転生じゃなくて転送されたみたいだけど、頑張ってみる。 作:甘々胡麻ざらし
まぁ軽~く読んでくださると嬉しいです
よく晴れた日。二人の男女がショッピングモールの中を歩いていた。
「悪いな、わざわざ買い物に付き合ってくれてさ」
「別にいいよ。それより買いたいもの買えたの?」
「おう!無事にエボルドライバーゲットしたぜ!」
そう言って眼鏡をかけた男は満面の笑みで右手に持っていた袋を見せる。中に入ってるのは只今絶賛放送中の仮面ライダービルドに登場する、エボルトという地球外生命体が使うベルトの玩具"DXエボルドライバー"である。そう、眼鏡をかけた男は仮面ライダーが大好きなのである。そのため敵のライダーであろうと玩具は全て集めたい派なのである。その笑顔に思わず女は苦笑した。
「本当に仮面ライダーが大好きだよねぇ。その愛をもう少し可愛い彼女に向けて欲しいなぁ」
「めちゃくちゃ向けてますけど?」
さらりと男が言うとその男の彼女は照れたのか口許がにやけてしまった。
「ううぅ…。本当そういうのさらりと言えるよね」
「いや、好きなのは事実だし」
「ううぅ…」
またしても彼の発言に彼女は口許を綻ばせた。
「で、そっちは買いたいもの買えたの?」
「買えたよー」
そう言って彼女は何冊か本が入った袋を見せる。
「じゃあ帰りますか」
「そーだねぇ」
「ほい」
彼はそっと手を差し出し彼女はその手を握り手を繋いで夕暮れの道を歩く。
「ところで何の本買ったんだ?」
「えーっと、BLとBLと…」
「…聞いた俺が悪かった」
「読む?」
「慎んでお断りします」
「えー。面白いよ?」
ニヤリと笑みを浮かべる彼女に男はそっぽを向いた。ちなみにBLとは男と男の恋愛を指します。そう、男の彼女は俗に言う腐女子なのだ。
「さーて!帰って読み倒すぞー!」
「ハイハイ」
ひまわりの花のような明るい笑顔を見せる彼女に男は穏やかな笑みを浮かべ、この幸せが永遠に続けばいいと思った。しかし次の瞬間"ナニカ"が視界を遮った。
◇
「こ…こは…?」
男が目を覚ますと知らない天井があった。体を動かそうにも思うように動かず、何やら慌ただしい声が聴こえる。鼻をくすぐるような薬品の匂いからして恐らく病院だろう。しかし彼には何故病院に居るのかわからなかった。そして白衣を着た人が彼の視界に入ると、彼は口を開けた。
「何故…俺は病院に…?」
「ふむ、意識がまだ朦朧しているのかな?君は一週間前にトラックに跳ねられここに搬送された」
「!?」
思わず飛び起きそうになったが医者に止められた。
「まだ君は目覚めたばかりだ。しばらくは安静にしてまたゆっくり話そう」
「はい…」
医者が立ち去ろうとしたとき彼は思わず一緒に居た恋人の安否を聞いた。しかし医者にから出た言葉は…。
「恋人?君以外に搬送された人は居なかったよ?」
◇
しばらくしてある程度体を動かせるようになった彼は家族に連絡を入れようとしたが、何故か繋がらず、友人に連絡をしても全く違う人が出たり、訳がわからなくなっていた。結果彼は身元が不明と、事故により記憶が混濁していると判断された。そして幸いにも自分が持っていた鞄は残っていたらしく、喉が乾いた彼は病院内のコンビニで飲み物を買おうとしたときある雑誌に眼が留まった。
「インフィニット・ストライプス?なんだこれ?」
見たことがない雑誌に何故か興味がそそられパラパラとページを捲ると、彼は驚いた顔をしてすかさずそれを購入した。そして病院のベッドで彼はその雑誌をまじまじと眺めた。
「リアル過ぎる…。なんで小説のインフィニット・ストラトスの機体がこんなにもリアルなんだ?」
「ほー、面白いものを見てるね」
一瞬ドキリとして後ろを振り返ると担当医の医者が居た。
「せ、先生ですか…。びっくりさせないでくださいよ」
「ああ、すまない。それにしてもISに興味があるだなんて珍しい」
「そうですか?」
「まぁいくら知識を詰め込んでも"男には動かせない"からあまり意味ないかな?」
「今…なんて言いました…?」
「うん?男には動かせないからあまり意味ないって。あ、ごめん。失礼な言い方だったね」
「そうじゃなくて!ISって実在するんですか…?」
「?そうだけど、まさかその記憶も抜けているのかい?」
彼は思わず頭を抱えた。何故なら彼が知るISとは小説のの中でしか登場しない想像上のパワード・スーツなのである。しかしそれが今現実に存在するということはつまり…。
「俺…ISの世界に来たっていうのかよ…?」
これはひょんなことから想像上の世界に転移した男"