そこで、ミクちゃん提督の考えた作戦とは
「艦隊のアイドル『那珂』ちゃんでーっす!」
その言葉と共にやって来た、『那珂』ちゃん。
「よ、宜しくお願いします」
「う、うん、よろしくね」
「よろしくだっぴょん!!」
漸く三隻が揃い、
やっと
「皆さん方
今日は、会議室を使って作戦会議である。
「なになに。『那珂』ちゃんがセンターじゃなきゃやだよ!?」
「どんなんだっぴょん!?」
「はいはい。静かに聞きましょうね?」
食らい付こうとする二人を制す『吹雪』。どうやらこちらでも、お世話係のようだ。
「コホン。作戦要旨を説明しますと、敵艦に対して駆逐艦二隻が、足を生かして半包囲します。
牽制で『那珂』ちゃんが攻撃をした目標に、息を合わせて砲撃と魚雷で
その説明に続いて
「あんた等「ひよっこ」は、
そう、笑いながらおどけてみせる。
「うー!!うーちゃんだって頑張ってるんだよ!!」
『卯月』が、膨れっ面で噛み付くも、
「あっはっは。そんなセリフは、
と言うと、それ以上言えずに、
「レジェンドは意地悪だ!うー!」
と唸ってしまう。
「まあ、努力は認めますけど、今の所五戦中五戦で
そう、海来が笑顔で言うと、
「頑張るっぴょん!頑張ったら、アイス欲しいっぴょん」
「アイス!?『那珂』ちゃんもアイス欲しい!!」
「できれば私も……」
と、アイスのおねだり攻撃を受ける海来。
「まあ、この作戦がうまく行ったら用意しましょうかね?」
「「「わーい!!」」」
既に勝ったように万歳三唱をする三人に、海来と結有は互いに肩を竦めて顔を見合わせた。
「そろそろ、敵さんの海域ですからね」
珍しく指揮艇を出して、海来同伴でやって来た近海海域。
「『那珂』ちゃんのセンター力にかかってるからがんばるっぴょん!」
「うん!『那珂』ちゃんにまっかせてー!」
「あ、駆逐イ級来ます! 敵艦見ゆ!」
ざざーっと駆逐イ級が顔を出して、『キシャー』と威嚇して来る。
「いつもの偵察艦隊です、作戦展開!」
海来の号令で、『卯月』と『吹雪』がざざーっと時計回りに回る。
「さーて、那珂ちゃんの出番だよ!」
『キシャー!』
イ級が口から砲撃をするのを、『那珂』ちゃんは避けようとして……
「ぎゃん!!」
顔面に直撃する。おでこがヒリヒリ状態である。
「うー……顔はアイドルの命なんだよ!!」
怒りながら、両腕の主砲と魚雷を向ける。
「お返しです。ファイアー!」
海来の号令に、側背に回り込んだ『卯月』と『吹雪』が魚雷を発射する。
イ級はそれを避けようとして……
ドッバァン!!『卯月』から放たれた魚雷に接触、更には『那珂』と『吹雪』の魚雷が直撃して、爆発四散した。
「「「やったぁ!!!」」」
三人ハイタッチして喜ぶ。
「おー、第一関門突破だね」
ざざざーっと
「今ならレジェンドにも当てれるっぴょん!」
『卯月』が、余計なことを言ってしまった。
「それじゃあ、当てられなかったら三人共青ヶ島環状線をマラソン、当てたらアイス二倍ね?」
そう言うと距離を取って、水性ペイント弾を40ミリリボルバー
「あーあ……」
海来が苦笑いで見守る中、第二回戦が始まった。
太陽が傾きかけて、綺麗な夕焼け空である。
「行くっぴょん!『那珂』ちゃん頼んだぴょん!」
「行きます!!」
「クロスファイア!」
先制で、砲撃と同時に『那珂』と回り込んだ二人の魚雷が、
「まだまだ、連携が甘すぎるんだよ!」
「ぎゃん!」
「ぴょん!」
「きゃっ!」
三人のお顔が仲良く真っ赤になったところで、海来がメガホンで、
「はーい、それまでー!ということで、皆は環状線一周してお風呂に入ってから、ご飯にしますよー!」
「「「えええええ!?」」」
三人は不満たらたらだが、この二人は上官なので、言うとおりにしなくてはならない。
「うふふ、ちゃんと今日のご褒美の間宮アイスは用意してますので、マラソン行ってきてください」
「「「はーい!」」」
間宮アイスというのは、鳳翔乳業が数年前から製品化した、
ハー○ンダッツやリー○デールと並ぶ、
実は海来は、コレが大好物で、私室の冷凍庫にいっぱい隠し持っているのだ。
もちろんコレは、
そして、新世代の艦娘達の間でも大人気になっていて、提督が買っては与える姿もよく見られるのだ。
ペイントされたお顔のまま、軍港からマラソンしている三人の艦娘と
もちろん、やらせる彼女も同伴でマラソンなのだ。
彼女の身体には、15㎏の錘付きチョッキが着せられている。
「それじゃあ、ゆっくり一周するよ!」
その
「「「はーい!」」」
と答える。
マラソンの途中、
「ねー、レジェンドはどうしてそんなに強いぴょん?」
と、『卯月』が質問を投げ掛けて来たのだ。
「そりゃあ、中学生の時から前線にいたからねえ。君達と一緒ような歳の頃からだよ?」
懐かしそうに答えた。
「ここは、私が毎日走っていた思い出の場所なんだ。元艦娘の吹雪と二人で」
「ええと、旧世代の吹雪さんですね?」
『吹雪』が、懐かしそうにしている結有に口を挟む。
結有は、30を過ぎたのを機に、一人称が僕から私に変わっていた。
「そう、あの時は楽しかったなぁ。湊さんに奈緒さん、それに恵一郎さんに父さん」
懐かしそうに語り出すのを見て、
「これからは、うーちゃんと『那珂』ちゃんと『吹雪』が、レジェンドと楽しく過ごすぴょん!」
その純粋な笑顔に、結有もふふっと笑うと、
「ありがと。うーちゃんのお陰でこの単身赴任、楽しくできそうだよ?」
「どういたしましてっ!」
嬉しそうにぴょんぴょん走る『卯月』の姿を、楽しそうに見守る結有だった。
その頃。
海来はその間宮アイスを頬張りながら、作戦報告書を書いている。
これで漸く、艦隊行動がまともに取れる。
そうなると、もっとやれる事も、資材も増えてくる。
それに、まだまだへっぽこ艦隊なのだ。演習もしなくてはいけないし……
報告書を書き終えたところで司令官端末を起動して、メッセージを確認すると、
紅茶を淹れて一息吐く。
司令官は司令官で、やることがあるのだ。
ある程度は、
よって、最低限の士官で運営できるようになっていたのだ。
そんな中、そろそろ資材集めの遠征部隊を編成したいなあ。
そんなことを考えながら、背伸びをしつつ窓の方を向いて、日の沈んで行く北西の空を眺めていると、
ピカッと、明かりが見えたような気がした……
「ん………?」
海来は銃を腰に帯びると、庁舎を降りて軍港の方に足を進める。
光の正体は、探照灯だった。
探照灯を担いで、やって来たのは艦娘……
傷だらけでボロボロのその彼女は、『雷』だった。
「はぁ……はぁ……」
埠頭によじ登り、ぜえはあ言っているが、海来は警戒を緩めない。
銃を突き付けて、
「駆逐艦『雷』、どこの所属ですか?」
銃を突き付けられた『雷』は、両手を上げながら、
「待って!撃たないで!わたしは……第12泊地…御蔵島の第十二艦隊所属の『雷』よ」
「逃亡ですか?脱走ですか?」
「お、お願い……電を助けて!!」
「えっ……?」
その必死の懇願に、銃を下ろすと腰に戻す。
「あの司令官、電に乱暴なことを……ずっと逃げられなかったけど、ようやく隙を衝いて逃げて来たのよ!」
「ええと、第十二艦隊司令官は、あなた方に
「それは………」
その雷の言葉を聞いた海来は、顔を険しくしていた。
「…それでね、反逆したからって、龍田さんは『処分』されちゃって、電と天龍さんが今地下営倉に……」
「しょ……!?」
処分とは文字通り、
「わかりました。ここに居る限り、貴女に手を出す人は居ませんよ」
そう優しくポンと頭を撫でると、丁度ランニングから戻って来た四名に、厳しい顔を向ける。
「皆さん、お風呂に入って軍港集合」
「えー!ご飯は!?」
『卯月』が不満顔をするも、
「提督、何かあったの?」
「……はい。これより、第十二艦隊御蔵島泊地を
「えっ……!?」
一同が絶句するも、海来が続ける。
「『雷』が救助を求めにやって来ました。これより、新・艦娘基本法に依る
「………OK。そういう訳だけど、皆はどうする?」
まだまだひよっこの艦娘達に、結有が顔を向けると、
三人共、怒りの表情に変わっていた。
「提督!従いていきます!」
「そんな酷いやつぶっ飛ばすぴょん!」
「『那珂』ちゃんもそんなやつ許せないよ!」
その言葉に、海来は全員を見回してから、『雷』に顔を向ける。
「案内をお願いしていいですか?」
「……う、うん」
「レジェンドは陽動をお願いします。
「えー……アレ使うの?肝試し用に作ったやつじゃん?」
せっかく作ったのにー、と結有が言いながら、倉庫から
そう。リアルな、
「その間に、私達は庁舎に急襲を掛けましょう!」
「「「「はいっ!!」」」」
こうして、
次回から結有表記に戻ります。
次回は悪のブラック泊地との抗争です。
レジェンド「別に倒してしまっても構わんのだろう?」
明日は多分お休みです