新・小さな提督と艦娘日和   作:SAMICO

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装甲空母計画

恵奈が、再び第13(青ヶ島)泊地にやって来た。

「ご心配をお掛けしました!」

いつものように、輸送ヘリを飛ばしてやって来た恵奈は、『夕張』を伴っていた。

「大丈夫ですか?お体は」

「はい、休暇を取らせていただきました。それより瑞希さんから、『瑞鶴』さんに()()を実装しても良さそうだ、と連絡が入りましたので」

「……()()()()計画ですね?」

 

そう。この(装甲空母)計画の為に、エースパイロット達を集結させていたのだ。

だが、ジェット機の操作は通常より難しい。そこで瑞希は、『()()()()()()厳しくみっちり扱き上げていたのだ。

その追試で、『瑞鶴』に及第点を出した瑞希は、すぐさま恵奈に連絡を取って、『瑞鶴』にこれを実装させることにしたのだ。

硫黄島でもその片鱗を見せた彼女(『瑞鶴』)に、正式に適用させよう、と言うのも理由である。

 

「『瑞鶴』入ります!」

演習を終えた『瑞鶴』は、いつもどおりペイント弾を落とした後に、瑞希から司令官執務室に行くように、と言われていたのだ。

「はい、どうぞ」

『瑞鶴』が中に入ると、海来が執務机に、恵奈と瑞希がその脇に控えている。

「失礼します!」

『瑞鶴』が敬礼すると、三人は答礼を行う。

「司令官から大事なお話がある、心して聞くように!」

鬼軍曹瑞希の言葉に、『瑞鶴』の顔が引き締まる。

「はいっ!」

「楽にしていいですよ」

その海来の言葉でも、まだ気をつけの姿勢のままの『瑞鶴』に、

「正規空母『瑞鶴』、休め」

瑞希の声で、休めの姿勢になる。

 

「今日、貴女を呼んだのは他でもありません。()()()()()()()()()()を行います。試作型墳進戦闘爆撃機の実装試験に、貴女が選ばれました」

「えっ……?」

キョトンとしている『瑞鶴』に、瑞希が、

「言っただろう。()()()()()()()、と」

瑞希がそうニヤッと笑みを浮かべると、恵奈が一歩前に出る。

「では、実装スケジュールを説明します。本日より一週間、艤装が使用できなくなります。その間は()()()()ということで、瑞希さんの指示に従って、「へっぽこーず」の訓練を担当してもらいます」

「はいっ!」

「では話は以上だ。司令官、補足はありますか?」

瑞希の言葉に、海来は首を振る。

 

 

翌日から『瑞鶴』は、今まで夕立が操作していた、模擬戦闘機の指揮を担当することになった。

それから数日経ったある日だった。

「『瑞鶴』が的に回ったぴょん!!」

「何か、戦闘機のレベルが上がったんですけどぉ!」

「うーちゃん!もっと撃って!!」

「三式弾に装填し直します!」

「うわーもうだめだー!」

今日も、ペイント塗れになるへっぽこーず。

()()()()へっぽこだな」

 

腕を組んで笑っている瑞希は、()()()()()()()()()()()感覚(殺気)を感じた。

「っっ!!」

振り向いてバックステップで下がると、突然靄から『初雪』(DSアサシン)が現れて、主砲を工廠に向けた。

ズカァン!ズカァン!

「きゃあっ!!」

工廠に直撃した爆発音と、恵奈と『夕張』の悲鳴が聞こえた。

更に、空から大量の爆撃機の編隊がやって来た。

そして前には、ル級の艦隊も……

「『卯月』!今までの成果を見せる時だ!」

「で……でも……!?」

「でももへったくれもない!彼奴等は()()()()()()()()()()()()気だ!ここで食い止めねば、皆死ぬぞ!?」

「そ、それは………それは嫌だぴょん!!」

 

『卯月』は、カッと目を見開くと腰を落とし、対空砲を乱射し始める。

次々と墜とされて行く爆撃機。

瑞希も、高角砲でどんどん敵機を墜として行く。

その間に、残りの四隻(『大和』・『那珂』・『吹雪』・『三笠』)もル級に立ち向かって行く。

撃ち墜とせない敵機は、レジェンド(結有)の対空攻撃と、海来(DSキラー)のサブハープーンが撃墜して行く。

それでも、庁舎や工廠にダメージを受ける。

『卯月』は歯を食い縛って、対空砲を連射して行く。

「絶対に……負けないぴょん!!」

『卯月』の艤装が光に包まれた。そう、()()()()になった証である。

「ぷっぷくぷー!!!!」

「うーちゃん!密集してる中心に、火砲を集中!」

その叫びと共に、対空弾幕を密集化させていく。茜妖精さんもサポートをしている。

「何故諦めないの?人間共」

『初雪』(DSアサシン)は苛立っていた。青ヶ島そのものを焼き払う計画は、半分失敗したようなものである。

「まあいい、ヲ級を前に出させなさい」

 

ル級を相手にしている艦娘達も、苦戦していた。

そこに、瑞希の檄が入る。

「『那珂』!周りを見て空気を読め!今やるべきことは何だ!?」

「は、はい!水雷隊、前進!」

「はいっ!」

『那珂』は『吹雪』と共に前に出ると、その中間に『三笠』が布陣する。

そして、大和が観測機を飛ばして、精密砲撃を行う。

「発射!!」

ズドォン!と、『大和』の主砲がル級の一体に向かって飛んで行く。

「よし!攻撃目標、『大和』の着弾点である!」

「「はいっ!」」

へっぽこーずも、彼女達なりに対DSアサシンプランを練っていたのだ。

信頼性の高い、精密砲撃着弾に合わせての集中砲火である。

次に、『三笠』のトリプル主砲が敵を捉える。

「発射ぁ!!」

『三笠』のトリプル主砲の砲弾が、敵を沈める。

次の攻撃指針は、『那珂』に委ねられる。

「次のル級に攻撃!」

『那珂』の主砲に合わせて、『吹雪』が魚雷攻撃を行うのだ。

その連携プレーをしている中、工廠では………

 

 

爆撃や砲撃で壊れた工廠の中で、恵奈は必死で実装作業を続けていた。

破片で右目が見えなくなって。それでも作業を止めることはなかった。

「恵奈さん、大丈夫!? 実装を一旦やめて今のままでも……」

「後もう少し……後もう少しです……」

『夕張』は重傷で、千里と杏奈が診療所に運んで行った。

外の砲撃音が激しくなった時、恵奈が振り向いた。

「やりました!実装完りょ」

ズガァン

砲弾を、()()()()()()()のだ。恵奈は、艤装を守るように立ちはだかり、吹き飛ばされた。

「ぐう………っ……」

地面に叩きつけられた恵奈に、『瑞鶴』が駆け寄って抱き起こす。

「……さいごの……仕事……おわりまし……た」

そう満足気な表情を浮かべると、がくんと意識を失った。

「英太郎大佐!すぐに診療所に!!」

「わ、わかった!」

英太郎が、恵奈を背負って駐車場に向かうと、『瑞鶴』は、艤装と新しい弓矢を手に取った。

そして、順次発進させて行く。ジェット音を響かせて発進して行くのは、橘花改2隊(翼隊・ロクマル隊)噴式景雲改(加賀隊)噴式景雲改G(ルーデル隊)である。

すぐに工廠を出て空を見上げると、ヲ級から大量の戦闘機や爆撃機が、順次発進しているところだった。

「お待たせ、皆!」

すぐに矢を番えると、全機発進させる。

―――ひゃっほう!!敵機は皆殺しだ!!コノヤロウバカヤロウ!!

―――冷静に処理しましょう。加賀さんと閣下(ルーデルさん)は、ヲ級を爆撃してください。

―――分かったわ。

―――了解だ。

 

橘花改隊は、敵機の上空から機銃攻撃で、次々とたこ焼き型艦載機を撃墜して行く。

地上からの支援攻撃も相まって、空の脅威は一掃されつつあるようだった。

『初雪』(DSアサシン)は一気に後退すると、ヲ級の後ろまで下がる。

それが間違いの元だった。

空からは、噴式景雲改と噴式景雲改G隊が爆撃を開始していた。

更には37㎜砲二門を取り付けた、ルーデル妖精さん専用(頭のおかしい仕様)の噴式景雲改Gが、出撃しようとしているヲ級の発進口の艦載機に、37㎜砲を撃ち込み、誘爆でヲ級の頭を吹き飛ばす。

―――発進前の飛行機なぞ、タンクと同じだ。

そして急降下爆撃である。

ズガァン!ズガァン!

ヲ級は次々と沈んで行き、前衛のル級も『大和』等に撃沈されて行く。

「くそっ!次があると思うな!?人間共め!」

大破状態になった『初雪』(DSアサシン)は、靄に隠れて消えて行った。

「よし。敵を殲滅するぞ、お前達!」

『はいっ!』

残った敵も、瑞希の指揮でどんどん海の藻屑となった。

 

地元の土建屋さんによって、庁舎が修理されている中、艦娘達は整列させられている。

「お前達、よく連携して深海棲艦の攻撃を防いだ。私は感動している。現刻を以て(たった今より)、貴様等はへっぽこーず卒業だ――――よしっ!よくやった!」

『はいっ!』

その全員の喜びの声の直後、瑞希はニヤリと笑みを浮かべる。

「では、明日より()()()()()()()。覚悟しておくように」

「は、はいっ!」

艦娘達の顔が青くなる。今の所、()()()()()()()()()()()()()()のだ。

「返事が悪いな、腕立て伏せ!」

そんな様子を、穏やかな表情で見守っている海来だった。

 

 

恵奈は、運良く失明には至らなかったものの、視力が落ちた為、眼鏡を常時着用しないといけなくなった。

でも、もう翌日にはエナツキ日和の生放送に参加するほど、回復が早いのだ。

眼鏡恵奈もかわいい!と、エナツキ―ズさんにも好評だった。

『夕張』も重傷には至らず、翌日には職場復帰していた。

 

 

その頃、遠い海で『初雪』(DSアサシン)が恨みを募らせていた。

「またしても………おのれ……高梨未来……」

その艤装には、アンテナが取り付けられていた。

翼妖精さんが、超低空飛行で擦れ違い様に発信機を取り付けたのだ。

 

 

翌日、補給と補修を済ませた艦娘達は、DSアサシンとの決着を付ける為、出撃して行った。

もちろん、海来やレジェンド(結有)、瑞希も一緒である。

艦娘九隻による連合艦隊である。

 

もちろん、DSアサシン(彼女)を狙っているのは、海来達()()ではない。

アブドーラ(御蔵島)艦隊も、その発信機の情報提供を受けて、出撃を始めていた。

「アッラーフ・アクバル、出撃デス!」

『おーっ!!』

自身も指揮艦に乗り込んでの出撃である。

四部隊24人の艦娘による、()()()()()()()()()()である。

こうして、DSアサシン包囲作戦が開始された。




次回最終回!
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