となく様子を見ていた。するとスバルもオレと一緒なのか作業する皆を眺めていた。

 

「よぉスバル。寝なくていいのか?」

 

「メリオダスか・・・あぁ、皆準備してるのに俺だけ寝るのは申し訳なくてな」

 

どうやら暇だから来たオレとは違ったみたいだ。

 

「なぁ、メリオダス・・・」

 

申し訳なさそうにスバルはオレの方を見る。

 

「悪かったな・・・俺、お前のこと少し勘違いしてた」

 

「なんの事かよくわかんねぇけど、誤解が解けたならそれで良い」

 

スバルは力の抜けた笑い声で上げながら同意する。まるで安心したかのような・・・

 

「さぁ、明日は白鯨討伐だ。さっさと寝ねぇと寝坊しちまうぜ!スバルさんや?」

 

「おう、そうだな。と言いたいが、実はさっきから背中がヒリヒリしててな・・・」

 

背中に違和感を感じたスバルの服を捲ると、背中が赤くなって腫れ上がっていた。

 

「お前の背中赤くなってるぞ。どうしたんだ?」

 

「お前さっき背中叩いたからだよ!? あの時めっちゃ涙堪えながら喋ってたんだからな!」

 

「はははっ」

 

「笑って誤魔化してんじゃねぇぇえ!!!」

 

この後スバルはレムに治療してもらい、眠りについたらしい。


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