新・小さな提督と艦娘日和   作:SAMICO

31 / 36
とうとう、特別教導隊の精鋭たちがやって来た。

そして()軍曹もやってきた…。


やって来た結有ハーレムズ

悲しみも少しだけ和らいだ九月半ば。

青ヶ島に、ヘリコプターが降り立った。

「長かったね、意外と」

一番始めに降り立ったのは結雪(ゆき)()()()()()()である。

「そうだね。あ、ちーちゃん、ちょっと待っててね」

次に杏奈が降りると、()()の千里を、抱っこして降ろす。

「ありがと」

次に、夕立がぴょんと飛び降りる。

「着いたっぽーい!」

最後に瑞希が降りる。

「うむ………」

 

荷物は、既に引越し業者に送ってもらった。

海来の家の近くにある、空き家をリフォームして、漸く入居可能になったのだ。

「皆ー!久しぶり!!」

結有が、待ち構えるように声を掛けながら駆け寄ると、皆走っていく。

杏奈は、()()()()千里を支えながら、ゆっくりとそちらへ向かう。

真っ先に、結雪(吹雪)が飛び込んで抱き付く。

「もう、久しぶり過ぎて……()()()()長過ぎだよぉ!!」

半泣きで抱き付いて、胸に顔を埋める結雪(吹雪)の頭を撫でる結有。

次に、夕立が横から抱き付く。

「毎日の電話だけじゃ不満っぽかった!これで一緒っぽい!」

結雪(吹雪)ごと、ぎゅーっと抱き締める。

「結有、これでまた一緒に暮らせるし、また()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

瑞希は、この開戦時から深海棲艦としての力を取り戻していたのだ。いわば、()()()()()()()()()()()()()()である。

弱体化はしたものの、自主訓練のおかげで、ある程度は戦うことも出来るのだ。

「はいはい。ちーちゃんも、抱き付きたい、ってよ」

「ただいま。また、皆で暮らせるね?」

千里の笑顔に、皆で千里を抱き締める。

 

「家の方は準備できてるよ。全部引越し業者がやってくれたし。荷物も皆の部屋に」

6LDKの部屋は、結有、瑞希、杏奈、千里、夕立、()()で使い、『()()』の結雪(吹雪)は、結有と()()()()()を希望したのだ。

寝る時は、皆一緒の部屋で寝られるように、一番広い12畳の部屋を寝室に決めた。

軍人組と瑞希は、軍の制服を着込んでいる。

瑞希もこの()()()と、軍属・艦娘本部オブザーバーとして、軍に特任軍曹として復帰したのだ。

相変わらず、『仕えるのは各務原結有』と言うスタンスだが、海の平和も願っている彼女(瑞希)なのだ。

唯一、千里だけが私服を着ている。彼女が、家で皆の帰りを迎える役目なのだ。

 

「それじゃあ、早速軍港に案内するよ」

その結有の言葉で、全員借りて来たワゴンに乗り込み、軍港まで移動する。

軍港に降りると、海来と英太郎と紀子が迎えに出ていた。

 

車を降りると三人の前に並んで、千里以外は敬礼を、市民である千里は、深々と頭を下げる。

それに青ヶ島の三人(海来・英太郎・紀子)も答礼すると、結有は紀子の横に並ぶ。

「ようこそ、青ヶ島へ。それでは、正式な配属命令を発令します。

村井杏奈中佐、貴官を副参謀長・主計官に任じます」

「はっ、謹んでお受けします」

「各務原結雪少佐、貴官を泊地防御隊副隊長に任じます」

「はいっ!」

「夕立大尉、貴官を泊地防御隊員に任じます」

「ぽいっ!」

「各務原瑞希特任軍曹、貴官を艦娘指導員に任じます。へっぽこ達(へっぽこーず)を鍛えてください」

「了解した。()()()()()()()を繰り返さぬよう、指導を行う」

それぞれが、敬礼で辞令に応える。

「さて、千里姉さん。私の名前で、軍港入構許可を出します。いつでも、顔を見せに来てくださいね」

「ありがとうね、海来ちゃん」

 

演習を終えて、艦娘達もやって来る。

「おー、人がいっぱい増えたぴょん!うーちゃんは『卯月』だぴょん」

賑やかになりそうな気配に、『卯月』は顔が緩む。

「あーっ!()()()()()()()()()()では!?」

「うん、今は結雪(ゆき)って名前だけど。どうして私のことを?」

「艦娘学校では()()()()()です。握手してください!」

「あはは、これからよろしくね」

苦笑いしながら、握手に応じる元吹雪(結雪)に、嬉しそうな顔の『吹雪』。

「私は『三笠』である、よろしく頼む!」

「『大和』と申します……」

「『瑞鶴』よ、寮長をやっているわ」

「『那珂』ちゃんだよー!」

 

英太郎の傍に、千里がやって来る。

「英太郎先輩、変わりましたね?」

そう声を掛けたのは、千里である。

「お互いな。()()()()()()()()()()()()()で、()()()()を持ったものだ」

この二人は士官学校の先輩後輩で、旧知の仲なのだ。

お互い酷い親を持った、ということで意気投合し、付き合う手前まで行ったが、

結局それ以上の進展はなく、結有に掻っ攫われてしまったのだ。

「ふふっ、今は幸せですよ。今は義理の姉(海来の姉)、つまりは()()になりますね?」

「まあ、お手柔らかに頼むよ」

苦笑いを浮かべる英太郎。

「あー、千里姉さん?もしかして()()()()って!?」

その会話を、耳聡く聞いていた海来が問うと、千里がコクリと頷く。

「そうだったのか。私は、てっきりそういった感情はない、と思っていたよ」

()()()()()()()だったんですね?先輩は」

「まあ、30まで童貞貫く人ですから、そういう人なんです。でも()()()()()良かったです」

「お、おい……」

義理の姉(小姑)と嫁のタッグに、タジタジな英太郎である。

 

「紀子も結婚おめでとうね、千里から聞いたよ?」

「あ、ありがとうございます」

()()()()()()()()()()()こと杏奈が、代表してお祝いを渡す。

結雪(吹雪)もニコニコと、

「真由ちゃんから聞いたけど、三人で()()そうで、お楽しみでしたね!」

その言葉に、結有も乗っかる。

「おー、やったん?ラブラブそうで何より。産休申請、いつでも受けるよ?」

と言う言葉に、耳まで真っ赤になる紀子。

「あの……あの小悪魔め……」

呟いた時に大きな声で、「艦娘整れぇつ!」と言う声が響く。

 

埠頭で整列している艦娘達の前に、手を後ろに組んだ瑞希が立った。()()()、その横に夕立も居る。

「いいか、貴様等。本官は本日より、貴様等『へっぽこーず』の指導員となった、各務原瑞希軍曹である」

『はい!』

「まず頭に叩き込んでおけ。本官の訓練は、各務原准将(東富士の鬼)仕込みである。本官は各務原中佐(ムスメ)ほど甘くはない。水の鬼(駆逐水鬼)としてビシビシやるから、覚悟するように」

『は、はい!』

「本官の責務は、貴様等を()()()()()()()()()()()()()ように指導するものだ。その為には、本官もあらゆる手を尽くして徹底的に鍛え、扱き、いじめ上げる。貴様等も根性を出せ!気合を入れろ!」

『は、はい!』

「返事が悪い!返事は『はい!』だ!もう一度!」

『はい!』

「うむ。()()()()は、本官がお前達を本官の()()()()()()守る。()()()()()()ように研鑽するのだ。わかったな、返事は!」

『はい!』

「よろしい、では早速訓練を始める!」

「えー、今演習終わったばっかりなのに……」

文句を言う『那珂』を、瑞希は見逃さない。みるみるうちに、瑞希は不快な顔になる。

「貴様が『那珂』か?、言った筈だ。本官は各務原中佐ほど甘くはない。指導員、即ち教官の言うことは絶対だ。右を向けと言ったら右を向け!左を向けと言ったら左を向け、空を飛べと言ったら空を飛べ!」

「ど、どうやって空飛ぶの!?」

『那珂』の言葉に、瑞希は更に続ける。

「飛べと言っている!まだ分かっていないな。本官は、お前達を()()()()()ように指導する立場だ。指導を受けるお前達も()()()()()()()を負って行動しろ!自覚しろ!あの『初雪』のように、死にたくなければ本官の指導に従え!貴様等は()()だろうが!」

『はいっ!』

「よろしい、では懲罰(腕立て伏せ)だ」

『えええっ!?』

「当然だろう!貴様等は連帯責任だ。腕立て伏せ用意!」

瑞希が、真っ先に腕立て伏せの用意を始めると、皆も『那珂』を恨みがましく見ながら、腕立て伏せの用意をする。

「いちっ!にっ!さんっ!」

ペナルティの腕立て伏せが終わると、全員立ち上がり気を付けの姿勢になる。

「では演習を行う。貴様等の練度確認だ。夕立、付き合ってくれ」

「ぽいっ!」

早速海に出る瑞希。

()()()()()、模擬艦載機セットの箱を開ける夕立。

 

早速艦娘達は、駆逐水鬼改二化した瑞希と、ペイント弾で模擬戦闘を始めている。

弱体化したとはいえ、()()()()()駆逐水鬼改二に翻弄されている艦娘達。

夕立が指揮する、AI付き模擬艦載機達も、容赦無くペイント弾の雨を降らせる。

「きゃん!」

「ぴょん!」

「顔はやめて―!」

「ひゃん!」

「ちょっ!」

「ぐは!」

それぞれペイント弾を食らう『吹雪』、『卯月』、『那珂』、『大和』、『瑞鶴』、『三笠』。

再び埠頭に並んで、演習の評価が始まる。

 

「実に情けない、まだまだだな。『吹雪』は魚雷を撃つ時に、上体がふらついている。鍛錬不足の証拠だ!発射タイミングもまだ甘い、もっと引き付けて撃て!」

「はいっ!」

『吹雪』は、元気良くその指摘に応える。

「『卯月』は、対空射撃の時にもう少しモーションを省略しろ。それでは撃ち墜とせないぞ、防空をもっと意識して行動しろ!お前のミスが惨事に繋がる!」

「ぴょんっ!!」

『卯月』も素直に聞いている。

「ぴょん?まあいい、気合の入った返事だから良しとする。できれば、次から返事は「はい」だ」

「はいっ!」

「よろしい、次に『那珂』は水雷戦隊の要だ、周りをよく見て空気を読め!」

「『那珂』ちゃんKYじゃないもん!」

「そこがKYなんだ。もっと空気を読め、周りを見ろ!ライトクルーザーなりの戦い方をしろ!」

「ふぁーい」

「何だその返事は!?もう一度しか言わない、空気を読め!」

「は、はいっ!」

「返事が悪い!もう一度!」

「はいっ!」

「では、懲罰(ペナルティ)だ!腕立て伏せ用意!『那珂』には夕立が座ってやれ」

「ぽいっ!」

『那珂』ちゃんは、()()()()()()反論して、更に叱られる。

それで済むならいいが、また全員腕立て伏せである。『那珂』ちゃんは、()()()()()()()()()()()での腕立て伏せである。

腕立て伏せが終わると、再び全員、気を付けの姿勢に戻る。

「『大和』は、もっと観測結果を信用しろ。でかい砲弾も、当たらなければ()()()だ!お前が()()()()()()()()()()()()()()()()ことを、しっかり自覚しろ!旗艦としての責任だ!」

「はい!」

厳しい指摘に、一番練度の低い『大和』も真面目に聞く。

「『瑞鶴』は、爆撃に傾注し過ぎだ。もう少し()()()を意識しろ。お前のところには、()()()()()()()()()()が集結してるんだ、それを自覚しろ。()()()そのエースを指揮するんだ!自覚を持て!きちんと扱わねば、エースに失礼だろう!?」

「了解!」

両肩に乗っている、四人の隊長妖精さんと共に頷く。

「『三笠』は、どのレンジからでも主砲を撃てることを意識しろ!時には()()()()のも大事だ。戦艦とはいえ、()()()()()()()()も忘れるな!お前はレジェンド(伝説の戦艦)ではない、オールマイティ(取り回しの効く戦艦)だ!一番旧式なりの戦い方を考えろ!」

「わ、わかったのだ」

瑞希の鋭い指摘に、流石に『三笠』も素直に従う。

瑞希からは、百戦錬磨の古兵(ふるつわもの)の風格が漂っているのだ。

「よろしい、本日の演習を終了とする。敬礼っ!」

『ありがとうございましたっ!!』

と言う言葉と共に敬礼する艦娘達に、瑞希も笑みを浮かべて答礼する。

「よし、皆で海来提督にアイスを貰いに行こう」

今までよりも、物凄く柔らかくなった口調で言うと、艦娘達も笑顔になる。

『はーい!!』

 

それを見ながら結有は、

「そろそろレジェンド(教育係)も、卒業でいいかな?」

等と言うと、海来はふっと笑う。

「貴女は、瑞希と第3隊を率いてもらいます。まだアレ(DSアサシン)が居る限り、海に出てもらいますよ、レジェンド(結有さん)

「たはー、斬艦刀にはまだまだ世話になりそうだね?」

笑いながら言う結有に、()()も笑っていた。

 

そしてやって来た瑞希率いる艦娘達と、皆でおやつを食べるのだ。

訓練が終わった瑞希は、()()()()()()とても優しかった。




Tips《優しさ》
瑞希「失礼な、私は()()()()()()ぞ」
結有「()()()の優しさと、()()の優しさは違うからね」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。