しかし来たのは……まあお察し。
大型建造をしよう!
誕生日会も終わり、夏本番の八月がやって来た。
今日も海来は、プレゼントされたカーディガンと青色迷彩のTシャツ、ズボンで執務をしている。
クールビズの為、紀子や
運び込まれた家電のお陰で官舎を出て、二人の生活に移行した。
生活家電一式に、食器洗浄乾燥機や洗濯乾燥機等、
……と言っても、料理を全くしなかった海来は今、青ヶ島の主婦達に
執務室隣室の元司令官私室は、今は
それに伴い、執務室に英太郎と紀子の執務机も設置されるようになった。
海来の
紀子は下士官試験をパスし、一挙に伍長に任官されていた。
現在は『従卒兼任の司令官秘書』と云う肩書きで、仕事をしている。
海来もまた、大佐への昇進辞令を受けて、肩書で夫と並ぶことになる。
それでも、「
「うーん。そろそろ、大型建造をやってみましょうか?」
司令官専用コンピュータで、残り資材と物資を確認しながら二人に声を掛ける。
艦娘達も、そろそろ
軽空母艦隊くらいなら、沈めて帰って来れるようになったのだ。
現在の、島嶼部防衛という任務においては
長射程の火力を求めていたのだ。
『三笠』は如何せん
「そうだな。金剛型か長門型辺りが入って来れば、言うことは無いな」
「そうね」
関係が、夫婦とその友人と云う形になった為、英太郎は紀子にも、是非フランクに話をして欲しい、と頼んだのだ。
紀子はプロポーズを受け入れ、『冬夜との結婚』と云う形をとった。
結婚式は、冬夜が
未だ同居は果たせていないが、それも医師になる時までのお預け、である。
つまりは、
「それじゃあ、工廠に行って来ますよ」
「私もお供しよう」
立ち上がると英太郎も一緒に立ち上がり、工廠へと向かう。
工廠では、艦娘達の艤装と斬艦刀のメンテナンスが行われている。
艦娘達は今、艦娘休憩室でお茶会の真っ最中である。
そんな中、『天龍』隊は今日も
「おはようございます」
声を掛けると、作業をしていた工廠妖精さん達の動きが止まり、一列に整列する。
「
工廠長妖精さんが号令を発すると、皆びしっと敬礼する。
結婚の事実は、周知のとおりである。
そんな妖精さん達に、海来は
「ところで、参謀長ではないのか?」
その突っ込みに、工廠長妖精さんは、
「
等とおどけてみせる。
「ところで。レジェンド用汎用艤装、修理完了したぞ。斬艦刀ラックも設置したから、
そう言うと、ピカピカに新調された汎用艤装を指差す。
「まあ、今のところは無用の長物ですけどね」
苦笑いを浮かべる海来に、
「まあ、工廠長妖精さんの趣味の物体だからいいだろう。万一の時は、
と、笑いながら言う英太郎に、
「無理はしないでって言いますよ、私は。
と、少し拗ねた風に言うと、英太郎は海来の頭をポンと撫でる。
「大丈夫だ、私は死なない。
「……自覚はあったんですね?」
その
「で、夫婦漫才を見せに来たのか?」
と、突っ込みを入れる工廠長妖精さんに、
「大型建造を依頼したいんですが、工廠部に」
「おお、漸くやるか?材料配分はどうする?」
漸く新しい艤装が弄れる、と意気込む工廠長妖精さんと工廠妖精さん達。
「そうですね。長門型を狙って作りたい、と思いまして……」
「長門型か……バランスの良い大型戦艦だな、了解した。工廠部に申請を出して置く」
「お願いします」
工廠長妖精さん達が資材を用いて「艤装の種」を作り始めるのを確認すると、二人は工廠をあとにする。
こうして、資材をパッケージング化して、本部工廠部に送るのだ。
そして、本部の工廠部妖精さんと明石妖精さんが恵奈と
しかし、数日経って、司令官専用パソコンで状況を確認しても「建造中」のままなのだ。
建造は、
「まさか、正規空母か装甲空母が……?」
顔を少し引き攣らせる海来に、英太郎は肩を竦める。
「ハズレなら解体して、資材をバックして、もう一度挑めばいいだろう?特に急ぎのものでもないからな」
「そうですね……」
こうして待つこと、早10日。
恵奈と共にやって来た艦娘に、二人は頭痛鉢巻きをする思いだった。
「
「………」
「………」
「エンゲル係数が上がるわね」
二人は絶句し、紀子はメガネを掛け直しながらツッコミを入れる。
「ところで、その《超》大和型というのは何なんです?」
「良い質問ですね。所謂、恵海さんの艤装と同じベースの、
恵奈の笑顔の回答に、
「うん、解体しましょう。
と云う海来の言葉に、涙目になる『大和』。
「そんな……またお役に立てないなんて……」
がっくり項垂れ、崩れ落ちる『大和』に、丁度隣の休憩室にいた艦娘達がやって来る。
「解体なんて、酷いぴょん!」
「そ、そうですよ!」
「『那珂』チャンモ、
そう口を挟んで来るのが、
『那珂』ちゃんに至っては、何かのトラウマか目のハイライトが消えている。カンッ!カンッ!カンッ!
「私だけでは、長射程もきつくなっているのだ。大歓迎だ」
「そうね。アウトレンジ攻撃にもってこい、だものね」
「そういう訳で、配属決定だね!?」
残りの三人も賛成に回る。
「…資材に関しては、私も上に掛け合ってみます」
おずおずと、申し訳なさそうに言う恵奈。
「ええい!私が悪者みたいじゃないですか?分かりましたよ。宜しくお願いします、『大和』さん」
苦笑いを浮かべながら配属を決めると、『大和』もぱあっと笑顔になる。
「はい!よろしくお願いします!」
『大和』は51㎝連装砲と15.5㎝三連装副砲を搭載した、
とは言え、実弾での演習は弾薬を多量に消費する為、ペイント弾での演習である。
艦隊運用からは外れ、もはや隠す気も無くなった
毎日毎日、顔をカラフルに染められて行く日々である。
そして、紀子の危惧は大当たりしていた。
この『大和』、大の
彼女もかなりの大食いなのである。
こうして、
「どうですか?『大和』さん、この泊地の雰囲気は?」
「上々です。雰囲気も良いし、他の艦娘達も良くしてくれますし。特に『卯月』さんが懐いてくれてます」
『卯月』は
ぴょんぴょんと飛び跳ねながら、懐いてくれているのだ。
「それじゃあ、『卯月』とペアで哨戒に行ってもらいますか?」
「分かりました!」
『卯月』と『大和』は、小笠原と青ヶ島の間の哨戒を行っている。
「大ちゃんと一緒に哨戒で、楽しいぴょん!」
「ふふ、私も『卯月』と一緒で嬉しいです」
「うーちゃんのことは、うーちゃんと呼んで欲しいぴょん!」
「ふふ、わかりました」
ぴょんぴょんと燥ぐ『卯月』に、『大和』も笑みを零し……その直後
「あぶない!!」
『大和』は『卯月』を身を呈して庇った。
突然現れた、
「ぐうっ!!!」
「大ちゃぁぁぁぁん!!」
飛び散る血を浴びながら『卯月』が叫ぶも、『大和』は痛みを堪えながら笑みを浮かべる。
「大丈夫。『大和』は、
「よくも大ちゃんをやったな!?」
『卯月』は主砲を向けると、DSアサシンに向けて放つ。
DSアサシンはそれを難なく回避して、黒い靄に包まれて消える。
そして、『卯月』の背後に現れる。
「えっ?」
「シネ……」
『卯月』の首を刈り取ろうと、バスタードソードが振り下ろされ……
「うーちゃぁぁぁぁぁんん!!!!」
『大和』の目が、カッと見開かれた直後、そのままDSアサシンに体当たりして、
衝撃で『卯月』は吹き飛ばされ、至近にいた『大和』もまた、大破状態になる。
もちろん、DSアサシンも吹き飛ばされながら、黒い靄に隠れて逃げて行った。
「大ちゃん!!大丈夫ぴょん!?」
吹き飛ばされて小破となった『卯月』は、よろよろと立ち上がる『大和』に、肩を貸そうとする。
だが重過ぎて、そのまま崩れ落ちる。
形としては、『卯月』が
「だ、大ちゃん……重いぴょん」
「うっ……ごめんなさい」
そのタイミングで、別の場所を哨戒していた『三笠』と『瑞鶴』が救援にやって来た。
「おーい!大丈夫かぁ~!?」
「は、はい、何とか」
押し倒されている『卯月』と、大破している『大和』の格好を見ると、『瑞鶴』は、
「どういうことになってるの?」
と、呟かずにはいられなかった。
帰りは、『三笠』と『瑞鶴』に曳航されながら、『大和』が『卯月』を背負う形になる。
「大ちゃん、背中痛くないぴょん?」
「うーちゃんと一緒なら大丈夫です」
痛みを我慢しながら笑みを浮かべる『大和』に、『卯月』もまた、
「助かったぴょん。ありがとう、大ちゃん」
そう笑顔を浮かべるのだった。
曳航する二人は、
「仲いいわねあの二人」
「あの
等と会話をしていて……
結局『大和』は、背中の縫合手術を受ける羽目になった。
そして海来は、
「うわぁ……」
と、絶句せずにはいられないのだった。
おねロリ最高