Re:魔神と始める異世界生活《旧》   作:銀の巨人

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第44話

霧の世界に飛び込んだメリオダスは、ただ一直線にスバル達の下へホーク2号の走らせる。

しかし勢い良く飛び込んだのは良いものの、辺り一面真っ白な霧の中ではスバル達の姿は疎か、白鯨の位置を確認できない。

しかも周りから騎士達や傭兵達の叫び声が聞こえてくるので正確な位置も特定できずにいる。

 

「ーーッ!」

 

突如メリオダスの前方から霧が迫って来て、地面を抉りながら突進して来る。

それをホーク2号の機転によりギリギリで回避する。

 

「危ねぇ〜。良い動きだぞ、ホーク2号!」

 

嬉しかったのか、ホーク2号は返事をするように小さく吠える。

 

ひたすら走り続けていても埒が明かないと判断し、一度止まり周囲を見渡し音を聞く。

しかし当然の如く何も聞こえず、何も見えない。

 

「う〜む、早いとこあいつらと合流をーー」

 

メリオダスの言葉を遮り、またもや白鯨が咆哮を上げる。

悲鳴を上げながら地面にのたうち回るホーク2号に対して、メリオダスは平気な顔をしていた。尤も一般人なら耳を塞ぎ動けなくなっていただろうが。

メリオダスにとってこの咆哮はうるさい事には変わりないが、寧ろ先程よりも声量が少ないようにも聞こえていた。

にもかかわらずホーク2号にこれだけのダメージを与えたのは、先程の咆哮による精神攻撃よりも数倍強力な精神汚染だったからだ。

 

「これは気力によるもんなのか、それとも元々の耐性が関係してんのか・・・」

 

そんな事を考えていると、今だにのたうち回っているホーク2号に目を向ける。

 

「仕方ねぇ・・・許せよ」

 

吐瀉物を吐き散らしながらもがき苦しむ姿を見ていられなくなったメリオダスは、手刀でホーク2号を気絶させて岩の陰まで運ぶ。

 

「後は任せろ!」

 

それだけを言い残し、メリオダスは一人駆け出して行った。

ホーク2号からかなり離れた場所で立ち止まり、意識を集中させ極限まで研ぎ澄ませる。

 

すると南東から何かが移動する気配に気づく。しかもその大きさはまるで大木の様だった。

 

つまりーー

 

「そこだッ!」

 

メリオダスの飛び後ろ回し蹴りが白鯨の横腹に炸裂し、白鯨は地面に転がりそのまま霧の中にフェードアウトする。

 

「メリオダスッ!!」

 

そこに居たのは地竜に乗ったスバルとレムだった。

 

「お前らが引き付けてくれたおかげで漸く合流出来たぜ。ナイスデコイ!」

 

「褒めるかディスるかどっちかにしろぉ!」

 

いつものやり取りが出来るという事は、スバルにもそれだけまだ余裕があったようだ。

 

「ッ! メリオダス君、スバル君、来ます!!」

 

襲いかかって来る白鯨に斬りかかろうとメリオダスはロストヴェインに手をかけるが、その前にヴィルヘルムが白鯨に飛び移り、頭上に剣を突き立てる。

 

「お姉ちゃん、合わせて!」

 

「「わぁぁー!!」」

 

ヴィルヘルムが白鯨から離れたと同時に見た目が愛らしい獣人の姉弟、ミミとへータローが大口を開けて空気弾の様なものを発射し、ヴィルヘルムが傷つけた部位を更に抉る。

 

「団長ぉ!!」

 

「おう! 任せときぃ!!」

 

続けてリカードが白鯨の身体にライガーで駆け回り、霧が噴出している部位を大ナタで斬り潰す。

 

「メリオダス! ウルガルムの時みたいな『闇の痣』は使えねぇのか?」

 

「使えるっちゃ使えるが、この状況じゃ意味ねぇな」

 

メリオダスが魔神化した状態の本気は正に天変地異そのもの、なので並の騎士、ましてやスバルが生き残れる可能性はゼロだ。

対して白鯨の防御力だけに関しては十戒に匹敵する。

つまり仮に魔神の力を使用しても、白鯨を倒す程の火力が出せないという事だ。

「とにかく俺達は白鯨を引きつけるぞ! レム!」

 

「はい!」

 

スバルが合図するとレムは地竜を走らせ、魔女の臭いを漂わせたスバルと白鯨の鼻先を駆け回る。

スバルの目論見通り、白鯨はスバルを狙って大口を開けて飲む込もうとする。

それをメリオダスは素手で、ヴィルヘルムは剣で、リカードは大ナタでそれぞれ同時に攻撃し白鯨を地面に叩き落とす。

 

メリオダスが白鯨の頭上に着地すると、返り血まみれのリカードが楽しげな笑顔でやって来た。

 

「坊主、大した暴れっぷりやなぁ!」

 

「あの爺さん程じゃねぇさ」

 

メリオダスは後ろで一心不乱に剣を振るうヴィルヘルムを親指で指す。

 

「ヴィルヘルム・ヴァン・アストレア・・・噂以上の男や」

 

「あぁ。こりゃ早く決着が着きそうだな」

 

「せやな。思ったより頑丈やけど、強さ自体は大したことないわ!」

 

「いや、少々手応えが無さ過ぎる」

 

二人が感心しているとヴィルヘルムが白鯨に刺した剣を踏み台に、メリオダス達の下に着地する。

 

「この程度の魔獣に妻が・・・剣聖が遅れを取ったとは考え難い。先手を制せたことや、最初の時点の霧で分断されなかったことを考慮しても・・・」

 

ヴィルヘルムが考察している最中、突然白鯨が一気に高度を上げて空へ上昇する。

それによって三人は落下し、ヴィルヘルムは落下の途中で白鯨の背鰭の一つを根元から削ぎ落とす。

 

「坊主!!」

 

落下するメリオダスの背後で大ナタを構えるリカード。

その呼び掛けで意図を察したメリオダスは大ナタに着地し、リカードはメリオダスの乗った大ナタを思いっきりフルスイングする。

 

「行ってこいやぁぁぁ!!!」

 

大砲の様に発射されたメリオダスは、勢いが良すぎたのか上昇する白鯨の目の前まで飛んで行ってしまい、白鯨は上昇する過程で大口を開けてメリオダスを飲み込んでしまう。

 

「あ・・・あかん!」

 

「やってしもうたぁぁぁ」と叫びながら落下して行くリカードは、ライガーに拾われて地面に着地する。

 

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