転生したらボク、勇者になったよ!! 作:冬空星屑
これで、転スラの一巻が終わりですね。
楽しんで頂ければ幸いです。
ちなみに作者は、漫画版のシズさんがとても好きです。小説(一巻)にはない笑顔が良いですね。
ちなみに、「もぐもぐ」も天然? な感じで好きですね。
あれ? 完全にネタバレですね。すいません。ではお楽しみに。・゜・(つД`)・゜・。
「ちょ、お前! それ俺が狙ってた!!」
「酷くないですか? それ、私が育てていたお肉なんですけどぉ!?」
「旦那方、こと、食事に関しては譲れないんですよ!」
「もぐもぐ」
「ばくばくばくっ、ひょい、がばばばっ、ひゅいひゅい、ぱくぱくっ、ごくごく、もぐもぐ」
少しして…………。
「あーっ! ヒドイ、ギド。それ、あたしが狙ってたやつ!」
「食卓とは戦場なんでやすよ、エレンの姉さん」
「いいもん、カバルの貰うから」
「ギャー!! 俺の育てた肉が~~!!」
「もぐもぐ」
「もぐもぐ、うん! おいしい~!」
…………しばらくして。
喧騒(三人組に限る)は、まだ続く。
「スライムさん、スライムさん。焼けた鉄板に触れてるよ」
シズがスライムに声をかけると、スライム――個体名:リムル・テンペスト――は慌てて粘体(て?)を鉄板から離す。
「溶けるかと思った」
「そうならなかったとこ見ると、熱に対する『耐性』があるのかな?」
「『耐性』?」
「異世界から渡ってくるものは、その際強く望んだ能力を得るの。それが『スキル』だったり『耐性』だったりする」
リムルの問いに、シズが答えた。
ちなみにリムルは『熱変動耐性』を獲得している。
「ああ、前世は刺されて死んだんだけど、その時に、体が『熱い』とか『寒い』とか思ったときに獲得したんだろうな」
シズが、刺されてのところでわずかに驚くが特に聞き返したりはせずに話しを続ける。
「そっか、大変だったんだね」
「まあな」
その後は、シズの話しが続いた。
空襲のなか、街は紅蓮に包まれたこと。
死にかけているときに魔王に召喚されたこと、などを。
どうやらリムルは、苦労人なのだろうが擦れた感じがしないシズのことを気に入ったようだ。それはユウキにも同じことが言える。ここに来るまでに色々なことを話した。剣を教えてもらう約束(ユウキが無理矢理した)までしたほどだ。
「そう言えば君はどうなんだ?」
今度はリムルがユウキに問う。
「え? ボク? ボクも転生者だよ。一週間くらい前に闇妖精(インプ)として、こっちに来たんだ。スキルに夢中になってたら餓死しかけちゃって。ご飯、ありがとね!」
「おい、大丈夫か? それにしても異世界人が三人も集まるとは奇妙なことがあるもんだな。それで、君はなんでこっちに来たんだ? そう言えば名前も聞いてなかったが……」
「ああ、ボク? ボクはAIDSが発症しちゃってね。前は、なんで生きてるんだろう、生きる意味なんて無いのにって、思ってたんだけど」
リムルたちは押し黙った。
「でもね! ボク、後悔はないよ! だって、たくさんの人に囲まれながら、大好きな人の腕の中で、旅を終えられたから」
その笑顔は、少し暗くなった雰囲気を簡単に吹き飛ばす程には、魅力的だった。
「それに、仲間たちがね、次の世界に行ってもうろちょろせずに待ってろ、って言ってたから。ボクはこの世界でも精一杯、生きるって決めたんだ!」
「そうか、頑張れよ。えっと……」
「そっか、ボクまだ名乗ってもいなかった。ボクは、ユウキ。紺野木綿季です。よろしくね、リムルさん」
「そうか、『ユウキ』っていうのか。俺のことはリムルでいいよ。こちらこそ、よろ……し…………」
グダ~――――。
そうとしか表現出来ないような形に、リムルは倒れた。
「え? スライムさん。大丈夫?」
「り、リムル様!? 大丈夫ですか!?」
「あ、あぁ。大丈夫だ。魔素が急に減って倦怠感が有っただけだ」
シズが困惑し、リグルドが慌ててリムルに近付く中、ユウキは"世界の言葉"を聞いていた。
≪告。個体名:リムル=テンペストより"名付け"が行われました。身体組成が再構成され、新たな種族へと進化します≫
≪確認しました。種族:闇妖精(インプ)から闇妖耳長族(ダークエルフ)への進化……成功しました。全ての身体能力が大幅に上昇しました。固有スキル『闇視、暗中飛行、天井走り(シールラン)、聴覚強化』を獲得しました。続けて各種耐性を再取得……成功しました。『痛覚無効、物理攻撃耐性、精神攻撃耐性、熱変動耐性』――――以上を獲得しました。以上で進化を完了します≫
≪さらに能力獲得を試行……成功しました。コモンスキル『思念伝達、影移動、威圧』を獲得しました。≫
そして、ユウキは進化の眠りに着いた。
意識がもどっても動けない間には『思考加速』や『並列演算』などを行使して自分の能力の把握に努めた。
さらに時間が過ぎ、七日間かけて進化に身体が馴染みユウキが目覚めると、街が焦土と化していた。
「え? なにこれ?」
テントの外を確認して小さく呟いた。
「おお、起きましたか、ユウキ殿」
ちょうどそこにリグルドと呼ばれていた筋骨隆々の人鬼族(ホブゴブリン)の村長がやって来た。
「ユウキ殿が起きた気配がありましたのでやって来たのですが、このあとどういたしますか? リムル様より丁重にもてなせと言われておりますので」
「え、えっと。状況説明をお願いできるかな?」
ユウキがそういうとリグルドはこの七日間の出来事を語った。
シズのイフリートが暴走したこと。リムルがそれを止めたこと。そして、ユウキが名付けによって進化したであろうことを。
「うーん。とりあえず、リムルに会ってみるよ、お礼もかねてさ」
そう言って、ユウキは教えてもらったテントに向かった。すると……。
「いいよ。貴方の憎しみ(おもい)は、俺が引き継ぐ。貴方を苦しめた、男の名前は?」
「レオン・クロムウェル」
少しずつだが、シズが老い始めた。
「約束し――――――っ!?」
「待ってよ!! シズさん!!」
「ユウキ……。君といると昔の生徒を思い出すよ。前向きで明るい、ユウキっていう男の子を。ちょっと重ねちゃったかな?」
「そんなのどうでもいいよ。いくらだって重ねていい。剣を教えてくれるって約束、なのに」
あれ、なんでボク、こんなに必死なんだろう。そう思いつつもユウキはユニークスキル『情報一覧(システムウィンドウ)』を行使する。人の延命方法を検索するために。
「ユウキ、シズさんは……」
「あった! リムル、演算って、得意?」
「は? ああ、むしろそれくらいしか出来ない……」
「手伝って!!」
ユウキはそう言うや否や、『思念伝達』で考えを教えて、名付けによる魂の繋がりを利用してユニークスキル『情報一覧、求道者』の制御をリムルに任せた。
そして、ユウキは己の最高の能力、究極能力(アルティメットスキル)を初めて意識的(アクティブ)に行使した。
ユウキが行使した究極能力(アルティメットスキル)『祈望之神』の権能の一つ『祈願』。それは祈り願うことで、あらゆる障害を排除するという、まさに『ガネーシャ』の名にふさわしいと言える能力だ。
そしてこの能力を具体的に二言で表すと、『確定結果』と『法則操作』だ。ユウキが願った全てのことが、魔素(エネルギー)が足りさえすればどんなことでも叶えるスキル。
これを使用してリムルの行動が必ず成功するように祈り願った。
一方リムルは、伝えられた通りの行動を『大賢者』に任せていた。
それは、ユニークスキル『情報一覧』の『情報記録』の記録能力と再現能力を使いシズとユウキの間に魂の繋がりを再現する。
そしてユニークスキル『求道者』の『生之真理』で、シズに繋がりを経由して影響を与える。
"生"には命を保つという意味が含まれている。
本来、所有者(モトメルモノ)にしか効果の無い権能だが、魂の繋がりとユニークスキル『情報一覧』の『情報記録、情報操作』があれば、それも可能。言うなれば、『擬似的部分能力付与(ユニークギフト)』だろうか。
魂の繋がりが無くなれば効果も無くなるが、これでシズは擬似的な不死者――寿命で死なない――になれる。
そして、魂の繋がりによりユウキの、リムルから名付けで貰い、ユニークスキルなどを獲得しなかったために余った膨大な魔素(エネルギー)が一部とは言え、シズに流れ込む。
そして『炎の魔人』は『爆炎の仙魔人』へと進化する。仙人と同様に、人よりも寿命が大幅に伸び、肉体が半精神生命体に変化する。
その実力は技量(レベル)を加味すれば魔王種(Sランク)を凌駕する。
ここに英雄は甦った。
因果が巡り、運命は加速していく。
その先が絶望か希望か、まだ誰もわからない。
はい。というわけで、『嘘・゜・(つД`)・゜・(嘘泣き)』でした。
こうなった原因は、私の友人が
「スライムなんだったら、人化せずにスライムでいろよ」みたいなことを言っていたからです。(確かに!)
まあ、リムルは永遠にスライム、ということはたぶん無いでしょう。(だってデモンスライムに進化するし……)
さて、では次回もお楽しみに! あいうぃるごーべっど……。
ちなみに、英語は苦手です。
PRESENT STATUS
ユウキ
種族――闇妖耳長族(ダークエルフ)
加護――勇者の卵、暴風の紋章
称号――絶剣
魔法――無し
固有スキル――『闇視』『暗中飛行』『天井走り(シールラン)』『聴覚強化』
アルティメットスキル――『祈望之神(ガネーシャ)』
ユニークスキル――『情報一覧(システムウインドウ)』『絶剣(タエナキケン)』『求道者(モトメルモノ)』
エクストラスキル――『剛力』
コモンスキル――『思念伝達』『影移動』『威圧』
耐性――『痛覚無効』『精神攻撃耐性』『物理攻撃耐性』『熱変動耐性』