恵奈が、再び
「ご心配をお掛けしました!」
いつものように、輸送ヘリを飛ばしてやって来た恵奈は、『夕張』を伴っていた。
「大丈夫ですか?お体は」
「はい、休暇を取らせていただきました。それより瑞希さんから、『瑞鶴』さんに
「……
そう。
だが、ジェット機の操作は通常より難しい。そこで瑞希は、『
その追試で、『瑞鶴』に及第点を出した瑞希は、すぐさま恵奈に連絡を取って、『瑞鶴』にこれを実装させることにしたのだ。
硫黄島でもその片鱗を見せた
「『瑞鶴』入ります!」
演習を終えた『瑞鶴』は、いつもどおりペイント弾を落とした後に、瑞希から司令官執務室に行くように、と言われていたのだ。
「はい、どうぞ」
『瑞鶴』が中に入ると、海来が執務机に、恵奈と瑞希がその脇に控えている。
「失礼します!」
『瑞鶴』が敬礼すると、三人は答礼を行う。
「司令官から大事なお話がある、心して聞くように!」
鬼軍曹瑞希の言葉に、『瑞鶴』の顔が引き締まる。
「はいっ!」
「楽にしていいですよ」
その海来の言葉でも、まだ気をつけの姿勢のままの『瑞鶴』に、
「正規空母『瑞鶴』、休め」
瑞希の声で、休めの姿勢になる。
「今日、貴女を呼んだのは他でもありません。
「えっ……?」
キョトンとしている『瑞鶴』に、瑞希が、
「言っただろう。
瑞希がそうニヤッと笑みを浮かべると、恵奈が一歩前に出る。
「では、実装スケジュールを説明します。本日より一週間、艤装が使用できなくなります。その間は
「はいっ!」
「では話は以上だ。司令官、補足はありますか?」
瑞希の言葉に、海来は首を振る。
翌日から『瑞鶴』は、今まで夕立が操作していた、模擬戦闘機の指揮を担当することになった。
それから数日経ったある日だった。
「『瑞鶴』が的に回ったぴょん!!」
「何か、戦闘機のレベルが上がったんですけどぉ!」
「うーちゃん!もっと撃って!!」
「三式弾に装填し直します!」
「うわーもうだめだー!」
今日も、ペイント塗れになるへっぽこーず。
「
腕を組んで笑っている瑞希は、
「っっ!!」
振り向いてバックステップで下がると、突然靄から
ズカァン!ズカァン!
「きゃあっ!!」
工廠に直撃した爆発音と、恵奈と『夕張』の悲鳴が聞こえた。
更に、空から大量の爆撃機の編隊がやって来た。
そして前には、ル級の艦隊も……
「『卯月』!今までの成果を見せる時だ!」
「で……でも……!?」
「でももへったくれもない!彼奴等は
「そ、それは………それは嫌だぴょん!!」
『卯月』は、カッと目を見開くと腰を落とし、対空砲を乱射し始める。
次々と墜とされて行く爆撃機。
瑞希も、高角砲でどんどん敵機を墜として行く。
その間に、
撃ち墜とせない敵機は、
それでも、庁舎や工廠にダメージを受ける。
『卯月』は歯を食い縛って、対空砲を連射して行く。
「絶対に……負けないぴょん!!」
『卯月』の艤装が光に包まれた。そう、
「ぷっぷくぷー!!!!」
「うーちゃん!密集してる中心に、火砲を集中!」
その叫びと共に、対空弾幕を密集化させていく。茜妖精さんもサポートをしている。
「何故諦めないの?人間共」
「まあいい、ヲ級を前に出させなさい」
ル級を相手にしている艦娘達も、苦戦していた。
そこに、瑞希の檄が入る。
「『那珂』!周りを見て空気を読め!今やるべきことは何だ!?」
「は、はい!水雷隊、前進!」
「はいっ!」
『那珂』は『吹雪』と共に前に出ると、その中間に『三笠』が布陣する。
そして、大和が観測機を飛ばして、精密砲撃を行う。
「発射!!」
ズドォン!と、『大和』の主砲がル級の一体に向かって飛んで行く。
「よし!攻撃目標、『大和』の着弾点である!」
「「はいっ!」」
へっぽこーずも、彼女達なりに対DSアサシンプランを練っていたのだ。
信頼性の高い、精密砲撃着弾に合わせての集中砲火である。
次に、『三笠』のトリプル主砲が敵を捉える。
「発射ぁ!!」
『三笠』のトリプル主砲の砲弾が、敵を沈める。
次の攻撃指針は、『那珂』に委ねられる。
「次のル級に攻撃!」
『那珂』の主砲に合わせて、『吹雪』が魚雷攻撃を行うのだ。
その連携プレーをしている中、工廠では………
爆撃や砲撃で壊れた工廠の中で、恵奈は必死で実装作業を続けていた。
破片で右目が見えなくなって。それでも作業を止めることはなかった。
「恵奈さん、大丈夫!? 実装を一旦やめて今のままでも……」
「後もう少し……後もう少しです……」
『夕張』は重傷で、千里と杏奈が診療所に運んで行った。
外の砲撃音が激しくなった時、恵奈が振り向いた。
「やりました!実装完りょ」
ズガァン
砲弾を、
「ぐう………っ……」
地面に叩きつけられた恵奈に、『瑞鶴』が駆け寄って抱き起こす。
「……さいごの……仕事……おわりまし……た」
そう満足気な表情を浮かべると、がくんと意識を失った。
「英太郎大佐!すぐに診療所に!!」
「わ、わかった!」
英太郎が、恵奈を背負って駐車場に向かうと、『瑞鶴』は、艤装と新しい弓矢を手に取った。
そして、順次発進させて行く。ジェット音を響かせて発進して行くのは、
すぐに工廠を出て空を見上げると、ヲ級から大量の戦闘機や爆撃機が、順次発進しているところだった。
「お待たせ、皆!」
すぐに矢を番えると、全機発進させる。
―――ひゃっほう!!敵機は皆殺しだ!!コノヤロウバカヤロウ!!
―――冷静に処理しましょう。加賀さんと
―――分かったわ。
―――了解だ。
橘花改隊は、敵機の上空から機銃攻撃で、次々とたこ焼き型艦載機を撃墜して行く。
地上からの支援攻撃も相まって、空の脅威は一掃されつつあるようだった。
それが間違いの元だった。
空からは、噴式景雲改と噴式景雲改G隊が爆撃を開始していた。
更には37㎜砲二門を取り付けた、
―――発進前の飛行機なぞ、タンクと同じだ。
そして急降下爆撃である。
ズガァン!ズガァン!
ヲ級は次々と沈んで行き、前衛のル級も『大和』等に撃沈されて行く。
「くそっ!次があると思うな!?人間共め!」
大破状態になった
「よし。敵を殲滅するぞ、お前達!」
『はいっ!』
残った敵も、瑞希の指揮でどんどん海の藻屑となった。
地元の土建屋さんによって、庁舎が修理されている中、艦娘達は整列させられている。
「お前達、よく連携して深海棲艦の攻撃を防いだ。私は感動している。
『はいっ!』
その全員の喜びの声の直後、瑞希はニヤリと笑みを浮かべる。
「では、明日より
「は、はいっ!」
艦娘達の顔が青くなる。今の所、
「返事が悪いな、腕立て伏せ!」
そんな様子を、穏やかな表情で見守っている海来だった。
恵奈は、運良く失明には至らなかったものの、視力が落ちた為、眼鏡を常時着用しないといけなくなった。
でも、もう翌日にはエナツキ日和の生放送に参加するほど、回復が早いのだ。
眼鏡恵奈もかわいい!と、エナツキ―ズさんにも好評だった。
『夕張』も重傷には至らず、翌日には職場復帰していた。
その頃、遠い海で
「またしても………おのれ……高梨未来……」
その艤装には、アンテナが取り付けられていた。
翼妖精さんが、超低空飛行で擦れ違い様に発信機を取り付けたのだ。
翌日、補給と補修を済ませた艦娘達は、DSアサシンとの決着を付ける為、出撃して行った。
もちろん、海来や
艦娘九隻による連合艦隊である。
もちろん、
「アッラーフ・アクバル、出撃デス!」
『おーっ!!』
自身も指揮艦に乗り込んでの出撃である。
四部隊24人の艦娘による、
こうして、DSアサシン包囲作戦が開始された。
次回最終回!