転生したらボク、勇者になったよ!!   作:冬空星屑

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 週末に急いで書き上げた物ですが、どうぞ!!



大鬼族(オーガ)

 村には平和が戻っていた。

 炎の巨人(イフリート)が暴れたにも関わらず、ホブゴブリン達は平然としていた。

 ゴブリン・キングに任命されたリグルドが見事な統率力を見せたのが大きいだろう。

 ユウキとシズが眠っている間に建設は進んでいた。ユウキのテント周りが焦土のままだったのは、大きな音を立てないようにという魔物達なりの配慮だ。

 

 場所は変わって、いつの間にか出来上がっていた丸太小屋の中の衣服関係の製作工房。

 小屋の中では、ガルムという名のドワーフがゴブリナ達に指示を出し、衣類を製作していた。

 

「おいっす、ガルム君。ちょっと彼女達の服を作って欲しいのだけど?」

「わかりました、旦那。ハルナ、彼女達の採寸を頼む!」

「えっ? ボクの服も作ってくれるの?」

「戦闘服だけじゃ困るだろ?」

 

 一連のやり取りに質問するユウキだが、リムルは当然だと言わんばかりに答える。

 

「ありがとね、スライムさん。それと……ガルムさんも」

「おお、任せとけ!」

 

 いまだにリムルのことを『スライムさん』呼びのシズだが、以前より親しくなったようだ。

 

「それより文句は言いに行かないのか?」

「うん。ほんとは他にも行きたい理由は有るのだけど、ユウキとの約束も有るからね。もう少したってそれでもダメなら、行こうとは思ってるよ。今の私ならもしかしたら、一発くらい殴れるかも知れないしね?」

「そうか……。まあ、当分はユウキと警備隊の訓練でもしてやってくれ」

「うん。わかったよ。じゃあユウキ、採寸が終わったら早速始めようか?」

「うん! よろしくね!」

 

 最終的にシズは、村に留まることにした。

 ユウキへの約束と恩もそうだが、何よりこのどこか不思議なスライムに希望を見出だしたからだろうか。それともユウキに希望を見出だしたのか。

 それは本人すらも断言はできない事柄だった。

 

 そして、翌日。

 戦場では、激しい戦いが繰り広げられていた。

 ユウキが進化したスキル『暗中飛行』で戦場に到着すると、リムルが大鬼族(オーガ)五人を相手に無双していた。

 

「あっ、ユウキさんじゃないっすか! 今、リムル様が助けに来てくれたとこなんすよ!」

 

 ゴブタが感激の声を上げる。

 残念ながらシズはいない。さすがのシズも、足場の悪く木が生い茂るなかを、飛行するユウキと同じ速度走るのは無理らしい。

 

(すごい……。シズさんの言う、B+ランクは有りそうなオーガ達をたった一人で……)

 

 正確には、ランガが桃髪の妖術師(マーヤー)を相手にしているが、些細な違いだ。

 まさに"邪悪な魔物"を体現したような姿になり、リムルはオーガ達を怪我をしないように倒していく。

 どうやらユニークスキル『捕食者』の『擬態』と、ユウキのユニークスキルへリンクしたことにより"情報子"の扱いを僅かだが覚えたらしい『大賢者』の荒業により、エクストラスキル『万能変化』を獲得しているようだ。

 その邪悪な魔物は、ランガをさらに大きくしたような黒狼に姿で、炎を纏い、凶悪なサーペントとムカデの姿をした尻尾を生やす。背中にはまるで悪魔の翼のような羽を生やし、何故か口から吐いた糸で、紫の女オーガをぐるぐる巻きにした。

 そのときの隙をつくかのように青オーガが攻撃を仕掛けるが、鱗で覆われた前足に剣を止められ、そのときの衝撃で剣が折れる。さらに青オーガの胸当てを破壊するほどの威力の蹴りにより、青オーガを吹き飛ばす。

 既に黒オーガは麻痺によって戦闘不能だ。

 

「エビルムカデの『麻痺吐息』、ブラックスパイダーの『粘糸・鋼糸』、甲殻トカゲ(アーマーサウルス)の『身体装甲』。さらに吸血蝙蝠(ジャイアントバット)の翼に嵐蛇(テンペスト・サーペント)の形をした尾、黒牙狼と似た体躯」

「不意打ちへの反応速度を見るに『魔力感知』も持っているでしょう。他にも多数の魔物の業を体得しているやもしれません。ただ擬態するスライムと思って、油断召されるな、若」

 

 白髪の老オーガの発言に感心した様子のリムルは、戦闘を止めるべく話し掛ける。

 

「ここら辺にしないか? そろそろ俺の言い分も聞いて貰いたいのだが?」

「黙れ、邪悪な魔獣め! どうせ最初のスライムの姿も我々を油断させる演技なのだろう!? 確かに貴様は強い。だからこそますます確信が深まった。貴様も、我々の里を滅ぼした邪悪な豚共を操っていた仮面の魔人の手先なのだろう? ただの豚頭族(オーク)如きに、我らが敗れるなど考えられぬ。全ては貴様と、今やって来た魔人の仕業なのだろうが!」

 

 リムル(と巻き込まれたユウキ)は困惑する。

 

((さすがに言い掛かりにも程がある))

 

 と。そのあとの語尾は省いたが……。

 とっさにリムルは弁解する。

 

「待てよ、それは誤解……」

 

 だが、リムルとは違いユウキはとっさに移動と受け流しに撤した。

 ユニークスキル『求道者(モトメルモノ)』の『予測演算』で辛うじて気付いた、リムルの首へ迫る刀に剣を振る。辛うじて愛剣(マクアフィテル)でのパリィに成功する。

 

「むむ、私も耄碌したものよ。まさかこれほどの剣士を見誤るとは……」

「さすがに不意打ちは見逃せないかな」

「ふふ、来るが良い、お嬢ちゃん」

「全力でいくよ」

 

 互いに好敵手を見つけたかのように剣士達は戦闘を始める。

 圧倒的に肉体性能と魔素(エネルギー)量、さらにスキルまでもが上回るユウキと、唯一技量(レベル)のみが圧倒的に上回る白髪の老オーガの戦闘は苛烈を極めた。

 『思考加速』『予測演算』『超絶反応』。さらに『剛力』により力を強化。果ては『絶空』すら発動させて挑むユウキと、剣の一本で張り合うたかがBランクの老オーガの剣士。

 何百年間も剣を極め続けた剣士と、スキルを駆使して張り合う生まれて二週間そこそこの少女。

 

 

 結果は、リムルが岩を蒸発させた驚きで互いに唖然としてしまい、そこで桃髪のオーガが仲裁に入ったので、着かずに終わってしまった。

 

 

 その後、勘違いを認めた赤オーガの謝罪により戦端は終結。理由はリムルとの圧倒的なまでの実力差で豚頭族(オーク)を引き連れなくとも、大鬼族(オーガ)の里を容易く壊滅させられると気付いたからだ。

 やはり、ユニークスキル『大賢者』により数多のスキルを完璧に使いこなすリムルと、未だ使いこなしきれていないユウキとの実力差は歴然のようだ。

 

 勘違いを認めてくれたことにホッとしたリムルは、どうせだから、と言いオーガ達を村に案内することにした。

 遅れてきた仮面の魔人(シズ)のことで一悶着が有ったとか、無かったとか…………。

 

 

 




 え? 戦闘シーンが無い?
 オークを殲滅するまで待ちましょう! お願いします ⤵️
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