Re:魔神と始める異世界生活《旧》   作:銀の巨人

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第43話

白鯨討伐の時間が来た。

スバル率いるエミリア陣営、クルシュ陣営、アナスタシア陣営の三部隊が整列する。

 

騎士達に緊張が走る中、軽快な音楽が流れる。これはスバルの携帯電話のアラームが鳴った音だ。

スバルの話しではこの音楽が、白鯨が来る時間を知らせるらしい。なのでクルシュの合図で騎士達は一気に警戒を強める。

 

しかし一分以上経っても何も起こらない。それどころか魔獣の気配一つしない。

次第にクルシュを含めた騎士達が一瞬気を緩める。その中でもスバル、レムは警戒を怠らない。メリオダスはいつも通りの様子でライガーに騎乗し戯れていた。

 

「・・・来たか」

 

いち早く気配に気づいたのはライガーと戯れていたメリオダスだった。

月明かりに照らされていた草原に影が落ちて、漸くクルシュも気づいたようで、空を見上げて息を飲む。

 

白鯨の襲来だ。

 

騎士、傭兵団の全員がその事を把握すると、たじろきながらもクルシュの方へ目を向ける。攻撃命令を待っていたのだ。

 

気後れしながらもクルシュは先制攻撃の指示を出そうとした。その言葉は破裂音によって遮られた。

 

メリオダスが上空へ飛び上がり、白鯨へ蹴りを一撃浴びせる。

それと同時のタイミングで、

 

「ぶちかませぇぇッ!!!」

 

「ーーアル・ヒューマ!!」

 

「ーー呪符(エンチャント)獄炎(ヘルブレイズ)!!」

 

魔法の詠唱とともにレムは高度に練り上げた氷柱を四つ創り出し、メリオダスは蹴りを繰り出した後、白鯨を踏み台に更に上空へ飛び、高密度の魔力によって創り出した獄炎をロストヴェインに付随させ、二人同時に白鯨へぶつける。

 

白鯨の絶叫とともにスバルは先制攻撃が成功した事に対してガッツポーズを取る。

 

その様子を見ていたクルシュは動揺しつつも笑いを堪えずにはいられなかった。

 

「ーー総員、あの馬鹿どもに続けッ!!」

 

その言葉の後に討伐隊は雄叫びを上げて白鯨に突撃する。アナスタシア陣営の騎士達は魔道具を起動させる。

各所に設置した魔道具にマナを注ぎ込み、一気に白鯨へぶっぱなした。

全弾着弾し派手に大爆発を起こすが、実際に白鯨には大して効いていなかった。

しかしそんな事は関係ない。とにかく撃って撃って撃ちまくる。

 

「作戦通りとは言え、本当に遠慮なく撃ってくるとはな」

 

爆風によって吹き飛ばされたメリオダスは、借りたライガーによって空中で助けられた。

 

「ナイスキャッチ!」

 

そう言って戦線に復帰する為にライガーを走らせる。

直後、闇払いの結晶が打ち上がり花火の様に爆発した。途端に辺りが昼間のように明るくなっていた。

 

『闇払いの結晶石』は砕くと薄闇を照らす僅かな輝き程度の擬似光源が発生する。

しかし今回使用された結晶は数が多かった。僅かな光でも合わせれば擬似的な太陽も作り出せるらしい。

 

それによって闇に隠れていた白鯨が姿を現す。

その大きさは50mに迫り、巨大化(フルサイズ)を使用したフラウドリンと双璧をなすほどだ。

そんな白鯨が巨大な口を開けて咆哮。轟音が鳴り響き、地面が軋む。遠く離れたメリオダスが顔を顰めるほどの騒音だ。

 

咆哮が止むとスバル、レムを乗せた地竜が白鯨の懐に駆け出す。その二人を追い掛けようと身を翻した瞬間、白鯨の頭部に見えない斬撃が当たり血噴き出しながら踠く。

 

「あれが射程を無視した無形の剣、百人一太刀の剣技か。噂で聞いた通り珍しい技だな」

 

クルシュの剣技も凄いが、特筆すべきはヴィルヘルムの剣技だ。

両手に握られた剣を振るい、白鯨の身体を切り刻みドス黒い血を噴き出しながら駆け回る。

その剣技はメリオダスが感心する程で、まさに『剣鬼』の名に恥じぬ戦いぶりだった。

 

ヴィルヘルムに続き、リカード率いる傭兵団による物理攻撃の後、間髪入れず先程と同様の魔法攻撃を放つ。

ここまで白鯨は文字通り手も足も出ない状態で大ダメージを与えた。

 

「あんだけの攻撃を受けて平然としてやがる」

 

白鯨はこの猛攻にも高度を落とす事なく余裕で耐えていた。

直ぐにヴィルヘルムやリカードが追撃を加える。遠目で見えづらかったが白鯨から何かが落ちた。

 

あれは肉片・・・いや、眼球だ。

 

抉り取られた眼球の上にヴィルヘルムが着地し、剣を突き刺し白鯨に見せびらかす様に持ち上げる。

 

直後、メリオダスは白鯨が次に取る行動を察知し、乗っていたライガーの耳を塞ぐ。

残った白鯨の眼球が赤く染まり、咆哮を上げる。先程とは違い今度のは金切り声の様な咆哮で、黒板を爪で引っ掻いた様な不快感を与える。

 

耳を塞いでいた筈のライガーも思わず足が止まる。聴覚よりも精神に直接脅しかけて来たように足がすくんでいた。

そして白鯨の全身から霧が放出され、瞬く間に草原や太陽の光を飲み込む。

スバル達にとってそこはもう真っ白な霧の世界だ。

 

「こりゃ早く行かねぇとやべぇな」

 

止まっていたライガーの足も次第に動き出す。まるでメリオダスと同じく「仲間の元に早く向かわなければ」と言っているようだった。

 

「頼んだぜ、ホーク2号!」

 

メリオダスの意志を汲み取ったかのように、ライガー改めホーク2号は更にスピードを上げて霧の世界へ飛び込んだ。

 

 

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