新・小さな提督と艦娘日和   作:SAMICO

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傷つけられている艦娘を助けに立ち上がったへっぽこーずとレジェンド達。

そして海来の知られざる秘密とは……?


第十二泊地攻略

青ヶ島泊地(第13泊地)の面々は、お風呂に入ってペイントや汗を落としたあと、

再び軍港に集結した。

『雷』には、なけなしの高速修復材を使い、緊急入渠による治療も施した。

「皆さん、準備はいいですか?」

()()()()とはいえ、いつものカーディガン姿の海来。

『はーい!』

そう、元気良く返事するのは、へっぽこ三人娘(『吹雪』・『卯月』・『那珂』)

そしてその横には、リアルな深海棲艦の着ぐるみを着た上で、汎用艤装を取り付けている結有。

「これ、めっちゃ暑いんだけど?」

「でしょうねえ」

さらっと流す海来に、新参者の『雷』は、従いて行けない。

 

「では作戦要旨を説明します。攻撃対象の御蔵島軍港は北側にあります。よって、レジェンド(結有さん)が敵の艦娘を惹き付けている間に、私達は南から上陸し、陸路で接近して庁舎を襲撃します。データに依ると、司令官の井川中佐、護衛官の佐村大尉の二人だけとなっています。私は井川中佐を()()しますので、()()()()()()は艦娘達を救出して、南の森の中に逃げてください」

その作戦要旨に、結有は頷く。

「提督お一人で大丈夫ですか?」

『吹雪』が心配するが、海来は笑顔を浮かべる。

「きちんと拳銃も携帯していますし、やばかったら逃げて来ますので大丈夫です。まだまだ、へっぽこのお世話にはならないつもりです」

そう冗談めかしていう海来に、『卯月』が膨れっ面でぴょんぴょん飛びながら、

「うーちゃん達、そんなにへっぽこじゃないぴょん!」

と抗議の声を上げるも、『那珂』が

「取り敢えず、もうちょっと戦果上げてからにしようか?」

と宥めると、『卯月』も少し納得して、

「それじゃあ、この任務頑張ったら、アイス二倍にしてくれるっぴょん?」

等と、アイスをねだってくる。

「わかりました。任務に成功して、()()()()()()()()ら、アイスを二倍にしましょう」

『ばんじゃーい!』

海来の言葉に、小躍りをし始めるへっぽこーず(『吹雪』・『卯月』・『那珂』)

「こ、ここに助けを求めてよかったのかしら……?」

心配になる『雷』だった。

 

レジェンド(結有さん)は、艦娘をなるたけ惹き付けて、()()()()陽動をお願いします」

小躍りしているへっぽこーずを尻目に、()()()()()()()()()()こと結有に声を掛ける。

「もう、ニックネームが『レジェンド』なんだ。まあいいけど……」

中で苦笑いを浮かべている結有。

「ただ………」

そのあと、結有はそう言って一呼吸措いた。

海来や艦娘達が、不思議そうな顔をしながら結有の方を見る。

()()()()()()()()()()()()()()()

その言葉に、海来はお腹を抱えて笑い出した。

「あはは、()()()()()もらって構いませんよ。保護機構も付いているし、『轟沈』はしないでしょう」

「おー、さすがレジェンド。すごい自信だっぴょん」

海来の言葉に、『卯月』もお目々キラキラで、その言葉に続く。

「ねえ、レジェンドってそんなに強いの?」

そう不思議そうに、海来に訊く『雷』に、

「そうですねえ。レジェンド(結有さん)の伝説はいくつかありますけど……士官学校で因縁付けられて、たった一人で()()()()()()()にしたとか」

完全に()()である。正確には、()()()()()()()()()()()()()だけである。

「そ、そんなに?」

「いやあの、海来?」

びっくりする『雷』に、苦笑いを浮かべる結有。

「あとは、そうですねえ。モーターボートからル級を回し蹴りで沈めた、とか」

「ええっ!?」

「極め付けは、()()()()()()()()()()()()とか」

『えええええええええええっ!?』

最後の言葉には、へっぽこーずまで驚く。

「れ、レジェンドって化物ぴょん?」

「す、凄過ぎます!」

「すごーい!!」

「まさに、レジェンドの名に恥じないわね」

へっぽこーずと『雷』の言葉に、たまらず訂正をする結有。

「あのね。ル級は事実だけど、駆逐水鬼は『瀕死の』って形容詞を付けてもらわないと!私化物じゃん!」

「でも、レジェンド伝説に相応しいかもぴょん!」

その言葉に気を良くした海来が、更にうんちくを披露する。

「そのレジェンドの両親は、宮戸島で半年間サバイバルして、深海棲艦と戦い続けたらしいです」

「おー、レジェンドの逸話に相応しいっぽいぴょん」

やはり『卯月』が、その話に食い付いている。

完全に、()()()()にされているレジェンド結有は、これを御蔵島泊地(第12泊地)の艦娘にぶつけてやろう、と心で誓うのだった。

完全に()()()()()である。

 

 

――――――

 

御蔵島の哨戒エリア外で、へっぽこーずと海来と『雷』と別れたレジェンド(大魔王)結有は、

汎用艤装で、哨戒エリアまで立ち入った。

警報が鳴り響き、軍港からは艦娘達が次々出撃してくる。

『扶桑』に『山城』、『衣笠』、『祥鳳』、『飛鷹』、『隼鷹』……

完全な航空特化型だ。

「フハハハハハ、コワカロウ?」

着ぐるみの、ボイスチェンジャー付きのスピーカーで高笑いを上げる結有。

「この深海棲艦……見たこと無い。新型!?」

「新型なら、戦果は充分。当分の間は食事も摂れるわ」

等と、『山城』と『扶桑』が会話をしているのも、集音器で耳に入る。

(悪いけど、ちょっとの間オネンネしてもらうよ)

「とにかく沈めましょう!」

そう言うと、航空機が全艦から順次発艦する。

そして降り注ぐ、爆撃や魚雷。

「ヒャッホウ!」

ボイスチェンジャーで歪んだ声ながら、楽しそうに爆撃を超高速で滑って躱して行く。

魚雷も、軌道を読んで巧みに躱して行く。

元々は、あの()()()()()()()()()()()()()に、魔改造を施されている汎用艤装だ。

結有(レジェンド)とて同様で、その恐ろしい機動力で爆撃の雨を潜り抜けるのだ。

「コッチカラオカエシダ!」

ウエポンコンテナを開くと、ニョキッと出てきた両肩部対空5.56ミリガトリングガンが火を噴く。

汎用艤装の耐衝撃機構で、かなり衝撃は吸収されるが、砲撃しながら後ろに下がっていくくらいの反動である。

全ての弾薬はHEIAP弾で、当たった弾薬は炸裂して燃え上がり、それが隣の機にぶつかりと、

上空では、花火がボンボン上がり始めていた。

「これなら!!」

「どうかしら!」

『山城』と『扶桑』が主砲を向けると、結有は対空砲火を止め、敢えて砲弾をギリギリのところで避けて、逆に山城の懐へ飛び込む。

「かはっ!!」

「スコシオネンネシテナ」

『山城』の鳩尾にボディブローを叩き込むと、彼女の目はグルンと廻り、意識を失う。

「よくも『山城』を!!」

『オマエモ、スコシネテナ」

「ごふっ!!」

続いて、『扶桑』にも膝を蹴り込む。練度の低い彼女達には、まだまだ結有(レジェンド)の相手は務まらないのだ。

 

数分後、水面にプカプカ浮いて気を失っている、彼女達の姿があった。

そこに佇む、爆風でぼろぼろになった深海棲艦の着ぐるみ。

首のところから取り外すと、

「いやあ、涼しい…」

と、汗びっしょりの結有がイヤーマフを外すと、

「彼奴等、上手くやってるかな……?海来は、まああの子は大丈夫でしょ」

そう言いながら汎用艤装を走らせ、艦娘達との合流ポイントに向かうのであった。

 

 

その頃、へっぽこーずと愉快な仲間達は、『雷』の案内で庁舎の方に接近していた。

既に警報は鳴っている。

軍港へ庁舎の裏から接近すると、軍港の様子を眺める。

軍港には、二人の士官が立っていた。

「では三人は、『雷』の案内で、地下営倉とやらに忍び込んで、『天龍』と『電』を救出して、先に帰っててください」

『了解』

そう言うと、『雷』の案内で、へっぽこーずは庁舎に窓から侵入して、地下営倉に向かって歩いて行くのだった。

 

地下営倉では、ボロボロの服を身に纏った『天龍』と『電』が、身を寄せ合いながら泣いていた。

そして、『天龍』が先に気付いた。

「『雷』……コイツ等は……?」

「助けを呼んできたわ。すぐに脱出しましょう」

『雷』がそう言うと、『吹雪』が海来の、いつも持ってるIDカードを、牢屋のカードリーダーにタッチする。

すると扉が開き、へっぽこーずが中に入り、持っていたバスタオルを二人に掛ける。

「大丈夫っぴょん。悪い司令官は、レジェンドとミクちゃん提督が捕まえてくれるぴょん」

「私達は第13泊地艦隊です。あなた達を助けに来ました!」

『吹雪』の言葉に安心したのか、緊張の糸が切れた『天龍』と『電』は、意識を失った。

「背負って泊地に戻りましょう。戻り次第、すぐに夕雲先生の往診をお願いしますね?」

へっぽこーずのリーダー役に納まった『吹雪』が、テキパキと指示を出す。

『卯月』と『那珂』が、それぞれ『電』と『天龍』を背負って、

御蔵島南部の、結有との合流ポイントに急ぐのだった。

 

 

へっぽこーずと『雷』が、二人の艦娘を救助して、森の中に走って行ったのを確認すると、海来は敢えて自分から、井川と佐村の前に姿を現した。

「誰だ!?」

護衛役の佐村大尉が銃を向けると、

「青ヶ島泊地艦隊の司令官、高梨海来少佐です。あなた達の悪事は、全て『雷』から聞きました。大人しく逮捕されてください」

「小娘に指図される謂れはないわ!やれ!」

井川中佐の号令に、佐村大尉が銃を発射する。

「ぐうっ!!!」

銃弾は海来の右肩に当たり、右肩を抑えて膝を付いた。

その時、抜こうとしていた銃も、近くに転がってしまった。

「15歳で特任された小娘が生意気に……」

佐村大尉に羽交い締めにされたところで、井川中佐がカーディガンごとワイシャツをビリっと破く。

「母さんに買ってもらったカーディガン………」

そして、顕になった黄色いかわいいブラをも引きちぎると、可愛い小ぶりの胸が顕になる。

「紀子ちゃんに誕生日プレゼントでもらったブラ……」

()()()()()()()()()()ように、冷たい声色で呟く海来。

「まだ、お前、男を知らないだろう?女にしてやるよ!」

いやらしい笑みを浮かべた井川中佐に、ぐっと目を閉じて……

 

 

目を開くと、()()()()()()()()()()()()()

「薄汚い人間共が……汚い手で触るな!」

羽交い締めにしていた、佐村大尉の股間を後ろ足で蹴り上げた。

「うぐうっ!!!」

物凄い勢いで蹴り上げられた股間の激痛で、羽交い締めが解け、佐村大尉は泡を噴いて気を失ってしまった。

「貴様!」

井川中佐が、銃を抜き放ち発射するも()()……いや、()()()()()は、俊敏にその銃弾を回避する。

その逸れた銃弾は、佐村大尉の胸に当たり、佐村大尉は数度身体が痙攣して動かなくなった。

「貴様、深海棲艦だったのか!?まあいい。お前を殺せば、俺も次は大佐だ!」

「残念だけど、准将になるかもね。()()()()()で」

()()()()()()()()()()であるDSキラーは、残忍な笑みを浮かべる。

「貴様ぁぁぁぁ!!!」

「自分の罪を数えながら地獄に堕ちろぉ!!!」

再び銃を向けるよりも、デスサイズを現出させ、カッと目を見開いたDSキラーの方が速かった。

ザンっと首を刈り取ると、井川中佐の体はそのまま前のめりで倒れた。

 

返り血を浴びながら、デスサイズを収納して、

「ふぅ………」

と、一息吐いて黒い瞳に戻った海来は、すぐに携帯電話を取り出した。

「もしもし、未来伯母さんですか?ちょっと裏から手を回してもらいたいことが……」

 

数日後。井川中佐と佐村大尉は、深海棲艦の襲撃を受け、第一隊は全員気絶し、戻って来た頃には、

二人共殺されていた、ということで二階級特進し、それぞれ准将/中佐への昇進が発表された。

しかし、その後の第12泊地艦隊第一隊の証言によって、井川の悪事が明るみに出て、その昇進が取り消されたのだ。

彼等は生前に遡り、不名誉除隊処分となった。

そして、御蔵島泊地(第12泊地)には新しい司令官が送り込まれ、

保護した『天龍』と『電』それに『雷』は、青ヶ島泊地(第13泊地)に移籍することが決まった。

 

それから数日後……

「しかし、()()()御蔵島に深海棲艦が出没するとは、思わなかったっぴょん」

「そうですね」

「ミクちゃん提督も無事で良かったね!」

そんな会話をしながら、今日の訓練のおやつを頬張るへっぽこーず。

『天龍』と『電』と『雷』は、

「彼奴等も自業自得だぜ。俺達をひどい目に遭わせて、『龍田』を殺しやがったし」

「なのです」

「そうね。救ってくれたミクちゃん提督達には感謝しっぱなしよ。危うく彼奴等の道連れになるところだったもの」

やはりおやつのアイスを食べながら、そう語る。

『天龍』達の心の傷は軽いものではなかったが、診療所の夕雲医師や看護師の巻雲、更に研修医になったばかりの美里が往診に来てくれて、ケアをしてくれている。

海来や結有、それにへっぽこーずも優しく接してくれて、ちょっとずつ立ち直った彼女達も、軍務に復帰できるまでに落ち着いていた。

()()()()()()の正体を知っている結有と、その()()()である海来は、その艦娘達を温かい目で見守っているのだった。

「さあ、おやつが終わったら訓練ですよ!へっぽこーずも、第2隊に負けないように頑張りましょうね?」

『はーい!!』

へっぽこーずの元気のいい声が、庁舎に響き渡る。

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