へっぽこーずやらかすの回
今日からまた、猛訓練の再開である。
『天龍』達は、
因みに、『天龍』達の方が、まだまだ練度は上である。
とはいえ、駆逐艦相手ならなんとか倒せるようになって来ていた。
『こちら『那珂』ちゃん。敵はぐれ艦隊を全滅させましたー!』
司令官執務室で、紀子と共に執務をしていると、『那珂』からの元気のいい報告が、通信機に舞い込んで来る。
「元気そうな声ね」
紅茶を淹れながら、紀子が笑みを零すと、
「
そう答えながら、通信機を手に取る。
「了解。ダメージはどうですか?」
『うーちゃんが小破、あとは無傷です!もうちょっと進んでみていいですか!?』
「うーん……良いですけど、絶対に
『はーい!』
小笠原諸島まで殆ど敵が見えず、進軍を続けたへっぽこーず。
「もうちょっと進んでみるぴょん!」
『卯月』が進軍を口にする。
「あ。でも、小笠原以南はだめだ、ってミクちゃん提督が……」
へっぽこーず唯一の、
「ちょっとだけ、ちょっとだけ出るだけだから、大丈夫!」
『那珂』ちゃんも自信満々である。
「それなら、ちょっとだけ……」
結局折れてしまう『吹雪』。
母島を警備している、母島泊地艦隊の様子を眺めながら、へっぽこーずは南に進軍する。
そして、北硫黄島まで進んだ時だった。
「敵艦見ゆ! 敵は輪形陣!」
『吹雪』の報告に、『那珂』が顔を引き攣らせる。
「あれ?これ、やばくない?」
「ぷっくぷくぷー!?」
敵軽空母ヌ級から、順次発艦する艦載機。
空から襲いかかる艦載機の群れを見上げながら、サァーっと顔を青褪めさせるへっぽこーず。
「ど、どうすんの!?」
「取り敢えず、撃ち落とすしか無いでしょう!?」
「アイスが!!アイスが抜きになるぴょん!!」
パニックに陥ってる旗艦『那珂』に冷静に突っ込む『吹雪』、それにアイスを心配する『卯月』。
へっぽこーずはこの後、メチャメチャにボコられた……
全員仲良く大破して、逃げ帰って来た。
因みに、その敵空母部隊は、母島泊地艦隊が出撃して撃滅した。
その司令官は、アメリカから帰国して軍務に復帰した
高速航空機動部隊をより良く率いて、攻撃を防いでいる精鋭部隊である。
「何で、北硫黄島なんて行ったんですか!?言ったじゃないですか!『小笠原以南は無理だよ』って!!」
三人仲良く入渠ドックにて
『ごめんなさぁい……』
シュンとなる三人に、傷の治療に駆け付けた夕雲医師と巻雲も、溜め息を吐く。
「呆れてものも言えないわね」
「全くです」
「まあまあ、これで懲りたことでしょうし」
そんな面々を宥める、研修医の美里。
中破まではともかく、大破まで行くと、
今までの艦娘は、修復材を薄めたお風呂で何とかなるが、
三人共包帯が巻かれ、ガーゼや絆創膏が貼られている。
艤装は、メンテナンスモードで工廠妖精さんが修理をしている。
「いやあ、派手にぶっ壊したなあ」
というのは、工廠長妖精さんの言葉である。
「取り敢えず、
『えええっ!!?』
不満そうに抗議の声を上げるへっぽこーずに、腰に手を当てた紀子が一歩前に出る。
「あのね。あんた等馬鹿なの?死ぬの?あんた等の馬鹿はエベレスト級なの?命令無視がどういうことになるか、もうちょっと考えて反省しなさい」
『はぁい…』
「まあまあ。
そう二人を宥めるのは、
『無茶はしないでね』と言う
人のこと言えなかったな、と思いながら……
「しかし、改めて思いますが、大きな壁ですね」
司令官執務室に戻ると、椅子に座りながら、大きな溜め息を吐いた海来。
へっぽこーずは、艤装の修理が終わるまで、自室で反省文を書かされている。
その間、島の守りは
「制空権の問題ね?」
そう答えるのは紀子。彼女も、両親の素質を受け継いだせいか、『艦これ』の上位ランカーなのである。
「そうなんですよ。
「あの
紅茶を淹れ直して、海来の前にそっと置いてからダイニングテーブルに座って、自分も紅茶を淹れる。
「そろそろ、空母の建造も視野に入れないといけないですかね?」
「資材的にはどうなの?」
「そうですねえ……」
司令官専用コンピュータを操作しながら、現在の資材量を確認する。
「んー。空母建造を一発で引き当てれば、何とか……」
空母向け
「やってみる?」
「そうですねー………」
腕を組んで考え込む海来。
自身の頭の中で、今回の修理費を差し引いて、補給用の資材と空母を引き当てた時の資材の残りを考えて……
「やってみましょう。
「そうね。軽空母が出れば儲けものね?」
数日後……
「翔鶴型航空母艦二番艦、妹の『瑞鶴』です。よろしく」
「どうしてこうなった……?」
工廠部から送られてきた艦娘は、
「提督?」
頭を抱える海来に、首を傾げる『瑞鶴』。
「あ、何でもありません。宜しくお願いします。私は、高梨海来少佐です」
「ミクちゃん提督ね、大村大尉から聞いてるもの。よろしく」
ばたん
『ようこそ青ヶ島へ―!』
「『那珂』でーす!」
「うーちゃんだぴょん!」
「『吹雪』です!」
『よろしくお願いしまーす!』
扉が開かれて、入って来たのはへっぽこーず。
センターに『那珂』、右に『卯月』、左に『吹雪』である。
「…よ…よろしく」
いきなりの登場に、『瑞鶴』も苦笑いだ。
「……という訳で、『瑞鶴』には、この『へっぽこーず』を率いてもらいます」
「へっぽこーず?」
海来の言葉に、更に首を傾げる『瑞鶴』。
「まあ、まだまだ貴女も、練度を上げないといけないですから、模擬戦から始めましょうね?」
「分かったわ、任せておいて!」
自信満々に言う『瑞鶴』に、海来は笑みを返す。
「ひゃっほう!!」
今日も今日とて、汎用艤装を身に着けた
「爆撃で追い込むわ!そっちに魚雷を放って!」
『はーい!』
ガン積みされた艦爆の爆撃を、悉く避けながら爆走する
『まだまだ甘い!』
それすら潜り抜けると、ペイント弾をお見舞いする。
「ひゃん!」
「ぴょん!」
「きゃっ!」
「ひゃっ!」
四人仲良く、青いペイント弾でお顔が真っ青である。
「なかなかうまく行かないわね……」
お風呂でペイントを落とすと、湯船に四人仲良く浸かっている。
「レジェンドは、マジレジェンドだっぴょん」
「あれは
「うんうん」
艦爆ガン積みで爆撃して、掠りもしない結有をぼやく『瑞鶴』に、それをフォローするへっぽこーず。
「確かに、あの速度は狂ってるわね」
ガラガラ…
お風呂の扉が開かれると、入って来たのは海来。
「お邪魔しますね」
入って来た海来を、じーっと見る四人。
「どうしました?」
首を傾げる海来に、『卯月』が、
「仲間ぴょん!」
と、
一瞬キョトンとして、自分の胸を見下ろして……
「余計なお世話です!」
腰に手を当てて、おこですポーズをすると、一同がどっと笑う。
そして海来も体を洗うと、隣に腰を下ろして、五人で仲良くお風呂タイム。
「ミクちゃん提督肌スベスベね」
隣にいた『瑞鶴』が、海来の手足をスリスリする。
「ひゃん、くすぐったいですよ」
その反応を、へっぽこーずは見逃さない。
「うーちゃん、擽りは得意だぴょん!」
「『那珂』ちゃんも―!」
「あ、それじゃあ私も」
「え?ちょっと?あれ?『瑞鶴』?」
その様子を見て、『瑞鶴』は海来を羽交い締めにした。
『くすぐり攻撃だ―!!!』
「ひゃん!ちょっと!どこ触って……ふぁ…っまっ…そこはだめ!!…ちょ!!…たすけてぇぇぇぇ!!!」
その擽り攻撃は、紀子が入って来て、
へっぽこーずと『瑞鶴』は、すっかりへそを曲げてしまった海来により、
そんな中、見せ付けるようにアイスを頬張る海来に、『瑞鶴』はもう怒らせないようにしよう、と心に誓うのだった。
明日は病院なので更新しないと思います(多分)