新・小さな提督と艦娘日和   作:SAMICO

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東京島嶼部合同演習に誘われる海来達

そしてミクちゃんついにブチ切れる。
そしてへっぽこーずがとうとう覚醒する!?

そして、海来にとって最凶最大の(変態)が現れた!?


※今回はカオスシリアス回です。

Q:更新しないんじゃないの?
A:昨日書いてたストックが先に仕上がったので


合同演習で

「合同演習ですか?」

先日の命令違反事件の収拾の為に出撃してくれた、島風准将に連絡を入れた海来は、島風から合同演習を持ち掛けられていたのだ。

『そうそう。東京島嶼部の10番台泊地の四泊地で、合同演習をやろうかな、って今、横須賀総監部()の許可待ちなんだけど』

「いいですね。全体的な練度向上は急務ですからねぇ」

島風とは()を通して知り合って、連絡先も個人的に交換しているのだ。

『今の所、第12泊地の黒井君と、第11泊地の片桐中佐は名乗りを上げてるけど』

「片桐……あぁ、確か()()片桐英治の息子でしたっけ?」

『そう。親に似ず、()()真っ当な運営してるらしいけど』

「黒井少佐は、あの黒井元長官の息子さんでしたね?」

『今、ビシバシと艦隊を鍛えてて、艦娘達も「青ヶ島泊地(第13泊地)に借りを返したい」、って張り切ってるそうでね?』

その言葉に、立ち上がって窓から外を眺める海来。

今日もレジェンド(結有)と猛特訓中の、瑞鶴withへっぽこーず。

「いやぁ、うちのへっぽこぴーは簡単にコテンパンにされちゃいそうですけどね?」

『あはは』

笑ってる島風の声に混じって、扉が開く音が聞こえる。

『こら!司令官。何またサボってるのよ!?』

島風の秘書艦『叢雲』の声である。因みに、『初期艦(最初の五隻)』の一人でもある。

「ああ、すみません『叢雲』さん。こちらからご連絡したので」

『ミクちゃん提督、うちの提督(アホの子)が長話してごめんなさいね』

『ちーがーう。一応、業務連絡!』

島風が『叢雲』に、抗議の言葉を差し挟む。

『黙らっしゃい!』

「あーあーあー、本当ですよ。合同演習のお誘いを……」

一方的に叱られるのが心苦しくて、一応説明をする海来。

『そうなのね。ミクちゃん提督の艦隊はどう?順調?』

「いやぁ……うちのはへっぽこぴーで……ああ、先日はありがとうございます」

『そりゃあ全方位通信で、『誰か助けてぴょん!!』なんて入ってくりゃあ、緊急出動するわよ?』

その『叢雲』の言葉に、海来は更に苦笑いを浮かべる。

「航空戦力も無しに、軽空母の彷徨う地帯に飛び込めばまあ、そうなるでしょう」

『まあ、あの子達にはいい薬だったわね』

「そうだと良いんですが……取り敢えず、うち(第13泊地)は是非とも参加させてください、ということで」

『ええ、またね。って司令官どこ逃げた!?』

と言う言葉と共に、通話が切れる。

 

「あっちはあっちで、賑やかそうね?」

通話が終わったタイミングを見計らって、紅茶を淹れて差し出す紀子。

「そのようですねえ…あ、いつも美味しい紅茶有難う」

「従卒だもの、そのくらいはしますとも」

恭しく頭を下げてみせる紀子に、海来もふふっと笑いを零す。

 

―――

数日後、海来と『瑞鶴』とへっぽこーずは、合同演習の為に母島へと向かった。

()()演習なので、今日の海来は一応軍服の範疇である、海上迷彩服に作業帽を着用している。

母島泊地には、既に第12(御蔵島)泊地と第11(大島)泊地の指揮艦が停泊していた。

因みに、母島泊地が第10泊地である。

移動には指揮艦を用いている。海来は15歳だが、軍特例で()()()()()()の、小型船舶免許を持っている。

これは、()()()()()()()()()()()()()()()()でもある。

『吹雪』と結有と三人の頃に、結有の指導の元、猛練習して操縦を覚えたのだ。

結有と紀子は、今回はお留守番である。

海来の操縦で母島軍港に係留すると、港湾で会話をしていた島風准将が、こちらに向かって来る。

「ミクちゃん、ようこそ第10泊地へ」

「今日は勉強させていただきます」

ペコリと頭を下げると、『瑞鶴』Withへっぽこーずがひょっこり顔を出す。

「この前はありがとうございました」

へっぽこーずリーダーの、『吹雪』が頭を下げる。

「いいのいいの。大きな怪我もなくてよかったね?」

「こんにちはー! うーちゃんでーす!」

「『那珂』ちゃんだよー!!」

「あ、『吹雪』です」

『三人合わせて、へっぽこーずだ―!』

「……あ。『瑞鶴』です、よろしくお願いします」

『吹雪』が半分投げやりに、『卯月』と『那珂』がノリノリで決めポーズを取っている中で、『瑞鶴』が冷静に挨拶すると、島風は楽しそうに笑っている。

どうやらこの決めポーズは、練習していたらしい。

陽子妖精さんも笑っているが、残念なことに島風(と恵奈)以外には見えないのだ。

「ともかく、今司令官が集まってるから、艦娘の皆は模擬戦の準備、手伝ってもらえるかな?」

『はーい!』

元気良く答えるへっぽこーずに、やって来た『叢雲』が声を掛ける。

「はいはい、あんた達はこっちね。従いて来なさい」

と、艦娘達を連れて行く。

海来は、そのまま島風と共に提督達の方へと歩いて行く。

すると、若い青年の少佐が声を掛ける。

「初めまして。私、御蔵島泊地司令官の、黒井崇矢少佐と申します。高梨提督、いやMIKUさん」

その言葉に、もしや?と引っ掛かるところがあった海来は、

「もしかして、佐世保鎮守府サーバの『BLACKARROW』さん?」

黒井崇矢は、元佐世保鎮守府司令長官である黒井退役大将の息子であり、『艦これ』上位ランカーでもある。

それがきっかけで、公募に応募して提督になった、元サラリーマンという異色の経歴の提督なのだ。

「ええ。うち(第12泊地)の艦娘達がお世話になったそうで、艦娘達も借りを返したい、と言っています」

「いやぁ。へっぽこぴーですよ?うち(第13泊地)の娘達」

「うちもまだまだですよ。『()()()()()()()()()()()()()()()()ようでは、まだまだです」

その言葉に、バツの悪そうな顔をする海来。

「あちゃ。バレちゃいましたか?」

「高梨大将に伺いました。艦娘達には秘密にしてます。いずれまた『再戦』したら叩きのめす、と息巻いてて……」

談笑している二人に、片桐中佐は不愉快そうな顔をする。

「フン。15の小娘に、サラリーマン提督か。()()()()()()()()()()だ。格の違い、というものを見せ付けてやる」

そう言って未来を一睨みすると、自分の指揮艦に引っ込んで行った。

「何あれ?感じ悪い」

島風が不満を口にすると、海来は苦笑いする。

「どうやら、片桐中佐は私のことはお嫌いらしいですね?無理もないですね、()()()()とは言え、片桐英治元准将を失脚させたのは、(高梨 湊)ですから」

「ですが、片桐元准将は重大な背任行為をしていたから、高梨少佐を恨むのは筋違いじゃあ……」

崇矢の言葉に、海来はふっと笑って首を振る。

「まあ、良いです。仲間同士いがみ合うつもりもありませんし」

「片桐中佐には、後で私からも言っておくとして……その片桐中佐が、第13泊地艦隊と一戦したい、と言ってるけど?」

「こちらとしては構いませんが……」

「それじゃあ、うちの艦隊と黒井君の艦隊で、一戦やろう?」

「はい。胸を借りるつもりで、やらせていただきます!」

 

こうして、沖合で演習が始まる。

演習は模擬弾を用いて行い、ペイント塗れになったほうが負け、という寸法である。

沖合に出た指揮艦から、艦娘達が出て来る。

片桐の艦娘は、『霧島』、『祥鳳』、『羽黒』、『神通』、『陽炎』、『不知火』のフル編成六隻である。

こちらは、へっぽこーずに『瑞鶴』。

『それでは、両者準備いい?』

『叢雲』の確認の言葉に、片桐も未来も『準備完了』と、キーコードを送信する。

『では、秒読み開始』

その言葉と共に、指揮艦のモニターが、カウントダウンをスタートする。0になった時点で、指揮命令が可能になるのだ。

これは、()()()()()()()()()の一種で、海来はこれで自陣を確認しながら、従来の通信で指揮を行う。母に似て、()()()()()()()()()()()()なのだ。

「撃てぇ!」

ズドーン!

霧島の発砲が最初に行われ、『卯月』の至近に着弾する。

「ぴょん!?」

卯月の顔が真っ青になる。ペイント弾ではない、()()を撃ち込まれたのだ。

「実弾!? 片桐中佐!何を考えてるんですか!?」

()()()()()等では本当の実力を計れまい。実弾に切り替えろ!『不敗の女神様』の娘ェ!』

()()()()()()()()()()()も許可されているのだが、今の砲撃で皆、怯え竦んでしまっている。

「っ!皆、実弾に切り替えて!」

海来はすぐさま、応戦するしか無いと判断して、実弾切り替えを命令する。

「は……はい!」

「ぴ……ぴょん!」

「う……うん!」

「艦載機実弾切り替え! 発進!」

『瑞鶴』が、艦載機のペイント弾モードから実弾に切り替えると、速やかに発進させる。相手の『祥鳳』からも発進する。

容易く制空権が奪われると、爆撃が襲いかかって来る。

「あわわわ……」

「ひ、ひぇぇぇ」

「うびゃあ!!」

ズドーン!!!ズカーン!!

航空戦で、一気にボロボロになるへっぽこーず達。

『瑞鶴』だけは中破を免れたが、後の三人はズタボロ(大破)である。

『まだだ、砲雷撃戦開始!』

「えっ!?」

片桐の命令に海来が絶句した直後、ボロボロの娘達に、容赦無く艦砲が襲いかかる

「ぅあっちゃぁ……あたたた……いったぁい……」

「くうっ!!」

「もうやだ!!許して!!」

「くうっ、甲板を……!」

そのボロボロの艦娘達に、『霧島』が無慈悲に二撃目を向けようとしている。

『もう終わりよ!やめなさい!』

『叢雲』の通信をも無視する片桐に、海来は何かが切れる音を聞いた。

「片桐ぃぃぃぃぃぃ!!!」

海来は指揮艦を飛び出して、飛んで来る砲撃を蹴りで弾いた。

「ぴょん!? ミクちゃん……提督……」

()()()()()()()()()、お前等全員、覚悟は良いだろうね!?全員海の底に叩き落としてやる!」

怒りに満ちた真紅の瞳の海来……いやDSキラーは、次の瞬間モーフィングで、『綾波改二零改二』艤装にチェンジしていた。

バリバリの武闘派艤装(絶対殺すウーマン)である。

『ああもう!!何やってるのよあんた等!?演習が滅茶苦茶じゃないの!?』

「うるさい!黙ってろ!!」

『叢雲』の怒声をも無視して、連装30ミリガトリング砲で、敵航空機を木っ端微塵にしながら、高速で『霧島』の背後に飛び出て……『霧島』の後頭部に肘を叩き込む。

「ギャッ!!」

『霧島』は、悲鳴と共に一発大破となり、海面に浮かんでいる。

「かぁぁぁたぁぁぎぃぃりぃぃぃ!!!!」

そのまま、連装30ミリガトリング砲を、片桐の指揮艦に向かって乱射し始める。

「ひいいいい!!!」

片桐はすぐに物陰に隠れる。どんどん破壊されていく指揮艦上部……

「待って!!ミクちゃん提督」

「『吹雪』!?」

我に返ったDSキラーが振り向くと、よろよろと立ち上がる『吹雪』に『卯月』に『那珂』に『瑞鶴』。

「見ててぴょん!!」

「私達の……!!」

「レッスンの成果を!!」

「行くわよ!」

立ち上がると、彼女達が光に包まれる。

「あれは……」

「な……何をしてる!?叩き潰せ!!」

唖然としている海来に、大破した指揮艦から顔を出して、命令を出す片桐。

その光が晴れると、全員艤装が光に包まれ、()()艤装になっていた。

『祥鳳』が艦載機を発進させて、艦載機が『吹雪』達に襲い掛かる。

「まかせてぴょん!!」

『卯月』が、高速機動で対空砲を乱射して、叩き落とす。

「『吹雪』、行きます!」

その掛け声と共に突っ込んで、魚雷を乱射して相手を中破に持ち込む。

「『那珂』ちゃんセンター、いっくよ―!」

『那珂』も主砲を乱射して、魚雷も叩き込む。

「爆撃開始!!」

そして、『瑞鶴』の飛ばすフル爆装の艦爆が、爆撃をガンガン叩き込む。

相手も全員大破である。

そして、パンッと光が弾けると、元に戻った艤装。もちろんズタボロ(大破)である。

『もうだめだぁ……力が出ないぃ……』

ヘナヘナと崩れ落ちるへっぽこーず。そのまま起き上がれなくなる。

「………えっ?」

片桐は、その出落ちのような状況に唖然とし、海来はそれを見て、海面に立ったまま頭を抱えた。

「い……一瞬だけなんですか……ソレ?」

 

演習を滅茶苦茶にした司令官二人には、島風の鉄拳制裁(ゲンコツ)と共に、『叢雲』のお説教が始まる。

「全くもう。()()()()()()()なんて、何考えてるのよ!?()()()()にしても、()()()()()のよ!?」

「いや、あの憎き『不敗の女神様』の娘だと思ったら頭に血が上って……申し訳ない……」

「海来も何やってるのよ!?もしお偉方が見に来てたとしたら、()()()よ!よりにもよって、綾波改二零改二艤装(対人殲滅兵器)なんて()()()()()()何で持ち出したのよ!?片桐中佐をブチ殺す気!?」

「いやあ、久々にプッツン来ちゃいまして、すみません……」

説教されている間、お互いをちらっと見る二人。

「………」

「あんた達、ちゃんと聞いてる!?」

「「は、はい!」」

『叢雲』の言葉に、ビシッと背筋を伸ばす二人。

 

艦娘達はダブルノックダウン状態で、仲良く入渠ドック行きである。

救いなのは、入渠中艦娘同士親交を温めて、禍根を残さなかった、ということである。

 

「ちょっとあんた等、頭を冷やして来なさい!」

と言う『叢雲』の言葉と共に、埠頭に追いやられた二人。

「片桐中佐」

「何か?」

「………母が憎いですか?」

二人共視線を合わせず、並んで埠頭に腰掛ける。

「私の母さんは、ずっと父さんと高梨提督や『不敗の女神様』を憎み、恨みながらながら死んで行ったよ。世間から嫌われ、差別を受けて来たから」

「………」

海来は、少しの沈黙の後口を開く。

「私が憎いですか?私はご覧の通り、()()()()()()()()()。私が憎いですか?」

「……わからない、分からなくなって来た」

「その答えを見つけるのは、あなた自身です。腐って貴方のお父さんと同じ末路を辿るか、そうではない道を選ぶか」

「………そうではない、道か……」

呟くように言う片桐に、海来は続ける。

「やはり、あの時代は狂ってたんですよ。『ヒトゴロシ(民間人を殺した作戦発案者)』が英雄になったり、守護神として持て囃され、軍隊がちやほやされた時代は。そして()()、狂った時代がやって来た」

「狂った時代か……」

「さて、私は戻ります。破壊した指揮艦の始末書は、私が書きます。覚えていてください。私は、()()()()()()()()()()ば、()()()()()()()()

「………」

立ち上がって歩き去った海来を、片桐はずっと見続けていた。

 

 

それから一週間が経った。

片桐は、艦隊司令官を辞任した。

「私怨に駆られる自分は、まだその器ではない……」と。

 

「………で、何で()()に転属願いを出したんですか?よりによって()()()()に……」

そう。()()()()()()()()()として、転属して来たのだ。

二人目の、()()()()()()である。

「是非とも、高梨少佐の下で艦隊のいろはを学びたくて」

「…………はぁ」

その言葉に、大きく溜め息を吐く未来に、少し()()()()()答える片桐。

海来の後に控えているレジェンド(結有)と紀子が、ひそひそ話をしている。

「あの片桐中佐って、海来にホの字?」

「そんな気はしなくはないですね。()()()()()()()ですけど」

こうして、()()()()()()()()と化した片桐英太郎中佐が、第13泊地にやって来た。

年齢差は倍以上である。

 

そんな中、一瞬だけでも覚醒したへっぽこーずは、地道に周辺海域の軽巡を狩って、努力を続けている。

「やったぁ!軽巡をうーちゃんだけで倒せたぴょん!」

「油断は禁物です。慢心したら、この間の二の舞です!」

「そうだね!慢心はだめ、絶対!」

「ガンガン爆撃支援するから、一緒に頑張りましょう!」

そろそろ、へっぽこーず卒業の時は近い……かも知れない。

 




着々と高梨海来と愉快な仲間(と変態)が集まりつつあります。

次回からはハードシリアスは少なめにするつもりです。
黒井さんとのエピソードはまた後々
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