新・小さな提督と艦娘日和   作:SAMICO

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父英治の最期の地硫黄島にやって来た英太郎と艦娘たち
全員の愛が海来に届くのか


硫黄島の死闘(後編)

硫黄島海域に到着した第13泊地連合艦隊は、空母ヲ級の空爆を受けていた。

ヲ級部隊の空爆を、必死に歯を食い縛りながら、『卯月』達防空隊が防いでいる。

そんな中、『時雨』(結有)は敵艦に特攻して、肉弾戦に持ち込み、甲板である頭部に蹴りを入れてすぐに後退する、ヒットアンドアウェイ戦法を繰り返し行っている。

水雷戦隊は、更に『三笠』も加えて前進しつつ、砲撃を加え始める。『三笠』の六連装酸素魚雷もお見舞いするが、

どんどん補充されて行く()()()()に、心が折れそうになる。

「どうするの!?」

「まだだ!まだ持ち堪えるんだ!!」

 

通信から、第十艦隊(母島泊地艦隊)は硫黄島の戦艦部隊との戦闘で、こっちへ来られそうもない、と島風の連絡が入って来ている。

「もう限界ぴょん!!」

「諦めるな!諦めたら試合終了(ゲームオーバー)だ!!」

心の折れそうになる『卯月』を激励しながらも、通信機に耳を傾ける。

そして、漸く待ち望んだ通信が耳に入る。

大島(第11泊地)御蔵島(第12泊地)連合艦隊到着、援護攻撃を開始します』

「支援艦隊が来たぞー!!!」

その英太郎の言葉に、艦娘達の士気が上がって行く。

英太郎も、ガトリングガンで敵機を撃墜し始める。

反動が体を襲い、全身に激痛が走る。

「ぐっ!レジェンド(結有)はバケモンか……!?」

奥歯をぐっと噛み締め、スラスターで反動を相殺しながら、機関砲(ガトリングガン)を乱射する。

その大爆音で、ヘッドセットがない方の、片耳の鼓膜は破れているだろう。

支援艦隊の航空・砲撃支援を受けながら、航空部隊の始末に掛かっている。

その直後だった……()()()()()()()()()が目に入った。

「これは、サブハープーン!?」

英太郎は、過去のDSキラーの資料を取り寄せていた。

サブハープーンが狙っているのは、『三笠』だった。

「危ない、『三笠』!!!」

「何をするのだ!?」

英太郎が『三笠』を押し退けて前に出ると、ガトリングガンを乱射する。

ミサイル弾頭にHEIAP弾が誘爆すると、目の前で大爆発を起こす。

アクティブクロークで防御するも、英太郎は吹き飛ばされて海面に叩き付けられる。

「ぐうう……」

よろよろと起き上がる英太郎。

()()()された汎用艤装のお陰で持ち堪えたが、アクティブクロークが吹き飛ばされ、次の展開はできなくなっていた。

「中佐!大丈夫か!?」

『三笠』が駆け寄ろうとするも、手を上げて制する。

「愚か者ぉ!!敵はまだいるぞ!全艦、海面スレスレに飛んで来る高速飛翔体(サブ・ハープーン)を撃ち墜とせ!」

DSキラーのサブハープーンは、弱っているせいか速度も遅く、『那珂』や『三笠』の必死の砲撃で次々と墜としている。

だが完璧ではなく、その度に『三笠』が庇っている。

『三笠』は、()()()()()()()()の為、すぐに大破になってしまう。

その間にも航空攻撃は止むことはなく、支援艦隊も今は敵艦隊と交戦中で、これ以上の支援は期待できそうもなかった。

「ここまで……なの?」

「もう……無理」

艦娘達の心が折れそうになった時、二隻の深海棲艦が近づいて来た。

DSキラーとDSアサシンである。

「………」

「オマエラノシレイカンハ、コチラガワニツイタ。アキラメテ、ウミノソコニシズメ」

「そんな……嘘だって言ってぴょん!」

『卯月』の悲痛な叫びにも、DSキラーは何も言って来ない。

「諦めるな!」

そんな艦娘達に、檄を飛ばす者がいた。

そう。()()()()()レジェンド専用汎用艤装を身に纏った、血だらけの英太郎だった。

「思い出せ、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!!」

「あの時の感覚を……」

その言葉に、『吹雪』がはっとなる。

「思い出すぴょん……」

『卯月』が、キッと空を見上げる。

「皆、『ミクちゃん提督を想う』んだよ!」

『那珂』が、皆に呼びかける。

「わかったわ!」

『瑞鶴』が、折れかけた弓に矢を番えながら応える。

「うむ。ミクちゃん提督と、()()()()()だ!」

腕を組んで、ニイッと笑う『三笠』。

「うんっ!!」

『時雨』(結有)も頷く。

「よっしゃあ!世界水準超えてるところを見せてやるぜ!」

『天龍』が吠える。

「行くわよ!!」

『雷』が叫び、

「なのです!」

『電』が、ぐっと両手を握る。

 

『見ていて!ミクちゃん提督!!』

艦娘達が光り輝くと、()()()改二艤装へと変わった。

「橘花改発進!」

改二甲へと変化した『瑞鶴』から発進した橘花改が、上からヲ級を艦載機諸共、全艦海に沈める。

「チッ、イマイマシイカンムスドモメ」

DSアサシンが接近して、ソードを振り上げたところで、『時雨』(結有)が腰の軍刀を抜くと受け止める。

「カガミハラユウ……キサマァ…!」

「今だ!()()()()()()!」

「わ、わかった!全艦斉射だ!!」

『三笠』の号令により、全艦砲撃を加える。

「チイッ!!!」

「グウッ!!」

直撃を受けた、DSアサシンも『時雨』(結有)も大破状態に追い込まれると、DSアサシンは一気に振り切って後退して行く。

DSキラーも、それに追随して後退して行く。

光に包まれた艤装がパンッと解除されると、全員中破状態になってしまう。

「くうっ……もう……」

ヲ級の代わりに、今度は戦艦ル級部隊が迫って来る。

「まだ諦めるでない!」

今度は『三笠』が檄を飛ばして、全速前進でル級に飛び込む。

「この『三笠』には、()()()()()()()もできるのだ!」

背中に背負っていた衝角(ラム)を前にセットすると、ル級に()()()()()()()()()

そのまま魚雷をゼロ距離でぶっ放すと、『三笠』はこちら側へ吹き飛ばされ、ル級は沈んで行く。

『三笠』は大破で、衝角も壊れて動かなくなっている。

「駆逐艦、突っ込むぴょん!」

「うん!」

「わかったわ!」

「なのです!」

駆逐隊が、ル級を足で翻弄しながら、チクチクと有効打を積み重ねていく。

『瑞鶴』は、大破した『時雨』(結有)と『三笠』を、両手を広げて守ろうとする。

『那珂』は、中距離からの砲撃で、ル級を牽制している。

 

そして、ル級の陣形に隙ができた瞬間だった。

御蔵島・大島連合艦隊が再び敵陣を突破し、援護射撃を撃ち込んで来た。

沈むル級。何体か残っているル級は、小癪な支援艦隊の方へ向かって行った。

今、硫黄島までのルートはがら空きだ。

「全艦突撃!硫黄島に乗り込むぞ!!」

英太郎は父の最期の地、硫黄島に向かって、突撃命令を下した。

 

硫黄島に上陸すると、軽巡達がワラワラ向かって来ていた。

艦娘達も、腰に帯びているショートトマホークや軍刀で、白兵戦を繰り広げる。

その中で英太郎は、汎用艤装を強制パージすると、腰に帯びている九ミリ自動拳銃とショートトマホークで応戦する。

()()()()()()()()は、()()()()()なら()()()()()()()()()()()()()のだ。

恵奈は、()()()()()のこの弾丸を、持って来てくれていたのだ。

 

「アワレナニンゲンドモ……!」

軽巡を撃ち抜いて斬り払う英太郎に、DSアサシンが立ちはだかっていた。

その横にはDSキラー。

「海来さん、()()()()()()()!!()()()()()()()()()()!!」

「ムダダ……」

DSアサシンは、ソードを英太郎に振り下ろす。英太郎は避け切れず、銃を持っていた腕を斬り飛ばされた。

「ぐあっ……」

血の噴き出る左腕。しかし、DSアサシンの目に入ったのは、()()()()()()()()()だった。

「ここで、()()()()()()()()()()()()()()()!日本国防軍、青ヶ島泊地が司令官代行、中佐片桐英太郎、キサマの首をいただく!」

「チイッ!!」

ザンッ…と振り上げたトマホークで、DSアサシンの身体を斬り裂いた。

胸から血が流れ出るDSアサシン、そして肉体の限界を超えても、()()()()()()()()()()()()狂戦士(バーサーカー)

「ダガ、モウオワリダ、シネ」

再びソードを構え直したDSアサシンが、英太郎を斬り裂こうと前に出た時、艦娘達がDSアサシンの前に立ちはだかった。

「海来ちゃん!!」

叫ぶ『吹雪』。

「目を覚ますぴょん!!」

涙を流す『卯月』。

「海来ちゃん!!私だよ―!!『那珂』ちゃんだよー!!」

必死に声を上げる『那珂』。

「海来ちゃん!!貴方の心はそこまでなの!?」

檄を飛ばす『瑞鶴』。

「愚か者!!目を覚まさんかい!!誰が私に、アイスをくれるんだ!?」

それに続く『三笠』。

「海来さぁぁぁぁぁん!!!」

声の限り叫びを上げる『時雨』(結有)

「バカヤロウが!!せっかく助けてくれたのによ!!」

「今度は私達が貴方を助けるわ」

「目を覚ますのです!!!」

第二隊も負けずに声を張り上げる。

『目を覚ませぇぇぇぇぇぇぇ!!!!』

全員の叫びは、()()()()()()()となり、DSキラーに降り注いだ。

「!!!」

DSキラーは、はっと目を覚ました。

「皆……私………」

「皆、海来さんを助けに来たんだ!目を覚ませ!!」

「片桐中佐!!」

英太郎の檄で、完全に目を覚ましたDSキラー(海来)

「チッ……ニンゲンドモノレイシガタカマッテイル……マタアオウ、ニンゲンドモ、タカナシミク」

DSアサシンは、闇に包まれるように消えて行った。

まだ残っている軽巡は、DSキラーと艦娘達が片付けている。

「ぐぁ……!!」

英太郎は、激痛に膝を突いた。

「動かないで!止血するぴょん!」

そう言うと『卯月』は、汎用艤装のウェポンコンテナに入っていた捕縛用結束バンドで、斬り飛ばされた腕をしっかりと締め上げる。

「ぐあああああああ!!!!!」

英太郎が、激痛で声を上げると、

「これでも噛んでなさい!」

『瑞鶴』が、()()()()を英太郎の口に突っ込む。

「むぐぐ……!!」

操っていたDSアサシンがいなくなったことで、海上の艦隊は統率が取れなくなって、次々と海へと沈んで行った。

英太郎は、海来が駆け寄ったところを最後に、意識を手放した。

 

 

目を覚ました英太郎は、河原に立っていた。

その川の対岸(彼岸)には、父英治が立っていた。英治は、英太郎を嘲笑うように声を掛ける。

「ふん、我が息子ながら情けない。こんな若さで私の後に続きたいか?」

「親父!俺はあんたを許さない!!お前のせいで、どれだけ苦しめられたか!?」

その言葉に、憤怒の表情で英太郎が叫ぶ。

「だったら帰れ。私もキサマのような腑抜け、顔も見たくないわ」

ニヤッと笑った英治は、シッシと手を振った。

「こっちこそ願い下げだクソ親父!二度と会うものか!?」

英太郎は、()()()()()()()()()歩いて行った。

 

 

目を覚ました時には、青ヶ島診療所だった。

「ここは………ぐうっ」

「診療所よ」

起き上がろうとして激痛が走った英太郎を、夕雲が押し留めて寝かせる。

()()()()()全員入院中よ。全く、どうしてこう()()()()()のかしら?」

夕雲が、溜め息を吐くように言うと、

「あんたの左腕、可動義手を着けさせてもらったわよ。あの戦争(前の大戦)で、()()()()()()()()は発展しているもの。使わせてもらったわ。近日中に合成皮膚が届くから、数日間はそれで我慢なさい」

その言葉で、英太郎は左腕を上げる。

左腕は、()()()()()に置き換わっていた。

「っ……」

再び起き上がろうとすると、今度は夕雲は止めない。

「全く、馬鹿ね。貴方達が命がけで救った司令官は、今頃()()()()()()()()()()よ。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、なんて()()()()よ」

「……だろうな」

辺りを見回すと、艦娘達は皆、ベッドに横たわっている。

ただ独りだけ、『三笠』が()()()()()()()()()()以外は……

 

あの戦いの後、到着した母島(第10)泊地艦隊と、御蔵島(第12)泊地・大島(第11)泊地連合艦隊に引き継いで、()()姿()()()()()海来は、皆を引き連れて、何とか青ヶ島に帰り着いた。

そのまま、青ヶ島診療所に転がり込んだのだ。

一番命の危険(失血死寸前)な、英太郎の緊急手術から始まった。巻雲を助手にガンガン輸血して、その間恵奈に義手の制作を依頼。それと並行しながら、研修医(レジデント)の美里が、負傷艦娘の応急手当を行ったのだ。

()()()()()()()()故、美里が艦娘全員の手当をやらねばならない状態、だったのだ。

島民(村民)達もその手伝いをして、大騒ぎになっていたのだった。

次に重傷だったのは『三笠』で、「アイスが食べたいのだ……」等と言いながら、治療を受けていた。

 

「結局、洗脳された原因は何だったの?」

執務室で紅茶を差し出した紀子に、海来は苦笑いを浮かべる。

「結局は、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()に付け込まれたんだ、と思います。それに弱体化してましたし。ただ、アレ(DSアサシン)のお陰で力をある程度取り戻せましたし、次はないですよ?」

現在海来は、大量の始末書を書いている。英太郎が行った越権行為等々、全ての責任がおっ被さる事になったのだ。

「まあ、片桐中佐にはお礼を言うことね?」

「そうですねぇ……()()で、正直で、自分に忠実で、腕までなくしてまで迎えに来てくれて、本当に馬鹿なんだから……ふふっ」

頬杖を突いて、笑みを浮かべる海来に、紀子は、

「満更でもない、って顔をしてるじゃない?」

「私は、()()()()()()()()()()()()()ですし?」

海来の言葉に、紀子は肩を竦める。

「ま、良いわ。今は、始末書を片付けなさいな?」

「次は、()()()()()()()()()()一件ですか……」

海来は、始末書を書き続けている。

()()()()()()()()()()()()()()




次回は3日の午前9時予定です。
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