新・小さな提督と艦娘日和   作:SAMICO

28 / 36
20時更新もちゃんとあります


黒井がいなくなった第12泊地にやって来た男とは


といいつつ、夏の制服事情に触れつつ、超米帝の噂の高い新提督について黒井夫妻と話し合う回


その名もアブドーラ

高梨未来の朝は早い。0600(マルロクマルマル)に目を覚ます。

「うー……ん」

身体を起こすとモソモソと下着を着け、スウェットを着込む。

とうとう「寝るとき以外、家ではスウェット()()でも着て欲しい。目のやり場に困る」

と言う、英太郎の()()に折れて、家の中では動きやすいスウェットかTシャツを着ること、と紀子を交えた家庭内会議で決定したのだ。

司令官従卒兼秘書の、

「嫁の裸を見慣れると、()()()()に問題があるんじゃないかしら?」

と言う一言も、彼女に服を着させる()()となったのだ。

 

服を着終わった頃には、英太郎も目を覚ます。

こちらは、きちんとパジャマに()()()()()()()まで被っている。

「おはよう、英太郎」

「おはよう、きちんと服を着ているな?」

「はい」

 

そして朝食を作って、二人で食べ終わる頃には0700(マルナナマルマル)

朝食当番は、一日置きに交代して行うことになった。

そして着替えて、出勤するのだ。

海来は、海上迷彩ズボンに海上迷彩シャツにカーディガン。

英太郎は、海軍夏服での出勤である。

 

出勤して行く頃には、紀子は既に司令官執務室に出勤しており、

今日の予定一覧を印刷して、各自のデスクに配布し終えている。

紀子も、海軍夏服での勤務である。

「おはようございます」

「おはよう、のりちゃん」

「おはよう」

その挨拶と共に、朝礼が始まる。

「ええと。今日の来客予定は、黒井・武蔵夫妻が休暇と視察にお見えになります。のりちゃんは来客応対をお願いします」

「分かりました」

「参謀長は同席願います」

「了解した」

 

()()()()()()()ので、いつもこんな感じの()()()()での朝礼なのだ。

レジェンド(結有)は、()()()にて朝礼を行っている。

結有は元々、()()()()()()()()()()()なので、陸軍夏服を着用しての勤務である。

再び防御隊長兼保安主任に戻った彼女は、任務に()()()()()()()()()()()が加わったのだ。

青ヶ島村には、駐在さんが一人しかいない為、トラブルが起こった時の対処は、()()合同で行うのだ。

その為、レジェンド(結有)も駐在所に顔を出しているのだ。

もちろん、斬艦刀を腰に帯びての巡回である。

 

艦娘達も寮長『瑞鶴』、旗艦『大和』の号令で朝礼が行われる。

朝礼後すぐに、『天龍』隊は資材運搬(遠征)任務に出撃し、周辺のイ級を駆逐しながら物資を運んで来るのだ。

そして『大和』隊は哨戒訓練活動に励むのだ。

 

昼過ぎに、黒井・武蔵夫妻がやって来た。

来客応対を紀子が行い、応接室に通し、コーヒーを出し終えたところで、二人も執務を切り上げて、応接室に向かうのだ。

ノックの後に二人が入室すると、黒井と武蔵が立ち上がり敬礼する。黒井は海軍式、武蔵は警察室内式の敬礼である

黒井は、右手を上げ手のひらを左下方に向け、人さし指を帽の庇の右斜め前部に当てて行う敬礼で、武蔵は上体を15度に傾けて、頭を下げる。

二人も、海軍式の答礼を行う。

「お掛けください」

そう言いながら、先に二人が黒井達の対面に腰掛けると、相手も腰掛ける。

紀子がそのタイミングで入室し、紅茶を差し出すのだ。

黒井は、海来と同じタイミングで昇進して、肩に大佐の階級章が付いている第二種軍服を、武蔵は、胸に警部補の階級章が付いている警察官夏服を着用している。

「黒井大佐、武蔵警部補、ようこそおいでくださいました」

海来の言葉に武蔵が、

「お初にお目にかかります。()()高梨提督のお孫さんにお会いできるのを楽しみにしていました。母島駐在所長、警部補の黒井武蔵です。夫がお世話になっております」

 

そう。武蔵は、東京で警視庁捜査一課主任・警部補だったのが、黒井の転勤に伴い、斎藤亮警察庁長官官房審議官(警視監)()()()()()()()()()()()、母島駐在所主任が高齢退職するのもあり、無理やりゴリ押しして、硫黄島に一番近い警察施設である、小笠原警察署地域課母島駐在所に、駐在所長として赴任したのだ。

傍から見たら、捜査一課と云う捜査の花形から僻地駐在所への、()()()()()()()である。

駐在所なので、そこに居住して母島の安全を、軍と協力して守り続けている。

「まあ、お偉方もいませんので、フランクにどうぞ?」

海来の言葉に、武蔵にも笑みが浮かぶ。

「うむ、助かる。しかし、私だけノンキャリ(地方公務員)で、キャリア(国家公務員)に囲まれる、こういう雰囲気も悪くないな?」

そう、武蔵だけは地方公務員のノンキャリア組なのだ。

特任した海来も含めて、他の三名は国家公務員なのだ。

「黒井提督には色々世話になったから、いつか食事をご馳走したいと思っていてな?」

これは英太郎の言葉である。

「本日、武蔵警部補は軍警連携をしている、青ヶ島泊地のお話をお聞きに来たんですね?」

「そうなるな。やはり離島になると、警察官も限られているから、駐留泊地との連携は大事、と考えている」

 

一頻り、仕事の会話が続けられる。

そして、仕事の会話が終わった頃に、お昼の鐘が鳴る。

「さて、そろそろお昼にしましょう。英太郎の約束通り今日はこちらでご馳走します」

「これで、黒井くんとの約束も果たせるな?」

そう言いながら、一同は青ヶ島食堂に移動する。

奥のお座敷席で再び座ると、武蔵はギガ盛り定食、残りの面々は日替わりランチである。

「ところで、聞きました?ヘルズゲート撃破事件」

食事も終えて、一同甘味を食べている所に、黒井は切り出した。

そう。先月のこと、「アブドーラ」と言うプレイヤーが、ヘルズゲートを撃破したのだ。

「アブドーラ」さんは、全国でも有名な超()()()()()()()()、所謂()()()()としても有名なのだ。

「私も()()()()()()()()ですからなんとも言えませんが、よくやり通した、って感じですよね?」

海来もその話を聞いた時、とうとうやったか?という感じだったのだ。

「それでですね、今度不在になっている第12泊地に、少佐として特任するそうです」

「えっ、日本人だったんですか?」

驚く海来。アブドーラのツイッターでは「ドバイの石油王の息子」と書かれているのだ。

「それがそうなんですよ。父親が日本人と結婚して、父親が大の親日家で日本に帰化したらしいんです。と言っても、彼の父親はドバイで事業を続けてるらしいですけど」

黒井の言葉に、「へぇ…」と相槌を打つ海来。

「本名が独特なんですよ。父親が()()()()()()で、付けた本名がアブドーラ東海林太郎左衛門佐幸村(しょうじたろうさえもんのすけゆきむら)、姓がアブドーラさんなんですよ」

「「な、長っ!」」

つい二人共、ツッコミを入れてしまう。

「それで、()()()泊地を建て直し、設備を取り揃え、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()んですよ。()()()()()()()()ですよ。契約上、()()()()は『自前の私物を持ち込んでも良い』ということになっていて……」

元々、海来()()を想定した契約書なのだ。それを流用したら、()()()()()()()()になってしまったのである。これに関しては、完全に()()()()()()()()()()である。

「……」

英太郎は絶句した。

「確かに私も、執務室に業務用冷凍庫まで()()で持ち込んではいますけど、()()()()()()()()()()()()()ますよぅ。()()()()()()()()()、ってどういうことですか?」

「もう早速、第3隊まで結成して、遠征部隊は()()()()()()()()()()()()()らしいです」

「そこまでの情熱を艦娘に注いでる、と言うことは()()()としては喜ばしいが……」

武蔵の言葉に一同は頷く。

「演習で一度送ってみたんですよ、『霧島』隊を。専用レストランがあって、料理は食べ放題、腕利きシェフ常駐で味は美味しく、()()()()完全補給して、手厚く歓迎されたそうです。提督の周囲も、元米軍グリーンベレーのボディガードが周辺を警備して、艦娘の為のトレーニングジムも完備だそうで……」

()()そんなお金欲しいです」

ポツリと呟く、()()()の娘。いくら金持ちでも、金持ちの()()()が違うのだ。相手は、本当の世界的な大富豪(所謂セレブ)の息子である。

「それで、アブドーラ()()幸村少佐は、人物的にはどうなんだね?」

英太郎が尋ねると、

「『霧島』が言うには、艦娘のことを何より大事にして、それでも訓練には手を抜かずに、頑張れば間宮アイス食べ放題、聞けば鳳翔フードサービスと()()供給契約を結んでるとか、練度はそれなりに高いそうなんです」

「うちのへっぽこーずに、爪の垢を煎じて飲ませたいです」

「おいおい、うち(青ヶ島泊地)も同じことしたら一瞬で破産する、やめろ」

英太郎がたまらず突っ込むと、黒井夫妻はどっと笑う。

 

黒井達はその後、また輸送船で帰っていく。

黒井大佐は、母島の母島駐在所で一泊してから、硫黄島要塞に戻るのだ。

 




Tips《武蔵警部補》
駐在所に配属できる最大階級が警部補です
有名な警部補:青島俊作(踊る大捜査線) 古畑任三郎(警部補古畑任三郎)など

Tips《左衛門佐》
本当は官職なので名前じゃないです。
アブドーラ父はなんて名前をつけてくれたんだ。

英語表記だと
Shojitarosaemonnosukeyukimura Abdullahとなります。

次回のお話はとてもとても悲しいお話(DSアサシン強化回・轟沈あり)なので、
読み飛ばしてもいいように二本投稿です。

19時/20時更新です。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。