Re:魔神と始める異世界生活《旧》   作:銀の巨人

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第47話

白鯨討伐戦に勝利を収め歓喜の声を上げる中、ある用事を思い出したメリオダスはその場を離れようとした。

 

「何処へ行くんだ? メリオダス。卿無くしてはこの白鯨討伐は成しえなかったのだ。共に祝おうじゃないか」

 

「なぁに、直ぐに戻るさ。それにオレがいなくてもきっと勝てただろうぜ。スバルやレム、クルシュ、ヴィルヘルム、そして討伐隊皆の力を合わせればこの程度の困難屁でもねぇ」

 

「そう謙遜するな。無論、私も卿だけの力で勝ったとは思っていない。これは皆の協力と尊い犠牲があって勝ち取った勝利だ。しかし、卿の貢献も凄まじかった、それも事実だ」

 

先程まで気が緩んでいたクルシュは、突然真剣な眼差しでメリオダスを見据える。

 

「そんじゃその言葉、素直に受け取っておくぜ。だけどこの後がスバルの本命だろうから、浮かれんのも程々にな」

 

「この白鯨討伐が前座扱いとは恐れ入る」

 

「疲れたんなら帰って寝ても良いんだぜ?」

 

「冗談はよせ。借りたまま返さず帰還する様な恥知らずではありたくない。手を貸そう」

 

軽口を叩くメリオダスに冗談混じりに微笑む。どうやらクルシュもメリオダスという男がどう言う人物か理解してきたようだ。

 

「本当に頼もしい女だ。まぁ、その話しはスバルとしてくれ」

 

そう言ったメリオダスはクルシュに背を向けて歩き出すと、クルシュはその背中を見ながらぽつりと一言呟く。

 

「全く・・・計り知れん男だ」

 

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

 

 

「確かこの辺だったな」

 

ここは大樹から遠く離れた場所で、辛うじて倒された白鯨が見える位置にメリオダスはいた。

 

「お、いたいた。迎えに来たぜ。ホーク二号」

 

メリオダスが近づいた岩陰には今だ眠り続けているホーク二号の姿があった。

討伐前は呼吸が荒く魘されていたが、今は呼吸は落ち着いており気持ち良さげに眠っている。

その様子にメリオダスは一安心する。

 

「よし。今仲間の所に連れてってやるからな」

 

眠っているホーク二号を優しく抱きかかえ、朝日の光に照らされながら白鯨の亡骸を目印に歩き出す。

 

メリオダスが戻る頃には皆の浮かれ気分はすっかり冷めており、死傷者の対応に追われる者や『勝利の証』として白鯨の頭を切り取りどうにか運び出そうと奮闘する者がちらほら見えた。

 

「坊主、さっきはすまんかったのォ。力入りすぎてもうた!」

 

戻って来たメリオダスの後ろから、相変わらずデカい声で話しかけて来たのでメリオダスは少し驚きながら振り向く。

そこには身体に包帯を巻いたリカードが立っていた。

治療を受けたとはいえ完治しているわけではなく、フェリス以外の治療魔法はあくまでも応急処置程度の効力のようだ。

 

「気にすんな。見かけ通りすげぇパワーだったぜ」

 

謝るリカードにメリオダスは親指を立てて慰める。しかしリカードは"パワー"という単語に首を傾げる。

この世界の人はスバルの故郷で言う横文字に疎い様だ。

 

「よォわからんけど、そう言うてくれるとワイも助かるわ。まさか白鯨の腹ん中入って無傷とはなァ。まぁワイは生きとると信じとったけどなァ」

 

「そんなこと言ってだんちょー。あのおにーさんになんて言おう〜って呟いてたじゃんかー!」

 

リカードの脚からミミがぴょこっと顔を出す。

 

「それを言うなやァ!!」

 

リカードが大腕を上げて怒声を放つと、ミミは無邪気に笑いながら逃げて行く。

ジト目でリカードを見つめるメリオダスに気づいて、一旦咳払いして仕切り直す。

 

「まぁ何にせよ。坊主が無事で安心したわ・・・って、そのライガー」

 

メリオダスが抱えているホーク二号に、リカードはふと目が行く。

 

「ん? あぁ、こいつには世話になったからな。死なすわけにはいかねぇよ」

 

「そうかい。坊主みたいな男に乗ってもらえてそいつも幸せやろな」

 

「お互い様さ」

 

ライガーとは良き相棒であり、友であり、家族であるリカードの言葉は慈愛に満ちていた。

 

「さぁ、さっさとそいつを治療して来いや。平気そうとは言うても白鯨の精神攻撃をまともに受けたんや、何らかの障害が残るかもしれん」

 

「言われるまでもねぇさ」

 

その言葉でリカードに大きな口で笑い、手を振りながら去って行った。

 

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

 

 

白鯨戦での消耗が予想以上に激しく半数の人員が王都へ帰還する事になった。それはレムも例外ではなく、既に竜車の乗っていた。

メリオダスとヴィルヘルムが白鯨に飲み込まれた後、その穴を埋めるかのように凄まじい奮闘を見せていた為、最早まともに戦える体ではなかった。

 

「スバル、大丈夫か?」

 

メリオダスがスバルの不安を悟る。

 

帰還するメンバーはクルシュ、レム、へータローと討伐隊の半数でかなり戦力はダウンしてしまったことにスバルは若干の不安を抱いていた。

しかしヴィルヘルムやリカード達、そして何よりメリオダスがいることも事実、メリオダス以外は負傷しているとは言え、これ程頼りになる戦士はそう居ない。

 

スバルの不安は他にあった。

 

「正直、不安はある。もちろんお前らの力を信用しているが・・・一つ気がかりがあってな・・・」

 

以前のループで見たメリオダスの"あの状態" どういう条件であの姿に変貌するのかが分からなかった。

ただ敵か味方の判別は出来ない。ペテルギウスを殺したのもメリオダスで、パックにもとどめを刺さなかった。何よりスバルに対しては殺意が無いようにも見えた。

しかし安易にその件についてメリオダスに言及することも怖くて出来ずにいた。

 

「・・・考えていても仕方ねぇ。今はとにかく魔女教だ」

 

スバルはこの問題を後回しにする。

 

「その意気だ。こっちはお前の作戦だより、お前次第で生き死にが決まるんだ。期待してるぜ!」

 

「これからって時にプレッシャーかけんな!」

 

こんな冗談を言うやつが実は敵だなんて信じたくはなかった、というスバルの願望もそこにはあった。

 

しばらくするとアナスタシア陣営の傭兵団『鉄の牙』そのもう半分が近づいてくる。

実は白鯨戦では傭兵団の半分しかいなかった。

もう半分は他の人間が戦いに巻き込まれることを防ぐ為に、街道の封鎖という任務に当たっていたのだ。

因みにその傭兵団のリーダーはミミの弟、ディビーだ。

 

だんだん近づくにつれて傭兵団の中に一人、地竜に乗る物がいる事に気づき、スバルは顔を曇らせる。

その人物とはアナスタシアの騎士、ユリウス・ユークリウス、スバルの因縁の相手だ。

 

 

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