投稿自体は約一年ぶりになるので少し緊張します(笑)
編集した話もあるのでよければ見ていってください。
これからも更新していきますのでよろしくお願いします。
夕焼けの光がフリューゲルの草原を照らす中、三大魔獣の内の一角《白鯨》を討伐すべく、クルシュ陣営とアナスタシア陣営の武装兵達が地竜やカララギで主流の騎乗動物《ライガー》を走らせる。
ーーそしてエミリア陣営より、メリオダス、スバル、レムの三人が最前線で戦う事になった。
最初クルシュはメリオダスやレムなら兎も角、スバルが参戦する事に不安を抱いていたが、《魔女の残り香》によって魔獣を惹き付ける体質を少し濁した形で説明し、納得してもらった。
スバルとレムはフェリスが用意した地竜に二人で乗っているが、メリオダスは定員オーバーで乗れず、他の地竜・・・ではなく、ライガーに乗っている。
その理由は単純、メリオダスがルグニカでは見かけないライガーに乗ってみたいとアナスタシアに頼んで貸してもらったからだ。
「よぉ、兄ちゃん。ライガーの乗り心地は最高やろォ!」
無駄に大声でメリオダスに話しかけて来た獣人の大男は、アナスタシア陣営の獣人傭兵集団《鉄の牙》団長、リカード・ウェルキンだ。
メリオダスと同じくライガーに乗っており、背中に大鉈を装備している。
「あぁ! 一匹欲しいくらいだ」
「せやろ? にしても、兄ちゃんみたいな坊主が最前線とはなぁ」
「それ言ったらあっちに居るちびっ子はどうなんだ?」
容姿を伺うリカードにメリオダスはスバルと話している副団長のミミ・パールバトンとその弟のへータローを指さす。
「ガッハッハッ! こりゃあ一本取られてもうたわ!」
そう言ってリカードは別の騎士の所に行っては白鯨討伐で緊張している体を解していた。
「このライガーといい喋り方といい、変わってんなぁ」
因みにリカードやアナスタシアの喋り方はカララギ弁と言ってスバルの地元で言う関西弁に似た訛りらしく、西方の国カララギではこの訛りで話されているらしい。
(それにしても獣人ねぇ・・・王都でもちらほら見かけたが、ブリタニアでは中々見かけなかったな)
メリオダスの元いた世界ブリタニアでは獣人は珍しい、しかしこの世界では普通に存在するらしい。
(そう言えば三十年以上前にブリタニアの何処かで獣人の
しかしその客は当時相当酔っていたので信憑性は低く、尚且つ自分には関係無かったので軽く聞き流していたが、この世界で獣人が出て来た事でふと思い出した。
そんな事を考えていたら白鯨が出現するポイント《フリューゲルの大樹》まで到着し、騎士達は戦闘準備に取り掛かる。
そんな中メリオダスは一人で座って水分補給をしていた。普段は明るく飄々としたメリオダスだが、今は少し暗くどこか思い詰めた様子だった。
「心ここに在らず、と言った様子だな。メリオダス」
「クルシュ·····」
メリオダスの前に立っていたクルシュは普段着ている軍服の様な姿ではなく他の騎士と同様の鎧に身を包んでいる。
「今は白鯨に集中しろと言うのは卿にとっては酷な話か」
「力を貸すって言っといてこの体たらくじゃ契約解消か?」
「気にするな。卿の強さには期待している。この白鯨戦において卿の力は必須だ。それに、卿の想い人のことはナツキ・スバルから多少聞き及んでいる」
「あんにゃろ、後でデコピンだな」
死に戻りによって経験した知識だけでもエリザベスとメリオダスが互いにどういう感情を抱いているかスバルにはわかった。
「それはさておき、白鯨って美味いのか?」
「ふむ·····考えた事がなかったが·····少なくとも私は食べようとは思わんな」
ふざけた質問に真面目に答えるクルシュ。もしもこの場にスバルがいたならばそうはいかなかっただろう。
「よし、美味かったら〈豚の帽子〉亭の看板メニュー、不味かったらホークの残飯にしよう」
「〈豚の帽子〉亭?」
「あぁ、俺が経営する酒場だ。白鯨討伐が終わったら打ち上げは是非うちの店でしてくれよな」
「ふっ・・・店の酒が無くなるまで飲み明かしてやるから覚悟しておけ」
「売り上げ楽しみにしてるぜ」
拳を前に突き出すメリオダスに合わせてクルシュも拳を差し出しグータッチを交わす。
(そういえばここにホークママ居ないんだった・・・まぁいいか)
七つの大罪完結しましたね。次回作に期待です。