『時雨』は、内蔵武装が一切使えない
装着者は各務原結有、記憶も従卒当時の記憶に封じられてしまっていた。
「ねえ?僕の武装、いつになったら直るの?」
工廠の椅子に座って、足をバタバタさせながら、工廠長妖精さんに声を掛ける
「んー、そんな事言われてもなー。
「むう………」
「しーちゃん、武器はまだ使えないぴょん?」
工廠部にひょっこり現れた『卯月』が声を掛けると、
「そっかぁ、しょうが無いぴょん。生姜がないだけに」
「生姜は元から入ってないよ!」
『卯月』のくだらないダジャレに、ビシッと突っ込む
「なんか、憂鬱だなぁ」
「硫黄島に泊池ができて、こっちは平和になったぴょん」
硫黄島に泊地が建設された。泊地と言うより、
80センチメートル
村上建設驚異の突貫工事力で、数週間で完成させた、艦娘本部の予算を
今までは、深海棲艦が
「あーあ。気晴らしに、ちょっと海を走って来るよ」
「気をつけてくるぴょーん!」
手を振って見送る『卯月』は、そのまま埠頭に腰掛けて、海を眺めていた。
それから少し後、ヘリコプターが空から舞い降りて来た。
「
恵奈が、着陸したヘリから降りると、軍刀を持ってやって来た。
「ぷっぷくぷー!今さっき海に行ったぴょん!」
「あれま。折角、内蔵武器が使えない
「うーちゃん届けに行くぴょん?」
「お願いします。この武器の名称は……」
恵奈は『卯月』に耳打ちすると、『卯月』は頷いてその軍刀を持って海へと向かって行った。
海に出た
背後に黒い靄が現れ、DSアサシンがソードを振り下ろした。
「っ!!」
急加速で回避すると、腰に帯びた軍刀を抜き放った。
カンッ!!キンッ!!
DSアサシンが降り下ろすソードを軍刀で受け止めるも、パワー負けしてしまう。
カンッ!キンッ!
何度も剣戟をして行くが、どんどん押されて行き、次第に軍刀にヒビが入ってしまう。
「くそっ!!」
軍刀を投げ捨てると、距離を置いて前羽の構えを取る。
対武器に有効な構えである。
DSアサシンは、ソードを構えたまま
振り下ろされたソードを掻い潜って、肘を叩き込み、そのまま通り抜ける。
「チイィッ!コシャクナ」
そのまま振り向き合い、DSアサシンはソードを構え直した。
「有効打がない……!!」
その直後、DSアサシンは靄のように消えた。
「!?」
更にその直後、
「っ!!!」
右側に振り下ろされたソードを躱すと、そのままバックステップで次の突きをも躱そうとするが、躱し切れずに額を切ってしまう。
「っつ………」
つつーっと額から流れる血を、リボンをシュッと抜いて、鉢巻のようにして止血する。
DSアサシンは、ソードを向けながらニタァッと笑った。
「オマエハ、ココデシズムノダ」
「くっ、付け込む隙も逃げ出す隙もないっ……」
再び、前羽の構えを取ってジリジリと距離を取る。
「モウアキラメロ、オマエハココデシズム」
「っ!!」
一気に距離を詰め、突き立てて来たソードを右回転で躱し、そのまま横薙ぎのソードを、バックステップで躱す。
「くそっ!!」
躱し切れずに、服がザンッと切れる。
白露型の制服に血が滲む。
「っ………」
痛みに顔を歪めると、DSアサシンはニタァっとソードを振り上げて……
「『時雨』ぇぇぇぇぇぇぇ!!!!」
『卯月』が、ザザーッと滑り込む。
「来るな!!うーちゃん!」
ビュンビュンと回転が掛けられ、
「受け取るぴょん!!!」
「うんっ!!」
「これは……?」
「これは、
「その名も!?」
斬艦刀を受け取った
「力を借りるよ……母さん。それに、
カッと目を見開くと、軍刀が刀身2mを超す、大きな刀に変貌していた。
「ナンダト!?キサマ、ナニヲシタ!?」
「もはや問答無用だぁ!!」
戦艦を斬る刀―――斬艦刀を振り上げて、全力で叩き付ける。
ガキィン!!
堪らずソードで受け止める、DSアサシン。
「ナンダコノオモサハ!?」
両者、バックステップで下がる。
ガンッ!!!ギィッ!!
幾度となく、剣戟を繰り返して行く。
そして、ギリギリと鍔競り合いを行う。
「キサマ……キサマァ……!!!」
「でやぁっ!!」
バックステップで衝撃を殺すも、流石にDSアサシンも痛みに顔を歪める。
「食らえぇぇぇ!!!斬艦刀・大切断っ!!」
斬艦刀を振り上げながらDSアサシンに迫り、全力で振り下ろした。
バキィン!!
受けに使ったソードを叩き折って、躱し切れなかったDSアサシンの顔に、深い傷を付ける。
「グァッ!!」
「はぁ……はぁ………」
霊子を使い果たした、
「クッ……ツギハコウハイカナイ」
DSアサシンは、再び闇の靄に隠れると、消えてしまう。
「大丈夫ぴょん!?」
血の滲んでいる
「うん、大丈夫。
痛みを堪えながら笑みを浮かべると、
「今SOSを出したぴょん!」
「有難う………」
苦笑いを浮かべると、『卯月』が肩を貸そうとするのを見て、身体を『卯月』に預ける。
暫くすると、遠くから、
「大丈夫かぁぁぁ!?」
と、『三笠』の声が聞こえて来る。もちろん『吹雪』や『那珂』や『瑞鶴』も一緒である。
「うん……DSアサシンに襲われたよ……」
「油断大敵雨霰なのだ」
腕を組んだ『三笠』の言葉に苦笑いを浮かべると、『卯月』から鞘を受け取り、小さくなった斬艦刀を収める。
「無茶はしないで、って
司令官執務室で、往診に来た
「あはは。まさか、安全地帯にDSアサシンが現れる、と思わなくて」
大人しく治療を受けている
「研修医で、
そう。美里は、夕雲が「精神科
「美里先生もごめんなさい」
シュンとなる
「生きて帰っただけでも儲けものです。これでよし、と。『天龍』さん達は今日、お休みですよね?」
美里の言葉に、海来が頷くと、
「それじゃあ、『天龍』さん達の診察をしてから帰りますね?」
「「はい、有難うございます」」
美里は、「お大事に」と言葉を添えて、重たい医師鞄を両手で持つと、司令官執務室を出て行く。
扉が閉められると、真顔になる二人。
「今後は単独出撃は控えて、各地にアサシンの警戒情報の通達をしないといけませんね?」
「そうですね………ただ、今回は僕を狙った、って気がしなくはないです」
「…………分かりました。それを踏まえて、対策を練りたいと思います。今日はもう休んでください」
「了解しました」
どうして、結有を狙ったのか?やはり、
その後、
「有難うございます、助かりました」
工廠長妖精さんと打ち合わせをしていた恵奈が、顔を向ける。
「いやあ。新装備、間に合ってよかったです」
「一時はどうなるかと思いました」
そう言うと、
「それでですね。内蔵武器の話なんですけど、艤装を持ち帰って1~2ヶ月調べれば、調整可能ですけど?」
その恵奈の言葉に、暫し考える
「いえ、要りません。斬艦刀一振りあれば、何とかなります」
「分かりました。差し当りこちらでも、
「忙しい中すみません」
「いえいえ。これは、私にも責任あるんで……」
そう笑顔で返す恵奈。
「それじゃあ私は、東京に戻りますね?」
そう言って恵奈は、再びヘリコプターで東京へ帰って行った。
その頃DSアサシンは、顔に深い傷跡を残して、
「オノレ、カガミハラユウ……ツギコソハ、シズメテクレル」
今回は、武神装甲ダイゼンガーオマージュネタです。
次回は紀子回です
☆☆☆☆☆ SSホロ 斬艦刀 種別:艦娘用武器 火力+1~32 命中+4 回避-2 射程:超短
Tips《なぜDSアサシンが結有を知っているか?》
彼女の構成要素は未来の幼少期の恨みだけでは無いということです。