メリオダスside
部屋ではレムの死に慟哭するラムとそれをただ見守る住民達、そして今だに何が起きたか理解出来ずにいるスバル・・・いや、理解したくないってのが正しいかもな。
「死因は衰弱死だーぁね、眠るように命の火を消されている。魔法と言うよりは呪術と言った方が正しい。」
ロズワールの言葉に反応するスバル、何かに気づいたようだ。
「お客人、メリオダス君、なーぁにか心当たりはないかねぇーえ。」
「悪いが知らねぇな。」
「・・・・・俺は・・・!」
ビュン!
突然何も無い所から起きた風がスバルの横を通り、頬をかすめた。ラムの風魔法だ。スバルの頬からは血が流れ驚いているにも関わらずラムはもう一撃魔法を放とうとした。
「何か知っているなら洗いざらい吐きなさい!!」
ラムが放った風の刃はベアトリスによって防がれる。
「約束は守る主義なのよ、屋敷にいる間はベティーとこいつが守る契約かしら。」
「ベアトリス様・・・!!」
「ほぅ、この私が相手でも同じ事が言えるのかな?」
「ッ!!」
ロズワールは両手に四色の色の玉、おそらくあれは色事に魔法の属性が違うのだろう。その魔法をベアトリスとスバルに向けて放った。
さてさてさーて、そろそろオレも動くとしますか。
「《カウンターバニッシュ》!!」
オレのカウンターバニッシュでロズワールの放った魔法を打ち消した。
「メリオダス君、キミはこの屋敷の傭兵、そして私はこの屋敷の当主、すなわちキミは私の飼い犬のようなもの・・・その飼い主に逆らっていいと思っているのかーぁな?」
「にっしし、なら番犬の首輪はしっかり握っておくもんだぜ!」
背中のロストヴェインに手を掛けオレとロズワールが睨み合ったまま動かない、どちらが先に仕掛けるかお互い牽制し合っているのだ。
「ッ・・・!」
「スバル!!」
スバルは部屋を飛び出しどこかへ逃げていった。そしてラムがスバルに向けて呪詛を言った。
「絶対に殺してやるぅぅ!!!」
メリオダスside out
スバルside
俺は逃げてしまった。まだ弁明の余地はあった筈なのに俺はそれすら放棄して逃げた。もうあの場所には戻れない。
「はぁはぁ・・・死に場所・・・!」
そして俺はある崖の上についた。
「あとはここから目を瞑って一歩踏み出せば・・・」
死ねる・・・だが俺にそんな勇気はなかった。そして今度死んだら戻れる保証はない、もしかしたら本当に死んじまうかもしれない。
「くっ・・・!俺は、こんな簡単な事も・・・!」
自分の不甲斐なさに涙を流した。屋敷ではベアトリスとメリオダスがロズワール達と戦っている筈なのに俺はただ、その場にうずくまるしか出来なかった。
しばらくして夕方になってしまった。それだけの時間が過ぎたのに俺は死ぬ覚悟が出来ない。するとベアトリスが突然やって来た。
「漸く見つけたのよ。」
「どうして・・・」
「何なのかしら?」
「どうして来てくれたんだ・・・俺は・・・」
「お前の身の安全を守るのがベティーの交わした契約なのよ。」
「メリオダスは・・・」
「あいつならまだロズワールと戦っているのよ。ベティーをお前の元に行かせるために囮になったかしら。」
そうか、メリオダスも俺なんかのために必死になって戦ってくれてるのか。
「俺は、あの二人の事も守りたいと思っていた・・・!」
「お前はあの姉妹の何を知っているのかしら。どちらが欠けてももう元には戻れない、もう遅いのよ。」
「結局俺は、ただみっともなく騒ぎ立ててただけなのかよ・・・」
「せめて、目の届かない所で死んでくれないと目覚めが悪いかしら。だからお前を領地の外に逃がしてやるのよ。」
そう言ってベアトリスは俺に手を差し伸べて立たせてくれた。
「・・・」
妙な手の感覚・・・そういえばあの時、両手を誰が握ってくれて・・・
ラム・・・レム・・・
二人が苦しんでる俺を見てらんなくて両手を握ってくれていたんだとしたら・・・そんな奴らだったとしたら、俺は放っておけるのか?
さっき屋敷から逃げた時、憎悪に満ちた声を聞いた。だがそれ以上に、あの泣き声が消えてくれない。
「おい、馬鹿な事考えてるぞ、俺。せっかく拾った命なのにな・・・」
そうだ、拾った俺の命だ!使い方は俺が決める!
「・・・モタモタし過ぎたのよ。」
そこへ現れる、風魔法を全身に纏ったラム。正しく鬼の形相でこちらを見ている。
「やっと見つけた・・・もう絶対に逃がさない!」
「お前は下がるかしら、契約が生きている以上、お前の命は守るかしら。」
「ベアトリス様、お忘れでしょうか。ここは屋敷から遠く離れた場所、そして森の中、ラムからその男を守りきれる自信がおありですか?」
「・・・・へ?」
「ビョーン・・・パッ!うん、中々快感!」
俺はベアトリスの頭にあるドリルのような髪の毛を伸ばして離した。それに怒るベアトリス、俺はそんなベアトリスの前に行き、ラムの前に立った。
「いい度胸ね。やっと観念したってこと?」
「観念とは違うな、言うなれば覚悟が決まった!」
そして俺はラムに頭を下げて謝罪をした。やはりラムは俺が犯人と思っているらしい、なのでそれを俺は否定してこう言った。
「・・・けど、わかんねぇだらけの事を知っていこうと、そう思ったよ。」
「今更なにを・・・!レムはもう死んでしまったの!今更何がわかった所で何が出来るの!!」
「何がで来るなんてかっこいい事は言えねぇ・・・ただ俺は覚えてんだ・・・お前らが忘れたお前らを知っているんだ!」
「あなたに、レムとラムの何がわかるの!!」
「そうだな、俺は肝心な事は何にも知らない。だけどお前らだって知らないだろうが!」
「何を・・・」
ラムの言葉の後に俺はは深く息を吸ってこう言い放った。
「俺が!お前らを!大好きだって事をだよ!!」
そして俺は呆気に取られているラムをおき、後ろを振り返りそのまま走り出した。
「ッ!・・・待って!」
ベアトリスの静止の呼びかけも聞かず、そのまま走る。
そして・・・飛んだ
崖から落ちる最中に俺はその覚悟を声に出した。
「絶対に助けてやるぅぅ!!!」
グシャ・・・
スバルside out
ナツキ・スバル 屋敷に来て四回目の死亡