高梨湊シリーズでは阪神大震災も東日本大震災も9.11も起きていない設定
としてきましたが、ある意味これが伏線でした。
Prologue:The end of decade~そして再び幕が開く~
今、平和を享受して来た
三笠の逝去から10年後。
東アジアの某国の指導者が狂乱し、
戦略核兵器は、ソロモン諸島の多くの民の命を奪った。
世界中のメディアはそれを取り上げ、某国への圧力が高まった。
日夜、某国への米英軍の空爆が続き、その報復でアメリカで勃発する
そして、米英を非難する東側諸国。東アジアの軍事的緊張が一気に高まった。
嘗て中断された、東西冷戦の再開とも言える出来事で、深海棲艦に対して手を取り合った人類が再び敵対し、世界は核戦争に突入しようとしていた……
その矢先だった。
アイアンボトムサウンドで異変が起きたのは……
その日も、成田発のジャンボジェット旅客機を飛ばしている、機長に昇格した瑞鶴は、チリチリとした
その直後だった。シドニー管制塔から、
「ソロモン諸島に深海棲艦が大量出現!」
「なんですって!?」
瑞鶴は我が耳を疑った。向かう先は、シドニーなのだ。
その無線で
「こちら機長、こちら機長。只今、ソロモン諸島に深海棲艦が出現したと連絡。当機は引き返し、成田に戻ります」
ざわつく機内、動揺する副操縦士。
「落ち着きなさい。あんたは無線交信、いい?」
「は、はい!こちら……」
副操縦士が、シドニー管制塔に引き返す旨を通達する。
無線からは、近辺の航空機が次々撃墜されているという悲報が舞い込んで来ている。
瑞鶴の判断は、間違っていなかった。
そして、この航空機も……
後方から機関砲の音がすると、主翼が被弾して主警報装置が鳴り響き始める。
「くそっ!後ろに食いつかれたわ!」
「客室減圧!」
四発あるエンジンの内側二発がやられ、客室も急減圧したのだ。
「ど、どうしますか!?」
「酸素が無くなる前に急降下するわよ。但し、
二人の操縦士も、酸素ボンベを着用しながら会話を続けている。
「どうやってやるんですか!?」
「
「了解しました!」
瑞鶴の操縦するジャンボジェット機は、満身創痍の機体をよく維持して、
その後、機体の応急修理を行い給油し、深海棲艦の哨戒網を掻い潜って、成田に戻ることに成功したのだ。嘗ての澤柳機長のように……
かくして深海棲艦が現れたが、嘗ての艦娘達には、
大淀総理大臣は夕張と相談し、苦悩の末に
曰く「
嘗ての艦娘本部の工廠部。
何もなく、廃墟と化していたそこに、
『吹雪』『叢雲』『漣』『電』『五月雨』だった。
退役した彼女等に装着させても、
艦娘達が、あれから『成長』する、という事実から導き出した結論は、
『
という、ある意味
希望者を募り、適性試験をパスした子供達に艤装を装着させたところ、艤装はすんなり機能し、嘗ての『
こうして、
無論、親達は心配もしたが、彼女等の「大丈夫。お国を、皆を守ります」と言う言葉に、涙ながらに見送ったのだ。
こうした戦争が始まってから、丸一年が経過した。
これは、
「提督ー!」
もちろん、本人達にも記憶封印が施され、成長も停止している。これは
「はい、どうされました?『吹雪』さん」
高梨海来率いる青ヶ島艦隊、通称「第十三艦隊」は、小さな拠点である。
第四世代の艤装は、
配属されたのはついこの間。海来と『吹雪』、それに陸上防衛隊長の各務原結有中佐の三人だけ。
新・艦娘基本法により、指揮命令権は階級に拠らず、「提督」と呼ばれる人間が保有している。
よって、階級が上の結有も、今は
「本部の、大村技術大尉がお見えです」
「恵奈さんが?わかりました、すぐに行きましょう」
彼女は、志願により『吹雪』の艤装を装着して、艦娘となったばかりである。
まだ練度も低く、近辺に出没するはぐれ深海棲艦、駆逐イ級にすら手こずる毎日なのである。
ただ、この艦隊には『鬼神の娘』こと、各務原結有がいる。
30代になった結有は、まだまだ身体の衰えはなく、陸上に上陸してくる深海棲艦は、残らず叩っ斬るのだ。
今や
再び、新しく軍港が作られドックが整備され、庁舎が建てられた青ヶ島泊地。そこの応接室に、大村恵奈が通されていた。
横には駆逐艦『卯月』が大人しく座っている。
大村恵奈は、20代半ばになっていた。
名古屋工業高等専門学校を卒業し、そのまま軍へ技官として入隊した。
現在は艦娘本部東京工廠部に所属し、『エナツキ』も今ではメインは暁に任せているが、時間のある時には活動を続けている、『MeTubeレジェンド』と呼ばれる
活動場所も東京に移動して、『エナツキハウスVer3』を都内某所に建設し、
そして、
そうして、嘗ての東北・道東の悲劇を起こすことなく、日本全土防衛の成功に大きく寄与した彼女は、一気に大尉まで昇進し、今では元々の知名度もあって、『
「お待たせしました、恵奈さん」
「久しぶり、ミクちゃ…高梨少佐」
恵奈がビシッと敬礼をすると、海来がニコっと笑い答礼する。
「今までどおりでいいですよ、ここには
「それじゃあ、お言葉に甘えさせてもらおうかな?」
その二人の言葉に、脇に控えていた『吹雪』は苦笑いする。
「それで早速ですが、今日の用件は何ですか?」
「うん。第十三艦隊に新人が配属されました!卯月、自己紹介を」
「やったぁ! でたっぴょん! 卯月でっす! うーちゃんって呼ばれてまっす!」
立ち上がり、バンザイのポーズで自己紹介をする『卯月』に、場がシーンとなる。
「あ、よ、よろしく」
苦笑いする海来に、『卯月』は首を傾げた。
「滑ったぴょん?」
「ダダ滑りだね……」
恵奈は苦笑いで答えた。
「ええと、うーちゃんね。私はここの提督の高梨海来、よろしくね」
「はーい、
「あ、ミクちゃん提督、いいですね」
『吹雪』も同調し始める。
「いいじゃないの。嘗ての『湊ちゃん提督』みたいで」
恵奈も、にこやかに賛成する。
そこへ入室してきた結有にまで、
「外から聞いてたけど、ミクちゃん提督ね、了解」
と言われる始末。
「あはは、皆してもう」
海来は乾いた笑いで、『
こうして、ミクちゃん提督と愉快な仲間達の共同生活が始まった。
とはいえ、二人共着任してすぐの
「うわぁ!外れたっぴょん!!」
「こっちも外れました!」
まだまだ、近海に出没する駆逐イ級に苦戦しているのだ。
そして、
『ごめんなさい!抜かれました!イ級がそっちに上陸します!!』
と言う『吹雪』からの通信に立ち上がる、
にょきっと足を出して、ぴょんぴょん跳ねて来る駆逐イ級を、
「とおおりゃあああ!!!」
身の丈ほどもあるロングトマホークで、
「あーあ、今頃
単身赴任の悲しさか、そんなことをぼやいているアラサー娘。
「私も彼氏欲しいなあ」
同じく、男っ気一切ゼロの泊地の現状をぼやく海来に、結有はふふっと笑う。
「大丈夫。『
申し訳なさそうに戻って来る、『吹雪』と『卯月』を指差す結有だった。
「そうですねぇ。できれば、私を守ってくれる人がいいかな?」
そう言いながら、傷だらけの彼女達を暖かく出迎えるのだった。
「おかえりなさい。今は無事帰って来てハナマルです」
そう言って、二人の頭をポンと撫でる小さい提督。
「さ、お夕飯にしますよー」
鳳翔フードサービスのデリバリー便が、毎日お弁当を三食運んでくれるのだ。
こうして、今日も日が暮れて行く。
まだまだ二人共Lv1
まだまだ、ミクちゃん提督の鬼才は発揮できる機会はありません
のんびり不定期でほのぼのやっていきます。
艦娘兵器型 艦娘人間型に続く人間艦娘型の第4世代計画。
新・艦娘の名前は『』づけ表記となっています。