明石な審神者と刀剣男士   作:よしの桜

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明石な審神者と綺麗な刀

審神者・睡蓮は稼働一年も満たない初心者マークを頭につけていると政府では認識している。

 

1か月終わり成績表のような物を送られた。睡蓮はそれを一目見てから「ふぅん」と言って机に広げて寝ころんだ。

 

それにぶち切れしたのは真面目な初期刀山姥切だ。

 

頭をわしづかみして力を籠めだした山姥切に、さすがの睡蓮も悲鳴を上げた。

 

「痛い痛い痛い! ちょっと頭から脳みそがもれちゃうよ!」

「大丈夫だ。もれても生きていける」

「それはお前らだけだからね! 俺は霊力あるけど普通の人間だから!」

 

審神者と初期刀のじゃれあいを横目に愛染とこんのすけがため息を吐きながら成績表を見る。

 

「これって最低レベルだけど1か月目だからこれで許してやるよ。次はもっと成果だせよおら、って言ってない?」

「まさにその通りです。というか、1か月たっても短刀一つ拾えない縁ってすごいですよ」

 

睡蓮は愛染を鍛刀したからには、そちらの能力はあることが立証されている。

しかし、どこに出陣しても資材は拾えても刀を手に入れることができない。

 

「これがアレか。ナンミンってやつか」

「はい、ドロップ難民決定ですね」

 

山姥切は頭をわしづかみしながらゆさぶりもかけ始める。

 

「さぁ、鍛刀しろ! さすがに俺と愛染2人だけはきつい。アンタにドロップ運がないのはわかっただろう」

「えええ、めんどくさい」

「めんどくさかろうが、眠たかろうが、やれ!! やらないならずっとゆさぶるぞ!!」

 

睡蓮もさすがにゆさぶり攻撃が効いたので、しばらくぶりに鍛刀部屋へと足を向けた。

初期からいじっていないので、鍛刀部屋も2つしかないが意外ときれいになっている。

 

「めんどくさい・・・から親方、良いようにやっちゃって。あ、打刀か脇差か短刀ね」

 

へいおまち、とばかりに妖精達が資材を炉に入れると1時間半と20分。

 

「打刀と短刀か」

「お願い、歌仙だけは勘弁してね! 他ならだれでもいいから神様! あ、でもちょっと蜂須賀は後が良いかも!」

 

炉にひたすらお祈りする睡蓮に、山姥切が目を細める。

 

「きっと名刀コンプレックス山姥切様を思いやって・・・ではなく、単純にお小言うるさい系歌仙様が苦手なんですね」

「まぁ、歌仙と蜂須賀以外なら山姥切、いいんじゃないかな」

「悪かったな」

 

正鵠をど真ん中に射られた山姥切が少々前かがみになった所で、えいやっと睡蓮は札を炉に入れた。

 

妖精が炉から取り出したのはやはり打刀と短刀。

睡蓮は霊力を籠めて具現すると、桜吹雪が舞い人影が現れる。

 

「蜂須賀虎徹だ。俺を贋作と一緒にしないで欲しいな」

「乱藤四郎だよ。……ねぇ、ボクと乱れたいの?」

 

固まった睡蓮に後ろで見ていた山姥切達は苦笑いをする。

 

「主、アンタ微妙に引き運悪いだろ」

「ちょっと微妙だな。大将」

「二番目を引き当てちゃいましたか・・・」

 

憐みの目で見られた睡蓮が鍛刀部屋の端っこで黄昏てしまった。

 

 

 

***

 

 

事務作業が終わり、休憩がてら寝ようとした睡蓮の近くで乱が寝ころんで雑誌を見ていた。

 

「ねぇ主さん。主さんって結構着るもの無頓着だよね」

 

頬づえをついて言う乱に、睡蓮は心外なという顔で反論した。

 

「いや、これでも色々悩みに悩んでこの服なんだ」

「単純に汚れが目立たない黒選んでるだけでしょ、主さんは」

 

急所を突かれて睡蓮は自分の体を見る。

 

上下黒の室内用ジャージに黒い靴下。

 

「山姥切と一緒だよね。黒なら目立たないって思ったんだろうけど余計に目立つって所がわかってない」

「うぇ」

 

指さされた場所にご飯粒がついていて、さすがの睡蓮も赤面した。

 

「次鍛刀したら、主さんの運なら歌仙兼定絶対来るよね」

「ううぅ」

「山姥切と違って、彼なら血管浮き立たせながら主さんの着る物にお小言コースだよね」

「ううぅ」

 

指摘された通り、見習い先で歌仙と着る物他で言い争いをしていたのを思い出した睡蓮にとっては悪夢の具現に等しかった。

頭を抱える睡蓮に、それまでのしかめっ面をきれいになくした乱が雑誌のページを一つ指さした。

 

「主さん服選ぶのってめんどくさいんでしょ? それだったら雑誌のをそのまま着ちゃえばいいんだよ。これなら歌仙も現代の流行りだって言えば納得するじゃん」

「だがしかし、高い・・・」

 

乱は通販の雑誌を見ていたらしく、そのページのモデルが着ている室内着は確かに少々おしゃれだった。

しかし、値段が高い。睡蓮的には0が一つ多い。

 

「歌仙にお小言されるよりお金で解決しちゃった方が楽じゃん」

「そっか。そうだな・・・」

 

気落ちしたまま乱に勧められて、こんのすけから受け取ったモバイルの購入ボタンをタッチする。

 

買い上げ終了のページの下を見ると、先程の洋服以上の金額が示されて睡蓮はのけぞった。

 

 

「な、なんなのこの金額?!」

 

「もちろん、ボクとみんなの私服込み。みんなの分も一緒に買わなきゃ本丸の雰囲気わるくなるでしょ?」

「この金額を払う為にも、働かないとだめですよ睡蓮様」

 

やったぁ、と小躍りしている乱とにやりと笑ったこんのすけに、睡蓮はがっくり頭を垂れた。

ちなみに、一番高い洋服代だったのは蜂須賀の分、それも自分の服より高い室内着だった事に睡蓮は後に気づいてシャーペンのシンをへし折った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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