「.....終わったな。」
男は人知れず呟くと両方の二振りの刀を軽く振って、血を落とし、鞘に仕舞った。床に目を移すとガタイの良い男達が銃を握りしめたまま果てている。どれも、頭の近くから出血していた。
男は血溜まりで靴を汚していたが、気にする素振りも見せず、血が付いた自分のジャケットから携帯を取り出す。
「俺だ。......ああ、標的は始末した、証拠に今、対象の写真を送った。確認したら金はいつもの口座に入れておけ.....そうか、分かった帰ってから聞く.....もう切るぞ」
男、クラド・スモークは電話を切ると脇に差しにしている日本刀をそれ専用のカバンに入れ、血生臭い部屋を出た。市街地の外は最初ここに侵入した時と変わらず、警察が来た様子もない。それもその筈だった、何せ標的のマフィアが気づくよりも速く暗殺し、銃を撃たせる暇を与えなかったのだから。そして、もう1つの理由はクラドが使ったのが、銃ではなく、刀だったこと。
クラド・スモークは裏社会ではちょっとした名のある殺し屋だった。理由は色々あったが、誰もが必ず口にした一番の理由は銃の類いを使わず、刀だけで依頼を行うことにあった。
普通ならそんなやり方で殺し屋稼業は続かない、主な理由として刀はリーチの都合もあり、近接戦闘を強いられる。ましてや圧倒的なリーチと火力のある銃器を使う相手だと死のリスクが高く、その手の道ではやはり大抵の奴は早死にするからだ。現に殺し屋に依頼される標的は大抵金で雇った私兵を持っている。だが、クラドは今までの依頼で負傷したことも、かすり傷すらしたことはなかった。その実績が評価され、裏社会では既に古株の殺し屋と並び、通り名はグリムリーパーという死神の名と鎌から取り、「グリムサイス」と呼ばれていた。
裏通りを抜け、目的の年期の入った、悪く言えば、薄汚れた小さな自宅に着いた。鍵で錆び付いた扉のロックを解除し、中に入る。そして、いつものように血だらけになった衣類を壊れかけの洗濯機に放り込み、洗剤を入れ、スイッチを入れる。その間、シャワーで血と汗を流し、もう一着の黒ずくめの服を着る。クラドはこの服を数十着は持っている。クラドが冷蔵庫からミネラルウォーターのボトルを取り出すと同時に携帯が鳴った。
『今いいか?さっきも言ったが、依頼の件なんだが......』
「標的は?」
携帯からドスの効いた声が聞こえる。俺が殺したのとは、別のマフィアからの依頼だ。最近はマフィア同士に目障りな派閥連中を殺すことが多く、恐らくその手の依頼だろう。と、思っていたが.....
「武器商人、ココ・ヘクマティエルとかいう女だ。詳細はそっちにメールで添付する」
武器商人、マフィアじゃない事に若干不思議に思ったが、特に気に止めず、マフィアから送られてくるメールを開く。そこには白銀の長い髪の女が微笑んでいる写真といくつかの情報が記されていた。
原作沿いにできるだけしたいです......