「ふっふーん♪」
太陽が昇り、鶏が鳴き始め朝焼けが地上を照らす時間帯。早苗は鼻歌を唄いながら神社の鳥居の下を掃き掃除していた。その時、集めていた落ち葉が風もないのに動いた事に早苗は気づいた。
「風もないのに……おかしいわね」
その落ち葉を目で追っていると、急に参道の中心に落ち葉が集まり出した。集まりだしたと思ったらそこを中心に風が集まりだした。
「きゃぁっ……な、なにがっ!?」
あまりの強風から髪や服の裾を抑えながら早苗が、風が集まっている場所を見やると、何かが立っているのが見えた。
ようやく風が止むと、先程何が立っていた場所には金色の髪に青いドレスに白銀の甲冑を纏った人物がいた。後ろを向いているため、顔は分からないが髪の結び方から女性ではないかと早苗は考えた。
「……だ、誰?」
早苗の声に反応したのか、その人物はゆっくりと早苗の方を振り向くと、早苗は思わず息を飲んでしまった。
その理由は、振り向いた人物の顔が見目麗しかったからだ。幻想郷でも、レベルの高い女性は多いがこの人物も勝るとも劣らないといったレベルの高さではないのだろうか、と早苗は感じ取った。
「問おう、貴方が私のマスターか?」
ポケ〜っとしている早苗に少女は声をかける。声をかけられた早苗はビクッと身体を跳ねさせると意識を戻すが、何を問いかけられたのか聞いておらず首を傾げてしまう。
「……もう一度問います。貴方が私のマスターか?」
「マスター……?あ、もしかしてサーヴァントの方ですか!?遂に私たちの所にも来たのですね!正に奇跡!」
「え、ええ……そうですが。遂に……と言いましたね。他のサーヴァントも現界しているのですね」
「はい。私の知ってる限りですと10名位?」
「ほう10人ですか。それはたくさ……10名?」
頷きかけた少女は、一旦首を傾げると聞き間違えではないかと早苗に問いかける。
しかし早苗は首を横に振ることはなく、肯定を示す縦に首を振る。
「すいません……冗談はよしてください。サーヴァントが10名もいるわけがない。居たとしたら聖杯戦争としては異常です」
「聖杯戦争?そんなものは起きてませんよ?聖杯戦争って聖杯という物を巡ってサーヴァント同士が戦うものですよね。でしたらそんなものは起きていませんよ。第一聖杯も見つけてませんし」
「聖杯は幾多の願望を叶えるものですから。安易に見つかる訳にはいきませんから見つからないのは当然です。しかし……聖杯戦争が起こっていない。すいません、手の甲を見せてくれませんか?」
早苗は首を傾げつつ手の甲を、少女に見せる。早苗の手の甲には何も無く、綺麗な肌しかない。
「……令呪が無い。もしかして他のマスターも、身体のどこかに令呪……なにかの模様みたいなのは無いのですか?」
「マスターというのは分からないですけど、サーヴァントと一緒に居られる方にはそのようなものはないですね」
早苗の、予想通りの返答に少女が唸っていると
「さーなーえ!お腹すいたぁ!」
何やら本殿の方から早苗を呼ぶ声がする。
「あ、すいません。諏訪子様、今行きます!もし、よろしかったら一緒にお食事を致しませんか?」
「よろしいのですか……?」
「はい。昨日たくさん参拝客の方から食材を貰ってどうしようかと思ってましたので。それに……貴方のこと聞きたいですし」
「ではお言葉に甘えて。私もそちらのことが聞きたいですし」
その返事に早苗は、嬉しそうに笑うと本殿に駆け足で向かう。その後ろを微笑みながら少女は着いていく。
本殿に入り早苗によって案内された部屋には、目玉のようなものが付いた市女笠を被った少女と、注連縄のようなものを頭をつけた紫色の髪の女性が座っていた。
「早苗、誰だいその人は?」
「なんと……サーヴァントさんです!ウチにもサーヴァントさんが来てくれました!」
「ふーん、そうなのね。とり」
「そんなことよりお腹すいた!積もる話は食べ終わってからにしよう!」
「そうですね。空いている席に座ってくださいね」
早苗はそう言うと、台所へと移動する。
「えっと……」
「こっちに座るといいよ。4人は平気で座れるからね」
市女笠の少女は、自身の隣をポンポンと叩きつつ手招きする。少女はそれに頷くとその隣に座る。
3人は、今起きている出来事には敢えて触れず、他愛のない話で盛り上がっていた。
〜それから数十分後〜
「出来ましたよー」
早苗がおぼんにご飯と焼き魚を乗せつつ持ってきた。
それを見ると少女は立ち上がり、手伝いますと伝えて彼女の作った料理を食卓へと運んでいく。
「さて、いただこうか。いただきまーす」
市女笠の少女に続けて皆が、いただきますと言うと食事を始める。
「これは……」
「なかなか美味しいでしょ?早苗が作ったものだからね」
何故か自慢げな市女笠の少女。そして、当の本人の早苗は照れくさそうに味噌汁を飲んでいる。
「まぁ事実そうよね。早苗の作ったご飯が美味しいから私達はそれを1つの楽しみとしているのよね。感謝してもしきれないわ」
「か、神奈子様まで〜……」
盛り上がる3人を見て、少女はとても心地が良い。そう感じていた。
それから数十分、食事を終え、片付けを終え食後のお茶を飲んでいる時に今起こっている出来事の話題に入る。
少女の質問に早苗は答え、逆に早苗達の質問に少女は答えていく。
「なるほど……ここは幻想郷と言って隔離された場所なのですか。常識にとらわれない世界……確かにここならサーヴァントが召喚されてもおかしくは無いですね。しかし、聖杯の場所が気がかりです。マスターも無しに召喚はされませんし」
「聖杯の場所は……やっぱり紫辺りが持ってるんじゃないのかな」
「それもそうね。彼女なら下手すれば幻想郷を滅ぼす代物をホイホイと外に出す人じゃないものね」
少女は2人の発言を聞くと少しだけ安堵する。危ない人間の手に渡っていないことが安心したからだ。
そんな中、早苗はどうしても聞いておきたいことがあった。
「あ、あのすいません。こんな時に聞くのは野暮ってものですが貴方の名前……えっと真名を教えてくれませんか?他のサーヴァントの皆さんもそうしてますし」
「本来ならばホイホイと教える訳にはいきませんが……聖杯戦争が起こっていないのであれば明かしましょう。我が真名はセイバー アルトリア・ペンドラゴン」
ペンドラゴンと聞いて早苗を除く2人は何やら聞き覚えがあるような〜と言った顔を浮かべている中早苗だけはワナワナと震えていた。
「ペ、ペンドラゴン!?まさか……ブリテンの王……アーサー・ペンドラゴンですか!?」
「はい、そうです」
「あーどこが聞いた事あると思ったら。外の世界の王様ね」
「へぇ〜とても有名人がウチに来たもんだね」
「しまった……アーサー王だと言うのにあんな食事を出してしまった。もっと高級な食材にすれば」
思わず落ち込んでしまった早苗に少女 アルトリアは
「いえ、私は1人だけ高級な料理を食べるより、素朴かつ丁寧で皆で食卓を囲める料理が好きなのです。ですから、お世辞抜きでサナエ……貴方の料理は美味しかった」
アルトリアの真っ直ぐな瞳に早苗は、嘘はついていないと判断出来た。
嘘偽り無い言葉が、早苗にはとても嬉しかった。
「ありがとうございます……アルトリア様」
「おっと……様はいりません。気軽にアルトリアとお呼びください。確かに王ではありますが、今はサーヴァントの身。いわば貴方の使い魔なのですから」
「お、ということはウチに留まるのかい?」
「はい。右も左も分からない場所よりも知り合いのいる場所の方が情報を集めるのがやりやすいですからね。それに、先程の食事の礼もしなければいけません」
「そうなんですか……ありがとうございます。アルトリアさん。私は東風谷早苗と言います。こちらは洩矢諏訪子様。そして八坂神奈子様です」
諏訪子と加奈子と紹介された2人は頭を下げる。
そして、紹介が終わると神奈子がコホンと咳払いをすると口を開く。
「さて、アルトリア。これから仕事を与える。我々はこう見えても神でね。信仰心を集める必要があるんだ。信仰心無くては我々は存在出来ないのでな」
アルトリアは驚きつつも、神奈子の言葉の続きを待つ。
「そこでお前には早苗と共に、ここ守矢神社での巫女を勤めてもらいたい。一応客人だ、難しい事はしなくていい。早苗の手伝いをして欲しい。もちろん、強制はしない。アルトリアが良ければの話だ」
「分かりました、カナコ。その巫女とやらの役職、全力を持って勤めさせていただきます」
「うむ。巫女服は早苗のを着るといい。早苗、着させてやりなさい」
「はい、神奈子様!アルトリアさん、こちらへ」
早苗は、手招きをしながらアルトリアを自室へと連れていく。
「何から何まですいません、サナエ」
「いえいえ、アルトリアさんのような綺麗な方が巫女の手伝いをして下さってこちらこそ感謝をするしかありません。きっと参拝客も今よりも増えます」
「そうですか。役に立てるのならよかった。これからよろしくお願いしますね、サナエ」
「はい、こちらこそよろしくお願いします」
その後、守矢神社に美人な巫女がいると評判になり大繁盛するのは別の話。
そして、とある巫女が守矢神社に対する怨念を抱くようになるのも別の話
遅くなって申し訳ございません。今回は少し長くなってしまいました。
今回の組み合わせですが、リクエストになかったので独断でやらせていただきました。
今回の組み合わせの理由は、霊夢にモードレッドがいるということ、早苗も風関連の事があるのでアルトリアと合うかなと思い、今回の組み合わせになりました。
神霊系や誰かを依代としたサーヴァントは出した方がいい?
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駄目
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良い