「……ここは」
「どこから入ったのですか。侵入者としていいのですね」
黒いボソボソの髪にヨレヨレの着物を羽織った男が、大きな館の庭を歩いていると、背後から白髪の少女が歩いてきた。
「おまんは誰や。珍妙な髪色してるじゃか」
「侵入者に答える義理はありません」
「わしは道にまようただけや。侵入者やない」
「そう言っていた侵入者は何人もいました。そもそもどこから入って来たかもわからない貴方の言葉は信用なりません。まぁ、侵入者かどうかは……斬って確かめます」
常人なら確実に異常と思う言葉だが、男は笑みがこぼれる。
「おまんも人斬りか。そうかそうか」
男は嬉しそうに刀を抜く。それを見た少女は、男とは対照的に静かに二振りの刀を抜く。
「わしは天才剣士……岡田以蔵!」
「幽人の庭師……魂魄妖夢。参る!」
妖夢と名乗った少女は、以蔵と名乗る男が瞬きしている瞬間に、彼の目の前まで来ていた。
「早いのう……面白い!」
以蔵は眉一つ動かすことなく、妖夢目掛けて刀を振り下ろす。対する妖夢も驚く様子を一つ見せず振り下ろされる刀を防ぐと、周囲に鈍い金属音を響かせる。
「中々の反応速度ですね。天才の異名は伊達ではないですね」
妖夢は刃を受け流すと、即座に左手の刀で切り掛るが以蔵はそれをいとも簡単に受け止める。
「そりゃそうじゃ。わしは天才や。しかし、おまんもやりおる。小娘と侮っちょった」
「見た目で判断しないでください!」
妖夢は声を荒らげると以蔵の腹部を蹴り飛ばす。蹴り飛ばされた以蔵は一瞬だけ怯むが、直ぐに立て直し妖夢に切り掛る。
2人の剣士による斬り合いは数分続いたが、以蔵が優勢の状況は覆ることは無かった。
そのことから妖夢の焦りの表情が出てくる。
「斬り合いの最中は前だけ見ちょけ」
静かに囁くと、以蔵は剣を引き妖夢の体勢を崩すと妖夢を切り裂く。
「……っあ……」
「ほう……」
妖夢は寸でのところで横に避けたが、脇腹を斬られたため倒れ込んでしまう。
その様子にも関わず以蔵はトドメを刺すべくゆっくりとした足取りで近づく。
「悪いが人斬りに情けはない」
その言葉に妖夢は涙を流す。死への恐怖でない。相手に傷を負える事すら出来なかった自身への悔しさからである。
そんな妖夢に容赦なく刃が振り下ろされるが、何者かによってそれは防がせる。
「あらあら、ウチの庭師に何をしているのかしら?」
当然目の前にピンク色の髪に着物を羽織った女性が現れ、刀を2本の指で防いだ。
「なっ……何者じゃ。わしの一撃を防ぐとは……」
「ゆ……幽々子様……」
幽々子と呼ばれた女性は微笑みながら、以蔵の刀を離す。
「勝手に人の屋敷に入って暴れるなんてイケない人ねぇ……」
「なら、殺すか?」
「でも、腕は確かなのよね。どう?ここで働いてみない?用心棒として」
「ゆ、幽々子様!?」
「どうする?ここで死ぬか、用心棒として生きるか」
女性の言葉に以蔵は悩むが、すぐに答えは出た。
「分かった。用心棒になる。で、何をすりゃええ?」
「とりあえず侵入者の排除を妖夢と共にやって、妖夢と一緒に家事を、妖夢の剣術の先生かしらね」
「それは用心棒のすることか!?それに儂は殺人剣じゃ!」
「敵と判断すれば容赦なく斬り捨てますよ。私は」
妖夢の真っ直ぐな目を見ると以蔵は、何も言えなかった。
こんな目を持つ人間を無下には出来ないと以蔵は思った。
「……分かった。儂が師匠になってやる」
「ありがとうございません。以蔵さん」
「ところで妖夢……アイツは誰、ここはどこだ?」
「あの方は西行寺幽々子様。ここ、冥界にある白玉楼の主です……もし、次幽々子様のことを
「め、冥界!?儂は地獄に来てしもうたのか!?まぁ、生前人を斬ったから当然か」(幽々子を呼び捨てなんてしたら儂は……)
「以蔵さんは人里では何をしていたのですか?」
「儂は人斬り。儂らの邪魔をする奴らのな。ま、天才剣士の儂に任せちょけ。きっちり特訓をつけてやる」
以蔵の言葉に妖夢は嬉しそうな笑顔を浮かべる。その笑顔を見た、以蔵は本当に教えていいのか分からなくなるが、斬り捨てる覚悟があると聞いているため自身の決意が揺るぐことは無かった。
「これからよろしくお願いします。お師匠様」
「ああ」
人斬りによる妖夢の修行が始まる
以蔵さんの土佐弁難しい……。変だとは思いますが……楽しんで読んでください!
神霊系や誰かを依代としたサーヴァントは出した方がいい?
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駄目
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良い